■お家で寝ているわけには、いかないのだ！！▲▲

この半世紀、生理用品の進歩にはめざましいものがありました。生理用品の発達が、女性の生活に与えた影響は非常に大きなものがあります。ナプキンやタンポンがないことを想像できますか。戦前の女性は、生理日には運動は控えるように、お風呂には入らないようにと教えられていました。さらには神社に参拝するのも控えるようにと。今では信じられないことです。生理日があること、それが女性の生活を制約していました。 
　現代人は大きな自由を享受しています。しかし、それでも生理日の制約から完全に自由ではありません。大事な日程と生理日が重なると、どうにかならないかと誰もが思ったことがあるでしょう。たとえば、旅行と生理がぶつかると最悪。おなかは痛いし、温泉にも入れない。シーツを汚してしまわないかも心配ですよね。

　生理日を変えることのできる薬がある、ということを年輩の女性が知っていて驚くことがあります。昔は雑誌に広告が出ていたし、薬屋さんで買えたというのです。そのお薬はピルだったんだと思います。 
薬局で買えたかどうかは定かではありませんが、低用量ピルが認可される前から、生理日を変えるために中用量ピルを処方してもらったことのある女性は少なくないはずです。それが中用量ピルであると知らずに飲んでいた方も多いのではないかと思います。しかし、修学旅行や新婚旅行など人生に一度というような場合に使われることがほとんどで、日常的に使えるものではありませんでした。

　「ピルは避妊薬」ってことは誰でも知っています。でも、私にとってピルは単なる避妊薬じゃないんです。ピルを使えば、生理日を簡単に変えることができます。生理不順の方であれば、生理の予定がキッチリ立つだけでも便利です。お家で寝ているわけにはいかない現代人にとって、ピルは強い味方です。月によって生理日を少しずつ変えれたらと思う女性は、昔はあまりいなかったでしょう。でも、現代女性は忙しいスケジュールの中で生活しています。だから、ピルがお役に立つのです。 

　子宮内膜の剥脱（生理）が起きないようにくい止めているのは、黄体ホルモンの作用です。ピル服用中の子宮の状態は、排卵後（黄体期）に近い状態になっています。ピルを服用し続ければ、この状態が維持されます。ピルの服用を中止すると、黄体ホルモンの供給がなくなります。子宮内膜の剥脱（生理）が起きないようにくい止めていた力がなくなるので、生理が起きます。下の図を見ればわかるように、ピルの服用が終わってほぼ３日後に生理が来ます。個人差で２日後の方も４日後の方もいるようですが、何日後になるかは人によってほぼ一定しています。　

　日本では長い間、低用量ピルが認可されませんでした。このため、生理日の調整にはもっぱら中用量ピルが使用されてきました。
「ピルとのつきあい方」では、低用量ピルを使って生理日を調整する方法を紹介してきました。当初、ある産婦人科医の方から「低用量ピルでは生理日の調整は出来ない！」とお叱りを受けたりしました。その方のHPには、「低用量ピルで生理日を変えることはできません。」と色つき文字で書いていました。今ではその記述は消えています。
　日本の低用量ピル添付文書には、生理日を調整する服用法のことは全く書かれていません。一方、欧米の添付文書や説明書には、ほとんどといってよいほど、生理日を調整する服用法の記述があります。低用量ピルを使ってより確実に生理日を調整するノウハウが蓄積されているのです。

　ピルの種類に関係なく、どのピルも生理日を調整するために使えます。
　産婦人科では、生理日を変えるために普通は中用量ピルが処方されます（中用量ピルの一覧はこちら）。ところが、大切な日に副作用でひどい目にあったという方もいます。そこで専用の月経周期調整剤として新EP錠が登場しました。新EP錠では、エストローゲンの量を低用量ピル並に抑える一方（0.02mg/錠）、プロゲストーゲンの量は相対的に多くしています（1.00mg/錠）。 新EP錠１錠は超低用量ピル並のエストロゲン含有量ということになります。これを朝夕２回に分けて服用することにより、副作用を少なくしています。もっとも、薬価基準未収載ということもあって置いている病院は少ないでしょう。
　低用量ピルの中では、１相性ピルが断然便利です。第一世代ピルの中でオーソMが一番人気なのは、一相性のピルであることと関係しているでしょう。海外でマーベロンなどが爆発的に伸びたのも、一相性のピルだったことと関係しています。ピルを生理日調整用に使い始めると、一相性ピルのよさが分かります。 三相性ピルだと使われているっていう感じですが、一相性ピルだと使いこなしているっていう感じでしょうか。
　もちろん、２相性ピルや３相性ピルでも生理日の調整は出来ます。詳しくは後述します。

　中用量ピルの場合、検査なしでこっそり保険診療にしてくれることも多いでしょう。数百円〜千円でもらえるかもしれません。低用量ピルの場合、１シート2500円前後です。低用量だと保険適用外の検査がついてきたりします。変な話ですが。 
というわけで、保険証は持っていきましょう。

　排卵前にピルの服用を始めると体の中のホルモン状態は、排卵後と同じような状態になります。つまり、子宮内膜は厚いけれど生理が始まるのはくい止められている状態になります。ピルの服用を止めると、それまで生理の始まるのをくい止めていた黄体ホルモンが体内からなくなっていきます。くい止める力が失われることにより、生理が始まります。

　排卵後の体の中では、黄体ホルモンが分泌されています。この黄体ホルモンが生理の始まるのをくい止めているのですが、やがてくい止めきれなって生理が始まります。ピルの黄体ホルモンは天然の黄体ホルモンに代わって、生理が来るのをくい止めてくれます。それでピルを服用している間、生理は始まりません。

　低用量ピルでも、生理の起きる仕組みを利用して生理日を調整することができます。 
その方法は以下に記すように様々な方法があります。しかし、それぞれの方法の確実性は同じではありません。ノンピルユーザーが中用量ピルを使って生理日を調整する場合の成功率を参考までにみておきましょう。生理予定日直前から服用を開始して生理日を遅らせる方法の成功率は、89％程度です(新EP錠添付文書)。また、生理直後から服用を始めて生理日を早める方法の成功率は、76％程度です(新EP錠添付文書)。ピルユーザーが通常の服用法の中で調整していく場合も同程度かそれ以上の成功率になると思います。 低用量ピルの場合、服用する錠剤をうまく選択することによって成功率を高めることが出来ます。
　このページでピルユーザーとは、２シート目以後を服用中の方をいうことにします。 

【服用法】
★★
現在飲んでいるシートの２１錠目を飲み終わって、休薬日をおかずに翌日から次のシートを飲みます。 
現在飲んでいるシートがノリニールとシンフェーズ の場合だけは、第２相と第３相の服用順を逆にして服用します。
２８錠タイプの偽薬は使用することはありませんから、捨てて下さい。

★★
２１日目分を飲み終えた次の日（２２日目）から、新しいシートの服用を開始します。新しいシートの１日目分から飲み始めても、一定の効果はありますが成功率が低くなります。新しいシートの以下の錠剤を選んで服用するようにしましょう。 
マーベロン　　　　 実薬の成分は同じですから、どの錠剤でもかまいません。（２１錠） 
オーソＭ　　　　　  実薬の成分は同じですから、どの錠剤でもかまいません。（２１錠） 
エリオット　　　　　 第２相の錠剤。（１１錠） 
オーソ777 　　　　 第３相の錠剤。（７錠） 
ノリニール 　　　　 第２相の錠剤。（９錠） 
シンフェーズ　　　  第２相の錠剤。（９錠） 
トライディオール  　第３相の錠剤。（１０錠） 
トリキュラー 　　　　第３相の錠剤。（１０錠） 
リビアン 　　　　　　第３相の錠剤。（１０錠）　　 
アンジュ　　　　　　第３相の錠剤。（１０錠）　　 
 

７日間遅らせるときの服用例

服用

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マーベロン

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オーソＭ

×

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×

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エリオット

×

×

×

×

オーソ777

×

×

×

×

ノリニール

×

×

×

×

シンフェーズ

×

×

×

×

トライディオール

×

×

×

×

トリキュラー

×

×

×

×

リビアン

×

×

×

×

アンジュ

×

×

×

×

低用量→中用量飲み継ぎ

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×

×

×

×

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→

中用量ピル

×

×

×

×

※

※生理５日目から服用再開

★★
服用していく内に軽い出血が出てくることがあります。そのような場合には、朝夕１錠ずつ服用します。 
ピルを服用中は生理は来ません。服用中止後、２〜３日後に生理が始まります。 
サンデーピルにしている場合は、＋７日にすれば、サンデーピルのリズムが維持できます。
新しいシートの代わりに中用量ピルを処方して貰えば、飲み継ぎが可能です。安上がりにすみますが、副作用の出ることもあります。 

【避妊効果】

避妊効果はずっと継続します。 

【一口メモ】

この方法は、普段ピルを服用している方にとっては簡単な方法ですし、ほとんど失敗もありません。 
２相性・３相性ピルの場合、むだな錠剤が出てしまいます。生理日調整用に使ったシートは、油性インクで「予備用」と書いてとっておきます。新しいシートを貰いに行き忘れたときなどに使うようにすると便利です。
生理日は何日でも遅らせることが出来ますが、日数が長くなればなるほど不正出血が起きやすくなります。できれば１週間、長くても３週間が限界と考えて下さい。 

■ピルユーザーが生理日を早めたい場合▲▲

【服用法】　 
★★
21錠の実薬服用中に服用を中止します。服用途中のどの時点で服用を中止しても、３日ほどで生理が来ます。しかし、この方法では少なくとも９日間程度服用しないと、成功率が低くなります。
成功率を高めるためには、以下の錠剤を選んで服用するようにしましょう。
１相性ピルの場合、各曜日の錠剤を順次飲んでいくだけです。生理が来てほしい３日前に服用を中止します。 
２相性・３相性ピルの場合、何日間服用するかをあらかじめ決めます。たとえば１４日間服用することに決めたとします。その場合、最初の日（休薬後の１日目）に服用する錠剤は、以下のように計算します。２１−１４＋１＝８　つまり、第８日目分から服用を開始します。あとは順次服用していきます。
★★
２１日目分まで服用したら終わりです。あとは３日後に生理が来るのを待ちます。
服用中止後３日程度で生理が来ます。この生理は鮮赤色のサラサラとした生理になることがありますが、心配はいりません。 
服用中止後、７日間の休薬期間をおいて次ぎのシートの服用を開始します。 
なお、14錠以下の服用で避妊効果を優先させたいときには、生理初日に服用を再開して下さい。

ノリニール・シンフェーズで５日間早める服用例

服用開始からの日にち	01	02	03	04	05	06	07	08	09	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	20	21	22	23	01
服用する錠剤	06	07	08	09	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	20	21			×	×	×	×		01

トライディオール・トリキュラー・リビアン・アンジュで５日間早める服用例

服用開始からの日にち	01	02	03	04	05	06	07	08	09	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	20	21	22	23	01
服用する錠剤	06	07	08	09	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	20	21			×	×	×	×		01

【避妊効果】
ピルユーザーが14錠以上服用して中止した場合には、原則的に避妊効果は継続します。しかし、万一生理を早めるのに失敗したときのために、生理が始まるまでの数日間は他の避妊法を併用するようにしましょう。念を入れれば、休薬期間の７日プラス服用開始後の７日、計14日間は他の避妊法を併用するようにしましょう。 
14錠以下の服用で中止した場合は、服用開始第７日目までは他の避妊法を併用するようにしましょう。

【一口メモ】
この方法はプロゲストーゲン濃度の急激な低下によって生理を起こすものです。したがって、ピルの種類など、さまざまな条件によって成功率が左右されます。一相性ピルでは、他のピルと比べて成功率は高くなります。 
この方法を多用することは、お奨めではありません（短い周期が続くと失血が多くなる）。
２相性・３相性ピルの場合、むだな錠剤が出てしまいます。生理日調整用に使ったシートは、油性インクで「予備用」と書いてとっておきます。新しいシートを貰いに行き忘れたときなどに使うようにすると便利です。 

【サンデーピルについて】

欧米では日曜日にピルを飲み始める方法（サンデーピル）が流行っています。この方法だといつも４週目の火水木が生理となり、週末と生理が重なりません。 
ノリニールとシンフェーズがサンデースタートをウリにしているピルです。ノリニールとシンフェーズの特徴は、第３相の黄体ホルモンを少な目にしていることです。休薬期間の早い時期に生理が来て、生理が週末にかからないというのですが、・・・。 
ノリニールとシンフェーズの場合、何曜日に生理が始まっても、その週の日曜日にピルを飲み始めます。日曜日に始まった場合は、その日に飲み始めます。 
上記２製品は休薬期間の早い時期に生理が来るという特色をもたせていますが、人によっては服用周期の終わりころに不正出血が始まることもあります。 
週末に生理がかからないようにすることのできるのは、サンデースタートの２製品だけではありません。どのピルでも週末に生理がかからないように調整することができます。 
人によっては、生理は週末の方がいいという方もいるでしょう。そういう場合には、飲み始めを木曜日にすると（木曜ピル?）、いつも生理は週末ということになります。 

【サンデーピルにする方法�@　（全ての低用量ピルに共通の方法）】

　飲み始めが月曜の場合、２０錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。
　飲み始めが火曜の場合、１９錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。
　飲み始めが水曜の場合、１８錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。
　飲み始めが木曜の場合、２段階で調整します。まず１８錠目の日曜日で服用を中止します。８日後の月曜日から新しいシートの服用を始め、その２０錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。 
　飲み始めが金曜の場合、２段階で調整します。まず１８錠目の月曜日で服用を中止します。８日後の火曜日から新しいシートの服用を始め、その１９錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。 
　飲み始めが土曜の場合、２段階で調整します。まず１８錠目の火曜日で服用を中止します。８日後の水曜日から新しいシートの服用を始め、その１８錠目の土曜日で服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。 
 

【サンデーピルにする方法�A　（１相性の低用量ピルに可能な方法）】 

　１相性ピルを飲んでいる場合、１８日目から２４日目（偽薬はとばして考えます）の土曜日に服用を中止します。８日後の日曜日から新しいシートの服用を始めればサンデーピルになります。 
 

【微調整】

　サンデーピルにしても生理が週末にかかる方がいらっしゃいます。その場合、休薬期間を６日にして土曜日スタートにしてみましょう。

【つけたし】

　以上に書いたことは、ノリニールとシンフェーズをお飲みの方にも適用できます。

　生理が不順なために予定が立てにくい、生理の来てほしくない日があるけれど生理と重なるかどうかはわからない。このようなこともあろうかと思います。生理が不順でさえなければ問題なしというケースです。ピルを服用すれば、生理は規則正しくなります。ピルで生理を規則正しくすればすむ場合には、低用量ピルを以下の要領で服用しましょう。
生理５日目から（トライディオール・トリキュラー・リビアン・アンジュの４製品は生理初日から）、服用を開始するようにします。生理５日目からの服用開始だと２週間は避妊効果がありませんが、不正出血は少なくなります。
21錠の実薬を服用して３・４日後に生理が来ます。つまり、生理は２８日周期（トライディオール以下４製品は２４日周期）で来たということになります。

【服用法】
★★
生理日予定日の５日前にピルを飲み始めて下さい。服用を続けている間、生理は来ません。服用中止後、３日前後で生理が始まります。 
病院では普通は中用量ピルが処方されます（中用量ピルの一覧はこちら）。低用量ピルでも錠剤を選べば可能ですが、生理の起きるのをくい止める力の大きな錠剤でないとうまくいきません。 
生理の起きるのをくい止める力の大きい錠剤は、以下の通りです（製品名の後ろの数字は第何相かを示す）。 
中用量ピル・マーベロン・ オーソＭ・エリオット２・オーソ777 ３・ノリニール２・シンフェーズ２ ・ オーソ777 ２ ・ トライディオール３・トリキュラー ３・リビアン３・アンジュ３ 
★★
低用量ピルの場合、副作用の確率は低いけれど失敗の可能性も高くなります。失敗しないためには出血の気配が感じられたら、朝夕１錠ずつの服用に切り替えるといいでしょう。

【避妊効果】

この方法では、ピル自体の避妊効果はありません。しかし、確実に排卵後の服用開始であれば、安全日は延長されていきます。基礎体温等で確実に安全日であることが確認できるなら、他の避妊法の必要はありません（確実に確認することは難しい）。 

【一口メモ】

妊娠している可能性がある場合には、この方法は避ける必要があります。 
生理が不順な方には適していません。生理予定日５日前の服用開始は、ズレを見込んだ設定ですが、生理不順の方ではこの設定が違っている可能性があります。 
この方法があまりお奨めでないのは、副作用が出ると困るからです。生理日を遅らせたいのは、大切な日程があるからでしょう。その大切な日に副作用が出たのではお気の毒です。ピルを服用した経験のない方が、大事な日の前に初めてこの方法を取るのはお奨めできません。確実でないと困る場合も、この方法は避けた方がいいでしょう。 
なお、この方法では、生理を軽くする効果はありません。 

【生理予定日直前に服用を開始する理由（参考）】

早ければ早いほどいいというわけか、生理１０日目くらいから中用量ピルを飲み始める方がいます（医師の指示で）。しかし、中途半端に早すぎるとかえって失敗の確率が高くなります。この方法は、自然の黄体ホルモンにピルの黄体ホルモンをプラスして生理が来るのをくい止める方法です。中途半端に早くの飲み始めると、排卵が抑えられます。排卵が抑えられると自然の黄体ホルモンは、分泌されません。ピルの黄体ホルモンだけで生理をくい止めることになり、失敗しやすいのです。 

中用量ピルでも可能な方法ですが、中用量ピルでは普通使われない方法です。成功率は、生理日を遅らせたい場合（その１）と同程度となります。 

【服用法】
★★
シートを２枚用意します。
１シート目の飲み方
生理５日目から、服用を開始するようにします。生理５日目からの服用開始だと２週間は避妊効果がありませんが、不正出血は少なくなります。
１相性ピル（中用量ピル）の場合、５日目の曜日の錠剤から飲み始め、順次飲んでいくだけです。 
２相性・３相性ピルの場合、第１相の４錠は飲んだつもりで、実際には服用しません。トリキュラー21を例に取ると、第１相は赤褐色６錠の錠剤です。その５錠目を生理第５日目から服用し始めます。あとは順次服用していきます。 
ノリニールとシンフェーズ の場合だけは、第２相と第３相の服用順を逆にして服用します。 
２８錠タイプの偽薬は捨てて下さい。
１シート目の２１錠目を飲み終わって、休薬日をおかずに翌日から２シート目を飲みます。 

★★
２シート目の飲み方
１シート目の実薬部分（２１日目分）を飲み終えた次の日から、２シート目に移ります。 
２シート目の錠剤で服用する錠剤は以下の通りです。 
中用量ピル　　　　　実薬の成分は同じですから、どの錠剤でもかまいません。（２１錠）
マーベロン　　　　 実薬の成分は同じですから、どの錠剤でもかまいません。（２１錠） 
オーソＭ　　　　　  実薬の成分は同じですから、どの錠剤でもかまいません。（２１錠） 
エリオット　　　　　 第２相の錠剤。（１１錠） 
オーソ777 　　　　 第３相の錠剤。（７錠） 
ノリニール 　　　　 第２相の錠剤。（９錠） 
シンフェーズ　　　  第２相の錠剤。（９錠） 
トライディオール  　第３相の錠剤。（１０錠） 
トリキュラー 　　　　第３相の錠剤。（１０錠） 
リビアン 　　　　　　第３相の錠剤。（１０錠）　　 
アンジュ　　　　　　第３相の錠剤。（１０錠）　　 

服用していく内に軽い出血が出てくることがあります。そのような場合には、朝夕１錠ずつ服用します。
ピルを服用中は生理は来ません。服用中止後、２〜３日後に生理が始まります。 

【避妊効果】

この方法で最初の１４日間は避妊効果がありません。しかし、１５日目からピルの服用を中止する日までは避妊効果が期待できます。 

【一口メモ】

ピルを服用したことのない方の場合、副作用で悩まされたとしても、途中で生理を早める方法（後述）に切り替えることができます。そうすることで、大切な日に副作用で辛い思いをするのを避けることができます。 

■ノンピルユーザーが生理日を早めたい場合▲▲

中用量ピルで取られている方法ですが、低用量ピルでも可能です。成功率は、76％程度です(新EP錠添付文書)。低用量ピルでもほぼ同じか、ピルの種類によってはやや低い成功率になります。 

【服用法】

★★　
中用量ピルでは生理の７〜９日目に、低用量ピルでは生理５日目に服用を開始します。
１相性ピル（中用量ピル）の場合、各曜日の錠剤を順次飲んでいくだけです。生理が来てほしい３日前に服用を中止します。 
２相性・３相性ピルの場合、何日間服用するかをあらかじめ決めます。たとえば１４日間服用することに決めたとします。その場合、最初の日（生理５日目）に服用する錠剤は、以下のように計算します。２１−１４＋１＝８　つまり、第８日目分から服用を開始します。あとは順次服用していきます。２１日目分まで服用したら終わりです。あとは３日後に生理が来るのを待ちます。２相性・３相性ピルの残った錠剤は捨てて下さい。 

この方法では、少なくとも９日間程度服用しないと、成功率が低くなります。 

★★
服用中止後３日程度で生理が来ます。この生理は鮮赤色のサラサラとした生理になることがありますが、心配はいりません。 
次の生理は、約１ヶ月後となります。服用錠数が少なすぎるとたとえ生理が来ても、通常の生理時期にもう一度生理が来ることがあります。 

【避妊効果】

この方法で、避妊効果は期待しないで下さい。 
 

【一口メモ】

この方法はプロゲストーゲン濃度の急激な低下によって生理を起こすものです。したがって、ピルの種類など、さまざまな条件によって成功率が左右されます。一相性ピル（中用量ピル）では、他のピルと比べて成功率は高くなります。 
服用を中止して１週間以内に生理が来なければ失敗です。ピルの服用を再開し、生理日を遅らせる方法に切り替えることもできます。 

【服用開始のタイミング（参考）】 

中用量ピルだと通常生理の５日目の服用開始ですが、生理を早めるためには７〜９日目がベストです。このタイミングだと子宮内膜が適当に厚くなって生理が起きやすくなります。また、排卵もギリギリ抑えきれます。低用量ピルを初めて飲む場合は、５日目がベスト。 
１０日目以後の服用開始だと、低用量でも中用量でも排卵を抑制できない可能性が高くなります。排卵があると、自然の黄体ホルモンのために失敗率はぐっと高くなってしまいます。このタイミングの微妙さが、失敗率を高めています。　

�@服用の開始

生理が始まって最初の日曜日に服用を開始します。日曜日に始まった場合には、日曜日に飲み始めます。
実薬（21錠目）服用の最終日は土曜日になります。ウイークデーの内に生理が始まりウイークでの内に生理が終わるはずです。
なお、トライディオール・トリキュラー・リビアン・アンジュの４製品では、この方法はあまりお奨めではありません。ピルユーザーがサンデーピルにしたい場合を参照して、後で調整して下さい。

【一口メモ】

上記の日曜日を土曜日に、土曜日を金曜日に読み替えた方が週末に生理がかからいないという方が、かなりいらっしゃいます。土曜日スタートにするのも一考の余地があります。

�A避妊

飲み始めが生理の初日から遠くなればなるほど排卵を抑えきれなくなります。月曜が生理の初日で日曜から飲み始めるとすると、７日目ということになってしまいます。したがって、日曜日の飲み始めが生理初日でない限り、２週間は他の避妊法を併用する必要が出てきます。

�B２シート目以後の微調整（ピルユーザーがサンデーピルにしたい場合参照）

サンデーピルにしても生理が週末にかかる方がいらっしゃいます。その場合、休薬期間を６日にして土曜日スタートにしてみましょう。
 
 

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