らくらくISO9001講座


言いたい放題Q&A
5章 経営者の責任 編

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5.3 品質方針

 みんなが理解できる方針を作るには?

「品質方針」「環境方針」「労働安全衛生方針」に含まなければならないことを並べて
いくとけっこう長い文章になってしまい、とても理解できません。短くする方法はない
でしょうか。


「品質方針」「環境方針」「労働安全衛生方針」と分けて作らなくてはならない、ということはありません。「経営方針」にまとめ、その中にそれぞれを含むようなものでいかがですか。

 また、ISO14001が始まったころには、規格指定の項目[ISO14001であれば4.2のa)〜f)]を全部書くような方針が多かったのですが、今は要点のみにしぼるケースが多くなってきているように思います。ポイントをまとめれば、次の通りです。

ISO14001 4.2の
 a)適切なこと d)目的目標の枠組み は具体性のあるテーマを設ければOK
 これに、b)継続的改善、汚染の防止、c)法令遵守を入れ込むか、別に書くか・・・

ISO9001:2000でも
 a)適切なこと c)目標の枠組み は具体性のあるテーマで満足
 これに、b)要求事項の適合、継続的改善、を加える

OHSAS18001では
 a)適切なこと b)継続的改善 c)法令遵守

 品質、環境、安全について具体性のある方針を1項目づつ作り、まとめて継続的改善と法令遵守をうたえば行けそうです。

 もちろん、形式上のこととは別に、会社の本当の思いを分かる言葉で書くということは言うまでもありません。


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5.4 計画

 品質目標にふさわしい内容とは?

 品質目標として、施主の意向を受けて「住民からのクレームをゼロにする」とか「×
月×日までに完工する」という内容を考えていますが、「それは品質目標としてはふさ
わしくない」という反対意見があります(建設会社)


 挙げられている例は、立派な品質関連の項目であって、これを品質目標としても、全く問題ないと思います。製品を図面どおりに作ることだけが、品質ではありません。ISO9001にも、要求事項を満たす程度が品質だと書いてあります。

 そもそも、現場のマネジメントにおいては、決められた仕事を確実に、トラブルなくやり遂げるということだけであって、品質、コスト、安全、環境の厳密な境界を引くことはできません。品質目標に様々な要素が含まれることは、仕方ないでしょう。

 形式にこだわらず、本音で必要なことを目標に据えるのが、ISOを本当に機能させる道です。


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 品質目標は階層ごとに必要?

 予備審査で「品質目標は部門ごとには設定されているが、階層ごとに設定されていな
いので不適合」といわれました。


 品質目標は、経営者の方針を実現する手段で、経営上の戦略に属しますから、どの部門・階層に展開するかは会社で決めればよいことです。審査では、経営者が自社の考え方や構想を説明すれば、審査員が異議を述べることはないでしょう(経営者に、あなたの経営戦略は不適合です、などとは言えない)。

上の指摘だけ聞けば不適切にも思えますが、次のような事情もあったのではないですか
 ・階層ごとに設定しなかった理由について、説明できなかった
 ・規格の理解が不十分と判断された
 ・品質目標の実効性が不十分で、充実させるようにアドバイスされた

 審査を気にせず、どのようにすれば品質目標が有効に働くかを工夫してみて下さい。もし、今のままで十分ならば、本審査でその有効性を堂々と説明しましょう。


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5.5 責任、権限及びコミュニケーション

 管理責任者はどこまでISO9001を理解すべきか?

 新任の品質管理責任者は、他の事業所から異動してきた人でISO9001について全く知り
ません。こんなことで、次の審査が受けられるのか心配です


 ISO9001について詳しいことは事務局が対応し、管理責任者は細かいことを知らないケースもあってよいと思います(もちろんISO9001の趣旨や、自社の品質マネジメントシステムシステムの要点の理解は必要です)

 管理責任者には、ISO9001の専門家であるよりも、次のような点(経営的な判断)をしっかりやってもらいましょう。

 ・品質目標の検討
 ・内部監査のテーマの選定
 ・是正処置、予防処置の実施に関する判断
 ・事務局が、経営上重要でない細部にのめりこんだり、コストを配慮せずに管理強化  に走らないよう、コントロールする


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 管理責任者と事務局の業務分担は?

管理責任者と事務局の業務分担はどうあるべきでしょうか?

事情が許せば、次のような関係が効果的と思います。
 ・事務局が、ほとんどの事務的な処理を行う
 ・管理責任者は、経営的な視点から、システムが会社の目指す方向に向かうようにコ  ントロールする(事務局が暴走せんように見張る、とも言う)。

もちろん、管理責任者と事務局の関係に定型はありません。次のような会社の事情に応じて、経営資源の許す範囲で、最も有効な方法を選ぶことになります。
 ・業種
 ・会社の規模
 ・それに伴う事務局の人数
 ・管理責任者の位置づけ(名誉職か実務担当か)  
 ・事務局の実力(黒幕か雑用係か)
 ・社長の決意(本気でISOをする気か) 
 ・社風(若い者が発言できる雰囲気か)



[管理責任者と事務局 実態は?]

  1.管理責任者と事務局が、うまく役割を分担しているケース(理想的)
  2.管理責任者が事務局をかねるケース(事務処理をこなしながら方向
    づけするのは大変)
  3.管理責任者が事務局をかねるが力不足で、実態は管理責任者不在の
    ケース(迷走に次ぐ迷走)
  4.管理責任者が力不足で、実態は事務局が管理責任者の役割もこなす
    ケース(事務局が会社の運命を握る)
  5.管理責任者も事務局も力不足で、実態は管理責任者不在のケース
    (事務局暴走)
  6.コンサルの言うがままに書類だけ作ったけど、管理責任者も事務局
    も、何が何だかわからないケース(会社つぶれるよ)


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5.6 マネジメントレビュー

 マネジメントレビューを盛り上げるには?

 マネジメントレビューを開催しても、一方的に報告するだけで、出席者からあまり発
言がありません。マネジメントレビューを盛り上げるにはどうしたら良いでしょうか


 ISO9001のインプット項目(5.6.2)の通りやっても、セレモニーになります。これに捕らわれず、より重要な問題、社長が興味を持つ問題を取り上げましょう。

 5.6.2項のインプット項目のほとんどは、よほど巨大な組織で無い限り、既に社長は知っていますから、改めて報告はいらないでしょう。事務局が一覧を作って渡す程度で、説明もなしで十分です。

 マネジメントレビューを効果あるものにするためには、事務局がしっかりデータ分析を行い(行わせ)、日常的には報告されていない、議論のきっかけ、経営判断の材料となるネタを提供することです。端的に言えば、事務局がどれだけのネタを仕込めるかにかかっています。

一般的には、次のような議論を中心とするのが有効でしょう。
 ・品質目標の達成状況 ・クレームの分析 ・不良発生原因 
 ・具体的なトラブルの処理結果


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