ホルモン環境の変化による副作用・副効果
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薬で一番怖いのは副作用ですよね。低用量ピルが認可されるまで、日本では中用量ピルが使われていました。中用量ピルには、強い副作用が出ることがありました。低用量ピルでは、副作用は大幅に軽減されていますが、全くないわけではありません。■服用初期にみられる副作用はなぜ起きるのか? 私たち成人女性の体の中では、さまざまなホルモンが作用しています。中でも、卵胞ホルモンと黄体ホルモンは、性周期を作り出すもとになるホルモンです。体内の卵胞ホルモン量や黄体ホルモン量の変動は、きわめて大きなものです。また、個人差も大きいのです。つまり、体内の自然のホルモン環境は一人一人違うし、いつも違うということができます。体内のホルモン環境が一人一人違うことは、月経量に個人差があることからもわかります。経血量が多い人もいれば、少ない人もいますね。体内のホルモン環境がいつでも変化していることは、周期的な気分や体調の変調から感じることのできる方も多いでしょう。 国内販売の認可申請がなされた各製品について、各社は臨床試験を行っています。薬事審議会の資料からは各社別の個別データの詳細は不明ですが、各製品間でばらつきがあったことが推測できます。たとえば、製品Aでは、18周期の間に685人中45人(6.6%)が副作用のために、服用を中止しています(製品Aは**ッ*21)。一方、製品Bでは18周期の間に412人中58人(14.1%)が副作用のために、服用を中止しています。2つのデータの間には妊娠希望等による服用中止率に大きな差があり、単純に比較はできません。しかし、製品によって副作用の現れ方に差のあることを示唆しているように思います。私の経験では、アメリカ人が「いいよ」っていう製品でも、日本人では「これだめだっ」っていう人が多かったものがあります。同じ低用量ピルでも、成分的にはずいぶん違いがあるのだから、製品別のデータを公表すべきだと思います。【ピル服用開始によって現れる副作用とその頻度】 ピル服用開始によって現れるおそれのある副作用をその頻度の高い順に示すと以下のようになります(%)。これらの訴えの全てがピルの副作用であるかどうかは、明確ではありません。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用によって厚みを増した子宮内膜は、プロゲストーゲン(黄体ホルモン)の作用で出血しないように維持されています。両者のバランスが崩れる(内膜を維持するだけのプロゲストーゲンが不足する)と、出血が起きてしまいます。ごく軽い出血を点状出血といい、生理(消退出血)が来てしまう場合を破綻出血といいます。■不正性器出血の頻度 日本での臨床試験では、服用第1周期(1シート目)に不正性器出血が11.6%から39.0%の女性に見られました。服用第3周期でも、9.4%から24.4%に認められました。不正性器出血の生じる頻度は、かなり高いといえましょう。【点状出血及び破綻出血を含む不正性器出血の発現頻度】
不正性器出血はホルモンのバランスが崩れて起きるので、それ自体は大きな問題ではないと思いますが、それにしてもばらつきが気になります。■不正性器出血への対処 1.服用間隔が24時間を超えると、不正性器出血が生じやすくなります。決めた服用時間にきちんと服用するようにしましょう。■吐き気 エストロゲンによっておきる副作用です。低用量ピルは、中用量ピルと較べてエストロゲンの量が20〜40%カットされています。中用量ピルと較べると、ずいぶん吐き気の副作用は少なくなっています。【OC服用に起因すると考えられる悪心・嘔吐の発現率】
エストロゲンによっておきる副作用です。非常に激しい頭痛は、血栓症の初期症状を疑う必要があります。痛み止めを服用しておさまるようでしたら、服用してかまいません。。【OC服用に起因すると考えられる頭痛の発現率】
プロゲストーゲンによっておきる副作用です。ピルの服用でバストが大きくなることがあります。ブラジャーのサイズが合わないために、痛みを感じることもあります。サイズが合っているか確かめましょう。【OC服用に起因すると考えられる乳房痛等の発現率】
ピルの服用を始めると、肌の調子が良くなることが多いのですが、かえってトラブルが起きることもあります。アンドロゲンという男性ホルモンの働きは、体内から分泌されるエストロゲンで抑えられています。ところが、ピルの服用を始めるとこのバランスが壊れることがあります。■化粧乗りがよくなりきれいになる? ピルは女性ホルモンなのできれいになると信じている人がいます。でも、まともな文献にそんなこと書かれているのを見たことはありません。絶対、鼻が高くなったり、目がぱっちりしたりすることはありません。
■体重の変化 ピルの服用で体重増加が見られることがあります。もっとも心配しなくては行けないことは、肝機能障害のためにおきる体重増加です。肝機能障害があると体重がどんどん増え続けます。低用量ピルでは、肝機能障害による体重増加はほとんどありません。 |