†貧乏カメラ館・でじたる別館†
SANYO DSC-X1 |
★★★★
発売年月 1997.11/標準価格 ¥-.---- 黎明期の実用モデル |
35万画素のDSC-V1の後継機で、ボディはほぼそのまま流用(色違い;DSC-X1はシルバー/DSC-V1はブラウン)。OLYMPUS C-820LやEPSON CP-500の兄弟機だが、外装はC-820LやCP-500よりも遥かに良い。仕様や操作性も多くの点で異なっている。少なくとも、操作性はC-820LよりもDSC-X1の方がかなり優れているようだ。また、メディアに関してはCF+内蔵4MBのCP-500が優れている(DSC-X1やC-820Lはスマメのみ)。なお、DSC-X1のメディアスロットは底面にある。ここもC-820Lとは異なる点。
DSC-X1/C-820L/CP-500は兄弟機とは言え、細部の仕様や操作性は相当大きく異なるようだ。主要な相違点はスペック表や外観、あるいはレビュー記事などから推察できるが、たとえば、設定を保持できるかどうかなどの細かな部分は、実際に一つずつ確認していかないと何とも言えない。なお、「光学系/CCD周り/画像処理エンジン」の基幹部は共通…なのか?少なくとも画像処理エンジンはメーカーごとに違っている可能性が高いな。
理由は簡単で、そもそも設定する項目がないから。ISO感度は100固定だし、WBはオートのみ。測光方式やAFモードもパノラマ撮影も設定できない。撮影モード時にメニュー表示されるのは露出補正のみ(VGAモードではデジタルズームも設定できる)。なお、画質、フラッシュ、マクロなどは上部の独立ボタンで設定する。ただし、再生モードでは削除やプロテクトを「極悪メニュー」で行わなければならない。しかし、ほとんどの項目がアクション項目であるため、セッティング項目のようなストレスは感じない。煩わしく感じられたのは時計の設定のときくらい。
操作性に関しては、メニュー表示([モード])と選択([←][→])と決定([セット])が十字キーに割り付けられているのが非常にグッド。また、液晶のオン/オフがスライドスイッチで切り替えられるため、起動時の液晶オン/オフを簡単に変更できる。標準的なインターフェースが確立していない時期の製品としては、操作性は良い部類ではないかと思う。
C-860Lでは、メニュー表示ボタンは上部にあり、決定はレリーズボタンであったため、なおさら操作性が悪く感じられた。また、液晶モニタはオフでしか起動できなかった。
ストロボは[発光禁止/オート/強制発光]の3モードで、設定は保持される。高評価! ただし、起動時に強制無駄チャージを始めるようで、場合によっては起動時間が10秒近く掛かる。ここは大きな減点。チャージされていれば1〜2秒で起動する。まあ、速写性が要求されるような用途にはそもそも向かないけど。もう一つ「あれ?」と思ったのが、上部設定表示液晶に表示されるストロボマーク。発光禁止だと「禁止マーク」ではなく、何も表示されない。これは現在のスタンダードとは異なっていて、最初はちょっと戸惑った。
普通は、このLEDは合焦マークのはずだが、DSC-X1ではピントが合ってなくても点灯する。逆に、デジタルズームやマクロのときは、ピントが合っていても点滅する。最初は少しもピントが合わないなあ…と思って、随分焦ったが、これが仕様のようだ。どうも、この緑LEDは撮影準備OKマークみたいで、緑点滅は特殊モード撮影の注意喚起みたい。確かに、マクロやデジタルズームでは、ファインダーを覗いては意味がないが…どうも釈然としない。ストロボチャージや書き込みのときには赤点滅するが、こちらは一般的。
もう一つわからないのが露出制御。スペック表には「プログラムAE/絞り優先プログラム」と書かれているらしい(本家の資料が消失しているようなので【孫引】きだが)。これだけ見ると、まるで「プログラムAE」と「絞り優先AE」が使えるように錯覚してしまうのだが、実際は単なるプログラムAEオンリーのようだ。「絞り優先プログラム」というのは、絞りがF2.8/5.6/11の3ステップしかないため、輝度に応じてまず絞りが決定され、その上で速度を調整して露出を決める、という意味だろう(C-840Lのプログラム線図を公開してくれている【奇特な方】がいたので、それを参考にさせて頂いた)。
マクロは20cmまで。流石に物足りない。x1.6倍デジタルズーム併用でも、ユーカリたんの全身像が余る。イメージ的にはハガキ大くらいが精一杯かな? ただし、問題は倍率の低さよりも、合焦の確認ができないこと。前述のように、LEDは合焦マークの役割を全く果たさないので、液晶画面でピントを確認するしかないのだが、この液晶のクオリティではそれはかなり困難(一応低温ポリシリコンなんだけど、流石にこの時期のシロモノなので…)。ということで、マクロも実用的な価値はあまりない。オマケ程度。
なお、マクロもデジタルズームも1回撮影するごとに設定がクリアされる。
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±3ステップの露出補正も可能だが、感度を公表していないくらいだから、補正値もわからない。ただ、こちらはExifに書かれている。そこから推察すると、たぶん、±1.5EV(0.5EV step)だろう。撮影モードで[モード]を押せば呼び出すことができ、左右キーで補正値を変更できる。操作性はかなり良い。
と言うことで、兄弟機の中ではDSC-X1が最も優秀ではないかと思うが、いずれにしろ、画素数・画質・大きさ・速度などあらゆる面で黎明期の性能であり、現行機種と比較して実用価値を論ずるのはナンセンス。が、DSC-X1がもう少し高速であれば、それなりに愛してやれるような気はする。操作性の細部への心配りがたいへんに好ましい。ところが、これをこのまま高速化したモデルと言うのは存在しない。この後、SANYOは電池寿命に致命的な欠陥を抱えた2本機路線に転換してしまう。
一方、兄弟機の方はC-840L、CP-600という後継モデルが出ている。共に、起動2秒/書込4秒と「大幅に高速化」(^^;ジダイデス… ただし、両者ともデザインが萎えるし、C-840LはC-820Lの操作性を引き継いでしまっているようで、ちょっと使う気にはならん。…てか、ストロボがオートに初期化されたら、起動2秒+無駄チャージ時間のはず。C-840L後継のC-830Lは廉価の機能ダウン版だし、C-860Lは多機能化した反動で操作性が極悪化。つまり、C-840Lがシリーズ中では最もまともな機種で、それが失格であれば他に選択肢はない。
CP-600は…ちょっとわからない。資料がなさ過ぎる(u_u;) が、感じとしてはストロボモードの保持はできないようだ。仮に可能でも、あの萎えるデザインではねえ…他に良い選択肢がある現在、実用性云々を考えるのはナンセンスか。入手するとしたら、このモヤモヤ感を払拭するための研究用だな…