2000/1/26 アップ

ファンスキーの危険性・続編  by Snowman-Yukio



 Snowman-Yukioです
 
 「ファンスキー(スキーボード)の危険性(前編・後編)」をアップしてみると、反響がすぐにありました。僕のHPの掲示板にも、あちこちの掲示板にも、足をひねって(骨折を含む)怪我をされた方の話がたくさんでてきました。
 
 いままではそれほど
おおやけにはならなかったけれど、実際にファンスキー(スキーボード)で怪我をした人が、かなりたくさんおられるようです。

 
 
このファンスキーの危険性に関する反応の大きさだけは少し驚きです。そのため、僕が目撃した話を急遽アップすることにしました。

 


 

 ファンスキーの危険性の前編・後編を2000年1月20日にアップして、わずか2日後、残念なことに僕の目の前で、ファンスキーヤーが怪我をするのをまのあたりにしてしまいました。関係者にあとで聞いた話では、骨折していた様子だったといいます。ここでは、僕が目の前で見た話を書きます。

 2000年1月22日(土)、僕は翌日の検定を控え、野麦峠スキー場で検定の事前講習を受けていました。天候は爽快なくらいの快晴。前日に雪が積もったこともあり、いつもの固めのバーンではなく、ゲレンデの雪質はほんとうに最高でした。

 そして、行ったことのある人はわかると思うのですが、「立て水の坂」というちょっと急なバーンのちょうど下あたりで、午後の事前講習の講師のレクチャーを受けていた時の事です。

 時間は午後2時になる少し前でした。若いファンスキーヤーが、ほぼ直滑降のように、勢いよく降りてきました。その降りてくるファンスキーヤーのものすごい勢いに気付いて、僕を含む事前講習を受けていた数名と講師は、そのファンスキーヤーをこける前から見ていました。

 ファンスキーヤーはあまりにもスピードを出しすぎたのか、勢いあまって、僕たちの目の前で激しく転倒。急斜面で勢いがついていたこともあって、そのまますごい勢いで10mくらい転倒しながら滑落してゆきました。以下は、その時の様子です。

 

転倒したあと、身体が斜面の落下方向に対して横に向いてしまいました。
ちょうど、鉛筆が下敷きという斜面で、勢いよくゴロゴロと転がり落ちるような方向です。
そしてその時、
両足はファンスキーがからまったように、足がもつれたように、両足が複雑な動きをしました。
ものすごい勢いでゴロゴロと回転しながら、
ファンスキーが斜面に引っかかったり、そして勢いがついているので、その反動で跳ね上げられたりしていました。
ファンスキーが何度も足とぶつかっているのも見えました。
また、ファンスキーヤーの人の上半身は、ゴロゴロところがりながら、
なすすべがないといった感じで、ものすごい勢いでゴロゴロゴロゴロと回転していました。

 

 そして、激しく10mほど滑落したあと、その人は雪煙を上げながらとまりました。ファンスキーヤーは、少し身体を動かしたあと、しばらくじっとしていました。そしてすぐに友人が駆けつけ、声をかけていました。そのファンスキーヤーの方は、なにがしかの受け答えをしていたようなので、僕は「大丈夫かな・・・」と思いながらも、また講師のレクチャーに耳を傾けることにしました。

 そして、しばらくすると「すみません、あそこにいる人が怪我をしているようなので、パトロールを呼んできてもらえますか?」と講師に声をかける人がいました。そして、指さす方を見ると、はずしたファンスキー(これも固定式のビンディングでした)を雪面に立てて、両手を後ろに立てて空を仰いで痛みをこらえるかのように座っている人がいました。それは先ほど、ものすごい勢いで転倒したその人だったのです。

 その後のことは講習を受けていたため詳細はわからないのですが、パトロールによって怪我をしたファンスキーヤーの方は救護室に運ばれたようです。そして、パトロールからの要請で駆けつけた救急車で、病院に運ばれていったようです。翌日、パトロール関係者に話を聞くと、「やっぱりあの様子では骨が折れているようだった」、と話していました。

 

 

 

 

 これは実際におこった話なので、野麦峠スキー場のパトロールの事故記録にものっていると思います。正確な日時は、2000年1月22日(土)午後2時頃です。

 何度もでてきている固定式ビンディングについては、やっぱり販売価格を抑えるために固定式になっているのでしょう。やはり、あのファンスキーの板にきちんとしたビンディングをつけると3万円以上になって、安い普通の板が買えてしまうようになってしまい、手軽に買えて楽しめるものではなくなってしまいます。

 だから今後も、おなじような固定式ビンディングの新製品がでて、おなじように怪我をされる方がでてくると思われます。それを考えると、ちょっと残念ですね。できればメーカーの方にはぜひ、何かの対策をとってもらいたいですね。。。

 また、現在は1mぎりぎりの商品もでてきていますが、前後の安定性が増して滑走安定性がよくなる分、転倒したときの力のかかり具合を考えると、板が長くなった分てこの原理で考えればわかるように、支点となる足にものすごい力がかかりやすくなると思うと、すこし心配になります。

 ただ繰り返しになってしまうのですが、ファンスキーが危険だと言っているわけではありません知られていないその危険性を知っておくべきではないかと思うために、ここ「雪の危険な体験談」で取り上げたのです。僕も、のったことがあるのでファンスキーの楽しさを知っていますし、その楽しいファンスキーを「危険性があるからするべきではない」ということを言っているわけではないのです。

 でも、その危険性を知らない限り、ファンスキーは楽しくておもしろいので、気がつけば無謀なくらいに激しく滑ってしまうこともでてくると思います。板が足から外れないという認識をきちんと持って、なるだけ無茶をしないことを心がけておけば、少しはゲレンデでの怪我は減らせることはできると思うのです。

 雪で遊ぶ楽しさやすばらしさを知るのは、スキーでもスノボでもファンスキーでも何でもいいと思います。楽しみ方は違っても、雪の楽しさをおなじゲレンデ上で共有できれば、これ以上のことはないと思います。

 なのに怪我をするというのは、見ていて大変心が痛みます。せっかくのすばらしい雪の世界で怪我をして帰るだなんて、とても残念で仕方がない、と思ってしまうのです。

 この事故の翌日、スキー場は雪がかなりたくさん降っていました。降りしきる雪に包まれたリフトの上で、手のひらを上に向けて落ちてきた雪をじっと眺めていると、たくさんのとてもきれいな雪の結晶を見ることができました。そのちいさくてかわいい雪の結晶を見ていると、こころがなんだかとてもやさしくてあたたかい気持ちになってきて、僕はリフト上で飽きずにじっと眺め続けていました。。。

 雪というすばらしい自然からの贈り物を楽しく、そしてすばらしい想い出にできるよう、すべての雪を楽しむ人たちが、安全に気を配って楽しくシーズンを過ごしてゆくことに、少しでもこの「雪の危険な体験談」が役に立つことができれば。。。と思っています。

 

★ ファンスキーの危険性(続々編) ★
↑ こちらもご覧下さい ↑

 

 

 

 よりによって、「ファンスキーの危険性(前編・後編)」を掲載した本人の前で、実際にファンスキーの事故が起きなくてもと思うのですが、偶然とはいえ、本当に不思議な想いがします。この頃、僕のまわりでは偶然と不思議が多すぎて、僕自身ほんとに不思議です

 余談ですが、僕がこの「雪の危険な体験談」を募集するにあたって、もっとも影響を受けたのが、親しくしていただいている全日本学生スキー連盟・顧問の方です。(2000年3月で80才の現役の競技スキーヤーです) いつも僕に、「雪とはすばらしいものだけれど、とても危険なものなんだ。楽しむのはいいけれど、絶対に気を抜いてはいけない。」と繰り返し話されることがあります。そして、雪を楽しむ多くの人たちに、このことを大変伝えたがっておられました。

 このことを思い出しつつ、ファンスキーだけでなく、これからもたくさんの体験談を募集してアップしてゆきたいと思います。みなさん、できればどうかご協力お願いしますm(_ _)m

2000/1/26 アップ