(2002.09.14/2007.11.23upd)

OLYMPUS C-2100UZ

200万画素のレンズ一体型10倍ズーム機。EVファインダーを採用していて、操作性は一眼レフに近い。銀塩のOLYMPUS Lシリーズのデジタル版と考えれば良いだろう。38〜380mmの10倍光学ズームと手ぶれ防止(IS)機能を装備している。ホールディングの良さとIS機能のおかげで、望遠時でも手ぶれしにくい。そのほかの点でも、OMやLシリーズでカメラを設計してきたOLYMPUSらしく、直感的にわかりやすくとても扱いやすいインターフェースになっている。画素数200万は必要充分。内蔵ストロボを使わなければ電池の持ちも良い。この時期のこのクラスのデジカメとしては、かなり優れていると思う。単純に遠くを手軽に撮影する道具としては、かなりイイセン行っている。しかし、問題点も少なくはない。

●ファインダー系

まず、最初に気になるのはEV(Electoric View)ファインダー。ファインダーを覗くと、液晶に映し出された画像が見える。ミラー駆動系もペンタプリズムもなしに、ファインダー像と撮影像を一致させることができるのがメリットだが、一眼レフの光学ファインダーと比べると鮮明さや現実感は格段に劣る。EVファインダーとしてはマシな部類のようだが、それでもかなり気になる。

それに、望遠で動体を追いかけるときも、EVファインダーはかなり不利なように感じる。そもそも、このカメラは望遠端が380mmもあるくせにボディが異様に軽いので、ちょっと手が動くだけで構図が狂って、被写体が画面の外に出てしまう。これが動体を追いかけるとなると、ユーザーがファインダーで追っかけるのと、AFが合焦し直すのと両方しなければならない。そこにEVだから、変に像が止まって見えたりする。要するに、被写体が動く度に構図の把握ができなくなる。流れが途切れて、一からやり直しのような感じになる。こういう感覚はMF銀塩カメラでは経験した事がない。かなりイラつく。

ただ、EVには副次的なメリットもある。それは、被写体がはっきりと見えないので、いやでも画面全体に目を配るようになることだ。ビギナー(私のことだ)はファインダー内で被写体を見つめてしまうため、全体の構図のバランスが取れず、しかも被写体が思ったよりもずっと小さく写ってしまうという失敗をよくする。ところが、EVのファインダー像は、まず一枚の絵として認識するので、こうした失敗が少なくなる。

なお、見えの問題は別としても、設定メニューまでファインダー内に表示されるのはどうにかならんか? もちろん、背面LCDを使用することも可能だが、メニューボタンを押したら自動的に背面LCDに切り替わるくらいの配慮は欲しかった。

●操作性

操作性は極めて良い部類。露出補正もモード変更も楽だ。強いて難点を挙げれば、やや軽すぎるのと小さすぎることくらい。操作性は満点に近い。と言っても、この機種だけの特別に際立った特長がある訳でない。要するに、銀塩一眼レフの操作系を採用しているというだけのこと。しかし、他社製品はそれができていないのである。確かに、デジタルと銀塩の差は意外に大きく、単純にフィルムの代わりにデジパックを付ければよい、というようなものではないようだが、オリンパスはその差異を見事に克服した。銀塩で同じ感覚で扱える、当時としては数少ない機種だった。

●画質と発色

画質に関しては、ピーカン順光という好条件であれば、かなりナチュラルな発色をしてくれる。他社のようなウソ臭い彩度の高い色作りでないのが好ましい。しかし、条件が悪いと途端に変な色になることがある。秋の曇天で撮影したときは、極端に彩度が低くなり、人間の肌の色も寒々とした感じなった。おまけに、明るい部分が白飛びして、ハレーションでも起こしているような感じになった。白飛びは発売当時からいろいろ言われていた記憶があるが、使って見ると確かにかなり気になるレベルだ。WBの問題もあるかもしれんが、ポートレートとか撮るつもりなら別機種を使う方がよい。こいつの存在意義は、あくまでも「お手軽超望遠」である。

●室内ノンストロボ撮影

実は、このカメラは手軽なブツ撮りにも便利だ。IS機能と大口径レンズのおかげで、手持ちで室内ノンストロボ撮影が可能なのだ。撮影設定は次の通り;

設定項目 設定値 備 考
焦点距離  90〜100mm相当 液晶に表示されるズームゲージのはぼ真ん中の位置
ISO設定 400 100/200/400/AUTOの設定が可能
撮影モード  Aモード 絞り優先AE
絞り値 F2.8 100mm相当でもF2.8に設定可能!
IS設定 オン 2〜3段分の効果があると言われている
ストロボ オフ  
マクロモード オン 撮影距離60cm以下の場合
画質 HQ SQ(VGA/標準)は不可
撮影場所 室内 サークルライト2本の日本間(LV6前後)

で、この設定で1/25"〜1/50"くらいでシャッターが切れる。もし、IS機能が3段分効いていれば、これは1/100"〜1/200"に相当する。手持ちで何とかなるレベルなのだ。実際、撮影結果は十分にシャープで、液晶モニタで確認する限り、拡大しても手ブレは実感できない。また、F2.8ではピント位置以外はボケボケになるかとも思ったが、CCDが小さい(と言っても1/2"だが)おかげで、意外にパンフォーカスっぽくなる。もちろん、本格的なブツ撮りには不十分だが、オークションの商品写真程度ならば、十分使い物になると思う。なお、画質には注意すること。いくらオークション用とは言え、標準のSQ(VGA/標準)だと解像感が非常に落ちる。少なくとも(VGA/高画質)に設定すること。できれば、HQ(1600×1200/高画質)以上で撮影して、PC上で加工することが望ましい。

●ストロボ

C-2100UZの内蔵ストロボは、デジカメの内蔵ストロボとしては悪くない。光量もまずまずだし、光軸上にストロボがあるから影も出ない。液晶で見る限り、ストロボ撮影時はややオーバー気味だが、露出補正はTTL自動調光にも有効だから、補正はすごく楽。ただし、プリ発光タイプなので、スレーブシンクロは難しい。

なお、外付けストロボ用のコネクタは付いているが、これは純正のTTLストロボ専用。汎用外付けストロボを使うには5000円もする変換ケーブル(FL-CB04)が必要になる! バカにするなオリンパス! こんなもん、原価は100円だろ〜が!コネクタさえ手に入れば自作するのだが…特殊な形状でねえ。

●外付け汎用ストロボ

2002.09.13/汎用ストロボ用の変換コネクタFL-CB04を購入。定価5000円をビッグカメラで4500円(本店に在庫が一つだけあった)。こんなものが4500円!というのが率直な感想。部品と結線が判れば200円で自作できるような情けないシロモノ。ボリャがんなあ…。んが、その効果の素晴らしさを見ると、この値段も納得できてしまう。Lumix LC5と比べると、このC-2100UZの外部汎用ストロボのサポートは抜群に優れている。これなら専用のTTLオートストロボはいらないくらい。

 @本当に汎用のストロボが使用できる(Lumixは推奨機種だけ)
 A絞りを任意に設定できる(Lumixは実質的にF2.8付近のみ)
 B1/800秒まで全速同調(Lumixは実質的に1/100"より速くできない)

Lumixの絞りや速度に制限があるのは、マニュアル時にはいわゆる絞り込み測光と同じ状態になり、光量不足でAFが合焦しなくなるため(詳しくはLumix LC5の項を参照)。これに対して、一眼レフのシステムを流用しているC-2100UZは、いわゆる開放測光と同じ仕組みなので、任意の露出でAFが効く。これは、ストロボの機種や設定の自由度を高めると同時に、近接時の補正にも非常に有効。たいていの外付けストロボは1mくらいがオート調光の近接の限界で、それ以下だと被写体が白く飛ぶ。こんなときは、絞りを絞れば綺麗に撮れる。さらに、速度を速くすれば、中途半端に明るい場所での背景光の影響を抑えることもできる。全速同調と言う点は一眼レフ以上。Lumixで不便に感じた点が見事に解決されていて、実に便利である。

さらに、本当に汎用ストロボが使用できる点も大きい。ストロボのテストに使えるからだ。懸案だった、PE-300SGWのオートが効いているのかどうかのチェックが、このFL-CB04のおかげでできた(オートは正常、しかし中途半端に明るい場所ではF2.8ではなくF5.6で使うべし)。また、バウンスやディフューズの効果の確認にも利用できる。

ということで、室内ではストロボが必要→光量と電池寿命の点から外付けストロボ必須→外付けストロボを使うならC-2100UZが便利! ということで、メインの座はC-2100UZに奪われてしまうのだった。Lumixの存在意義が……マクロ専用かなあ、ストロボ補正が面倒だけどなあ、リモコン撮影もできないし(u_u;)


Long-run reports

2002.07.28/川越百万灯夏まつりで撮影。う〜んとね、概ね良好な描写なんだが、@いくらIS機構があっても夕方に380mm超を手持ちで撮影するのは無茶、Aこのクラスでもボケは全然ダメ、同時に持って行った銀塩のTokina 60-300の方がずっと良かった。

2002.08.07/室内でマネキンを使ったテスト撮影。

テスト自体は有意義だったが、結果は思わしくないな。やはり本番はLumixの方か…それに、ストロボは必須と言うことで…

いずれにしても、ストロボを使うと電池の消耗が激しいのと、電池の発熱が凄くなる。撮影場所は考えないとなあ…。あと、両方ともガシガシ使うのには惜しい、という感じが強いね。

2007.05.20/アキバでメイドさんを撮影するが、やはりEVファインダーはだめだわ。動く被写体を追いきれない。ほとんど、カンでシャッターを切らざるをえない。遠くで、比較的動かない、おまけに間に通行人がいったり来たりしない被写体の場合には問題ないが、私の撮影はほとんどの場合そうではないので、これは使えないなあ。

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