8月12日

「蟻の兵隊」という映画を観ました。中国の内地で終戦を迎えながら、上官の命令でその後3年間、実質中国内戦の傭兵として

戦い続け、終戦後にも関わらず、500名以上の戦死者を出さざるを得なかった部隊が存在しました。

そして終戦の9年後にやっと帰国した彼らを日本政府は“自分から勝手に傭兵になった者たち”としてその存在を認めませんでした。

その部隊の生き残りの一人である奥村和一さんは、自分達を傭兵として中国側に売り渡した上官の証拠をつかむため、単身中国に渡って

残存文書を公文書館などをまわって探します。奥村さんが一人で抱え込んでいるものはあまりに大きく・重過ぎます。

その姿に「なぜこの国では、(戦争の総括という課題を)個人が何もかも背負わなければならないのか」との思いでいっぱいでした。

ぜひ、多くの方がこの映画を観て、いろいろ様々に考えてくださることを願ってやみません。

 

ここ数年、大東亜戦争関連の本などを読んできた私が、一つの総括として声を大にしておきたいことは、

人間の性質としての「思い込み」と「集団心理による暴走」のふたつの要素を徹底的に解析して教育に生かすことが絶対不可欠だ、ということです。

この二つに関しての教育を行わず、本能のままに任せて放置した組織と構成員は、極限状態に近づいたときにあまりにもろく人間の姿を失います。

「思い込み」は客観的な現実を把握することを阻害して盲目と化し、それが上官であるなら現状を省みない無謀な作戦・計画が実行に移されます。

「集団心理」は個人の判断や感性を奪ってしまい、指導者の資質を問わずに盲目的に全体の方向性に従う暴走集団を生む危険性を内包します。

思い込み」を防ぐために広い視野を。「集団心理による暴走」を防ぐために豊かな存在としての個の確立を。

しかし、現在に至るまで日本の学校には、こうした教育理念はどこにも存在していないと思います。