遭 難 対 策

堀川信一郎


 ヒマラヤでの事故に対して、命を守るの手段は唯一、セルフレスキューで ある。

 日本からの援助を想定したとき、それはほとんど死を意味する。従って 事後処理、つまり外部にかける多大な迷惑をいくらかでも減らし、迅速に 解決することが非常連絡の大きな目的であると考えた。通常連絡は、その 補助的な意味を持つ。

 ネパール・日本間の電話は、現在では問題なくつながる。ファックスも 普及し、連絡はスムーズに日本に届く。ただし、エージェントとの連絡で 数回エラーが出たこともあり、ネパール・日本間の連絡はファックスと 電話を併用することにした。

 日本の連絡先に、24時間ファックス連絡が受けられる場所を作れなかった。 そのため、連絡網が煩雑になってしまった事は否めない。これを補うため、 あらかじめ各所に、こちらの望む対処、注意点、などを詳細に書面化した。 登山隊からルクラ、カトマンズ間の連絡は手紙にして、飛行機に乗る信用 できる人に託した。郵送では陸路を取るため日数がかかり、また盗難も多い ようである。

 ルクラ以降5回出した通常連絡は3回、日本についた。詳しい経路、 届かなかった理由などは分からない。同じ方法で送った葉書は無事に 着いていた。

 地図のコピー、便せん、封筒、遭難対策連絡網及び、冊子にしたレジメ、 英文によるヘリコプター要請書、英文計画書を用意した。

 ヘリコプターの要請には、エージェントにチャーター料を置いておく 必要がある。1回のフライト料の3000ドルのT/Cをデポした。

参考文献

TREKKING PEAKS OF NEPAL
 ネパールでのトレッキングについて幅広いガイドが得られる。欧米版 地球の歩き方「ネパールトレッキング」といった感じの物。現状とは だいぶ変わってきている様だが、EMERGENCYの項でネパールのヘリコプター 事情等の知識が得られ、ヘリコプターを利用する上で有効。

参考資料

通常連絡発信日と札幌受信日
遭難対策連絡網・連絡事項