こんなことも…
ある冬の日のことでしたが、その日もイギリスの冬を象徴するような冷たい雨が降っていました。ホームステイをしていた家のおばちゃんがなにやら一生懸命私に話をしていました。まだ、留学してから日が浅い時でしたので、なにを言っているのかはよく分かりませんでしたが、どうやら、その日の午後は、家にいてはいけないらしいこと、荷物もまとめて部屋を綺麗にしておかなければならないらしいこと、それは、誰かが家を見にくるためで、目的は家を売るためらしいことを言っているらしいのです。
いまから思えばお金を払ってステイをしているのです。なぜ一時的にしろ家の外に締め出されなければならないのでしょうか!絶対に文句を言うべきところです。が、英語も満足に話せない私を含め、数人の生徒はおとなしく家を追い出されたのです…(^^ゞ雨は降っていても傘なんて持っていなかったので、濡れてしまいます。ついでに所持金もあまりありませんでした。更には…風邪をひいていたため、頭が痛くてなにもする気になれなかったのです。
数時間ほどぶらぶらしてから、意を決して、隣の家の扉をたたきました。ここには、以前知り合った日本人の夫婦の方が住んでいたからです。でも知り合ったと言ってもそんなに親しかった訳でもなく、少々図々しくも感じていましたが、彼らは優しく私を迎え入れてくれ、私の話を聞いてくれました。温かいお茶と梅干しをくれ雑誌でもよんで時間をつぶしていていいよ、と言ってくれたのです。
その時のお茶と梅干しのおいしかったこと!本当に涙がこぼれそうになるぐらい嬉しかったです。その後は無事、ステイ先に戻ったのですが、その後、しっかりとお礼を言うチャンスもなく、お会いすることもありませんでした。留学中は、日本人との接触がかなり少なかった私ですが、異国の地にいる同胞の存在がこんなにも頼もしく思えたのはこの時が初めてでした。
こんなとき、みなさんはどうするでしょうか?やはり私みたいにおとなしくなってしまうのでしょうか?英語が話せないことを理由に、悲しい、またはつらい経験をすることは避けられないような気もしますが、これを読んだみなさんは、ぜひ、断固抗議ができるよう頑張ってください!