†ぽんこつビデオ工房†

TOSHIBA Vardia RD-S304K

作成開始日 2022.09.23
最終更新日

典型的な故障・トラブル

S304Kだけでなく、TOSHIBA Vardiaシリーズ(DVD)の典型的な故障をピックアップすると…

チューナー

チューナー故障以外はメンテナンスや汎用品への交換で対処可能だが、チューナーだけは純正の代替部品がないと修理不可能。接触不良が原因で、接点復活剤で修復可能との情報もあるが、ウチでは効果がなかった。症状から見て、コンデンサ系の故障の可能性の方が高いと思っている。経験的に夏場の湿度の高い日に発症する事が多い。

また、チューナー交換で直るとは言え、交換したチューナーも早晩同じように故障する可能性があるわけで、根本原因をしっかり究明して、対策を打たなくては意味がない−−そうね、チューナーユニットの近くにファンを増設するとか、筐体オープンで使用するとか…試す価値はありそうだ。

【参考】別方向の対処法としては、地デジへの移行期にあった「地デジチューナー」を使用するという方法もある。地デジチューナーのビデオ出力をレコーダーの外部入力につなげば録画可能。アナログ録画になるので画質はかなり落ちるが、見られない程ではない。また、番組表から予約録画することも可能。録画元を内蔵チューナーから外部入力に切り替えるだけで良い。ただし、チャンネルは連動しないので実質的に1チャンネル限定。なお、地デジチューナーによっては、コピーガードが外れることがあるようだ。

冷却ファン

S304K系に使用されているファンは、経年劣化で軸ぶれが発生して物凄い音になる。また、さらに劣化が進みファンが回転しなくなると、ERT002エラーが発生して本体が起動しなくなる。このような場合にはファンの交換が必要になる。ファンの交換作業自体は難しくないが、パーツの入手がちと困難。PC用のファンを流用することも可能ではあるが…

オークションには純正ファンや互換ファンが出品されているが、大半が中古品で、騒音がどの程度かを事前に確認することができない。残り寿命も不明。高い金出して買ったは良いが、元のファンより騒かった、なんて笑えない話にもなりかねない。

型番DELTA AUB0612L(3ピン)同型番で2ピンのモデルもあるので注意
サイズ6cm×25mm一般的なPC用ファンと同じ規格らしい
コネクタ3ピン/2mmピッチコネクタの規格名は「JST PH」(検索時はこのワードで)
性能3100rpm/13.8CFM/0.16A

【参考】軸ぶれだけでなく、風切り音による騒音も気になるところ。こちらは空気の流れによって発生する騒音で、ファン自体の静音性とは無関係。対処方法は抵抗噛まして回転数を下げて、風量を減らすことだが、当然排熱能力は低下する。なぜ新品の純正ファンは風切り音がしないのか?羽根の角度に秘密でもあるのか?

【参考】E304Kのファン(φ5cm)は、正常状態でも物凄い騒音を出す。しかし、S304Kとは違い、ファンが止まってもエラーは発生しない。いっそ、筐体オープンでファンレス運用とか考えても良いかも知れない。ちなみに、チューナーが1つしかないので、発熱は比較的小さいようだ。

PCファンの流用

ファン自体はPC用のもので間に合うが、2mmピッチの3ピンとなると入手は困難。元のファンのケーブルを切断してPC用のファンと直接半田付けする方法もあるが、ピンコネクタで接続する方が便利。別のファンを試したり、抵抗を噛ましたりするのが簡単。元のファンのケーブルをファン本体に近い部分から切り取って、ピンコネクタを半田付けして、ピンでPC用ファンと接続すれば良い。自分で作業するのが面倒な場合は、下記のCAB-13685を使うと良い。ただし、元のケーブルの色の並びを確認して、CAB-13685ケーブルの色を読み替えて接続すること。

利用できそうなパーツ
型番パーツ構成価格ショップ
PH-3P-10コネクタ+ケーブル¥80千石電商
秋葉原本店1F
CAB-13685コネクタ+ケーブル+ピン¥250
東芝CDドライブ用
オーディオケーブル
2.0mm/3pinコネクタ+ケーブル+2.5mm/4pinコネクタ
※ケーブルが長すぎるのが少々問題
--あなたの
ジャンク箱の中

【注意】本機のファンとPCファンとは取り付けネジの直径が異なる。通常のPCファン用の太いネジはネジ穴を通らない。細いネジをナット留めするしかない。最近はファンに細いネジが同梱されてないんだよな…

作業履歴

2023.01.16:互換品NMB 2410EL-04W-M29(22dB)を入手、オークションにて599(〒コミ)  寿命パーツで中古ってのは微妙だが、CAB-13685同等ケーブル付属は魅力的 2023.03.28:とうとうファンが御臨終;電源を入れても回転せず、ERT002エラーで起動不可能に  先日入手した互換ファンと換装;換装作業は順調だったが、爆音に頭を抱える  単体では静かなのだが、本体に取り付けると爆音;風切り音が原因か?  近い内に静音ファンに再換装を予定、X-FAN RDM6025Sを注文した  なお、元のファンは手で回しても凄い抵抗感があり、流石に無理だと言う感じ  2010年9月に購入以来、12年以上もほぼ無休で連続使用していたので… 2023.03.29:AUB0612L分解に挑戦するも失敗;軸のキャップがぼろぼろ崩れて取れない  素材の劣化か、分解方法の誤りか?どの途グリスアップで直るレベルではないが 2023.03.30:X-FAN RDM6025S(静音タイプ)に換装;かなり静かになったが、それでもまだ騒い  取り付けネジの口径の違いで苦戦;細いネジでナット止めする必要があった  以前購入したX-FANに付いていたネジを使用;今は別売りなんだよな… 2023.04.09:取り付けネジが緩んだのか、ガタガタ言い出したので締め付け直した 2023.04.14:ガタガタ再発、しょうがないので抵抗を噛ます;問題なく動作  本体側で回転数をチェックしている訳ではないようだ;排熱能力の低下は? 2023.11.21:X-FAN用の防振ゴムワッシャ(ポロンワッシャ)を使用;かなり静音化された  抵抗は噛ませたままだが、耳障りな音はほぼなくなった  なお、構造的にワッシャを入れてナットを留めるのはけっこう難しい(下側2本)  作業にはピンセット/ラジペン等が必須;むしろ15mm厚のファンの方が良いか?

DVDのレーザー出力調整

経験的に数百枚〜1000枚くらい焼くと、DVDを認識しなくなる;これは、DVDドライブのレーザー出力が低下したのが原因。ドライブの内部に調整ネジがあるので、これを回せば正常に読み書きできるようになる。だいたい3年に一度くらいの頻度でこの調整が必要になる。

【重要】レーザー出力が落ちると、単にDVDの読み書きができなくなるだけでなく、DVD-RWのデータ或はフォーマットを壊すことがあるようだ(ファイナライズしていない場合)。読み込みが怪しいと感じたら、迂闊に重要なディスクを入れないこと。なお、壊れたディスクも正常なドライブで再フォーマットすれば使用可能になる。もちろん、データは全滅だが。

DVDドライブの外装を外して、レーザー出力調整ネジ(小さめのプラスネジ)を反時計方向に僅かに回す(1/8回転くらい)。具体的な手順はネットで紹介してくれている方がいるので、そちらを参照。効果は覿面だった。過去5〜6回試したことがあるが(複数台)、なかなか読み込まなかったDVDがスンナリ読めるようになった。

なお、この作業はDVDドライブを本体から取り出す必要がある。その際に非常に重要なのは;

@DVDトレイのベゼルは予め外しておく(上方向に引っ張れば簡単に外れる);ベゼルが付いたままだと、再組み立ての際に非常に苦労する。

ADVDに付いているフレキシブルケーブルの末端に注意すること;ウチでは導線が浮いて隣の線とショートして、DVD基板を焼くというおぞましい事態が発生した。頻繁な抜き差しは厳禁。

Aの事故の際には、DVDドライブを落っことして電源基板を割るという、とんでもないオマケまでついた。流石にこの時は諦めかけたが、ドナー機から電源基板とDVDドライブを持ってきて、なんとか復活に漕ぎ着けた。HDDレコーダーの死亡はHDDの中身まで道連れなので恐い。

【参考】この手法は、S304K/S1004K/X9のドライブ(DVR-L14STO)で有効であることを確認しているが、E304Kのドライブ(DVR-L12STO)には効果がなかった。原因が異なるのか、対処方法が異なるのか判らないが、2台で確認したのでほぼ間違いないと思う。ただし、DVR-L14STOとDVR-L12STOには互換性があり、上記の方法で調整したDVR-L14STOをE304Kに接続して使用することは可能だった。

HDDの換装

HDDを認識しなくなった場合、近い年代の汎用的なHDD(Seagate/WD等)に交換すれば良い。もちろん、何でも動くというワケではないのだが…一応、ウチの換装実績;

本体元のHDD換装したHDD
RD-S304K WD WD3200AVVS 320GB WD WD5000AADS 500GB
Seagate ST500DM009 500GB
RD-X9 HGST HDS722020ALA330 2TB Seagate ST31000333AS 1TB
Seagate ST500LM030 500GB 2.5"
TOSHIBA DT01ABA050V 500GB

【重要】HDDを交換すると元HDDの中身は再生できなくなる
恐らく、新HDDのフォーマットの際に、本体側の暗号情報が更新されるのだと思われる。したがって、HDDの動作が怪しくなってきたので、とりあえず新HDDに交換して、元HDDは後でゆっくりメンテする…という方法は使えない。HDDの交換は、元HDDの中身を完全にレスキューするか諦めるかした後で。

ちなみに、RD-X9のHGST 2TBはかなりの頻度でトラブルが発生しているようだ。今回はSeagateの1TBで代用したが(手持ちに2TBがなかった)、普通に1TB HDDとして認識している。一方、S304Kを500GBのHDDに換装した場合は、320GB分しか使用できない。なお、RD-S303(320GB)は何かちょこっと弄ることで2TB化が可能なのだそうだ。

HDDが故障した場合、中身は諦めざるをえない。PCに持っていけば認識できるかと言うと、そう言うものでもないようだ。あくまでも経験論だが、どうもこのRDシリーズはかなりHDDを酷使する仕様になっているようで、4万時間(5年)程度でマジで死んでしまう事があるようだ。

HDD故障の原因はむしろ電源のON/OFF回数かも知れない。故障したS304KのHDDのSMART情報をPCでチェックしたところ、使用時間4万2000時間超に対して、電源投入回数は実に8万回を超えていた。5年間24時間昼夜を問わず、30分に1回電源を入れ直していた勘定になる。一般に、HDDは電源投入回数が10万回程度で寿命になるそうだ。無論、ユーザーがこんなに頻繁に電源を入れ直すわけはない。自動ON/OFFの結果だろうが…意図的に仕組んだ寿命か?(23.12.29)

同様に、故障したRD-X9のHDDのSMART情報ををチェックしたころ、こちらは使用時間5万5000時間超(6年4箇月)に対して、電源投入回数は95回。おそらく、購入時からずっと電源を点けっぱなしにしていたと思うが(使い方としては正解)、それでも6年程度で壊れたわけだ。したがって、電源投入回数だけが原因とは言えないだろう。一方、使い方次第では自動ON/OFFの回数を抑えられる事が判った。(23.12.29)

故障したHDDも、PCに接続することで一時的に認識可能になることがある。が、仮に認識可能でもファイルシステムが異なるし、暗号化されているしで、データを取り出すにはかなり高度な技術が必要。僅かでも不調を感じたら、早めに中身をUSB HDDやDVDに待避させることが肝要。

電源オフで□が表示された状態でフリーズする問題

これも基本的にはHDDトラブルだと思われる。電源オフと言っても、□表示のときは放送/ネットから番組表データをHDDにダウンロードしているわけで、実際には稼動状態。そこでHDDに異常があれば、当然フリーズする。電源引っこ抜いて、再起動させるしかない。しかし、HDDに異常があるのだから、この現象は再発する。根本的にはHDDの換装しか方法はないだろう。

ただし、ウチのS304Kは夏場に発症して、秋には自然治癒したカンジ。気温のせいなのか、ファイルを整理して空き容量を増やしたせいなのか、あるいは不良セクタにアクセスしないようになったからなのか……ともかく、この症状が出たら、即全データをバックアップしておくこと。

外付けUSB HDD

外付けUSB HDDの仕様

登録可能台数最大8台まで
最大容量2TBまで
タイトル数792までSPモード30分1本1GBでは800GB弱しか利用できない
チャプター数約3000まで一般的な番組は1本につき8カット、4チャプター構成

外付けHDDに空き容量があるのに録画不能になる謎の現象

おそらく、チャプター数上限に引っ掛かっているためだと思われる。ただし、ここで言う「チャプター数」は、普通の意味での《チャプター》の数ではなく、《チャプターマーク》の数のことだと思われる。たとえば、一般的な番組では次のような構成になっている。
元データ	[CM|オープニング|CM|Aパート|CM|Bパート|CM|クレジット|CM]
 ↓
CMカット後	[オープニング|Aパート|Bパート|クレジット]
元データに入れたチャプターマーク数は8つ、これによって元ファイルは9つのチャプターに分割される。そして、CM部分をカットすると、4つのチャプターからなるファイルになる。では、CMカット後のファイルのチャプター数は4かと言うと、実は8になる。

理由は、動画は原理的にIフレーム位置(概ね15フレームごとに出現)でしかカットできないから。RD-S304Kでは1フレーム単位の編集が可能だが、これはプレイリスト機能を使って編集しているからであって、元データが1フレーム単位で切れている訳ではない。つまり、

[オープニング|Aパート]
のように見えている部分も、実際は、
[オープニング|CMカス+CMカス|Aパート]
という構造になっている。これは、編集したファイルをPCに吸い上げてみると確認できる。
実際の構造	[…|オープニング|…|Aパート|…|Bパート|…|クレジット|…]
このように、一見くっついたように見える継ぎ目にも、実は2つのチャプターマークが残っているのである。CM部分を取り除くことでチャプター数が減ったように見えるが、チャプターマーク数の方は減らない。そもそも、見えない形でCM残滓が残っているので、チャプター数が減っているように見えること自体、錯覚なわけだ。

以上のような推測が正しいとすれば、1ファイル=4チャプター=8チャプターマークの場合、400本足らずでチャプター(マーク)数上限に引っ掛かる。1本のファイルが24分800MBとすれば、容量の上限は300GB台となる。これは実際の状況によく一致する。

外付けUSB HDDのファイル保管方法

基本的に、外付けUSB HDDに保存するファイルは無編集(CMカットなし、チャプターマークなし)のものとする。ライブラリを構築しようと、こまめにCMをカットしていると、チャプター数上限に引っ掛かる。ライブラリ構築は別途PCベースで考える方が賢明(だからこそのDVD機)。USB HDDはあくまでも生ファイルの保管庫。

30分番組(SP/1GB)を単純に保存していくと、800本弱800GB弱で本数制限に引っ掛かる。1TBや2TBのHDDがあっても容量を使い切れない。しかし、本機では編集機能でバインドしたファイルは1本とカウントされる。したがって、30本×4=2時間4GB(DVD1枚分に相当)を単位に保管すれば、500ファイルで約2TBとなる。これならば、本数制限に引っ掛かることなく、2000本の番組を保管できる。

ちなみに、1クール12〜13本とすると、2000本は160タイトル程度。1シーズンで20タイトルくらい保存するとして、160タイトルは8シーズン分=2年分の容量。8台のHDDをフルに使えば8×2=16年分;寿命(私の/機械の/深夜アニメというコンテンツの)を考えると十分かな?

リモコンSE-R0357の接点復活

分解して、ゴム接点部にアルミホイルを貼るという古典的手法。つか、これ以外の修理方法は存在しないのでは?Amazonで接点復活用カーボンピルを見つけたが、原理的には同じ物だった。
@リモコン下部のスライド蓋を取り外す
A蓋の下にあるネジ2本外す
B側面の接合部にマイナスドライバを突っ込んで丁寧にこじ開ける
Cゴム接点シートを取り出す
D接触不良のボタンの裏側に両面テープでアルミホイルを貼り付ける
 (アルミホイルに両面テープを貼り付けてから、必要な大きさにカットすると良い)
E接点に埃・ゴミが付いてないことを確かめて、元に戻す
今回はSE-R0357の分解・修理をしたが、別の型番のリモコンでも同様。要するに、ネジを見つけて外し、あとは無理矢理こじ開ける。なお、本体を接合するツメは少し削っておくと良い。どの途この作業は何度も繰り返すことになるので、なるべく分解しやすくしておく方が良い。

【追記】SE-R0148でも同様にして11個のボタンを修理した。ネジは電池ボックス内にある。ちなみに、SE-R0148はアナログ時代のHDDレコーダーRD-XS34に付属していたものだが、S304Kでも(基本的に)使用可能。むしろ、こっちの方が使いやすい。液晶で接触不良ボタンが判別できる。まあ、当然ながら地デジからみの操作は不可能だが。


【ぽんこつビデオ工房目次】 【ホーム】