イマイチな定番ホームラジオ
2013.09.22
型式 | ホームラジオ/アナログ |
受信バンド | AM/FM(ワイド) |
選局ダイヤル | 減速式ツマミ(2段式) |
電源スイッチ | バンド切替スイッチ兼用 |
バーアンテナ | 計り損ねたが、多分10cmくらい |
ロッドアンテナ | あり |
スピーカー | 10cmくらい/ER端子あり |
音質調整 | ★可能(music/news) |
サイズ | 210×120×62mm/670g(電池別) |
電源 | ★単三×4本/AC(変圧器内蔵) |
発売時期 | 2005年04月 |
価格 | 店頭価格で5000円前後? |
Panasonicの定番ホームラジオ。現行機種はアナログTV停波に伴い表示が変更された「RF-2400A」だが、実質的に同じものだろう。10cmスピーカー搭載で、音質と感度に優れているのが特長。ライバル機はSONYのICF-801。このRF-2400単体で考えると、決して悪いラジオではないが、ICF-801と比較されてしまうと厳しい。ほぼすべての面で劣っている。価格面もICF-801の方が少し高めだが、性能差は価格差以上に大きい。どちらかを選ぶなら、間違いなくICF-801の方が良い。
とは言え、感度や音質の面では両機種とも高いレベルにあり、日常的に使用するだけなら優劣を付ける意味はないだろう。問題はやはり操作性。ここにこそ、コストと品質のバランス感覚が如実に現れる。そして、made in JapanのICF-801はクオリティ重視、made in ChinaのRF-2400はコスト重視、というのがはっきり判る。
一応弁明しておくと、私は国粋主義者ではないので、中国製品に対して偏見を持っているわけではない。どこの国で製造されようと、PanasonicのQCで作られた製品は、Panasonicの品質である。しかし、同じメーカーでも、製品によって重視する項目は異なる。この場合の「made in China」は「製造国が中国だ」という以上に、「少しでも安く作ろう」というメーカーの意図を表現している。「少しくらい高くなっても丁寧な製品を作ろう」という意図で製造されたICF-801にかなう訳がない。ちなみに、RF-2400Aはインドネシア製になっている。
次がチューニングダイヤル。第一印象はアソビが多い。が、そう思って、改めて回してみると、そうでもない。普通に回せる。ところが、直後にICF-801のチューニングダイヤルを回すと、こちらは超快適。力がすっと伝わる。RF-2400はアソビという程ではないにしろ、動き始める前に、僅かに余計な力が必要な感じなのだ。慣れてしまえば苦にはならないが、比べられるとはっきりわかる。この辺りが品質というものだろう。
【追記】ICF-801を分解してみたところ、一般的なプーリーではなく歯付きのゴムベルトが使われていた。確かにこれならアソビはないし、スリップもしないだろう。クオリティでははっきりと差がついてしまった感じだ。
三番目がチューニングLED。これも何だか微妙に点滅して、ヤマが掴みにくい。何故なんだろうと思ったら、これ、感度だけではなく音の強弱にも反応している。ピークに合えばそうでもないのだろうが、僅かでもズレるとUVメーターよろしく、音に合わせてピコピコ点滅しはじめる。ピークを探る指の動きとは関係なくLEDが点滅するものだから、かなり戸惑う。
そして、クオリティという面で致命的なのはボリュームのガリの多さ。評価記事でも数多く指摘されているし、オークションに出品されている中古機も、多くがガリオーム状態である。中には、ボリュームコントロール自体が不可能な機体もある。明らかに、部品のコストをケチったな、という感じだ。ただし、すべてのRF-2400がそうなのではないかもしれない。というのは、RF-2400には外装の色が微妙に異なる2種類のバリエーションがあるからだ(左の写真参照)。
これはカラーバリエーションではないだろう。おそらく、マイナーチェンジに伴う識別用のカラーリング変更だと思う。しかし、この種の枯れた製品にマイナーチェンジの余地などないだろう。仕様を根本的に変更するのなら別だが、それでは別機種になる。で、唯一思い当たるのが、不良品のボリュームの交換、ということだ。おそらく、周波数板の周囲が黒(濃いグレー)のモデルは、ボリュームが対策品に交換されているのだと思う。
根拠は、私の持っている2台のRF-2400のうち、黒の方はガリがなく、グレーの方はガリがあるから。シリアルナンバーを見ても黒の方が新しい。しかし、たった一組のサンプルでそんなこと言い切れるのか?と言われると、返答に窮するが、多分間違いなのではないかと言う変な自信はある。実際には、黒でもガリのある機体はあるようだが、そこは程度問題ということで…何だかあやふやになってきた(^^;シンジナイヨーニ はっきりしているのは、黒とグレーの2モデルがあり、黒の方が新しいということ。
音質切替スイッチはそれなりに便利で、確かに音楽モードにすると高音が綺麗に通るようになる。しかし、大半のユーザーはこのスイッチを一度も操作しないで終わるだろう。このラジオの用途から言って、必要性の高くない機能だ。ここに掛けるコストがあったら、電源スイッチに回すべきだ。
チューニングダイヤルが2段式なのは、BCL時代を思い出して懐かしい。大きく動かしたい時は小さな摘まみを回し、細かな調整をしたいときは大きな摘まみを回す。ただ、これもAM/FMで必要かと言われると、どうだろう? その前に、チューニングダイヤルのクオリティ自体を上げる方が重要だと思う。それに、このダイヤルのデザインは何とかしてほしい。
さらに言えば、FMは80MHz近辺を広く取れるように工夫すべきだろう。東京近郊だと、スケールの下1/3に放送局が集中していて、選局性が悪い。2/3は無駄スペースだ。この点もICF-801に負けている。
電池が単三4本なのは素直に評価したい。非常に便利である。
裏のネジ5本を外せば簡単に分解できる(ANT SCREWは取り外さなくて良い)。
「ANT SCREW」はロッドアンテナを止めているネジという意味のようだ。最初は外部アンテナ端子かと思ったが、違ったようだ(まあ、FM外部アンテナ端子として使えないこともないが)。
電池ボックスの裏側から、接点のついたベークライト板をラジオペンチなどで引っ張り出す。
裏側は猛烈に腐蝕しており、コード(白)も外れ掛けていた。この部分の接触不良が原因だった。
なお、接触が切れても音が急に止まるのではなく、ふ〜っと消えるのはこのラジオの特徴で、普通に電源を切ってもそうなる。どこかのコンデンサに電気が溜まっているようだ。なので、電池を抜いた直後に電源を入れると、一瞬だけだが音が出る。
CR-C556を掛けて接点を磨き出した。コードも剥き直してハンダ付けをした。ちなみに、腐蝕状態の銅線にはハンダは乗らない(天ぷらハンダになる)。必ず腐蝕した部分を切り取り、被覆を剥いて新しい線を出すこと。
はんだ付けをし直して、このベークライト板を元の位置に戻せば、接触不良の修理は完了。
回路的には、電源ユニットから本体につながる紅白2本のコードのうち、どちらか一方にスイッチを挟めばよい。今回は赤(+)の方に挟むことにした。基板中央の赤コードを基板から外して、スイッチにはんだ付けするだけだ。
まずは、作業しやすいように電源ユニット基板を本体から取り外し、赤コードも基板から外しておく(2組のコードうち、下の組の赤コード)。写真は、電源ユニット基板を取り外して裏返したところ。
次に、ケースにスイッチを取り付ける穴を開ける。このラジオの中味はスカスカなので、スイッチ程度なら増設するスペースは十分にあるが、それでも電源ユニット基板を元に戻したときに、他の部品に干渉しない場所を選んで穴を開けること。ちなみに、この穴開けが一番の難関で、1時間以上掛ってしまった。
穴開けには近くの神社の縁日で買った電動ルーターを使用した。
穴が開いたらスイッチを取り付け、取り外した赤コードをはんだ付けする。もう一方は適当なリード線(写真ではオレンジ色)を取り付けて、もともと赤コードが付いてた場所とつなぐ。
電源ユニット基板を元に戻して改造終了。電池を入れて、バンドをAMないしFMに合わせて、スイッチのオン/オフを確認すること。
デザイン的にもなかなかグッド。ボタンの押し心地が少々硬いのが難点だが、操作性は良好。このボタン一つで、圧倒的に使い易くなった。
【注意】改造は自己責任で行ってください。特に、電源系の改造は発火などの危険を伴いますので、自分で責任を負える範囲に止めてください。仮に、本稿を参考に改造を行い、それを第三者に譲渡し、そこで事故が発生しても、当然のことながら当方としては全く責任を負えません。