雪 崩 対 策

北川  徹


 今回の遠征は積雪の多いプレ・モンスーン期の登山、また過去に 北大探検部の隊が雪崩に遭っていることから、特に雪崩対策を立てた。

<方針>

1.地図から雪崩危険地帯を判定し雪崩地図を作成し、過去の記録と 併せてその対策を立てる(ザトルワラまでの急斜面の通過方法)。
2.雪崩ビーコン、ゾンデストック、スコップの携帯
3.弱層テストを実施し、判断は全員で行なう。

<雪崩地図の作成方法>

1.地図より水平距離と垂直距離を測る。
2.斜面の下から見上げたときの角度(仰角θ)を求める。
3.その角度が25度を越えたならば雪崩の危険地帯として考え、特に注意する。

<結果>

 高所順応活動中は、雪崩の危険のないほどの雪しかなかった。しかし BCへのキャラバン途中、カルカテン滞在の4月12日〜13日には激しい 降雪があり、積雪は30〜50cmにも達した。弱層テストをすると大粒の 乾いた雪の層がありかなり危険な状態であると判断した。

 翌日はほとんどの沢型で雪崩が発生し、その度にド−ンと大きな音が した。15日、16日はカルカテンにて停滞し、雪の状態やルートの検討を することにした。結局、降雪後5日停滞して、ポーターの再雇用などを 行い、17日にザトルワラを越えた。

 その後ピークまで雪崩の危険があるようなところはなく、帰りの ザトルワラの雪は安定していた。

<反省・感想>

 予想通りカルカテンからザトルワラまでの斜面はとても急で沢型で なくとも降雪後の雪崩には充分気を付けなければならない。

 弱層テストは、雪崩の危険性を判断するのに大変有効な手段であり、 北海道での経験を充分活かすことができた。

 雪崩地図は、今回記録の多い地域であったためあまり役には立たな かったが、地図から雪崩をある程度予想できるので、今後積極的に 活用すべきであろう。