†貧乏カメラ館†

Konica Ciao 未評価 発売年月 1989.02/標準価格 ¥2.2400
工夫次第では遊べるおシャレな廉価機


1989年に出た電動・単速・固定焦点の廉価機。しかも、ストロボはオートのみ。スペック的には一番嫌いな種類のコンパクトだが、いろいろと面白い部分がある。特に、絞りがF4.5/F8(?)/F16(?)と3段に切り替わるので、使い方と改造次第ではちょっと遊べる。また、廉価機とは言え、全体の造りは決してお座なりではない。まだまだコニカの良心健在のころの機種。デザインセンスの良さとあいまって、けっこう気に入っている。
(2006.11.13)

●基本スペック

この時代の最廉価のコンパクトで、オモカメの一つ上のクラスだが、流石に造りはまだまだ丁寧だ。レンズは34mm/F4.5とそこそこ明るい。3群3枚できちんとコーティングもされている。ピントは固定焦点だが、最短撮影距離1.5mというスペックからすると、ピント位置は伝統的な2.8mではないかと推測される。シャッターは1/125"単速機械式。絞りの詳細は不明だが、おそらく、F4.5(ストロボ時)/F8(ISO100時)/F16(ISO400時)の三段階だと思われる。少なくとも、ISO400を入れるとかなり絞り込まれることを確認している。ただし、明るさと絞りは連動せず、フィルム感度によって固定のようだ。絞りは独特の楕円形をしている。ファインダーはアルバダ式でかなり明るくて大きい。巻き上げ/巻き戻しは電動式で電池なしではまったく使えない。

ストロボは怪しからんことにオートのみ。が、ストロボ使用時には絞りがF4.5開放になる。通常撮影時にはフィルム感度によって絞りが2段に切り替わるが、ストロボ使用時の絞りはフィルム感度に左右されない−−ここがミソ。最近の廉価機は絞りが完全固定のことが多いし、これよりも古い機種だと、ストロボ撮影時にもフィルム感度によって絞りが変わる事がある。通常撮影時は絞り可変で、ストロボ時のみF4.5開放固定という中途半端な機種はこの時期だけのものだろう。このスペックはちょいと遊べる(後述)。

●系譜−−jumpシリーズとの関係

Ciaoの中身はjump AUTO (Manbow Woo)と同じもののようだ。レンズスペックをはじめ基本仕様はほぼ同じ。レンズ、ファインダー、ストロボなどの形状や配置もほぼ同じ。特長的な楕円絞りも共通。国内発売の順番で言えばCiaoの方が先だが、造りを見る限り、なんとなくjump AUTOの方が原形で、Ciaoはそこから防水機能を省いた物のような気がする。レリーズボタン周りから水が入らないようになっているし、裏蓋もパッキンが入れられるようなデザインになっている。

ちなみに、Ciaoは2年後にTOP'Sにモデルチェンジしている。仕様はほとんど同じで(通常撮影時はISO400でもF8固定かも?)、デザインも酷似している。おそらく、定価を下げるためのモデルチェンジでしょう(22400円→17000円)。ただし、ストロボの形状が横配置から縦配置に変わった。このレイアウトは、その後に出たjump shotと同じ。おそらく「Ciao−jump AUTO」「TOP'S−jump shot」という関係にあるのだろう。

と思っていたら、ちょっとだけ違った。確かにTOP'Sとjump shotは殆ど同じものだが、jump shotは偉そうにも1/50"、1/125"の二速なんだそうだ。ちなみに、絞りはF8(通常)/F4.5開放(ストロボ)の二段切替のみで、しかも速度が1/50"になるのは、ストロボ時のみ…って、ん??てえことは、ISO400でも通常撮影時はF8-1/125"で撮るんだね。まだ、その手抜きをするには早すぎる時期だと思うがなあ…。ピーカンだと4段オーバーになるぞ。ともかく、露出を速度調節で手抜きしようというK-miniの発想の原点はここだな。しかし、なんでストロボ時に1/50"なんだろう? かなり不思議な仕様だ。

●改造の可能性

要するに、ストロボは悪であり、オートストロボは地獄である−−というのが私の立場。しかし、スローシャッターの切れない廉価機でストロボを使わなければ、暗所では単純に露出不足の写真になるだけで、何のメリットもない。単速機ではストロボは必須であり、必須である以上はオートのみでも結果は同じ。ストロボが使えない場所では「写さない」または「写らない」という選択肢しかないわけだ。オートだと、うっかり写して怒られるというリスクはあるが…。

しかし、もし、このCiaoにISO 1600を詰めて、フラッシュ管を潰すか、ストロボ回路を切断しておいたらどうだろう? 暗所ではF4.5-1/125"-ISO1600で撮影することになるが、これはISO 100のEV7に相当する。典型的な室内の明るさ(サークルライト2本)はLV6程度なので、ラチチュードを考えるとほぼ撮影可能範囲と考えて良い。また、F4.5では被写界深度が浅くなるが、ピント位置を2.8mと仮定すると、1.8m〜6mになる。悪くない数字だと思う。

一方、通常撮影の場合はF16-1/125"-ISO1600となり、ISO100のEV11相当になる(F8-1/125"でEV13、2段絞って、4段感度を上げたので差の2段分開いたのと同じこと)。ピーカンがEV15くらいだから4段も差があり、屋外ではかなりの露出オーバーになってしまう。しかし、最近のフィルムは露出オーバーに強く、廉価機ではISO400でも平気でF8固定-1/125"単速という設定になっている(前出のjump shotもそうだ)。これもピーカンでは4段オーバーになるはずだ。もはや、4段オーバーは普通であり、フィルムもラボそれを前提にしている。ならば、この設定は使える。Ciaoはフラッシュ管を潰してISO1600を入れることで、擬似EE機として室内でも屋外でもノンフラッシュで使えるわけだ。

ま、そんな面倒なことをしなくても、まともなEE機を使えばずっと楽なんだが、それでは詰まんないからね〜。それに、このCiaoの赤はデザイン的にけっこう気に入っている。Kーminiにつながる系譜だ。ちなみに、CHINON 35FX-Wなどではこの手法は使えない。通常モードでは感度によらずF8固定なので、ISO 1600を詰めるとピーカンで6段オーバーになる。流石に6段は厳しすぎるだろう。


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