†貧乏カメラ館†
CAMEDIA E-10 |
★★★★
発売年月 2000.10/標準価格 ¥19.8000 銀塩ライクなフラグシップ機 |
![]() | キャメディア・シリーズの初代フラグシップ機。レンズ固定の一眼レフ・デジカメで、操作性は銀塩にかなり近い。また、画質も当時としては頭一つ抜きん出ていた。アクセサリーも豊富で、汎用の外部ストロボも簡単に利用できる。しかし、ガタイが大きく取り回しに不便な上、画像の処理速度が極めて遅いため、総合的な使い勝手はあまり良くない。 |
(2010.12.10) |
私がデジカメを嫌う理由は三つある。
以上はあくまでも一般論で、機種によって程度は様々だが、どのデジカメも多かれ少なかれ似たような問題を抱えている。要するにデジカメは玩具からカメラに進化してきたので、カメラが本来持っていなければならない機能について、極めてセンスが鈍いのである。しかし、カメラメーカーが銀塩のノウハウをデジカメに投入すれば話は別。その一つの結論がこのE-10。
特筆すべきなのは、AFが一点測距である点と、ズームとストロボが完全手動制御である点。明らかにハイアマチュアを念頭においてスペック決定をしている。サイズは銀塩の高級機並みで、重量も1050gある(電池別)。
画素数 | 圧縮率 | 撮影可能間隔 | 1枚書込時間 | バッファ書込時間 |
2240x1680 | 1/2.7 | 3" | 7" | 25"(4枚) |
2240x1680 | 1/4 | 3" | 7" | 20"(4枚) |
1600x1200 | 1/4 | 4" | 13" | 60"(4枚) |
1024x 768 | 1/8 | 3" | 7" | 20"(4枚) |
最も注目すべは、画像サイズが小さい方が書き込み速度が遅い点。恐らく、縮小処理に時間を食われるのだろう。また、1枚の画像の書き込みに最低7秒も掛かっているが、SMやCFでも少なくとも3MB/Sくらいの速度は出るので(48倍速ならば6.6〜6.8MB/Sくらい)、書き込み時間のほとんどが圧縮処理に費やされているだろうと想像される。つまり、高速メディアを使っても、書き込み時間が短縮される見込みは小さい。
運用上の問題点は撮影間隔の長さ。確かに連写モードはあるが、いったんレリーズボタンから指を離してしまうと、やはり3〜4秒は撮影不可能になる。どんなモードでも、1〜2秒おきにパシャパシャ撮るということができないのだ(注:下記参照)。しかも、バッファが小さいので連続撮影は4枚が限界。画像サイズを小さくしても同じ。バッファがいっぱいになると、20〜30秒のデッドタイムが発生してしまう。無論、開放された分は使用できるので、7〜8秒待てば1枚は撮れるようになるが…。なお、バッファの状態は液晶の残り枚数表示の横のバーグラフで表示される。
【注意】実は、この3〜4秒というレリーズ間隔はRec Viewを生成するための時間のようだ。したがって、Rec Viewをオフにすれば「1〜2秒おきにバシャバシャ撮る」ことも可能になる。ただし、それもバッファがいっぱいになってしまえばおしまいで、上限は連写と同じ4枚。それに、Rec Viewがないのはやはり不便。重要な機能がボトルネックになってしまっているので、快適な撮影環境とは言えない。
また、書き込み速度が遅いために、Rec Viewでチェックした画像を消去するのに手間取るのも気になった。特に、モデル撮影をするときは、一瞬モデルさんと気持ちが切れちゃう感じになる。これはかなり大きなマイナス・ポイント。いっそ、Rec Viewなしで勝負するか? それも恐いしなあ……でも、最初にRec Viewオンでテスト撮影をして、本撮影はRec Viewなしというのが現実的な運用方法だと思う。まあ、銀塩でポラパック使う感覚に近いけど、デジタルのメリットは半減だな。
【追記】その後、私は完全に宗旨替えをした。テスト撮影以外では、Rec Viewはオフにすべきものである。本番で1枚ずつの確認なんかしていては、シャッターチャンスを逃したり、気持ちが切れたりして、デメリットの方が大きい事に気が付いた。ゆえに、ここでE-10の欠点として挙げた撮影間隔の長さは、実際にはかなりの程度軽減され、取り立てて大きな欠点とは言えなくなった。
なお、ファインダーは視度補正付き。スクリーンは全面マットだが、MFでのピント合わせも何とかできる(デジカメの中ではかなり良い部類に入るそうだ)。また、視野率95%ということだが、どうも実感としてはもう少し小さいような気もする。フィアンダーと液晶モニタの画像を比べると、80%台のような気がするのだが…気のせいか?
また、撮影中にファインダーがとても覗きにくい印象を受けたことがある。ファインダー内部の問題ではなく、アイピース部に難がある感じ。眼鏡で覗くと視線がまっすぐ揃いにくいのだ。このE-10も中古入手だが、実は前オーナーはニコンのアイカップをアイピースに接着していた。見苦しいので取ってしまったが、何でそんなことをしたのか、理由が判ったような気がする。
実写結果を見ると、全体的にピント精度は悪くない。合焦している被写体にはきちんと合っている。何となくピンが甘いというのは見当たらなかった。しかし、40数枚撮って、あからさまなピンボケが3枚ほどあった。合焦マークをろくに確認していなかったので原因は不明だが、ちょっと気になるところだ。ただ、こちらの慣れが十分でないので、この結果を以って評価はしない。合焦音は騒いのでオフにしていたが、やはりオンにすべきかも知れない。
なお、1m程度先の細い被写体(鉛筆や紐のようなもの)には非常に合いにくいことに気が付いた。また、通常モードで60cmよりも近づくと、明らかなピンぼけ位置で合焦マークが点くことがあるようだ。微妙な距離での撮影のときには要注意。
ただ、用途によってはやはり彩度が物足りなく感じるかもしれない(ハデ系のおねーちゃんを撮る場合とか)。コントラストをHIGHにすると、液晶モニタ上では彩度が上がったような同じ印象を受けるが、実際にはかなり不自然な絵になるので注意。彩度の高い絵が必要な場合は、このカメラを使うべきではないだろう。どうしても補正がしたければ、レタッチソフトを使うこと。カメラ側の設定はいじるべきではない。
なお、ISO感度80/160/320相当の設定ができるが、高感度にするとやはり画質は落ちる。80と160を比べてみたが、4倍に拡大すると差がはっきりわかる。等倍ならば極端な差は出ない。Lumix LC-5のような画質の劣化が顕著な機種と比べれば遥かにマシである。E-10の場合、初めから標準の感度が80と低めだし、全体にアンダー目の設定になっているので、実際は80/160/320ではなく、50/100/200くらいのつもりで使う方がよいかも知れない。ただ、それでも160を常用感度に使うのは少々ためらわれる。
なお、露出補正とストロボ光量補正は独立しており、内蔵ストロボ使用時に露出補正を掛けてもほとんど効果がないので注意。必ずストロボ光量を補正すること。
ふと思ったんだけどね、こいつは通常の露出補正は非常に簡単にできるが、ストロボ補正はメニュー操作で少し面倒。何でかな?と思ったけど、ストロボの補正が必要な撮影ならば、内蔵ストロボは使わないよなあ…。で、外付け汎用で試してみたんだが、この場合は露出補正はマニュアルモードの絞りで調節するわけで、これはとても簡単。ダイヤル回すだけだもん。E-1がストロボを乗せなかった理由が何となく解るような気がする。
正直なところ、内蔵ストロボは完全にオマケ。こんなものを使って撮影したんじゃ、折角の高画質が台無し。勿体ないよ。それはメーカーも判っていたようで、外付けストロボが大変に使いやすいようになっている。TTL接点付きのホットシューも汎用シンクロターミナルも備えている。専用TTLオートストロボは高価だが、安価な汎用ストロボもごく簡単に使える。
この「ごく簡単」というのがミソね。C-2100UZみたいに馬鹿高い変換ケーブルも不要だし、Lumix LC5みたいにストロボを選ぶ事もないし、マニュアル露出モードだとAF性能が落ちて支障が出る、ということもない。銀塩同様、ごく当たり前に汎用ストロボが使える。これがいかに凄い事か、しみじみと実感している。
ちなみに、私の仕事部屋で天井バウンスする際の設定は次の通り。少しオーバー気味だが、そのあたりは絞りで容易に調節できる。
外部ストロボ | PE-28S(ホットシュー接続)フル発光 |
ISO感度 | ISO 160(通常のカメラのISO 100くらいに相当) |
ホワイトバランス | 5500K(天井は薄めの茶色) |
絞り | F2.4開放 |
ちなみに、LB-01は「アルカリ電池の3〜10倍長持ち」だそうだ。で、約500枚撮れる。逆に言えば、アルカリ電池でも最低50枚は撮れるということ? それなら予備にアルカリ電池を持っていく方が賢明かもしれない。4本で200円〜だからね。ストロボ無しで30枚程度は撮れることを確認している。
その後、さすがに不審に思って再度テストしてみた。まず、フル充電の1600mAhのNi-MH電池を装填したが、やはり30枚強撮影した時点でバッテリー切れマークが出た。しかし、この段階ではまだ撮影続行可能。また、電源スイッチの入れ直しでバッテリー切れマークが消えた。これを繰り返す事で、100枚程度までは撮影できた。つまり;
ということ。ただし、先回の撮影会では30枚ちょいで「撮影不可能」になったのだから、今回のテストとはちょっと事情が異なる。ひょっとすると、バッファメモリがいっぱいになって撮影不能になったのを電池切れと間違えたのではないか? しかし、当時の記憶をたどると、ファインダーが暗くなってはっきりと電池切れの症状を示したように思う。
その後、NiMH電池が異常に早く消耗する現象が再現できた。要するに、電池が古くて充電性能が落ちていたせいらしい。ただし、その電池でもC-2020Zやストロボなど、他の製品は特に問題なく使用できる。要するに、E-10は電池消耗に対して異様に弱いということ。対策は必要だ。
電池でもう一つ問題になるのが自然放電の問題。二次電池は一次電池よりも自然放電が早い。だから、カメラに入れて数週間放置しておくと、勝手になくなってしまう。本当に全部なくなればよいのだが(交換または充電をするので)、困るのは、とりあえずマンタン・マークが付いてしまうこと。もちろん、数枚撮影しただけで撮影不能になる。そして、これは電源の入れ直しでもほとんど回復しない。つまり、あと数枚しか撮れない状態でも、とりあえずマンタン・マークが点いてしまうのだ。
デジカメは電池食いなので充電池の方が経済的だと思っていたが、これには閉口する。電池残量がまるっきりアテにならないので、イザというときに全然役に立たない。やっぱり、一次電池に乗り換えるべきかもしれない。ちなみに、リチウム電池パック(二本で2000円くらい)で500枚というのは、36枚撮りフィルムに換算して十数本。やはり銀塩に比べるとかなり割高だ。銀塩よりもデジカメの方がランニングコストが安いというのは幻想かもしれないなあ…
私が望んだ物は、銀塩一眼レフ・ライクな操作性のデジカメ。その答えがここにあるわけだが…随分仰々しいもんだなあ、というのが実感。そもそもデジカメは操作が必要な機能が多すぎる。いっそ、マニュアルと絞り優先オートのみにして、AFなしの――つまり、OM-2にCCDパックを付けたようなカメラだと嬉しいんだけどね。機能的に欲しいのは、操作しやすい露出補正と汎用シンクロターミナルだけ。それ以外は余分だよね。
主要諸元 | |
撮影素子 | 2/3"原色CCD 400万画素 |
記録画素数 | 2240×1680 / 1600×1200 / 1280×960 / 1024×768 / 640×480 |
レンズ | 9-36mm/F2-2.4(35mm換算35-140mm)、11群14枚 |
最短撮影距離 | 通常0.6m、マクロ時0.2m |
シャッター | B,8"-1/640" (オート時は2"-1/640") |
測光方式 | ESP(分割)測光、TTL中央重点測光、スポット測光 |
露出補正 | 可 ±3EV 1/3ステップ |
ファインダー | 倍率?倍、視野率95% |
内蔵ストロボ | GN 13 (ISO 80)、手動制御、プリ発光あり |
液晶モニタ | 1.8"TFTカラー(118000画素) |
電池 | 単三型×4またはCR-V3×2(単三型Li電池およびマンガン電池不可) |
外観 | 128.5×103.5×161mm/1050g |
その他 | ホットシューおよび汎用シンクロターミナル付き |
独断評価 | |
操作感 | B 操作性自体は優れているが書き込みが遅すぎる |
堅牢性 | B 丈夫そうに見える(^^ゞ |
機能 | A およそ不足はないわな |
携帯性 | C 重い… |
用途 | ○仕事 ◎趣味 △スナップ ×軽旅行 ×海外旅行 |