8月7日

きゅうりなどの野菜を描くときの私の頭には、

伊藤若冲の絵が浮かんできます。

江戸時代に八百屋の長男に生まれながら

(結果的に)家業を継がず絵描きになった

若冲ではあっても、野菜は幼い頃から

慣れ親しんだモチーフだったと思われます。

彼の自由闊達な発想と視点、

(毛筆文化に裏打ちされた)筆さばきによって

絵のなかで生命を与えられる

野菜たちの表情は素晴らしいですね。

 

日本がこの百年、欧米世界に追いつこうと

急速に近代化を推し進めた過程で行った、

産業や教育における極端な合理化の

弊害として、私達の価値観や技術が

ひどく単純化・均質化しているという現状を

(少なくとも作家は)どうにかして打ち破って

いかないとイケナイ、と感じています。