†貧乏カメラ館†

Minolta α-7000 ★★☆ 発売年月 1985.02/標準価格 ¥8.8000
実質的な元祖AF一眼レフ


実質的な元祖AF一眼レフ。爆発的にヒットしたが、現在では実用価値はゼロ。当時はこれが実用目的で使用されていたのかと思うと、不思議な気さえしてくる。個人的にもかなり嫌いなカメラだが、それにしても現在の中古市場での扱いは酷い。露出フルモードの電子カメラが、安物のメカニカル機よりも遥かに低い評価しかされていない。カメラ史上の大功労者なんだから、もっと大切にしてくれよ。…清原騒動を見ていてつくづく思った(^_^;
(2002.04.01/2004.11.26)

世界初のまともなAF一眼レフ。ともかく爆発的にヒットした。しかし、デザインは玩具ぽいし、操作性も良くないし、AF性能も実用ギリギリだから、今となっては誰も欲しがらない。性能云々ではなく「誰も欲しがらない」という所にこのカメラの特徴が集約されていると思う。実用面・デザイン面ともライバル機のEOS 650の方が上。そのくせ流通量が多いもんだから中古価格は暴落。ボディのみで7000円くらいで店頭に並んでいた(あ、EOS 650も同じか(^_^;)。最近は扱わない店も多いみたい。売る方にしても、10万近く出して胸膨らませて買った思い出の最新カメラが数千円じゃ手放す気にはなれないかもね。オークションじゃ2万くらいの値段付けてる人がけっこういる。その気持ちもよくわかるが…

AFはオマケくらい考えれば、そこそこ実用的な機種だと思う。少なくとも、CanonのT70とかNikonのF-301に近いレベルではあると思う。しっかし皮肉だよな、AFであるゆえに爆発的にヒットして、AFであるゆえに中古価格が暴落した。New X-700が定価6万3000円で現在の中古相場が2万5000円くらい、α-7000が定価8万円で現在の中古相場が7000円くらい。同じメーカーの同時期の製品。何が歴史の評価に耐えうるものなのか、メーカーも考えて欲しい…って、中古がいくらになろうと、メーカーには関係がない? 中古で暴落しても新品がバンバン売れる方が嬉しい? そりゃそうだろうけどさ……

AF性能が劣ると書いたが、実は初期EOSと余り変らないかもしれない。少なくとも、EOS 630が合焦不能な被写体に対して、α-7000が正しく合焦することはけっこうある。比較記事なんか見ても、むしろ初期EOSより優秀。しかし、レンズの動作音がうるさく、合焦するまで何度も前後を繰り返すため、非常にイライラする。低輝度の被写体に対しても極端に弱い。これに対して、EOS 630のAFは諦めが早く、すぐに合焦不能で動作が止まる。ユーザーは即座に別の測距点に移れるわけで、操作のストレスが少ない。USMレンズを使えば動作音も極めて静かだしMFへの移行も簡単。ということで、α-7000はAFセンサー自体の性能よりも、総合的な使い勝手に問題があるように思う。端的に言ってEOSの方が快適。これは数字で表現できるもんじゃない。もっとも、クセが判れば慣れで対応できる問題だけどね。

主要諸元
型式 [AF一眼レフ][中級機]
AFTTL位相差検出方式、中央一点
シャッター 電子制御 縦走金属 B,30"〜1/2000" X接点1/100"
測光方式 TTL中央重点平均測光(ストロボ時ダイレクト測光)
露出モード プログラム/速度優先AE/絞り優先AE/マニュアル
露出補正 ±4EV (0.5EV)
ファインダー94% x0.85
ストロボなし/汎用タイプホットシュー
外 観138×91.5×52mm/555g(電池別)
電 池単4×4本
仕様出典カメラ総合カタログ VOL.88 ('87)
中古カメラ実用機買い方ガイド(サンダー平山)
その他 ◎望遠ズームはF4あたりが実質的な合焦限界。一般的なF4-5.6クラスは実用にはならないと思った方が賢明。
◎アダプトール2を使えば、MFレンズで絞り優先AEが可能。むしろ、MFで使う方が現実的な気がする。
独断評価
AF性能 C トロいし、暗さに極端に弱い
操作感 B- お世辞にも良いとは言えないが、見た目ほどではない
耐久性 B 電子系はわりと大丈夫みたいだが、プラの質感がかなり不安
ファインダー A 倍率も高いし、見えもまずまず
測光系 B 単純な中央重点測光…はまあ、欠点ではない
携帯性 B このクラスとしては標準的
用 途 ×仕事 △趣味 △スナップ △軽旅行 ×海外旅行


Longrun reports ...

2001.12.11/遂に買ってしまった。あんなに悪口言っていたのに…。でも、ズームマクロ付きで5800円という値段に負けた。使用感はあるが、程度は良好。それでこの値段。まったく……。確か、ちょっと前の相場がボディだけで7000円くらい。レンズは4000〜5000円だから、ま、これも相場の半値かな。ビックカメラの中古。瑕疵がないという意味では同時に買ったEOS 630よりもお買い得かも。もっとも、AF性能は笑っちまうけどね。一緒にSIGMAのDL 75-300を買ったんだが、これなんか全然合焦しない(^_^; 昔はこれを有り難がったんだなあ。これならMFの方が断然便利。

ボディに付いてたレンズは35-70mm/F4通し、マクロ付き。どうもこれが初代αシリーズの標準レンズだったみたい。通常撮影の最短撮影距離は1mだが、マクロモードで32cmまで寄れる。ただ、マクロモードはAFが効かないみたい。32cmは立派だと思うが、標準で60cmくらいまで寄れないと、使い勝手は今一つかな。まあ、物凄く騒いし合焦はお粗末だしで、実用性を考えるならMFで使うべきだろうが。ただ、単四電池で動くのは偉いね。

2001.12.14/レンズをα-3700iに付いていた35-70/3.5-4.5と交換した。F4通しの方は通常の最短撮影距離が1mでとても使い難いため。3.5-4.5も70cm以下はマクロモードに入るが、特別な操作なしでAFのまま利用できる。50cmくらいまでしか寄れないけど、F4通しのように、ボタン操作が必要でAFも効かないマクロモードよりは遥かに便利。70mmでポートレートとなると、やはり7、80cmに寄りたいからねえ。まだ空シャッター切って遊んでいる段階だが、低輝度被写体には笑っちゃうほど合焦しない。

2004.11.18/純正の80-200/4-5.6とAF補助光ユニットを入手。開放F値が5.6では合焦はかなり厳しい。不可能ではないが実用的とは言いがたい(EV6程度の屋内でチェック)。現実的な合焦限界はF4あたりではないか? もちろん、AF補助光が使えればかなり改善されるとは思うが、残念ながらこちらは故障品のようだ(使い方が判らないだけかも…)。

2004.11.26/AFさえなければ使える…なんぞと言った手前、少し真面目にMFでの使用を試してみた。まず、スクリーンはスプリット/マットに交換しないと無理だろうね。視度補正も欲しい。レンズもAFレンズをMFで使うのは少々難がある。やはり回しにくいし、距離指環もない。そこで、Tamronのアダプトール2を使ってみたが、これがなかなか素晴らしい。実絞りになってしまうが、絞り優先AEが使える(もちろんマニュアル露出もOK)。ポートレートや望遠を開放で使うなら、充分実用になる感じ。ただし、なぜかシャッターボタンの感触の悪さが気になった。重量級のMFレンズをくっつけたので、全体が重くなって手に掛かる負担が大きくなるためのようだ。

で、重いシステムで使ってみると、改めて“プラの寄せ木細工"に不安を感じる。ちょっと手荒に扱うと、継ぎ目からバキっといきそうな感じ。もちろん、内部はちゃんとしたダイキャストだろうから、実際にそんなことが起きるとは思わないが、不安感を惹起する外装なのである。

2004.11.30/α-7000、α28-85/3.5-4.5、SIGMA 75-200/3.8試写。やっぱり28-85は最短が足らない(0.8m)。マクロモードはそれなりに使えるが…。SIGMAの明るさは非常にありがたい。α-7000でもなんとか実用速度で合うもんなあ。ボディの使い勝手は思ったほど悪くない。露出補正の操作性も許容範囲。AEロックは使いにくと思ったが、露出補正が適切にできるのなら、あえて使う必要はないしね。

2004.12.02/α-7000の試写結果あがる。機能は特に問題なさそうだが、プリントが酷い。これなに?ラボ変えなきゃいかんなあ…。価格が安くなった途端に、仕上がりが酷くなった。このプリントではレンズの描写をどうこう言えるレベルじゃない。困ったもんだ。


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