OLYMPUS CAMEDIA C-100 ★★☆ 発売年月 2001.06/標準価格 \3.2000
ああ、ストロボさえもう少し何とかなっていれば…

130万画素で単焦点パンフォーカスのローエンドモデル。廉価機ながらスポット測光や露出補正を備えるなど、機能面では一定のレベルにある。しかし、画質は価格相応で、許容できるか否かはユーザー次第。また、フラッシュ撮影やマクロ撮影に問題が多く、メモカメとしては失格。基本的に晴天・屋外・順光の明暗差の少ない被写体専用。また、単焦点機にしては動作が遅く、撮影重量も重い。その代わり、電池の持ちは際立って良い。(2009.11.22〜2010.04.15)

この時期には珍しいパンフォーカス機。個人的にはパンフォーカス機は大好きだが、こいつはいろいろと問題が多い。実は総じて評判の良い機種のようなのだが、私の評価は極めて厳しいものになった。欠点をざっと列挙すれば、起動や動作が遅く、操作性もイマイチ、設定保持は不完全、ストロボ撮影が汚い、室内マクロ撮影はボロボロ、高感度時の画質が酷い、彩度が低い、白とびが顕著、単焦点のくせに重い。

  ただし、画質に関しては、あくまでも私の所有している機体に限定したハナシ。メーカーのサンプル画像や、他ユーザーの作例を見ると、私のテスト結果ほどは酷くない。私の機体は調子が悪いのか、はたまたウデが悪いのか…(^_^;

もちろん、電池寿命の長さ、機能の豊富さなどは十分評価するが、やはりパンフォーカス機の最大のメリットであるはずの速写性に致命的な欠点を抱えているのが、この機種の存在理由そのものに疑問を抱かせる。

●主要スペックと機能

35mm/F4の単焦点パンフォーカス機で、絞りも多分F4固定。マクロモードではF8になるようだが、それ以外では絞りが変化している様子はない。なお、マクロモードと言っても、単に絞りをF4→F8に絞るだけで、レンズが繰り出されるわけではない。したがって、マクロモードで通常の風景を撮ってもまったく支障がない。むしろ、雪山や夏の海岸ではマクロモードで撮った方がいいと書いてある(^^;オイオイ…「マクロモード」などという紛らわしい名称ではなく、単に「F4/F8手動切替」と書けよ!

  マクロモード(F8)にしても、Exif情報はF4のままのようだ。困ったもんだ。感度、速度でF4かF8かを推測するしかない。

露出制御は速度とISO感度で行っていると思われる。それでいて、スポット測光や露出補正が付いている(^^ゞ 感度はISO 100〜400のオートのみ。ストロボは発光量とISO感度で調光しているようだ。ストロボ補正も効く。無駄に多機能な感じもするが。ストロボモードはオート/強制/禁止/赤目/夜景など豊富だが設定保持はできない(オートに初期化)。WBのマニュアル設定も可能だが、これもモード保持はできない。デジタルズームはx1.6/x2、VGAモードの時はx3.2/x4も可能。これはそれなりに使える。設定表示用の上部液晶はなく、すべて背面液晶モニタに表示される(マクロはスライドスイッチなので直接目視も可能)。

本体重量190g、電源は単三4本、撮影重量300g弱。正直言ってこれは重い。AFが当たり前の時期の固定焦点機なんだから、単三2本の軽量スナップ機にすべきだったと思う。尤も、単三2本機が実用レベル(アルカリで100枚程度)に達するのは、三か月後のC-2やFinepix A101あたりから。C-100の三か月前に出たC-1の電池寿命の悲惨さを考えると、同じ轍は踏めなかったのだろう。タイミング的には非常に不幸だった。しかし、流石はこの時期の4本機で、アルカリ電池で最大1万枚撮影可能(標準200枚)。凄し。4本機と2本機の間には、相当本質的な差があったようだ。

  「1万枚」という撮影可能枚数については、真実味が薄いような気はするが、少なくとも、家に転がっている使い掛けの電池で動く、数少ないデジカメであることは確か。枚数は同一メーカー製品の相対的な指標ぐらいに考えておく方が賢明。

●出自と系譜

どうやら、このC-100は三洋の委託生産品らしい。他にも三洋に委託生産した機種はかなりあるようだが、このC-100は特にOEM感が強い。OEM形態という意味ではなく、「お座なりな安物」という雰囲気という意味で。ちなみに、SANYO DSC-R1はこのC-100の兄弟機で、基本的な構造が酷似している。基幹スペックが相当に変わっているので、双子機とは言えないが、横長な外観、単焦点パンフォーカス、スライドバリア、マクロ機構、操作系、パーツの類似性など、明らかに同一機種から派生したことが見て取れる。こうした兄弟機が存在するのも、オリンパスの委託生産モデルとしてはかなり珍しいような気がする。ひょっとすると、C-100は企画段階から三洋の関与があったのでは…などと勘繰りたくなる。

  兄弟機自体は珍しくはないようだ。たとえば、DSC-X1とC-820L、DSC-SX1ZとC-900Zなど。しかし、C-100とDSC-R1のように、基幹スペックが大きく変更されている兄弟機となると、ちょっと思い付かない。

また、C-100の後継機種としては、画素数を200万画素にアップしたC-120がある。外観はC-100と完全に同じで、単純な画素数アップ機と思われがちだが、画質や操作系が大幅に改良されており、後述するC-100の数々の欠点をほぼ克服したモデルと言って良い。異様な電池の持ちの良さと相まって、こちらは実用性が極めて高いモデルに仕上がっている。なお、C-120は主に海外で販売されていたモデルで、日本ではジャパネットたかたのTV通販と、一部量販店でのみ売られていたようだ。日本のオリンパスのHPには製品情報が掲載されていない。

●操作性と操作系

操作系は他のオリンパス機に準拠していて、タブ・メニュー形式。まだ洗練度は低くお世辞にも誉められないが、実用にはなるレベル。ただし、設定の保持に関する項目がない。画質設定などは保持されるが、ストロボ設定などは初期化される。それ以外は極めてマトモなのだが、そのストロボ設定の初期化が致命傷になったようだ。起動時に強制無駄チャージを始めてしまい、数秒間は操作を受け付けない。実測すると7秒前後といった所だが、実際にはもの凄く長く感じる。「ピポピパ」起動のFinePix A101に比べると明らかに劣る。「速写性」というパンフォーカスの長所を帳消しにしている。

  ただし、実際に使用する際には、この無駄チャージはそれほど気にならないかも知れない。確かに、最初に電源を入れた段階ではかなり待たされるが、以後、数分〜二、三〇分置きくらいに撮影するのであれば、チャージは即座に終るのでストレスはない。問題になるのは、突然、滅多に見ることのできない被写体に出くわしたときだろう。鞄からカメラを取り出して、スイッチオン…で、7秒待たされたら、完全にシャッターチャンスを逃す。なお、ピーカンでも本当に強制チャージを始めるのか否かは、実ははっきりしない。曇りの日には確実にチャージし始めた記憶があるが。

また、ストロボチャージがない場合でも、液晶の点灯までに1秒近く掛かったり、再生が遅かったり、ストレス感がかなりある。ストロボ設定やマクロ設定を変更するときでさえ、1ウェイト掛かる感じだ。同時発売のC-200Zが割合にサクサク動くので、C-100の鈍さが余計に目立ってしまう。

液晶表示の設定は保持される。液晶オフで電源を切れば、次回起動時も液晶オフで起動する。この点は高評価(って、強制液晶オン起動の初期Finepixの方がどうかしてるんだが)。ただし、モード表示のために、2、3秒間だけ設定アイコンが表示される。これは、設定表示用の上部液晶がないので仕方ないだろう。

操作の中で最も不便に感じるのは画像の削除。 メニューの奥にあって、1枚削除するのに物凄い手間が掛かる。 しかも、メニュー画面で画像が隠れるから、連続削除は困難。 変だな〜〜、と思っていたら、やっぱり隠し設定があった…隠してないけど(^^; [▽]ボタンの長押しで直接削除メニューが表示される。 これなら簡単で便利だけど、ボタンに削除マークでも書いておけよ! ちなみに、[△]の長押しはプロテクト。

電源スイッチはスライドバリア兼用。エントリーモデルでスライドバリアを採用すると悲惨なことになることが多いのだが、これは安っぽく作ったのが逆に功を奏したみたいで、たよんないくらいスムーズに動く。乾燥した時期にはバリアを開けられないC-200とはえらい違いである。質感は△だけど、実用性は◎。

●プログラムラインと感度

C-100は露出も感度もプログラムオートのみ。問題はそのプログラムライン。X-350のように(たぶん)1"までベース感度なんていう極悪プログラムラインだと、いくら最高感度がISO 400あっても意味がないのだが、このC-100はけっこうマトモなようだ。Exifで調べた限りでは、恐らく1/30"まではISO 100、1/30"で露出不足になると感度を上げ始める。ただし、その場合の感度の上限は200まで。というか、100/200の2モードで、中間はない感じ。また、ストロボ撮影で光量が足りない場合にはISO 400まで上がっていた(ストロボを覆って遮光した上で発光させてみた)。

 @手ぶれ限界である1/30"から感度が上がり始めるのは高評価!
 Aしかし、ISO 200までしか上がらないのは少々物足りない。
 Bただし、高感度時の画質の劣化はかなり激しいので、これはこれで納得。

ということで、プログラムライン自体は概ね高評価だが、実質的な感度上限はISO 400ではなく、ISO 200だと思っていた方がよい。

●実写結果(1)屋外スナップ

このクラスの画質の基準をどこに置くかは微妙だが、標準的なAFズーム機と比較すると、ピントが甘く解像感に乏しい上、発色が若干褪せた感じになる。明記はないが、補色フィルターなのかも知れない。またダイナミックレンジが狭く、白飛びはかなり顕著。全体的に高画質とはとても言いかねるのだが、そもそも廉価の固定焦点機なのだから、そこは納得ずくである。このクラスを選んだ時点で、画質をとやかく言う資格はない。酷くなければ文句なし。その基準で評価すれば、十分おつりのくるレベル。メーカーのサンプル画像は【こちら】

  中には固定焦点機でも芯の立った鮮やかな描写をする機種もあるが、そこにこだわるなら、いっそ高機能AF機を選ぶべきだろう。高機能機でも少し前の機種なら捨て値で入手できる。C-3030ZOOMなどはかなり高画質だが、1000円以下で落札されている。とんでもない時代である。

傾向として気が付いたのは、露出がオーバー目に出やすく、それがコントラストの低い、色乗りの悪い印象を作っているであろうこと。レタッチソフトでガンマ補正を掛けるだけで、印象はかなり異なる。下記サンプルは2010年4月6日(晴天)の上野不忍の池で撮影したもの。オーバー目に出がちなシチュエーションだが、それにしてもオーバーすぎる印象。


HQモード/EPS測光/多分F8で撮影したものを50%縮小。非常に浅い印象。

左の画像のガンマ値を0.65に変更。こちらの方が実際のイメージに近い。

ガンマは変更せずにImageMagickでnormalizeを掛けた。更にvivid。

オリンパスのデジカメなら、デフォルトで右端の画像くらいは期待するよな〜〜的なところはあるけれど、まあ、露出補正かレタッチをすれば、それなりに見られる画像にはなる。しかし、マクロ撮影となると…

●実写結果(2)室内マクロ撮影

室内撮影やマクロ撮影は屋外スナップとは話が別。「いくらなんでも」というレベル。ISO 400時の画質が極端に悪い上に、ストロボ撮影時のプログラムラインも能がなく、素直に室内ストロボ撮影でもしようものなら、悲惨な結果になる。マクロ撮影に至ってはさらに酷く、これが一流メーカーの製品かよ!?というレベル。ノンストロボにすると色のにじみが酷く(ISO400が裏目に出たか)、ストロボを発光させると被写体の周りに天使のごときフレアが…10万画素のWebカメラかと思ったよ。

VGA/デジタル4倍/マクロモード/ストロボオン。なんじゃこりゃ〜〜(^_^; ImageMagickでconvert -normalizeを掛けたら、かなり絵が締まったが…使い物にはならん。 ちなみに、FinePix A101ではこんなカンジ。同じパンフォーカス機なのに…

デジタルズームで倍率だけはそこそこ確保できるが、このマクロ性能ではメモカメには適さない。なお、マクロ撮影時は-1EVくらいにしておくと白飛びが多少改善されるが、それでもFinePix A101やKodak DC215 ZOOMの固定焦点マクロのレベルには遠く及ばない。

●ストロボ撮影

ストロボは起動の邪魔になるだけでなく、実写結果も酷い。被写体は白く飛ぶわ、背景は薄暗いわ、画面の左右で露骨に明るさが異なるわで、幽霊写真みたいになる。理由は簡単で、基本的にストロボ撮影時には「IOS100-F4-1/30"」に設定されるため(ただし、光量不足だと感度が上がるし、手動でF8に切り替えることも可能)。これ、EV9くらいの設定で、標準的な室内の明るさLV5〜6と比較すると3段以上暗い。しかも、ストロボの発光量が小さい上に、被写体からの反射で調光するから、そりゃ背景は真っ暗になって当然。もちろん、これはC-100固有の問題じゃなくて、似たようなスペックの各社のエントリーモデル共通の欠点だけどね。

しかし、対処法方はある。「夜景モード」を使えば良い。「夜景モード」は「ストロボ発光+スローシャッター」という設定。いわゆるスローシンクロである。元来は「夜景+人物」を撮影するためのモードだが、スローシャッターで背景の光(室内灯)を十分に取り込むことができるので、室内撮影に使っても非常に自然な感じになる。ただし、問題は手ぶれ。夜景ならばストロボ発光時以外、人物はほとんど写らない(瑞柏逡ェの1秒でシャッターを切ったのと同じ効果がある)が、室内には一定の明るさがあるために、スローシャッターによる手ぶれのリスクが出てくる。それに、そもそも、そんならノンストロボのスローシャッター撮影と変わんないだろう、というハナシになる。

で、検証しました。結論は、手ぶれに関してはノンストロボでもスローシンクロでも同じ。ウチの室内では両方とも1/6"で切れていた。でも、スローシンクロの方が画面が明るい。露出は同じでストロボが発光したんだから、その分は明るくて当然ではあるが。で、アルゴリズムを推察すると、まず、ノンストロボを前提として測光をして、その段階で露出を決めてしまう。で、レリーズ時に発光させ、自動調光で被写体に当てる光量を変化させる。夜景以外でこの方法を使うと、必然的に若干ながらも露出オーバーになる。フムフム…実写結果と一致する。

まあ、被写体に陰が掛からないという意味では、室内のスローシンクロも無意味ではないかも知れないが、手ぶれ対策には全然ならないことがわかった。それにしても、1/6"でもISO 200。上限の400にはならないんだ…。確かに400の画質は酷いから、スローシャッターでカバーできるうちは増感しないのかも知れない。

●内蔵メモリとUSB

この時期の機種としては珍しく、1MBの内蔵メモリとスマメのダブルメディア。ほほ〜と感心したが、どうやらスマメを別売にしてコストを下げる戦略だったみたいだ。フラッシュメモリなので、電池を抜いてもデータは保持される。しかし、1MBって…HQ(4xVGA)なら4枚、VGAなら7枚くらい。ないよりはマシだが、なんか、こう、いじましい…

PCとのインターフェースはUSBを採用。しかも、コネクタは汎用のBタイプでOK。FinePix A101はUSBケーブルで随分苦労したので、この点は高く評価したい。また、ストレージクラスなので、WinMe以降ならドライバも不要。OS/2でも問題なく認識した。スマメは出し入れ時にデータ損傷を起こしやすいので、USBの汎用性が高いことは非常にありがたい。

●現時点でのまとめ

ライバル機種は富士のFinepix A101(130万画素/パンフォーカス/単三2本)。用途を考えると、大きさと撮影重量の差、およびストロボ設定クリアはC-100の致命傷のような気がする。キャパシタ抜けさえなければ、フジ嫌いの私だってA101を選ぶよ(A101はひょっとするとキャパシタ抜けしないかも知れないし)。

主要諸元
発売年月 2001年6月/3万2000円
クラス パンフォーカス超廉価機
撮像素子 1/3.2" CCD 130万画素
レンズ 35mm/F4(35mm換算)
ピント パンフォーカス
絞り F4/F8 二段切替?(おそらく通常/マクロに相当)
感度 ISO 100-400 AUTO
シャッター 1〜1/2000"
最短撮影距離 0.6m(通常)/0.25m(マクロ)(マクロモードでも無限遠まで撮影可能)
測光方式 EPS測光/スポット測光
測光連動範囲
露出補正 ±2EV(0.5EV)
フラッシュ オート/強制発光/発光禁止/赤目/夜景/赤目夜景
ファインダー ?% x0.?
記録メディアSmartMedia
内蔵メモリ1MB(VGAで7枚、XGAで4枚)
外観 123×65×44.5mm
重量 190g(撮影重量約300g)
電池 単三電池4本(アルカリ電池で標準200枚/最大1万枚)
その他 USBストレージクラス(B-type)
仕様出典 取扱説明書

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