†貧乏カメラ館・でじたる別館†
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★★☆ 発売年月 2001.12/価格オープン(店頭3万〜) スペックは悪くないが完成度が低い |
同時期(2001年後半)の競合モデルとしては、オリンパスのC-200ZやキャノンのPowerShot A20、フジのFinePix 2600Zなどがある。しかし、これらのカメラメーカー製品と比較されてしまうと正直なところ厳しい。完成度には相当大きな開きがある。スペックだけ見て「地味ながら隠れた名機なのでは?」などと期待しない方が良い−−期待して裏切られた私が言うのだから間違いない(^^;
しかし、トイカメベースの日立i.megaと比べれば遥かにマトモで、デジカメとしてのポイントはきちんと押えている。FinepixとCAMEDIAを足して二で割ったような印象。確証はないが、フジ製品と関係が深いような気がする(この点については後述)。i.megaはぱちもんルート(ギフト、景品、特売品)に活路を見出したわけだが、さて、このAllegrettoは言うと…中途半端にマトモなのが祟ってしまったような気がする。メーカーHPは【こちら】。※リンク切れ
なお、絞りに関しては詳細がよくわからない。一応、メーカーのスペック表には「F2.9 〜F3.02、f =6.2 〜18.6mm」と書かれているが、最小絞り値の明記がない。また、メーカーのサンプル画像は屋外でも屋内でもすべてF3.0。絞りは開放固定の可能性あり。ただし、室内でストロボをオンにしてマクロ撮影をしたときには、F4.29になっていた。ストロボ撮影またはマクロ撮影の場合には、多少絞るのかも知れない。また、後述するように、ISO 400時には極端に絞ったような状態になるので、絞り制御機構がまったくないわけでもないようだ。しかし、手持ちの機体が故障して、これ以上検証のしようがない。いずれにしろ、F8まで1/3段単位で設定できるなどということはなさそうだ。
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▲メーカーHPより |
なお、後継のAllegretto 2300は、レンズをボディの中心からずらし、グリップ部にふくらみを付けて、ホールドしやくすしている。…もっと早く気が付けよ(u_u;) 慣れれば済む話かも知れないが、ちょっとカメラにうるさいユーザーなら、最初の一握りで異和感を感じるレベル。
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▲かっちょいい軍艦部 |
ついでに言うと、ACアダプタもフジ製がそのまま流用できるし、USBコネクタもフジと同じタイプ。なお、フジのUSBコネクタは特殊で、他社では滅多に使われていない。さらに、Allegretto M1はFinepix 500のまんまOEM製品だったことを考えると、Allegrettoシリーズとフジの関係はかなり深いものと考えられる。
一方で、マクロ、ストロボ、画素数は独立ボタンで設定し、設定は設定用モノクロ液晶に表示される。これはオリンパスのC-900シリーズなどの流儀に近い。また、操作系とは直接関係ないが、感度がISO 100/200/400固定可能だったり、レンズがクラス不相応に明るかったり、ダイヤルが背面ではなく上部に付いていたりするのも、どちらかと言えばオリンパス的。何となく、フジとオリンパスの両方の匂いがする。……ひょっとすると、両方とも三洋が手掛けていて、Allegrettoも三洋製ということ?−−当て推量に過ぎないが。
感度設定の選択肢も[100/200/400/白黒]。「白黒」なんて感度はね〜よ。モニタ表示の選択肢は[オフ/オン/すべて]。なんだよ、「すべて」って? 実は[オフ/簡易表示/詳細表示]という意味なのだが、この表記で理解しろというのは無理。さらに、[長時間]という独立項目があり、1秒または2秒が選べるようになっているんだが、そんなら最初の[録画モード]を[ワンショット/マルチ/1秒/2秒]の4選択肢にすればいいのに。てか、そもそも、長時間モードってなによ?夜景は普通にスローシャッターになるんじゃないの?
…と言うようなカンジで、メニューが(というか、設計者の頭の中が)きちんと整理されていないのがありありと判る。そもそも、カメラのセオリーをまるで理解していない。普通なら、まず[撮影モード]という項目を作り、その中に[通常/16分割/夜景1/夜景2/モノクロ]という選択項目を作るだろう。内容的には[ワンショット/マルチ/長時間]と大差なくても、わかりやすさが全然違う。一事が万事この調子で、全体に漂っている素人臭い異和感が非常に気になる。
というか、この時期だと、FinepixもA/M切り替えからは卒業しているハズ。……やっぱ、ベースになる古いFinepixがあって、それをコチョコチョいじることで独自仕様にしたため、尾底骨みたいなものが残っている、と解釈するのが自然だろう。
ちなみに、ホワイトバランスは完全に固定できるわけではないようだ。プレビュー画面と撮影結果でかなり大きく異なる(特に蛍光灯モード)。固定モードでも何らかの自動補正を掛けているものと思われる。固定モードは大雑把にしか選べないから、補正を掛けること自体は悪くないが、ほとんど固定の意味がないくらい大きく変わる。それはないんじゃない? そう言えば、Finepixもそういう傾向があったな。
また、Mモードでは原則的に液晶モニタオン撮影になる。設定を変更するとオフにもできるのだが、どうも
なお、露出補正は±1.5EV(0.3EV STEP)。1/3段じゃなくて、0.3段ステップというのもFinepix的。また、デフォルト設定では液晶モニタはかなり暗い。実感として1段分くらい暗い。そのため、プレビュー画像を基準に露出を決めると、かなり大きく狂うので注意。液晶モニタの明るさは変更可能なので、明るめに設定しておくと良い。ただし、かなり発熱しているようなので、電池寿命に影響が出る可能性もある。
ちなみに、画素数は約1800×1200と約900×600の2種類、画質はそれぞれ3段階で、都合6モードある。これが独立ボタンの一つに割り付けられていて、プッシュするごとにサイクリックに変わる。余り使いやすくはない。このクラスでこの設定方法なら、3モードくらいが丁度良いと思うのだが……てか、VGAモードを作れよ。
再生速度も比較的高速。拡大表示時のスクロール速度も快適。ただし、撮影→再生の切替時や、削除操作時にはワンウエイト掛かる。特に削除操作時のレスポンスの悪さはちょっと気になる。
広角端でほぼ最近接。姫子の顔は10円玉大。SMALLモードで撮影したものを縮小。ストロボを発光しているため、片側が陰になっている。
デジタルズームは光学ズームとシームレス。ただし、倍率はx2のみで、中間倍率は使えない。望遠端でデジタルズームを使うよりも、広角端で寄る方が撮影倍率は大きくできる。オススメは広角端からズームレバー(T)を4回押した位置。広角端→望遠端は8プッシュくらいなので、焦点距離にすると50mmくらい。たぶん、このあたりの最短撮影距離が「8cm」なのだと思うが、距離と倍率のバランスが比較的良い。
電池寿命はアルカリで180枚。長期ロードテストをする前にぶっ壊れたので、それ以上のことは言えないが、発売時期とFinepix系統であることを考えれば、十分長寿命と呼べるレベルだと思う。
なお、レンズカバーはなく、かぶせ式のキャップを採用。うっかり付けたまま電源を入れても、自動的に外れてくれる(もちろん、要キャップ・ストラップ(^^;)。C四桁機のように、恐ろしい異音を発してエラーになったりしない。もちろん、レンズカバーの故障で動かなくなるようなこともない。これはなかなかグッド。
また、この機体は入手当時から感度がおかしかった。ISO 200までは特に目立った問題はないのだが、ISO 400にすると真っ暗(ごくぼんやりと写ってはいる)になってしまう。絞りのコントロールが効かず、常時絞り込んだ状態になっているような感じ。まさかそんな変な仕様もないだろうから、たぶん、私の機体固有の問題だろう。上記のレンズの故障と関連があるのかもしれない。
なお、こいつのExif情報はあまりアテにならない。ISO感度をいくつに設定しても、常に100と書き込まれる。絞りや速度は変化しているから、単純に感度情報の変更し忘れだろう。ヤレヤレ…
※
突出した欠点はなく、性能もそこそこ良い。実用性は十分。しかし、随所に見られる無神経さは、カメラ好きとしてどうしても許容できない。ファブが優秀だから、パーツを適当に組み合わせればそこそこの物ができるだろう−−みたいで、愛が感じられない。ハナシのネタに一度使えば十分。もう少し勉強してから作ってね、と言ったところ。あとは価格の勝負だろうね〜〜。性能は悪くないから、こだわりのない層になら、値段次第ではアピールできるでしょう。結果的にそんなに売れなかったみたいだけど。後継のAllegretto 2300は少しはこなれているのかなぁ…? ぴくぴく…←食指が動く音(^_^;
主要諸元 | |
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発売年月 | 2001年11月/価格オープン(3万円前後〜) |
クラス | 光学3倍ズーム/単三4本/エントリークラス |
撮像素子 | 1/2.6" 原色CCD/216万画素(230万画素CCD) ※発色は超ハデ |
画像サイズ | 1792×1200/896×600 ※ほぼライカ判比率(3:2) |
レンズ | 38-114mm/F2.9-3.02(35mm換算) ※絞りは開放固定かも? |
シャッター | 1"〜1/1000"、別途長時間モード(1"/2")あり |
ピント調節 | AF(AFロック可否不明) ※おそらく中央1点 |
最短撮影距離 | 通常40cm/マクロ8cm ※広角端では2cmくらい、望遠端では40cmくらい |
露出制御 | プログラムAE、別途長時間モード(1"/2")あり |
露出補正 | ±1.5EV(0.3EV) ※Mモードのみ |
感度 | ISO 100/200/400 固定 ※ISO AUTOはなし |
フラッシュ | オート/赤目軽減/強制発光/発光禁止/スローシンクロ、最短0.4m ※GN不明 |
ファインダー | 実像式 ※倍率も視野率もかなり小さい、ファインダーの位置が悪い |
液晶モニタ | 1.5" TFT ※かなり暗い、ただし明るさの変更は可能 |
記録メディア | スマートメディア(3v)、128MBまで対応 |
PC接続 | USBマスストレージクラス ※コネクタはFinepixと同タイプ |
外観 | 105×68×55mm/230g(電池別) |
電池 | 単三電池4本(アルカリ/Ni-MH等) |
電池寿命 | アルカリで180枚(液晶オン/ズーム動作なし/ストロボ100%/連写) |
仕様出典 | メーカーHP ※リンク切れ |
その他 | 16分割連写モードあり 実測で起動約5秒(公称2秒)、撮影間隔約2秒(FULL/★★) 各種設定は保持される(起動時初期化不可)、ストロボOFF&液晶OFF起動可能 レンズバリアなし(かぶせ式レンズキャップ) |