第11話 6匹分の命



あたちのおかあさんはときどき
「マリンの命は6匹分だと思って大切にするね」
「6倍楽しいことを体験しようね」
って言います。
どういう意味か?って?
それはね・・・



あたちがおかさんの家族になってしばらくちて
あたちの家族を探してくれていた小学生の女の子が
あたちに会いに来てくれまちた。
そのときにお母さんが
「マリンは何匹兄弟だったのかな」
「マリンの兄弟は今どこにいるのかな」
「あの後、もう1匹も新しい家族が見つかったのかな」
と聞いてくれたそうです。
そうちたらその小学生の女の子はこんな風に話ちてくれたんだって。

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この子達は6匹兄弟であの日は全部を連れて行くのは重いと思ったので
2匹だけ連れて駅前に行って貰い手を捜していた。
あの日以外にも駅前で子犬をもらってもらおうと思って
子犬を連れて立っていたんだけれど
もらってくれる人はみつからなかった。
しばらくして、お父さんが会社に連れて行って
会社の庭にダンボール箱に入れて置いて帰ってきた。
そしたらそのあくる日にはダンボール箱ごとみんないなくなっていたんだって。
お父さんは箱ごといなくなってたって言ってたから
1匹ずつ別々にだれかが連れて帰ったんじゃなくて
きっとペットショップの人がお店で売ろうと思って連れて行ったんだと思う。

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お母さんはマリンの兄弟がどこにいるのか
近くだったら時々会いに行きたいな
とか思っていたみたいで
どこにいるのか、どうしているのか
生きているのか、死んでしまったのか
何にもわからないってことにとてもショックを受けたんだって。

そちてあの時ダンボール箱に残して帰ってきた
あたちの姉妹のこともすっごく気になったって。
一緒に連れて帰ってきたら良かったかな
とかって辛い気分になったって。

じぃちゃんとばぁちゃんは
「子供のいうことだから、どこまで事実なのかわからないね」
「親が保健所に連れて行ったんじゃないならいいけどな」

おかあさんはあたちに向かって
「マリンの兄弟どこにいるんだろうね」
「どこかで元気にしてるといいね」
「きっとどこかで幸せに暮らしているよね」

お母さんはいろんなことを考えたのだそうです
そちて
「マリンの命は6匹分だと思って大切にするからね」
「そんなことになってないほうがうれしいけれど
 もしかしたらマリンの命には兄弟6匹分の命がつまってるのかもしれないもの」
「兄弟の分も楽しい生涯になるように元気にいろいろ楽しい体験をしようね」

あたちの命は6匹分。
もちかして子供の時にお空にいってしまったかもしれない兄弟の分も
あたちは元気に楽しく毎日を過ごすのよ。
いつか、兄弟と再会ちた時
愉快なお話がたくさんできるように
いろんな体験をするんだよ。



あたちのおにいちゃん(?)!おねえちゃん(?)! 弟(?)!妹(?)!
どこかで元気に幸せに過ごしていてくれますように。
いつか会えるね。
そのときには楽しいお話をたくさんしようね。

(2003年12月20日)