口語訳的ISOの読み方
「ISO9001に書いてある通りにやれば、会社が良くなる」
このように考えて、ISOの条項に沿って丁寧にシステムを作ったのに、あまり
業務改善に結びついていない会社があります。なぜでしょうか。
確かに、ISO9001には品質保証や改善のために「必要なこと」が書かれてい
ます。ただし、必要なことが全部書いてある訳じゃないんです。実際には大事な
ことがいくつも抜けており、これを埋めてやらなければ、効果のある仕組みには
なりません。
という前置きをしておいて、8.5.2是正処置の話しです。
8.5.2項は、「不適合の原因を・・・」と、いきなりプロセスの後半から始まりま
す。プロセスの前半が、スッポリ抜け落ちているんです。是正処置がなかなか
出ない会社は、この前半の仕組みができていない会社です。
その書かれていない前半とは?
それは、是正処置が必要な問題を、現場から報告させる仕組みです。
是正処置を開始するには、まず「不適合とは何か」を決める必要があります
ね。ISO9001に出てくるのは、不適合製品、苦情、内部監査ですが、それ以外
にも工程異常、設備の故障、納期遅れ、輸送トラブル、事故などがあります。こ
れらをどこまで対象とするのか。誰がどうやって報告するかを決める必要があ
ります。
一方、「8.3不適合製品の管理」もまた、前半(発生の報告)を飛ばして後半
から始まります。ここでも、不適合製品とは何かがよく分かりません。検査不合
格品の他に、工程中での発見、工程パラメータがはずれた製品、運送中の破
損、期限切れなどもあります。それぞれを、誰がどんな方法で報告するのか。
報告されたものの中から、誰が再発防止が必要なものを選び出して、是正処
置のステップに送るのか。
また、クレーム・苦情の管理については、ISO9001にはほとんど要求があり
ません。やはり、顧客情報の内、何が苦情で、誰がどのように報告するのか。
その中から、再発防止が必要な問題を、どのように選び出すのかを決めない
と、是正処置にはつながりません。
是正処置は、その処置の中身も重要ですが、その前に、発生した問題を捕ま
えるプロセスが必要です。
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