ファンスキーの事故報告2 by るるさん

 

 私も怪我をしました。左ヒザ靱帯損傷です。

 ガビガビに氷って凸凹な超緩斜面で左足が引っかかり、バランスを崩して後ろに転びました。転びながら足を跳ね上げれば良かったのですが、超緩斜面で油断していたこともあって、ちょうどプロレス技の「ドラゴンスクリュー」の様な格好になり、ヒザを中心にヒザより下の部分がほぼ180度近く捻られ、「ブチッゴキッ」という音とともに怪我しました。

 「やってしまった」と思いましたが、不幸中の幸いで骨折はしなかったです。しかし、2年経った今でも痛みを感じ、無理をできない足になってしまいました(サポーターなしでは歩けないことも・・)。
 


 

 必ずしも、セーフティービンディングだから安全というわけではありませんが、最近はスキーをやったことない人が、いきなりファンスキーをやるケースも増えてきていると思うので、是非メーカーさんにはセーフティービンディング付きの製品を作ってほしいものです。人間は失敗する生き物です。失敗しても怪我をする可能性が少しでも減るよう、セーフティービンディングが必要だと思います。

 私も怪我の後、セーフティービンディング付きのを探したのですが殆どなく、少し長いのですが120cmのセーフティービンディング付きのものを使っています。また、ヒザが無理をできない状況なので、鉄板入りのサポーターを購入し滑っています。
 

  
  最後に怪我をした人間からの警鐘です。

「たとえリフト乗場付近の漕がなきゃいけないような超緩斜面でも、絶対に気を抜かないようにしてください。」

 では、怪我に注意して楽しく滑りましょう。

 

 

 

 

 Snowman-Yukioです。るるさん、ご報告いただきまして、大変ありがとうございました。

 実は、この体験談をいただく二ヶ月前に、こういったファンスキーの緩斜面での転倒時の危険性を指摘するメールを、ハンドルネームQさんよりいただいておりましたので、ご紹介させていただきます。

 

ファンスキーは、ちゃんと板に乗れていないと、後ろに転倒しやすいです。

特に、加重が後ろにかかると、すぐにこけます。ということで、緩斜面でこけやすくなります。

ふつうのスキーなら、最後に流して一休みしながら滑るようなところが特に危ない。
(野麦ならクアッドの乗り口の近く、コース最後の立木周辺)

こういうところでこけると、斜面がゆるく板が逃げられないので骨折しやすいと思います。

ただ、これは「ファンスキーはスキーと違い、緩斜面で転びやすい」事を知っていれば避けうることと思います。

 

 世間一般では、ファンスキーの危険性は、どうしてもスピードを出したときが一番危ないという話が多いようですが、今回この2通とも、超緩斜面での怪我の危険性の指摘です。以前のファンスキーのお話でも書きましたが、普通の板とは違って、緩斜面や低速で怪我をしてしまうことがあるのもファンスキーの特徴だと思います。

 こうした低速での転倒事故での怪我というのは、やはり行き着くところは、どうしても固定されたビンディングの危険性が浮き彫りになってきます。

 

 

 ファンスキーの怪我を減らすための方法として、以前全日本デモの金子裕之さんがお話ししてくださって、HP上にアップしたお話以外に、僕(Snowman-Yukio)としての個人的な考えですが、3つほど方法があると思います。それは、

@ ファンスキーを購入するときは、なるだけ短い目の板を選ぶこと

A ちょっと高くてもビンディング付きの短いスキー板をチョイスすること

B ストックを持って、少しでも不意の転倒を防ぐこと

という3点です。解説をすると、以下のようになります。

 

 @は、「ファンスキーの事故報告1」のてこの原理の話で書いたように、長い板になればなるほど、いざというときに、足首にかなりの力がかかってしまい、怪我に結びつきやすくなってしまうことがあります。(参照:「ファンスキーの事故報告1」) てこの原理から考えた、転倒時に少しでも足首にかかる負担を減らすという意味での、短い目の板をという発想です。

 

 Aは、これを書いてくださったるるさんが現在、120cmのビンディングつきのものを使用されているようですが、同じように少しでも怪我をする危険性を減らすということを考えて、やはり少々高くてもビンディングつきの板をチョイスする方が安心ではないかと思います。

 

 Bは、ストックを持つということは、まず、一つは転倒しにくくなること。そしてもう一つは、転倒時にストックをつくことによって、すべての力が足に集中することを防ぎ、力の分散・吸収動作ができるということです。これによって、足首を怪我する危険性を、かなり減らすことができるのではないかと思われます。

 やはりファンスキーはストックがないために、転倒時には勢いがついたまま、一瞬の間に、すべての力が足へとかかってしまい、あっけなくあっさりと骨折などの怪我につながってしまうことが多いものだと思います。でも、こういったときにストックがあれば、とっさにストックをついてリカバリーをしたり、力が足へ集中することを防ぐ対応ができるようになるのではないか、と思います。ハンズフリーが売りのファンスキーですが、ストックがないよりもあるほうが、やはり安心して滑ることができると思います。初心者の方には、ぜひともおすすめしたいです。

 また、リフト乗り場などでは、よくバタバタしてすすんでいることもよく見かけます。特にリフト乗り場が登りだと、他の人に迷惑をかけるくらいに、必死にバタバタと登ってゆくのを見かけることもよくあります。そういった不便も、ストックを持つことによって、解消されることだと思います。こういうことから考えても、初心者にはストックを持つことを、ぜひともお勧めしたいです。

 

 

 ただ、こういったことだけでは、ファンスキーの怪我をすべて防ぐということにはならないかもしれません。けれども、怪我をする可能性を少しでも減らせることができるのなら、こういった点を心に留めておくといいのではないかと思っています。

 たぶんこれを読まれている方は、ファンスキーを持っておられる方が、かなりたくさんおられるのではないかと思います。すでに持っておられる方は@Aのように、短い板に買い換えたり、新しいビンディング付きの板に買い換えるというのは、今ある板が無駄になるし、金銭的に負担がかかってしまうので、なかなかふみきれないと思います。

 そんな場合は、かっこわるいと思われる方もおられるかもしれませんが、安全を最優先しできればぜひともストックを持って滑るということをおすすめしたいと思っています。ストックをつくことによって、転倒を防ぐこと、そして、転倒時に足に力が集中してしまうことを防ぐことが、少なからずとも可能になってくると思います。あまりいままでファンスキーでストックを持つことは、安全面からはいわれていなかったことですが、怪我なく、安全に滑るためにも、ぜひともストックを持って滑ることをおすすめしたいです。安全性に関しては、やはりなによりも最優先をすることをおすすめします。(繰り返しになりますが、特に初心者の方には、雪の滑る感覚さえも知らない人が多いので、おすすめしたいものです)

 以前の繰り返しになりますが、ファンスキーでの怪我は一生引きずってしまう場合も本当に多いようです。どうか、安全のため、いざというときに少しでも怪我を減らし、ダメージを減らすという意味でも、ストックを持つことをおすすめしたいです。 (まさしく、転ばぬ先の杖ですね^^)

 最後に、原稿をお寄せ下さったるるさん、そしてメールの文章の一部引用に快諾して下さったQさん、ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

 

 この件に関しては、ほんとうに反響が大きく、それだけにアップする際にはなるだけ「ファンスキーは危険」というイメージだけにならないようにと願いながら、作業を進めています。ファンスキーでのひどい大怪我の話を掲載しながら、ファンスキーの安全性を探し求めつづけ訴えているのは、かなり矛盾した話ですが。。。

 ファンスキーも、雪を楽しむ一つの大切な方法だと思います。危険性があるというだけで、その楽しむ方法をただ単に否定せずに、悪い面は悪いとと認識し、そしてそれをよりよい方向へと考えて、さらにそれを育ててゆくことが大切じゃないかと思います。

 いつでも、いつの時代でも、あたらしい楽しみ方の価値観を否定してはいけないと思います。それは、カービングスキーであったり、スノーボードであったり、ファンスキーであったり、いろいろあると思います。また、それを実践したり、あたたかく見守ったり、そして発展することを願うことは、結果として自分の価値観や世界観を大きくすることにもつながってくると思います。

 自然はいつも僕らを受け入れてくれます。僕らは、いろいろな雪を楽しむ方法を否定してはいけないと思います。同じ雪を楽しむ雪運動愛好家として、楽しむ方法は違っても、同じゲレンデで、たのしく共存しあえることが、なによりすばらしいことだと思っています。

 これをアップする前に、僕はネットで知り合った仲間たちと野麦峠スキー場というところで滑っていたのですが、ものすごくいい天気で、リフトの上から雪面に朝の太陽の光が射しているのをみると、太陽の光が雪に乱反射して、ものすごくきれいな光の粒を、広く大きなゲレンデいちめんにまいたかのような錯覚を感じてしまいました。

 雪のすばらしさは、誰もがこころに感じる一瞬があると思います。その雪の世界を大切にして、たくさんの人たちにその雪のすばらしさを感じてもらえることができればいいなと、いつも思っています。

 そして、たくさんの人たちが雪の世界で怪我することなく、夢中でこころの底からたのしい時を過ごせることができればいいなと、いつもこころの中でそう想っています。

2001/3/13 アップ

☆ ファンスキー(スキーボード)の安全性を求めて ☆

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