†貧乏カメラ館†

Autoboy S 未評価 発売年月 1993.09/標準価格 ¥6.5000
高画質・高品位・低操作性


当時のAutoboyシリーズの最高級機種。38〜115mmの3倍ズーム機。特筆すべきはそのレンズ。スーパー・スペクトラ・コーティング(SSC)非球面ガラスモールド・レンズを使用し、一眼レフ並みの解像力を誇る。プログラム・ラインも特徴的で、なんと1/250秒までF開放で進むらしい。よほどレンズの描写力に自信があるんだろうな。また、逆光補正はオートのみ。マニュアル補正はできない。こちらはちょいと自信過剰じゃないかとも思うが。
(2001.04.19/2005.03.21)

レンズの描写力は流石。一眼レフレベルと呼んでも恥ずかしくはない。また、ボディの質感もなかなかよろしい。ところが、操作性は悪いし、故障は多いしで、折角のレンズ性能が台無し。Autoboyシリーズの操作性に関しては別項でも述べているが、要するに、ストロボをオフにするのに、フタを開けなければならないという点で完全に失格。ユーザーをバカだと思っているフシがある。

また、給送系の故障はこの機種固有のトラブルのようで、ESPIO 928のシャッター故障同様、中古市場でも非常に多く見掛ける。我が家にも数えるのも面倒なくらい沢山ある。ということで、これだけのレンズを搭載しながら、人気の乏しいカメラである。やっぱり、故障の多いカメラはダメだな…

で、まあ、一度は使ってみたいなと思っていたところ、オークションで圧板故障品を3100円で落札。振込手数料や送料で結局4000円以上掛かっちゃったけど、ともかく格安で入手できた。でもね、よく調べたら、LunaもSSCレンズなんだよね(ガラスモールドかどうかは知らないが)。そんなら改めてゲットすることもなかったかな、という感じ。望遠側の115mmって私にはほとんど魅力がないし、広角側はLunaの28mmの方がずっと魅力的。しかも、フラッシュなどの操作性の悪さはLunaとまったく同じ。う〜ん……横からかっさらうような入札をして奪い取ったカメラだが、こうなると少々後悔。

圧板の故障の方はとりあえず接着剤で応急修理をしてみた。4個所を固定したため、弾力がほとんどなくなってしまったが、フィルムを挟めばきちんと押し付ける位置で固定されているのだから、実害はないと思う…どうかな? メーカーで修理すれば5000円くらいかな? ただ、落下品のようで、ボディのゆがみ等、各部に不安が残る。正常に使用できるかどうか…

●実写テスト

とりあえず試写をしてみた。操作感は総じて高品位。静音化とかレリーズのタッチとかボディの質感など、直接スペックに反映されない部分にも気を使っている。それだけに、フラッシュ制御やデート/メッセージ写し込みの操作性の悪さが余計に気になる。また、今さらながらワイド側38mmはツライ。風景と言っても、神社の境内などは意外に狭く、引いて撮ることができない。逆に、115mmの方はほとんど恩恵を感じなかった。製品コンセプトから言っても、明らかにズームレンジを間違えているとしか思えない。28〜90とすべきだろう。さらに、ポートレートモードでは、ズーミングまでオートで調整する。これは欝陶しい。

試写結果は、通常撮影(風景、ポートレートなど)に関しては良、マクロ撮影は不可、ストロボ撮影はやや難あり、って感じ。流石に風景やポートレートはレンズの切れが物を言う。掛け値なしの一眼レフレベル。しかし、マクロはパララックスによるフレーミングのズレと、それに伴う?AFの中抜けでお話にならない。ちょっとねえ…レベル。また、フラッシュ撮影はオーバー気味で、顔が白く飛ぶ。ポートレートモード(自動的にスポット測光になる)にすれば良いのかもしれないが。あと、AEの性能に多少疑問が残った。カラーネガでもオーバーやアンダーが若干目に付く(ネガプリントだからラボのせいである可能性も大きいが)。なお、圧板の応急修理の影響は特に感じなかった。

まとめ:確かに一眼レフなみの画質だが、やはり一眼レフの代わりになるわけではない。
長 所:(1)レンズ (2)質感
短 所:(1)38mm (2)操作性

主要諸元
発売年月 1993年9月 定価¥6.5000
型式 [AF3倍ズーム][高級機]
レンズ SSC非球面ガラスモールド 38-115mm/F3.6-8.5(9群10枚)
シャッター 電子制御 2"〜1/1200"
ピント調節 赤外線アクティブAF(3点測距/1点測距)
AFロック シャッター半押し
近接撮影 0.6m(通常)/0.4m(マクロ)
露出制御 プログラムAE、AUTO+イメージセレクト4種
露出補正 なし
測光連動範囲 EV2(4"・F3.8)〜EV21(1/1200"・F21)
フラッシュ GN=14 自動/禁止/強制/赤目
ファインダー 実像式 ×0.47〜1.22/84%
外観 130×70×60mm/350g(電池別)
電池 CR123A×2
仕様出典 キヤノン・カメラミュージアム ※リンク切れ
その他 ◎キャノンのHPや一部のカタログでは「Autoboy S(スーパー)」という表記をしているが、これは誤りではないか? 「オートボーイ・スーパー」というのは、AF35MLの愛称として既に使われているはず。
◎サイレントモードあり。
◎レンズ性能の高さと測光連動範囲の広さには目を見張るものがある。
◎給送系の故障が非常に多い。


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