<食料計画の概要>
各行程における食事形態の違いから、食料計画は、全体の行動を
1.キャラバンI
2.高所順応活動
3.キャラバンII・BC
4.登山活動(AC以上)
5.帰途キャラバン
の5つの期間に分けて考えた。1.の期間は道中の村の食堂や宿で食事を した。2.、3.、5.の期間はカトマンズ、ルクラで買い出した食料でコックに 作ってもらうことにした。2.の期間における消費量や隊員の嗜好を考慮して、 3.、5.の期間の必要量等を割り出し、ルクラで買い足したり減らしたりして 微調整した。4.の期間は日本から持ち込む食料を用いて自分たちで調理した。 輸送の費用と手間を考えて、日本から持ち込む食料品はネパ−ル国内で 入手しにくいと思われた物(味噌汁、チョコ、飴、サラミなど)と、 登山活動用のレトルトを最優先にして、後は飛行機でエクセス料金を 取られない範囲内で持てるだけ持って行くことにした。それ以外の食料品は 全てネパ−ル国内で調達することにした。4.の期間の食料は絶対量が少ない こともあり、軽量化は特に考えなかった。ネパ−ル国内での食料調達に ついては次項で述べる。
<現地購入>
基本的には、カトマンズで食料を購入した。これは、ルクラに比べて カトマンズの方が、物価が安いことや品物が豊富であることなどによる。 ただし、ルクラでも買える物で比較的重いもの(例えば米や小麦)は、 輸送費が高くつき割高になることから、ルクラで購入することにした。 ただし事前に、カトマンズからルクラコ−ヒ−ショップのパサンシェルパに 在庫の有無と価格を問い合わせた。ルクラでも野菜以外の大抵の物は 揃うが値段はカトマンズの約1.5倍である。カトマンズでの買い出し 品目はアバブ・ザ・クラウド(ダワの所属するエージェント)の食料 注文リストを利用した。
<実際の食事>
食事全般について順に振り返ってみる。1.では道中の宿や食堂で各自が 食べたいものを注文した。朝はパンケ−キ(いわゆるホットケ−キ)か インスタントラ−メンにドゥッチャというのが多かった。歩いているときに 飲むように各自のテルモスにドゥッチャや白湯をいれてもらい出発した。 また、丁度一息入れたいところに茶店があったりするので、よく ドゥッチャを飲んで休憩した。昼もだいたい同じであるが、腹が減るので ご飯物を食べることが多かった。下痢も治まりネパ−ルの味に慣れてくると 皆一言「ダルバ−ト」と注文するようになった。晩はフライドライスや モモ(餃子)などをよく食べた。
2.、3.、5.ではコックとキッチンボ−イが全て作ってくれた。朝は モ−ニングティで起こしてもらいチャパティ、パンケ−キ−、おかゆ、 ムエスリ、ポリッジ(西洋おかゆ)のロ−テ−ションの中から1つか 2つと卵料理。昼は携帯食でテルモスにお茶を各自好みで入れ飲むように した。主食はチャパティかプ−リ−(揚げチャパティ)あるいは ビスケットで、それにチョコや飴を配った物を食べた。晩はス−プと ポップコ−ンの後ご飯、サラダ、じゃがいもビ−フン入りカレ−あるいは ダルス−プというのが多かった。
4.ではBCから自分達で荷あげした物を食べた。朝、晩はレトルト食を 昼はビスケットを食べた。特にお茶を積極的に飲んだ。
<総括>
食糧計画を作成したものの、スタッフを含めた人数、日数、予算、 その他の不確定要素のため、カトマンズでの買い出し時に変更した点も 多かった。また高所順応活動の消費量から相対的にキャラバンII以降の 量を決め、ルクラで微調整した。こんな事ができたのもダワをはじめと するネパ−ル人スタッフのおかげである。そして、スタッフが毎日 おいしい料理を作ってくれ、それを皆しっかりと食べたからこそ成功が あったと思う。その意味で、王様のような食生活も良かったのかも知れない。
しかし結局我々は、自分達の手で食事を作らなかったのである。 これは、ヒマラヤ登山の形式かも知れないが、いつも雑炊だけとはいえ、 自分達で作る我々にとって少し物足りないような気もした。食事には作る 楽しみもあることは確かである。その楽しみとヒマラヤ登山は両立しない のかも知れないが、ひょっとしたら非常にもったいないことをしたの かも知れない。なお、殆どの食料品が現地で安く揃うので、無理をして 日本から持って行く必要はないだろう。
最後に食料計画を振り返って点検する。
★高カロリ−:満足していたと思われる
★高タンパク: 〃
★軽量化:特に工夫はしなかった。
★安価:寄付をいただいたこと、ネパ−ルの物価が安いことなどから、
安価であった。
★水分:登山活動以外では毎食毎食、巨大なポットに紅茶、お湯、
ミルクが出された。また、行動中は各自がテルモス(0.5リットル)
にお茶を入れて行動した。登山活動中も積極的にお茶を飲むように
した。下痢になると、脱水症状を起こすことがあるので下痢の時も
がんばって水分補給をするようにした。
★ビタミン:毎日、1錠ずつポポンS錠を飲んだ。そのおかげか、肌が
荒れることはなかった。