2000/1/20アップ

ファンスキー(スキーボード)の危険性・後編 by 宮越さん

 

 Snowman-Yukioです。 ファンスキー(スキーボード)の危険性(前編) の続きです。こちらの後編では、具体的な状況を載せています。
 
 僕は前編にあった文章を本人さんからの直接のメールで読んで、さらに僕からたくさんの質問(18項目!)を宮越さんに送らせていただき、
具体的な状況を質問しました。

 質問への答は、事実関係を中心に書いてあるので読みやすく、そして説得力があります。また、僕からの質問の中には、使用していたメーカーを聞いていますが、僕の方でメーカー名は伏せることにしました。

 使用しているメーカーより、使用しているビンディングに問題があると考えたためです。そのことは、そのあとの質問で宮越さんもそのように考えていることがくみ取れると思います。

 それでは僕からの質問事項  宮越さんからの返答 を以下に掲載しておきます。

 


Q1:足を取られたへこみとは、どんなへこみだったんでしょうか?

左側が崖みたいな道路で、そこが土砂崩れで一部分えぐられたような感じ、で想像がつくでしょうか。

幅は50cm程だったと思います。

当日は、1度そこを通っていて、その窪みも知っていましたが、
2度めに通った時は、その存在を忘れていました。

その時はちょっと吹雪いていて、前方の視界も悪かったです。

 


Q2:突っ込んでしまったというのは、かなりスピードが出ていたんでしょうか

リフトを降りてすぐの通路で、ゲレンデではありません。
それほどスピードは出てなかったと思います。


Q3:足が折れたときには、大きな音はしたのでしょうか

音も、折れた感覚もありませんでした。


Q4:気がついたときは右足のどんな状態が目に入ったのでしょうか(できれば具体的に)
右足がぶらぶらしていたというのは、皮一枚でつながっていたことではないと思いますが。。。

骨がむき出しにならないと複雑骨折とは言わないらしいです。
僕は粉砕骨折だったので骨は出ていないし、血も出てません。

見た目は普通の状態でした。
つま先が逆の方向を向いていた、とかもありません。

Q3でも書きましたが、折れた感覚はなかったので、そのまま立ち上がろうとしたら、右足の折れた所に激痛。折れたところよりも下を動かす、という感覚がありませんでした。


Q5:その時の足の痛みは

痛みは良く覚えていません。

動かなければ痛くはない
早くパトロールに来て欲しい
一緒に来た人に迷惑がかかる
こんな所に寝転がって恥ずかしい

などを順番に考えていたような気がします。

一度、同じ窪みに突っ込んだのか、ボーダーが山側50cm上ぐらいの所を通過して行きました。

逃げることができなかったので、これは恐かったですね。


Q6:時間の経過とともに、足の状態(痛みを含む)の変化は

痛みの変化はなかったと思います。

痛みに関しては本当に覚えていないので。

ただ、パトロールが来てくれるまでに板は外しておこうと思い、なんとか板だけは外しました。

この時かなりの激痛があったと思いますが、とりあえず今出来そうな事はこれだけだと思い、
必死で外しました。

順番逆になりますが、板を外さないと、横になってても骨折した部分が痛かったような気がします。


Q7:パトロールに助けられたのでしょうか、それともまわりの人に抱えられていったのでしょうか?

上は通路で人通りが多く、その人達にパトロールを呼んでもらいました。


Q8:近くの病院にはどのくらいの時間で運ばれたのでしょうか

時計を見る余裕はなかったので、わかりません。


Q9:また、どのような処置を受けたのでしょうか

パトロールの人が現場で処置してくれた内容は、

ブーツを脱ぐ
ダンボールみたいなもので右足すべてを固定する
その後、ソリでパトロール小屋まで連れて行ってもらった
パトロール小屋では放送で知人に連絡
先程つけてもらったダンボールみたいなものを取り
空気を入れて足を固定する物(はっきりとは覚えてません)を使って固定しようとしてくれましたが、それよりも、先程のダンボールみたいなものの方が楽だったので、ダンボールで再度固定してもらいました。

その後、松葉杖1本とパトロールの付き添い1人についてもらって、ゴンドラ乗り場まで移動。
ゴンドラを停めて乗車、下山しました。

降り場でも、ゴンドラを停めてもらい、下車。
連絡して待機してもらっていた知人に付き添われ、知人の車へ。
パトロールに教えてもらった病院まで連れて行ってもらいました。

病院ではレントゲンを撮影し、骨の状態を確認。
ここで
粉砕骨折だと言われました。


1998年12月7日 画像は宮越さんの許可を得て掲載しています


1998年12月9日 手術後のレントゲン

骨の状態をよくする為に?足を引っ張るということをされました。
先生から、
かなりの激痛がはしるから心構えをしておくように、と言われましたが、
我慢出来る程度の痛さでした。
それでも、かなり痛かったです。


Q10:そのまま、入院したんでしょうか

このまま地元(スキー場の近く)の病院で入院・手術するか、と言われましたが、かなり悩んだ末、
後のことを考え、地元に帰る事にしました。


Q11:具体的にどのような板を履いていたのでしょうか  (掲載にあたって、メーカーなどは伏せました)

##############と#########ブーツです。


Q12:ビンディングは固定式だったのでしょうか

ビンディングの名称はよくわかりません。
が、有名な板なので、見た事はあるはずです。


Q13:医療費のおよそでいいので聞かせてもらえることができるなら、お願いしたいです

退院後の通院費、及び、これから入院する費用を除いて、60万ぐらいかかりました。
この中には、白馬〜京都のタクシー代も含まれています。


Q14:スキー保険に入っていたのでしょうか

入らないといけないなぁと思いつつ、入ってはいませんでした。

保険証を持って行ってなかったので、正規の料金(数万円)を請求されそうになりました。
親に頼んで、保険証のコピーをFAXしてもらったので、1万円以下でおさまりました。
ちなみに、その時は自宅にFAXはなく、近所のコンビニまで送りに行ったそうです。
今はFAX購入済です。


Q15:仕事への影響は

在宅勤務時

丁度一段落付いた所だったので、入院中はメールでの指示のみ。

退院後も同僚の計らいで、3ヶ月間在宅勤務という形を取ってもらい、
基本的に、自宅で作業 メールで作業指示及び情報のやりとりをしました。
僕にしか出来ない現場作業がある時は、松葉杖をついて現場まで行きました。
(通勤列車に片道2時間ほど 乗換え1回あり)

往:京都駅まで家族の車で そこから通勤電車に1.5時間程 乗換1回
復:京都までの直通普通電車があるのでそれに乗車2.5時間程
 京都駅からは、家族に車で迎えに来てもらいました。

会社時差出勤時

大阪へ松葉杖をついて通勤していた2ヶ月ちょっとは、
特別に就業時間を30分程度ずらしてもらっていました。
通勤時間は通常の状態で90分ほど 乗換は3回。

大阪市営地下鉄はエレベータの設備が結構整っており、
階段の移動は比較的楽でした。
会社最寄駅は現在エレベータ設置工事中です。

京阪電車の北浜駅は古い為と場所の関係で設置する場所がないようです。

ついでなんで、他に不便だった事

便所
しゃがむ事が出来なかったので和式は無理でした。
洋式・車椅子用は大変ありがたかったです。

座席を譲ってもらう
短区間乗車時に限って譲って貰えましたが、すぐに降りるので断わりました。後にTVで、断わられると次にそのような人を見かけた時譲らなくなる、と聞き、ちょっと考えました。

優先座席
帰りは京阪特急を使用していました。
2人掛けの席が並んでいる車両です。
優先座席は車端の一番奥。
降車時のことを考えると、その席には座れませんでした。
一番楽だったのは扉付近の補助席で、いつもここに座ってました。


Q16:スキーはもうできるのでしょうか(運動はできるのでしょうか)

試しにスキーブーツを履いてみたら、骨折した部分に痛みがあり、
スキーはまだ出来る状態ではないです。

運動は小走りなら出来る程度です。
全速力で走るのは恐いです。


Q17:この件に関して、今どう思っているのか、できればお聞かせください

運が悪かった とだけ思っています。


Q18:ファンスキーをはくつもりとありますが、恐怖心はありませんか

普通の長い板を履くのでも恐怖心は多少あります。

ファンスキーは楽だし楽しいのでこれからも履くつもりですが、
簡易ビンディングのタイプは恐くて使えません。

 

 

余談ですが、ここには書いてありませんが、当時の資料を調べると、病院に着いてからは少しの振動でも痛みが響くようだったという事でした。

 

 

 質問への返信があったのが、2000年1月18日です。1998年12月5日に怪我をしてからもうすでに1年以上経過していますが、まだスキーができる状態ではないということで、これをアップした時点では、まだ全快までには至っていないようです。

 ここ(雪の危険な体験談)でファンスキー(スキーボード 以下まとめてファンスキーと略します)を取り上げたのは、なにもファンスキーが危険だということを言いたいのではありません。どんなスポーツでも、少なからず危険はあります。普通のスキーでも、たくさんの事故が今でも起こっています。

 その反面、ファンスキーは、スピードが出にくいし、また大変のりやすいため、比較的安全だと思われてきた傾向があります。でも、この今回取り上げた事は、今まで知られていなかったファンスキーの危険性を投げかけたものだと思っています。また、ファンスキーでよく用いられている、簡易式ビンディングの危険性を十分認識するべきであると、そんな問題性を提起していると思うのです。

 そして、今回ハンドルネームではなく実名が出ていますが、これはご本人である宮越さんから、実名の方が説得力があるのではないかということで、名前を公開されています。これはファンスキーを楽しむ人たちに、自分のように怪我をすることなく、安全にファンスキーを楽しんでもらえればという想いからきているそうです。

ファンスキーを楽しむ方々にはファンスキーでもどうか十分に安全に滑ることを心がけて、楽しく雪と遊ぶ時間をすごして、たくさんのよい思い出を作って欲しいと思います。

 最後になりましたが、原稿をよせていただいた宮越さん、ほんとうにありがとうございました。

 

★ ファンスキーの危険性(続編) ★
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スキーにゆくときは、できれば保険証、又はそのコピーを持って出かけることをおすすめしておきます。そして、スキー保険への加入、またはたくさんのスポーツをこなす人にとっては、スキーだけではなく、あらゆる状況をカバーしてくれる傷害保険の加入も考慮に入れておいた方がいいと思います。リスクを背負ってスポーツを楽しむということを、けっして忘れてはいけないと思います。

2000/1/20アップ