†貧乏カメラ館・でじたる別館†

SANYO Xacti DSC-J1


2003年3月発売のXactiブランドの初号機。320万画素1/2.7"CCD搭載の普及モデル。メタル製フラットボディのスライドバリア方式というのが特長。デザイン的にはそこそこ秀逸で、適度な重量感も好ましい。また、屈曲光学系のため起動が高速で、当時は世界最速を謳っていた。光学ファインダーあり。ISO感度固定可(100/200/400)。2cmスーパーマクロあり(広角端:固定?)。電池は専用リチウムイオン充電池。初号機ということでリキんだのか、UI周りに不要な機能を満載しているが、肝心のカメラとしての性能は物足りない。また、UIの設計ポリシーは場当たり的な印象が強く異和感がある。(2013.12.26)

●ユーザーインターフェース

今から私はこいつのユーザーインターフェースについて、思いっきり悪口を書くつもりであるが、その前に《普通に使うだけなら別段不便はない》という事はお断りしておく。私が今から書き連ねる罵詈雑言は、実用性よりも、むしろUIのポリシーに対するものだ。罵倒したから言って、使い物にならないと言う意味ではない。ただ、使っていると、そこはかとなく不快になる−−何を考えてこんな仕様にしたのか理解不能だし、理解できたらできたで作り手の賎しさのようなものを感じてしまう−−と言う意味である。更に言えば、まるっきりの素人が作ったのなら許しもしようが、ある程度判っているヤツが確信犯的ににやっているのが許せない、という事だ。ポイントは二点。一つは、音声ガイドやイルミネーションなど子供騙し機能の存在、もう一つは、機能割り付けのセンスの悪さ=知的思考の欠如、である。

半年後に廉価モデルのS1が出ている。音声ガイドとかイルミネーションLEDとか無駄な機能満載で、カメラ本来の機能に関してはお座なりなんじゃないかという気がする。V-100/X-100以降のSANYOのデジカメ全体に言える事だが、ユーザーインターフェースに対する考え方が根本的に的外れだと思う。MZ2あたりで少し良くなってきたかな〜と思ったが、このJ1はその希望を台無しにするほどお馬鹿なUIである。ほぼ同時期のS1系の方が遥かに良く練られている。ま、お馬鹿機能を全部オフにしちまえばかなり改善されるが…

とは言うものの、全体の操作性はまあまあ。実用面で使いにくい訳ではないのだが、使っているとそこはかとなく不快になる。起動を含めて動作は高速。撮影/再生/電源はダイヤル式。撮影モードからSETボタンで撮影画像を呼び出すこともできる。ただし、表示できるのは直近の1枚のみで、拡大・情報表示等は不可。言わば、手動クイックビュー。したがって、通常はダイヤルで再生モードに入ることになるだろう。ところが、このダイヤルがヤワで、少し使い込むとすぐにダメになりそうな感じ。実際、ダイヤルに関する不具合の報告例はかなりある。現状、私の機体では特に問題は発生していないが。

このダイヤル式UIはC-2020Z等と同じタイプだが、ダイヤルの造りには雲泥の差がある。また、C-2020Zは撮影モードから|□|ボタンで完全な再生モードに移行できる。同タイプと言っても使い勝手は別物。

設定は、ストロボ設定と露出補正のみ独立ボタン式(露出補正は十字キーの左右)。 残りはすべてメニューの中。この辺りは気に入らないが、 マクロ専用機ならば大きな問題にはならない。

Optio 30のような行儀の良いUIでも、 独立ボタンになっているのは、ストロボとマクロと露出補正だけ。 したがって、マクロ以外はJ1もOptio 30も同じと言う言い方もできるが、 総合的な使い勝手には雲泥の差がある。

たとえば、J1ではLCDのオン/オフもダイヤル式になっているが、 これはOptio 30のようにボタン一つで切り替えられる方が便利だ。 もちろん、撮影/再生切替は言うまでもない。 また、撮影/再生メニューとシステム設定も一元化してある方が使いやすいのに、 J1はシステム設定がわざわざダイヤルに割り振ってあってある。 おまけに、USB接続モードまでダイヤルに割り振ってある。 それでいて、静止画/動画の切替がモードボタンとか、ちょっとワケがわからん。

大きな切替はダイヤル(またはスイッチ)で、細かな切替はボタンで、更に詳細な設定はメニューで、というのが人間のごく自然な感覚だと思うのだが…。このUIは使用者に対する配慮が全く感じられないと思う。しかし、では、酷く使いにくかと言うと、そうでもない。使ってみればまずまずの使用感である。ただ、物事をきちんとカテゴライズして整理する知性が感じられないという点で「嫌い」である。

●主な仕様

●総評:室内マクロ撮影専用機として

ISO200ならば使えるスペックだと思う。 気に入っているのは、起動が高速、発色が地味という点。 気に入らないのはXGAがないこと、USBが特殊仕様なこと。 そして、最大の難点はダイヤルの耐久性に対する不安。 頻繁に回すのを躊躇してしまう。 また、他の廉価機種同様、高感度時の画質劣化が顕著なので、 競合機種と比較した際の特段のアドバンテージがない。 それなら、Optio 30をISO 200で使えば良いワケで… 確かに使えるけど、積極的に使う理由がない、というのが率直な感想。

当初期待していたのは、ISO 400でもC-40並の高画質だったんだが… CCDサイズを間違えていたんじゃしょうがないorz


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