らくらくISO9001講座


言いたい放題Q&A
6章 資源の運用管理 編

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6.2 人的資源

 事務部門の力量の明確化はどうやるの?

 現場の作業者は,スキル評価表等を使用して力量の明確化が出来るのですが、事務部
門の要員の力量の明確化はどの様に行なえば良いでしょうか。例えば品質保証担当者に
必要な力量の明確化は、どの様に考えればよいのでしょうか。


 大きな会社で、これをガチガチに考えると、動かなくなります。品質保証部長に、研究所の部長か何かが異動してきた場合など、力量はなくても、品質保証部長の仕事をしてもらわなければならない。
 こういう会社では、(社内を円滑に運営するために)品質保証部長に必要な力量を明らかしてはいけないのです(笑)。力量は「部長であること」とも書けないですしね。

 6.2で言っている力量は資格認定や人員配置の承認の要件で、その要件を満たしたものを配置せよということです。異動してから勉強するようなホワイトカラーには、適用しにくいシステムですので、ほどほどに考えるしかありません。
 品質管理担当などは、担当者として身につけてたい公的資格や、受けたい研修や、勉強する事柄など、努力目標的なもの(資格要件ではないもの)をまとめておく程度で良いと思います。


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 有効性の評価は、教育訓練の中身?それとも受講者?

6.2.2 力量、認識及び教育訓練
b)必要な力量がもてるように教育・訓練または他の処置をとる
c)教育・訓練または他の処置の有効性を評価する
とありますが、c)の有効性を評価するとは、教育訓練の中味の評価ですか。それとも
教育訓練を受けた人員の評価ですか?


人員に力量が付いたかどうかの評価です。

ここのところの文脈は
6.2.1  仕事はできる(力量のある)やつにやらせろ
6.2.2a) どんな(力量のある)やつが必要か考えろ
6.2.2b) 必要な(力量のある)やつを確保しろ
     方法は、訓練でも、他の方法(異動、採用、外注)でもいい
6.2.2c) 確保したやつが使えるか、確かめろ

ということで、使えるやつを確保できたかどうか(力量が付いたか)を確かめるのです
ただし、技術的な訓練なら力量が付いたかどうか確かめられるけど、一般的な教育ではむずかしいですね。教育の後に、講師からの評価や、受講者のアンケートを行っている会社もあります。ISO9001本来の趣旨とは異なりますが、それが有効に活用されるのであればかまいません。


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 教育の有効性の評価は、どの時点でやれば良い?

教育の有効性の評価について、悩んでいます。
例えば、内部品質監査員のセミナーを受けて一応の知識は得たとします。しかし、すぐ
に実務的に上手く内部品質監査を実施できる訳ではないので、一定期間トレーニングと
して監査に参加することになります。
このような場合には、一度のセミナーで「力量あり」と判断するのではなく、トレーニ
ングの後に評価しなければいけないのでしょうか。


その通りです。ISO9001の要求は、仕事を任せられるように訓練することですから、本当にできることを確認しなければ意味がありません(教育管理が目的でなく、品質管理が目的です)。

新人が先輩について実習(OJT)しているとして
課長 「あいつはもう一人でやらせて大丈夫か」
先輩 「ええ、一人でできるようになりました」
課長 「じゃあ任せようか」

ISO9001の力量の評価は、こういったことをシステムとして管理せよと言っているのだと思います。

「教育を評価しなければいけない」というところから考え出すと、実態とずれたおかしな方向に行きます。「どうなれば仕事をまかせるか」という実態を考え、それにあったシステムにすれば良いと思います。(もっとも、審査に通るだけなら、受講時の評価だけで押し切る方法もありますが・・・)


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 仕事をさせないというのも「その他の手段の」一つ?

(前項を受けての質問です)
「どうなれば仕事をまかせるか」という実態を考えた結果、「どうやっても仕事を任せ
られない」ということであれば、教育することなど考えずに仕事をさせない。というシ
ステムになるということでしょうか


 6.2.2 b)の「教育・訓練し 又は他の処置をとる」の、他の処置とは、社内異動、新規採用、派遣社員の使用などと言われています。「使わない」ということも、当然入るでしょう。
 ISO9001の視点として、「顧客から見て信用できるシステムである」ことがあります。仕事のできない従業員は使わないと言うのは、当然求められる条件です。

 ただし、明確なシステムになっているかどうかは別にしても、日本のちゃんと仕事をしている会社であれば、仕事はそれなりにできる人にやらせているはずです。中小企業では、良い従業員が揃わないということもあるかもしれませんが、それでも、生産に支障のないレベルは保っているはずです。
 もし、そのレベルに達せず、適合品が生産できないということになれば、それはISO9001には値しない(顧客の信頼は獲得できない)ということでしょう。


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 教育の有効性の記録は必要ない?

当社では、教育が有効であったかどうかを、その後の業務の実施状況を確認して評価し
ます。教育の実施記録は別にあるので、これについては、特に記録は必要ないですね。


6.2.2のe)は教育、訓練、技能、経験について記録せよとあります
これは、6.2.1に「力量は、教育、訓練、技能、経験を元に判断せよ」とありますから、教育記録を残すと言うよりも、力量の判断の根拠を残すという要求です。
これも含め、6.2.2は、「教育せよ」という要求ではなく。「力量のある人を確保せよ。その方法は教育・訓練でも他の方法(異動、採用、外注)でも良い」という要求ですそのような観点から、残す記録を考える方が良いと思います。

やはり、有効性確認の記録は、あった方がよさそうですね。


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6.3 インフラストラクチャー

 インフラストラクチャーを明確にするってどういうこと?

「インフラストラクチャー」を明確するというのはどうすればよいのでしょうか。パソ
コンなり、社用車なりだと思っているのですが、それの一覧があればいいのでしょう
か。(建設業)


 建設業ならば、重機とか、仮設設備とか、積算ソフトとか、色々あるような気はしますが・・・

 ただし、6.3項は、「こう書かなければいけない」というものが一切ありません。規格は「インフラは管理してね」といっているだけで、具体的な要求はなく、文書や記録も要求していません。ですから、自社に必要かつ有効な範囲で書いておけば良いのです。

 1.種類ごとに担当を決めて書いておく
 2.設備リストを載せる
 3.「設備台帳」によると書いて、既存の文書に振る
 4.今やっている、設備の管理のルールを書いておく
 5.品質マニュアルには「当社はインフラストラクチャーを管理する」とだけ書いて
   おいて、聞かれたら説明する(口でごまかす)

など、いろいろな手があります。基本的には、自社にとって重要なものの管理が、きちんとできるように考えてください。余分な仕事をつくらないように、ほどほどにやりましょう。


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