キャラバンはザトルワラでの停滞を除き、スタッフ、ローカルポーター 共に統制が取れ、全体としても順調に進んだと言える。 キャラバンに影響が出る程のトラブルはなかった。
<雇用>
★サーダーの雇用
今回、右も左も分からない隊員ばかりだったので、現地で全て任せ られる信用できるサーダーが欲しかった。酪農大OBの新谷氏の紹介で メラピークに詳しいアン・ダワ・シェルパ(アバブザクラウド所属)を 雇用した。それまでに現地エージェントは、コスモトレックに決定 していたので、アバブザクラウドと2つのエージェントを使うことに なった。
支給装備として現金で100ドルをわたした。僕らよりもいい装備を 持っていて、このお金で新しいトレッキングシューズを買ったようである。
★ネパールスタッフの雇用
当初はサーダー、コック、キッチンヘルパーの3名の雇用を考えていた。 現地入りすると、サーダーはネパールスタッフを合計7人集めており、 一人当りの賃金は下げても良いから、7人雇ってほしいと頼み込まれて 全員を雇う。
サーダー、コック、クライミングシェルパの4人には帰りの旅費を 負担するのが普通らしいが3人分程の金額を払った。
ネパールスタッフはかなり細部にまで役割が分担されていて、どれ くらいのパーティーで何人雇うのが妥当なのかよく分からない。今回は、 手が余らないように仕事を与えたので、それほど雇いすぎたとは 思わなかった。
全員にルクラからBCまでの保険をかけた。ただし、サーダーについては 万一に備えてBC以上にも適用される保険をかけた。いずれも5%の税が かかる(表1)。
★ポーターの雇用
キャラバンにはロバも使ったが、ポーターに換算してキャラバンに 要した延べ人数は、438人となった。20人の無記名保険(1人当り10ドル、 5パーセントの税が課せられる)に加入した。
ポーターの日当はそのシーズンに入ったパーティーがいくら払って いるかで相場が決まる。そういう意味で時期が遅いのは雇用が不利になる。
またキャラバンII(ルクラ〜BC)では、降雪、雪崩の危険性などで 支給装備や賃金自体も高騰するかとヒヤヒヤものであったが、降雪前と 同じ条件で雇用できた。ただし、サングラスを貸し与えた。
帰途キャラバンでは我々が3日か4日、ポーターが5日行程であると主張 したが、3日で着いても4日分の賃金を保障することで落ち着く (表2)。
★支払い
スタッフの賃金の支払いはカトマンズに帰ってからにして、期間中、 何度か小遣い程度のお金を前渡しした。
ポーターの支払いは、支度金として雇用時に数百ルピーを前払いし、 解雇時に残りの金額を渡した。ポーターへの支払いはサーダーに任せた。
レンタルサングラスは前金をある程度払っておいて、ザトルワラ通過後に クライミングシェルパに残金と共に返却させた。
★トラブル
ジリではポーターを集めるのが難しいという事なのでカトマンズから 10数人のポーターをバスに乗せたが、ルクラでの滞在期間は賃金は 払わないことを言うとカトマンズの市内で2人を残してみんな降りて 帰ってしまった。
この他、途中ロバが1頭迷子になってしまったこと、解雇してから 金を要求してきたことがあるが、どれもキャラバンには全く影響無かった。
賃金の支払いはすべてサーダーを通して行った。一度、渡したお金の 額面について食い違いがあり、気まずい雰囲気を作ってしまった。その後は メモにお互い確認のうえサインをするようにしたが、始めからお金の 受渡しは慎重に行うべきだった。
<キャラバン>
★カトマンズ〜ジリ
ポーターも連れて行く予定であったのでバスをチャーターした。運転手と 助手が2人ついて 200ドル。
ジリまでのバス移動は10数時間を要したが、エンジンの故障、土砂崩れに よる合計5、6時間の停車を含んでいる。エンジントラブルは日常茶飯事 なので、ジリまではやっぱり1日行程であろう。
★ジリ〜ルクラ
体調に問題がなかったので、宿を取る場所(標高)はサーダーに任せた。
サーダーは我々と一緒に行動し、他の者は自由に歩いていた。荷物は このキャラバン中に必要なものだけを持ち、シュラフはキッチンヘルパーが 持った。のんびりと歩くことができ、適当な日程だと思うが、ルクラに つく頃には結構疲れが溜まっていた。
ロバは途中で草を食べさせる必要があって、宿泊地も違うという全くの 別行動を取っていた。面倒はロバ使いが1人とクライミングシェルパが みていた。昼食ではみんながみんな食べたいものを注文したので少なく とも2時間ぐらいは昼食タイムに必要だった。これもまた良いのだが、 時間を取られたく無ければビスケットを食べるのがよい。ロッジの ベッド代は1泊1人15ルピー位、食費は1人1日150ルピーくらい。
スタッフには宿泊費・食費として1日120ルピーを払った。
★ルクラ〜ベースキャンプ
ここでも、我々の持つ荷物は必要最低限の物にした。全員体調がよく、 行動計画を変更し予定よりも早いペースで行動した。
雪崩の危険のでたザトルワラ通過時はサーダーには、一緒に歩く ように言い、不安なところはストップをかけ、納得した上で先に進んだ。 ローカルポーターにはクライミングシェルパを通して注意を促し、我々 よりも先を行かないようにしたが、彼らは歩きやすい(危険な)方に 行ってしまった。ザトルワラを迂回するルートも無いことはないが、 水が得られずキャラバンには向かないという話だった。また、ザトルワラ 周辺は予想以上に急斜面で、ポーターの通過は結構危なっかしい。 下山してくるパーティーには滑落したり、荷物を流してしまったり するポーターがいた。
ターナでは使っていない小屋をキッチンスペースにした。使用料(1日 150ルピー)を持ち主に支払う。薪・食料品が手にはいる。ついた日に ポーターに野営用の薪を1束(100ルピー)、キッチンに2束買い与えた。
ベースキャンプからルクラまでメールランナーは順応できている限り 2日行程である。
テントサイトについて
トゥディンマ
放牧のための小屋がある。この時期は人が住んでいる。河原の
出会いにある中州。
チュタンガ
尾根上のテントサイト。昼間はヤクがいた。
カルカテン
ザトルワラに至る急斜面の途中にある。水は雪渓の水。眺めがよい。
雪崩の心配があるときはなるべく沢筋からはなれたい。
チュリカルカ
今回使用せず。大きな岩の下がキッチンスペースになるのだろう。
タクトゥ
ザトルワラから一気に下った、沢筋の巨岩がキッチンスペースになる。
樹林内。
マニディンマ
ヒンクーコーラに下りきったところにある。芝生のような背の低い
草が生え、気持ちがよい。
コーティー
ヘリポートに使われる広く開けたキャンプサイト。今回使用せず。
メラピークが見える。
ターナ
放牧のために人が入っている。小屋がいっぱいある。薪の他、じゃがいも、
ラーメン、缶詰、ジャム、粉ミルク、コーヒーなど保存可能な食料品
などはだいたい手にはいる。じゃがいもは10kgで200ルピー。
BC
巨岩とブルーシートを使って大きなキッチンスペースをつくる。
ラビッシュビットなるゴミ捨て穴がある。