†貧乏カメラ館†

Minolta α-3700i ★★★ 発売年月 1988.??/標準価格 ¥4.1000 (QD¥4.6000)
全てオートのみの大きなコンパクト


二代目αシリーズのローエンド機。小型軽量がセールスポイントだが、ともかく何も付いていない! 完全にプログラム専用機で露出補正すら不可能(AEロックは可)。ファインダー内ものっぺら坊で速度も絞りも全然わかんない。もちろんストロボも内蔵されていない。シンクロ・ターミナルもない。ここまで徹底してると却って潔い。まさしく大きなコンパクトカメラ。
(2001.02.24/2004.11.27)

で、お値段ですが、クオーツデート付きボディに35-70標準ズームをお付けして、何と中古価格7,000円で御提供させて頂きます!(うあ〜〜パチパチパチ)貧乏カメラ館の名に恥じない逸品です。私の一眼レフ最低get価格を見事に更新(オークションを除く)。ちなみに、専用フラッシュD314iは別の店で1,500円で見つけた。これも掘り出し物。

はっきり言ってシャレで買った。αマウント機を一台も持っていなかったので、穴を埋めておこうと思っただけ。性能なんて二の次で、値段だけで買ってしまった(しかし、私もシャレで一眼レフを買えるご身分になったんだなぁ……貧乏を思い出して涙ぐむ)。だが、買ってみてかなり気に入ってしまった。これは確かにスゴイものかも知れない。ただし、あくまでも「普及機」。決して「入門機」ではない。写真の勉強はできませんので悪しからず。

●こんなカメラです

ファースト・インプレッションは「重い」。このズシリという重量感が堪らない−−と言っても、重量は420g(電池別)。小型・軽量をコンセプトにしたカメラなので、実際に重いわけではない。ところが、EOS Kiss並の超小型ボディにこの重量、しかも真っ黒な塊だから、密度がかなり高く感じられる。もちろん外装はプラだが、中身は立派なダイキャスト製だろう。剛性感もあり、レンズ・マウントもちゃんと金属製。しかも、シャッター音がジャキィーという金属音で、へだらなプラ・カメラとは明らかに存在感が違う。おせっかいなフラッシュも内蔵されていなくて、大変に好感が持てる。

デザインも秀逸。私は初期αシリーズのデザインはあまり好きではない(α-9000は例外)のだが、これは許せる。トンガリ頭で丸ボタン二つと液晶だけ、あとは電源スイッチとシャッターしかない。実にスッキリしていていて気持ちがよい。軍艦部左側に何もないカメラって、これだけじゃないのかな? 私に取ってカメラとは「写真を撮る道具」ではなく「写真も撮れるオブジェ」だから、デザインは非常に重要なポイントだ(あ、石を投げないで下さい(^_^;)。

しかし、実用的な面から見ると、いくらなんでも機能が低すぎる。絞り優先オートと、ファインダー内の露出表示くらいなくては、一眼レフを使う意味がない。また、AFの合焦音も露出不足の警告音も消せないし、シャッター音も大きいので、かなり騒いカメラである。触っているだけなら嬉しいけれど、使ったら腹が立ってくるかも知れない。まるで○○○みたいなヤツだ。

●合焦性能とAF補助光

合焦性能はかなり低い。EOS 1000と比較すると圧倒的に劣る(発売時期が2年違うので、単純な比較は酷だとは思うが)。スペック上は初代αシリーズよりも上のはずだが、実感としては大差なし。案の定、低照度被写体に極端に弱く、実質的な合焦限界はF4あたり。F5.6だと、ピーカンの屋外以外では実用にならないのではないか? 少なくとも、純正の80-200/4.5-5.6を室内で使うのはかなり困難。また、SIGMA 75-300/4-5.6やTamron 100-300/5-6.3などの望遠ズームもほとんど実用にならなかった。

照度不足の際には、AF補助光を使うと若干改善される。この3700iは補助光ユニットを内蔵していないので(他のiシリーズはすべて内蔵している)、外付けの専用ストロボ(AF補助光付き)を使用する。専用ストロボD-314i/D-316iを装着すれば、ストロボの電源をオフにしたままでも、AF補助光は有効になる。ただし、純正レンズを使用しないと補助光が発光しないことがある。

いずれにしろ、AFカメラとしての実用性は限りなく低い。露出に関しても制限が非常に大きい(ワザとやってる感じ)。実用目的で使う機種ではないということ。

●ストロボ

このα-3700iは汎用のストロボが使えない。ホットシューの形が特殊で、純正のα-3700i専用ストロボが必須。シンクロターミナルもないので逃げ道がない(同じαシリーズでも、7000や9000ならば汎用ストロボの使えるホットシューやシンクロターミナルが付いている)。で、確か、専用ストロボが二種類出ていたと記憶しているが、私が入手したのは、光量の小さいD-314i。こいつは小さくて便利なのだが、電源をボディ側から供給するタイプで、GNは14しかなく、発光位置が低くてケラレも心配。ちょっとなあ…。後述のように、ストロボ撮影の実写結果もヒサンというレベル。まあ、中級以上の機種との差別化を考えての仕様だろうが、姑息で感心しない。シンクロターミナル付けろよなあ(聞くところによると、汎用ストロボの使える変換コネクタがあるらしいが…)。

その後、光量の大きなD-316iも入手。カメラのキムラのバーゲン品で1050円だった(^_^; まあ、α-3700i専用だしGNも16しかないから、安くても買い手は少ないだろうなあ。しかし、なんでGN14とGN16のストロボを出したのかね? 光量の大きい方はせめてGN20超えなきゃ存在意義がないような気がするんだが…

●実写の結果

で、実写の結果だが……まず、写りの前に、どうもMF撮影が上手くできない。故障のようだ。それから、フラッシュがオフかオートしかない。つまり、強制発光ができない。一応、逆光時には日中シンクロはしてくれるが。また、フラッシュの位置が低く、ケラレが少々心配だ。シャッター半押しもちょっと難しい。しかし、それ以外の操作性は悪くないな。何もいじれないから逆に楽。これを一眼レフと思うから腹が立つのだ。デカいコンパクトカメラだと思えば、すこぶる快適だ。

でも、実写結果は×。特にフラッシュ(D-314i)撮影はヒサン。ピント、露出、発色ともメチャクチャ。前ボケも汚い。想像するに、フラッシュの光量が不足しているため、開放に近い絞りになるのだろう。安物のレンズだから、当然、開放での描写は酷い。しかも、被写界深度が浅くなるので、精度の悪いAFではピンボケになる。その結果、ヒサンな写りとなるのでは? 発光量をコントロールしないAutoboy 3が、フラッシュ撮影時に絞るもんだから、シャープな像を結ぶのと逆だね。日中シンクロのときもヤケに発光量が少なかったような気がする。ちゃんとコントロールしてるのかね?

もちろん、試写結果の中には写りの良いものもあった。特に光量が十分にある日中の風景写真などは、ロッコールらしい描写をしてくれる。と言うか、一眼レフの場合、基本的に写りはレンズの責任だからね。ただ、ボディ側にさまざまな撮影シーンへの対応力がないのも確か。対処方法としては、高感度フィルムを使う、大光量のフラッシュを使う、高級なレンズを使う、ってことだろうな。高感度フィルムはともかく、あとの二つはα-3700i向きの解決方法とは言えないが。

●故障とメンテナンス

この機種については余り多くの情報を持っていないが、突然電源が入らなくなるというトラブルは複数のユーザーから聞いたことがある。私の機体も突然電源が入らなくなったが、原因は電源スイッチの接触不良だった。他のユーザーのトラブルが同じ原因かどうかは不明だが、もうちょっと深刻な電子系のトラブルのような感じもする。

もうひとつ、先ほども少し触たが、MF時のAFモーターの空回りもこの機種固有の故障のようだ。まさか、このカメラをMFで使用することはないとは思うが、少し気に掛かる点。ちなみに、Tamronのα用アダプトール2では空回りは起きなかった。プログラムオンリーなので、アダウプトール2レンズはどのみち使えないとは思うが。

「絞り情報がないプログラムAE」というのは、実質的に「速度優先AE」と同じのような気がするが、どうも露出が少しズレるような気がする(実感として半段くらい)。α-7000なら速度のチェックも露出補正もできるが、3700iではすべて無理。どこまで行っても使えね〜

主要諸元
シャッター 電子制御 縦走メタル 4〜1/1000秒 X接点?秒
測光方式2分割測光
露出制御プログラムのみ(標準/高速)
露出補正AEロック、逆光自動補正(日中シンクロ)?
ファインダー倍率?倍、視野率?%
外 観142×88.5×60.5/420g(QDは440g)(電池別)
その他シンクロターミナル、ミラーアップ、プレビューなし
ストロボ使用時はTTLダイレクト測光
独断評価
機 能 E AFも露出も良いところがない(^_^;
操作感 B 取り立てて悪いところはない
耐久性 C 頑丈そうだが、故障機体をかなり見掛ける
ファインダー B 何も表示されないが見難くはない
露出補正 C 分割測光、AEロック
携帯性 A 420g
用 途 ×仕事 ×趣味 △スナップ ×軽旅行 ×海外旅行


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