(2004.08.25)

アダプトール(FD用)の修理

症状:絞りのツメが動かなくなった
原因:AEピン周りのトラブル
対処:分解修理
結果:修復成功、再発の可能性は大きい

初代アダプトールのFD用には、AE対応版(FOR CANON EF)とAE非対応版(FOR CANON FTb)の二種類があるが、ここで問題にしている症状が起きるのはAE対応版のみ。アダプトールをレンズから取り外す時に、ツメが規定範囲を越えて回ってしまい、AEピンを押す金具がオーバーランして、そこにAEピンが落ち込んでロックされてしまった。外部から修理することは不可能。

分解は、マウントカバーの内側にある4個所のネジを外す。バラバラになってしまうので注意。組み立て直す時のポイントは、ツメの位置。端まで回した状態で、ツメの端が外ギアの端に丁度接するくらいの位置にする。1ギアでもずれるとAEピンがきちんと上がらなくなるので注意。

また、絞りレバーと連動するストッパーは内側の大ギアのでっぱりの右側(時計回り方向)に来るように。さらに、ツメはなるべく外ギアに近い位置にして組み立てること。一番遠い位置だと、はじめから金具がAEピンに挟まれて動けなくなってしまう。しかし、ツメを外ギアに近い位置に保持して組み立てるのはけっこう難しい。

なお、組み立て直す時の難物はスプリング。端と端を金具に引っ掛けて、内部の円周に沿って配置しなければならないが、口で言うほど簡単にはいかない。コツは、最初に直線状に張ってしまって、後から円周の中に押し込むこと。片方を瞬間接着剤で固定しておいた方がよいかも知れない。何度も飛ばしてしまったから。

基本的に、バラして組み立て直せば、当面正常に動くようになる。しかし、実はこれでは根本的な解決になっていない。マウントをレンズから外す時にちょっと手荒に扱えば、結局同じ症状が再発する。マウントを外す時は、決してツメを開放の位置よりも回さないように、丁寧に扱うこと。とは言え、現場でそこまで気を使うのは難しいだろうな。

元々FDマウントはかなり複雑なマウントなのだが、アダプトール1の段階では造りがヤワなのがモロに響いて、こうしたトラブルは不可避だと思われる。ということで、アダプトール1ではFDマウントは極力避ける、というのが結論。実は、これ以外にも、絞りが正常に絞られないというトラブルも経験している。原因はオイルが切れて、部品の回転がスムーズでなかったこと。けっこう問題ですよ。

【カメラ・クラッシャー目次】 【ホーム】