SONY ICR-N3
NSBワンタッチ選局ラジオ


2013.08.16

型式NSBホームラジオ/アナログ/水晶発振
受信バンドAM/NSB1(3/6/9MHz帯)/NSB2(3/6/9MHz帯)
選局ダイヤル減速式ツマミ/NSBはボタン式選局
電源スイッチ独立プッシュ式(上部)
バーアンテナ11cm×φ1cmくらいだった(おおよその実測値)
ロッドアンテナなし/外付けアンテナ端子あり(短波用)
スピーカー7cmくらい
サイズ約18×11.5×5cm(実測値、突起部除く)/約500g(実測値、電池除く)
電源単三×4本/AC(変圧器内蔵)
発売時期1986年(ネット伝聞)
定価1万2800円(ネット伝聞)

水晶発振子を使ったNSB専用受信機に、オマケでAMが付いたもの。が、私にはNSBを聞く習慣はなく、加えて、短波受信機なのにロッドアンテナがないという不思議な仕様から、専らAM専用の枕元ラジオとして使用していた。ただし、都心の木造家屋ならば、アンテナなしでもNSBの受信は可能。特に、6MHz帯は第一/第二ともに良好に受信できた。AMの感度も高く、選局もスムーズ、音質もそこそこ、大きさも手頃で邪魔にならない。何より、夜中に地震が起きた時、寝ぼけ眼でも簡単に電源がオンにでき、改めてボリューム調整をする必要がないのが素晴らしい。

単三×4本というのも便利。奇数本とか単二・単一とかは電池の運用面で面倒。単三ならば寿命の尽きたデジカメ用Ni-MH電池の有効利用もできる。サイズと電池の点では、ICF-800系よりも使い勝手が良い。大変に重宝していたのだが、残念なことに電池の液漏れでご臨終。電池室だけでなく、電源周りの基板まで腐蝕されてしまい、プリント配線が剥がれてしまった。修理も考えたが、結局オークションで同型機を再度入手した(ちなみに、1台目は会社勤めのころにアルバイトの子にもらった)。

ところが、この2台目がとんでもないジャンク品で、外観は泥だらけ、内部は藁だらけ、おまけに虫(ゴキブリ?)の脚まで入っていた。機能も辛うじてAMが受信できるだけで、上部の切替スイッチはすべて押し込まれた状態で、バンド切替は不可能。そのAMも異様に感度が悪いし、なにより選局スケールが大きくずれていて、TBS(954kHz)より上の周波数の局には合せることができない。さらに、試しにAC電源で使用したら、以後電池では起動できなくなった(この症状は1台目でも出た)。300円とは言え、なかなかに壮絶であった。が、これだけ酷い機体だと、心置きなく分解できる。ということで、修理に挑戦、ほぼ正常に戻った。

●ICF-N3(2台目#34619)の修理項目

裏蓋を外したところ。裏蓋の(+)ねじ5本を全て外せば、簡単に外れる。


バンド切り替えスイッチ。細い(−)ドライバで、内側から強制的にスイッチを上に押し出した。接点復活剤をごく少量掛けて、可動部と電気接点をメンテナンス。接触不良ぎみのボタンもあるが、概ね復活。


基板の真ん中のねじを外して、基板をケースから取り出したところ。取り出しには多少コツが必要。選局ダイヤルも外しておく必要がある。

バーアンテナの位置が左に2〜3cmずれている。右端のコイルが、フェライトコアから外れそうになっていた。バーアンテナの位置を正常に戻し、コイルもきちんとフェライトコアに収めたら、感度が正常に戻った。

バーアンテナはこんな具合になった。位置の目安は、固定用のボンドの跡。しかし、こんなズレ方をするなんて、前オーナーはどんな扱いをしたんだか……

チューニングの指針は糸に取り付けてあるだけ。少し糸を緩めれば、簡単に位置調整ができる。糸を切らないように注意しながら、針を左に1〜2cmほど動かした。NHK第一が600kHzよりも少し左を指すように調整。

●電源系の改造

このICR-N3をAC電源で使っていると、突如電池での使用が不可能になることがある。最初は接触不良の類かと思ったのだが、そうではなく、どうやらACとDCを切り替えるOR回路のパーツが壊れたような感じだ。この症状はこの機種特有の欠陥らしく、私の所有機は2台とも同じように発症した。また、オークションなどを見ると、やはり似たような症状の機体がある。原因はダイオードの寿命ではないかと思ったのだが、何しろ電源回路は基板の裏側のプリントパターンしか見えないので、どこにダイオードがあるのかも今一つはっきりしない。本気で修理となると、もう一歩踏み込んで分解しなければならない。それはかなり面倒だ。なので、この際、電源回路をショートカットして、電池ボックスから直に電源スイッチに接続することにした。こうすれば、間違いなく電池で動くようになるが、今度はAC電源が使えなくなる。それでもAC電源でしか使えないよりはマシではないかと…

この紅白ケーブルが電源回路から本体へ電源を供給しているケーブル。左の白線はGND、右の紅白線が(+)。なので、右のケーブルを端子から外し、端子と電池ボックスの(+)極を直接接続すればよい。

赤いリード線で本体と電池ボックスを直接接続した。外した紅白線は、ショートしないように端を始末しておくこと。また、この改造をしたあとは、決してAC電源を接続しないこと。



【追記】その後、1台目も上記の方法で電池での動作が可能になった。電源ユニット基板は左の写真のように猛烈に腐蝕していて、プリントパターンまで剥げてしまっていたのだが、こんな状態でも少なくとも電池動作だけは可能になったわけで、たいへんにありがたい。ちなみに、2台目の内部が強烈に汚なかったことを強調したが、この1台目も負けず劣らずの状態だった。古いラジオの内部と言うのは、こういう物のようだ。流石に藁や虫の脚は入っていなかったが。(2013.10.25)


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