†貧乏カメラ館・でじたる別館†

DC215 ZOOM ★★★☆ 発売年月 1999.09/標準価格 ¥オープン
広角ズームのパンフォーカス機


広角系ズームを搭載した個性的な入門機。画素数は109万しかなく、ピントもパンフォーカスだが、露出補正やAEロック、マクロモードなどを備えている。29mmの広角端や原色の鮮やかなコダックカラーもツウ好み。質感や操作性も悪くない。木に竹を継いだようなスペックのアンバランスさが、一種異様な魅力を醸し出している。しかし、消費電力や処理速度などの基本性能に問題があり、現在では実用は難しい。
(2015.09.11)

従来の本ページの説明には重大な誤謬が含まれていました。謹んでお詫び申し上げますm(__)m
【2011年07月18日改訂】

技術というのは、常にある一定の方向に向かって変化して行く。それを普通は「進歩」と呼ぶのだが、その「進歩」の方向を決めるものが「経済原理」だけだと、必ずしも良い方向に変化しない。利潤第一で易きに流れる大衆に迎合すれば、コンビニ弁当が日本人の味覚を壊していくのと同じように、カメラもまた素人向けのツマラナイ仕様に収斂していく。カメラのコンビニ弁当化を「進歩」とは呼べない。

しかし、幸か不幸か、各メーカーの技術力や販売力には大きな差がある。同じ波に乗りたくても乗れないメーカーもある。決して個性的なものを作ろうというのではないが、売れ筋商品を作るだけの能力がない場合には、売れ筋とは違った方向に走らざるをえない。そこに思いがけない個性的な製品が生まれることがある。たぶん、このDC215 ZOOMもそうした特異な製品の一つだろう。

●不思議なスペック

このカメラのスペックは非常に個性的だ。まず、29〜58mmというズームレンズが目を惹く。デジカメは総じて広角系に弱く、このクラスで広角系ズームを採用しているのは珍しい。また、露出補正も可能である。しかも、±2EV(0.5EV step)と言うきちんとしたもので、ボタン一つで操作できる。メニューの奥底に眠っているデッドスペックではない。外観もカメラらしく、質感も悪くない。また、コダック独特の鮮やかで深みのある発色に魅力を感じるユーザーも多い。総じて、マニアが好みそうな要素を揃えている。

ところが、画素数は100万ちょいしかなく、しかもピントは固定焦点なのだ。どちらも、当時の他社のエントリーモデルか、それ以下のスペックである。販売上、最も重視される二つのポイントで手抜きが目立つ。もちろん、100万画素でもかなり奇麗な写真は撮れる。一般にWeb上で使用される写真がせいぜいXGAクラスだということを考えれば、用途次第では現在でも十分に使える画素数だ。また、固定焦点も馬鹿にできない。未熟なAFよりも失敗率は遥かに低い。だが、一般的な消費者はそう見ない。売る立場から言えば、これは苦しいだろう。

つまり、このカメラにはマニアが喜びそうなスペックと、素人にすら馬鹿にされるようなスペックが同居しているのだ。このアンバランスさが独特な雰囲気を作っている。しかし、なぜこんな奇妙な仕様になったのだろう? 一つ確実に言えるのは、この製品も突然現れたのではないということだ。物事は流れの中で見なくてはならない。

●DC215の系譜

発売年月型番レンズ
'97/10 DC210 ZOOM 29-58mm
'98/02 DC200 39mm単焦点
'98/05 DC210A ZOOM 29-58mm
'98/06 DC220 ZOOM 29-58mm
'99/09 DC215 ZOOM 29-58mm
まずは、このシリーズの変遷を見ておこう。何を以って「このシリーズ」と呼ぶかは微妙なところもあるが、一応、28-58mmパンフォーカスレンズか、もっこりボディのいずれかを踏襲している機種、という括りで;

シリーズ初号機となるDC210 ZOOM(以下DC210)が発売されたのは'97年冬。オリンパスC-820L(80万画素単焦点AF機)の3ヶ月後である。筐体中央部がもっこりと盛り上がったおにぎり型のボディが特徴的だが、29-58mmのパンフォーカスズームレンズを搭載し、スペック的には既にDC215 ZOOM(以下DC215)とほぼ同じになっている。デザイン自体は微笑みを禁じえないものだが、質感は良く、でかくて重いこともあって、手に取ってみるとけっこうエラソーな感じがする。ボディカラーは銀。

翌'98年春モデルのDC200は、DC210とほぼ同じ筐体を使い、レンズのみ39mm単焦点に変更した廉価版。勘違いしやすいのだが(てか、してたんだが)ズーム機の後に単焦点機が出ている。この時期、各社ともメガピクセル単焦点機がメインで、C-900 ZOOMもPawershot A5 ZOOMもCoolpix 900も世に出ていなかった。ズーム機と言えば一眼レフタイプのC-1400Lなどの時代だった。高級機のイメージがあるズーム機ではなく、売れ筋の単焦点機がセールス的に必要とされたのだろう。でも、少なくとも中古市場を見る限り、このDC200がそれほど売れたとは思えない。

続く夏モデルはDC210A ZOOM(以下DC210A)。これはDC210のマイナーチェンジ機で、筐体も中身もほぼ同じもの。ボディカラーが銀から黒に変更され、内部もブラッシュアップされている。ただし、ファームウエアの更新によってDC210もDC210A相当になる。要するに、基本的には同じ機種であり、値下げと店頭対策(旧モデルはすぐに撤去される)が目的だったと思われる。ちなみに、同梱CFカードの容量が4MBから8MBに増え、定価も8万1000円から7万9800円に値下げされた。ただし、ボディの黒塗装はけっこう質感が高く、変なコストカットをしていないのは偉い。

本ページでは「メーカー希望小売価格」や「標準価格」のことを「定価」と呼んでいる。本来の定義から言えば、これらは「定価」ではないが、「メーカー希望小売価格」や「標準価格」という表現はあまりに冗長で、かつ適当な短縮表現もないようなので(「希価」とか「標価」とか…)、あえて「定価」という表現を使っている。

DC220 ZOOM(以下DC220)はDC210Aとほぼ同時期に発売され、光学系も画素数もほとんど同じだが、外観が大きく異なる。正面から見るとほぼ正方形で、重量も525g(電池別)もある。DC220はDC210の系譜と言うよりも、同時発売のDC260 ZOOM(3倍ズーム機)の廉価モデルというポジションで、デジカメ用OS Digitaを搭載しているのが最大の特徴。したがって、この系譜の中にいれるべきどうかは、かなり微妙なモデル。しかし、新機種を発売するときも、過去製品の資産をそのまま使うのは、極めて合理的であり、また示唆的でもある。

で、いよいよDC215 ZOOM(以下DC215)の登場となるのだが、今までほぼ季節ごとにリリースされていたのに、DC210A/220からDC215の間には1年以上のブランクがある。しかも、ボディが大幅に小型化された反面、中身は初代DC210とほとんど変わっていない。つまり、2年近く前の旧モデルを小型化しただけのビギナー向け廉価版(オープン価格:4〜5万)という位置付けのようだ。ただし、「廉価版」とか「入門機」という表現は必ずしも適切ではない。確かに価格は安くなっているが、露骨に質感を落とすようなことはしていないし、中身もかつての「上級機」と同じなのだから。

●ラインナップ

一方、この時期(1999年)のコダックの製品ラインナップを見ると、次のようになっていた。おそらく、一番の売れ筋はDC240 ZOOM(以下DC240)だろう。実際、DC240はスペック的にもツボを抑えているし、製品としてのデキもかなり良い。ただし、販売数ではDC215とどちらが上だったのかは判らない。DC240は売れ筋スペックだけに、他社にも競合モデルが多く、大半のユーザーは国内メーカー製品を選んだのではないかと思う。むしろ、さまざまな理由で売れ筋から外れた製品を狙った層が、こぞってDC215を選んだような気もする(私もその一人なのだが)。少なくとも、オークション市場を見る限り、DC240よりもDC215の方がポピュラーだ。

クラス型番レンズ画素数合焦備考
上級機DC290 ZOOM標準系3倍ズーム200万画素AFDigita搭載、DC260系弁当箱筐体
中級機DC280J ZOOM広角系2倍ズーム200万画素AF30-60mm
主力機DC240 ZOOM標準系3倍ズーム130万画素AF 
入門機DC215 ZOOM 広角系2倍ズーム109万画素固定焦点 
廉価機DC80 標準単焦点33万画素3点ゾーントイカメ?

DC215はDC240の下のクラスで、位置付けで言えばやはり入門機と言うことになる。しかし、この時期の入門機はAF単焦点が多く(C-830LやFinePix 1500)、さらに1ランク下のモデルをラインナップしている場合もパンフォーカス単焦点がほとんどだ(Finepix 1200やDSC-X200あたり)。このクラスでズーム機というのはかなり珍しい。そのため、このDC215を「入門機」という括りで他社製品と比較するのは困難だ。いろいろな意味で独自なポジションの製品だったと言って良いだろう。

なお、系譜という点で考えると、実はDC210Aの直接の後継機はDC215ではなく、DC280Jの方ではないかと思う。広角系の2倍ズームという共通点があり、ボディの構造もかなり似ている。DC210Aの中央部のふくらみをなくせば、DC280JやDC240とほぼ同じである。DC210Aの画素数を増やしてAF化したのがDC280Jという見方も可能だ。スペック的に進歩のないDC215は、後継ではなく化粧直しのリバイバルという感じだ。

●基本スペック

レンズは35mm換算で29-58mm/F4-4.7。少々暗いが、感度がISO 140相当固定なので、ISO 100に換算すればF3.5-4くらいの明るさに相当する。パンフォーカスであることを考慮すれば悪くない。しかし、パンフォーカスであるため、画像にシャープさはない。これは仕方ないだろう。最短撮影距離は0.5m/1m(広角/望遠)とかなり寄れる。ピント位置は不明だが、比較的近めではないかと思われる。

20cmマクロモードも搭載。絞りを思いっきり絞って至近距離からフラッシュを当てて撮るという、GOKO Macromaxなどと同じ手法。少なくともAutoboy Liteの時代からある原始的な方法だが、バカにできないくらい奇麗に写る。ちなみに、ストラップが20cmの目安になると言う、これまた伝統的なお作法を守っている(レンズキャップの紐+レンズキャップも20cm弱)。こういうの好きだな。なお、電池残量が少なくなってくると、マクロモードにしても液晶モニタが点灯しなくなる。この場合、残量マークのいかんにかかわらず、電池交換が必要。シャッターは切れても記録ができない。

CCDは1/3"で109万画素、原色フィルター。原色が鮮やかなコダックカラーが魅力的(らしい…個人的にはあまり魅力は感じないが)。露出は外部CdSかSPDによる中央重点測光でプログラムAE。±2EV(0.5EV step)の露出補正可能。AEロックも可能らしい。シャッター速度は1/2"〜1/362"。単純に考えると、EV5くらいまで撮影可能。三脚を使えば、室内でもストロボなしで撮れる。

内蔵ストロボはGN=12(ISO 140)で、自動/強制/禁止で赤目軽減機能付きという標準的なもの。一応外光オートのようだが、何だか常時フル発光しているような気もする(ストロボ調光窓を塞いでも発光量の変化が感じられない)。なお、プリ発光しないタイプなので、スレーブストロボも使用できる。ここは偉い。

●ワイド系ズーム

DC215を特徴付けるのは、なんと言っても29-58mmの広角系ズームレンズ、しかもパンフォーカスの。そもそもパンフォーカスでズームと言うのが珍しいし、そのズームも29mmからというのがまたマニア心をくすぐる。もっとも、この焦点距離は何もマニア狙いで決めたものではないだろう。固定焦点でズームとなると、どう頑張っても望遠端は60mmくらいが限界。また、ズーム比率は最低2倍はないとカッコが付かない。それらの事情から必然的に出てきたのが、30-60mm前後の広角系ズームということなのだろう。要するに、固定焦点でズームを実現するには、他に選択肢はなかったのだと思う。AFズームはコスト的に高くなりすぎるのだ。

もっとも、ワイド系ズームが単に固定焦点のためだけのものだった、と言いたいわけではない。KodakはAF機にも30-60mmを採用しいているモデルがいくつかある。名機と呼ばれているDC4800も28mm-84mmだ。スナップ用のDC3800も33mmと広角寄り。やはり、広角に対するなにがしかのこだわりがあったのだと思う。

ただし、それはこのレンズを最初に採用したDC210のころの話。DC215のころになると、AFズームは一般的なものとなり、普及クラスにも搭載されるようになっていた。実際、KodakもDC215の半年前にDC240(AF3倍ズーム)を出している。にも拘らず、あえてこの時期に固定焦点ワイドズームを出してきた理由は−−これはもう、旧モデルの再利用によってコストを抑え、価格競争力を持たせたかったからとしか考えられない。実際、DC215の実売価格は他社のAF単焦点機とほぼ同じだった。

このころの各社のデジカメの実売価格を調べたところ、AFズーム機はC-900ZとPowerShot A50が5万、Finepix 1700Zは7万、DC240は5〜6万。AF単焦点機だとC-830Lが4万、Finepix 1500が5万、DSC-SX150が6万。固定焦点機だとDCS-X100が3.5万、DSC-X200が4万。まあ、発売直後は価格が高く、そのあと急激に値下がりして行くので、こういう「点」の情報はあまり意味がないかもしれないが、普及型AFズーム機の下限が5万くらい、AF単焦点機の下限が4万くらい、という感じだったと見て良いだろう。そんな中で、DC215は4万くらい、つまりAF単焦点機とほぼ同じだった。予算4万円でAFを取ってC-830Lを買った人もいれば、ズームを取ってDC215を選んだユーザーもいただろう。そういう選択であれば、DC215にも十分勝ち目はあったと思う。

というわけで、実はこの時点で「固定焦点ワイドズーム」の積極的な意義はなくなっている。たまさか再利用できそうなモデルが「それ」だったに過ぎない。しかし、たまさか「それ」であったことは、かなり幸運だった思う。繰り返しになるが、この価格帯でズーム機は他になく、安価でズーム機を入手したいユーザーには、ほとんど唯一の選択肢だったのである。かく言う私もその一人。もっとも、私が買ったのは2000年か2001年ころで、店頭価格は2万を割り込んでいた。たしか、1万6800円くらいだったような気がする(うろ覚え)。常に、単焦点メガピクセル機のローエンドの価格帯と同じところにいたのである。

ただし、その代償は決して小さくなかった。固定焦点は納得として、その他の基本的な部分−−たとえば、起動時間とか撮影間隔とか電池寿命−−の性能も、やはり旧モデルそのものだったのである。その点では、DC215よりも前に出たDC240の方が遥かに優れている。

●露出補正

このカメラを語る際に、ワイド系ズームと並んで重要なファクターが露出補正。実は、私は、DC210やDC210Aには露出補正機能がなく、DC215で初めて追加されたものだと思い込んでいた。実際、メーカーのHPを見ても、スペック表を見ても、DC210/210Aが露出補正可能だなんて一言も書いてない。DC210Aを実際に手にしてみて、初めて気が付いた。で、慌ててDC210AとDC210のマニュアル(PDF)をダウンロードして確認したら、なんと、DC210の段階で既に露出補正は可能になっていた。その後、DC210の初期バージョン(ファームウエアの更新をしていないもの)を入手したが、やはり露出補正機能があった。しかも、DC215と同じ操作方法で。

DC210などのマニュアルは、今も【KodakのHP】から入手可能。でも、ちゃんとしたPDFじゃなくて、紙マニュアルのスキャン画像をそのまま貼り付けてあるだけ。まあ、それはいいとして、もうちょっと丁寧にスキャンしてほしいかな、と…。

この「DC215と同じ操作方法で」というのが実は重要な点で、単に露出補正機能が付いているだけなら、それほど注目はしない。DC210/210A/215では、メニューから露出補正が設定できるだけなく、右()ボタン一つで呼び出せるのだ。これは非常に便利なのだが、同時にかなり不自然な感じがする。確かに、他メーカーの機種でも、十字キーで露出補正をダイレクトに呼び出せるものは存在する。だが、DC215などの呼び出し方は、微妙に付け焼き刃的な感じがするのだ。

もう少し具体的に言うと、まず、露出補正ボタン()に露出補正を意味するマークや文字が一切書かれていてない。また、左右のボタンがあるのだから、露出補正を割り振るなら、左右それぞれに−/+を割り当てるのが普通の感覚だろう。設計の初期段階から、露出補正をダイレクトに呼び出すことを考えていたなら、きっとそうしたに違いない。つまり、この機能はDC210の仕様が決まった後になって、突然追加された機能ではないかと思う。そう考えれば、この操作性も、HPに記述がないことも納得できる。

さらに言えば、上位機のDC260にも露出補正機能はあるのだが、こちらはメニューからしか設定できない。DC215やDC210のようにボタン1つでダイレクトに呼び出すことはできないのである(Digitaを使えば細工ができるのかも知れないが…)。つまり、DC210の露出補正の操作系は後継機種に踏襲されなかった。やはり、たまたま何かの拍子で付いてしまったものなのだろう。DC215が踏襲しているのも意図的なものではなく、単なるDC210(A)の再利用機だからに過ぎないだろう。しかし、この方式がメニュー方式よりも優れているのは紛れもない事実で、経緯はどうあれ、DC215のセールスポイントの1つになっていたことは間違いない。

●液晶オフ起動とストロボ設定保持

液晶オフ起動可能−−というより、液晶オン起動ができない。非常にグッド。ただし、ストロボ設定は保持できず、毎回オート発光に初期化される。これは大きなマイナス・ポイント。チャージは比較的早いが、誤発光頻発の超迷惑仕様。

ただし、過去に数回、ストロボ設定が保持できたことがある(!)。撮影モードで電源をオンにしても、画質やストロボのマークが一切点灯せず(つまり再生モードの液晶表示と同じになる)、先回の設定がそのまま維持された状態で撮影ができた。しかし、再現性がない。電源スイッチを押すタイミングみたいな気がするが、単なるバグかも知れない。いずれにしろ、再現ができないのでは意味がない。

●使用上の問題

と言うことで、いびつなDC215は魅力と言う点は突出しているのだが、実用性は低いと言わざるをえない。固定焦点のピン甘さや画素数の少なさには目をつぶる事はできるが、電池消耗の早さや処理速度の遅さは致命的だ。連写はおろか、数秒おきの撮影も快適にはできない。また、モニタを点灯するとアルカリ乾電池では実用にならない。ニッ水でも、光学ファインダーで撮影して、液晶モニタで確認という作業を繰り返すと、まあ、30〜40枚がいいところというカンジ。気持ちに余裕があるときに、たまに取り出して、3、4枚撮って「ははは…」と笑う以上の使い方は無理でしょう。なお、ACアダプタはフジの5vのものがそのまま使える。

も一つちょっと気になるのが日付設定。電池を交換すると、起動のたびに日付の設定を要求される(1秒以内ならセーフかも(^^;)。これが非常に欝陶しい。しかも、年月日時分秒のすべて項目にカーソルを動かさないと有効にならないし、最後に青ボタンも押さなければならない。うっかり、日付の変更だけしてメニューを抜けると設定は無効になり、次回の起動時にも設定を要求してくる。ちなみに、即座に初期化されるのは時計の設定だけのようで、画質モードその他の設定は、ある程度の時間保持されているような気がする。

前述のように、DC215はDC240とほぼ同時期に販売されていた(発売はDC240の方が半年ほど早い)。そして、技術的優劣で言えば、DC240はDC215よりも遥かに優れている。動作速度も画質も機能も電池寿命も、明らかに一世代以上の差がある。しかし、魅力と言う点ではどうだろう? DC240のようなデジカメはありふれた存在だ。オリンパスのC-920やその兄弟機たちとモロにカブる。売れ筋スペックゆえに没個性的なのである。

●故障と対策

このDC215には、一つかなり重大な問題がある。長期間放置しておくと、上部の液晶に「c0」と表示され、全く起動しなくなってしまうことがあるのだ。私の1台目のDC215もこの現象が起きた。オークションでも同症状のDC215をかなりたくさん見掛ける。おそらく固有欠陥だろう。

基本的に、この症状が起きたらメーカー修理に出す事になるのだが、メーカー修理は高く付く。DC215のオークション相場(1000円〜)を考えると馬鹿馬鹿しい。で、いろいろ調べていたら、《こんなページ》があった(英語)。要するに、この症状はリセット操作で回復することがあるそうだ。そのリセット方法とは;

  1. 電源オフ状態でCONNECTモードにしておく
  2. RS-232CケーブルでパソコンとDC215を接続する。
  3. 電源スイッチをオンにして、そのままホールドする。
  4. さらにセルフタイマー、シャッターの順にホールドする。
  5. 電源スイッチ、セルフタイマー、シャッターの順にりリースする。
  6. LEDが赤から緑に変わり、設定液晶にぐるぐるマークが表示される。
で、先日ようやく試してみたのだが、結論から言うとダメ。確かに、上記の操作でLEDは緑になるが、そのあと一切の操作を受け付けない。シリアルケーブル引っこ抜くか、電池を抜くかしないと次に進めないのだが、どちらをしても「c0」が再発する。PC側からカメラにアクセスに行ってもダメ。接続に失敗して「c0」状態に戻る。まあ、中古価格を考えると、これ以上の深入りは賢明ではないか…

ちなみに、この現象はファームウエアのアップデートで修正可能らしい(最新は5.00)。真偽のほどは定かではないが、確かに手許にある5.00の機体では起きていない。発症している方の機体のバージョンは不明だが…。で、ファームウエアは《こちら》から入手できるようだ。ちなみに、このファームウエアは、CFカードの[System]フォルダにコピーして、カメラ側で実行させる方式らしい。と言うことは、既に「c0」エラーが出ている状態では適用できんだろう。やっぱり、上記の方法で一度復活させないといけない。しかし、このアップデートでの変更点って、どこにも書いてないような気がするんだけど…何が変わるんだろう?

ただし、ファームウエア原因説には疑問も残る。というのは、私はc0が発症した機体と、発症していない機体の2台持っているのだが、シリアルを見る限り、発症機体の方が新しい(数字が大きいほど新しいと仮定しだが;けっこう怪しい)。しかも、古い機体のバージョンは5.00。さらに、新しい機体に付いてきた取扱説明書を見ても、バージョン5.00になっている。もちろん、「古い機体はバージョンアップ済みで、新しい機体は1.00のまま」という可能性はあるが、常識的には、新しい機体も5.00と考える方が合理的。むしろ、このc0エラーは、ハードウェアに起因するものではないか? なんとなく、シャープのメモリオーディオのRAMが死んだときの状況と感触が似ている。何もしていないのに突然おかしくなり、最初は電気ショックを与えると復活していたが、そのうちだんだん本当にダメになっていく感じが…

もうひとつ、電池ボックスのツメの破損もよく起きるようだ。確かに壊れ易そうな構造になっているが、これは丁寧に扱う他に方法はなさそうだ。電池ボックスの構造としてはDC210Aの方が優れていると思うが、ボディの小型化のために変更が必要だったのだろう。また、ACアダプタは原則的に使用禁止。電源オンのまま抜き差しすると、(タテマエ上の免責表記だけではなく)けっこう本当に壊れる。

主要諸元
発売年月 1999年9月 オープンプライス(店頭当初価格4〜5万)
型式 [100万画素][広角系ズーム][固定焦点]
CCD109万画素、1/3"正方画素CCD、原色フィルター
解像度1152×864/640×480
レンズ 29-58mm/F4-4.7(35mm換算)
シャッター 1/2"〜1/362"
ピント調節 固定焦点(マクロモードあり)
最短撮影距離 0.5m/1.0m(広角/望遠)、マクロ時0.2m固定
測光方式 中央重点測光(恐らく外部測光)
露出制御 プログラムAE
測光連動範囲
感度 ISO 140相当固定
露出補正 ±2EV (0.5EV step)、AEロック化
フラッシュ GN=12(ISO 140) 自動/強制/停止(赤目軽減あり)
ファインダー 光学実像式 90% x?
液晶モニター 1.8"
記録媒体 コンパクトフラッシュ
電池 単3電池4本(マンガン不可)
PC接続方式 RS-232Cシリアル(Windows, Macintosh)
外観 115×43.3×67.5mm/305g(電池別)
仕様出典 コダック社のHP ※リンク切れ
その他 ◎デジタルズームはなし。
◎使用中にACアダプタを抜き差しするとかなり高い確率で故障する。
◎ファームウエアは5.00が最新、1.00ユーザーはアップデート推奨。


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