†98noteほのぼの組†

98NOTEシリーズ

作成開始日 2003.12.12
最終更新日 2004.04.07

なぜ今さら98NOTEなのか? 答え「テキスト入力マシンとして魅力的だから」。すなわち、@キータッチが良い、A動作音が静か、B目に対する負担が少ない、の三つの条件を満たすことのできる数少ないノートPCなのだ。もちろん、すべての98NOTEがこの条件を満たしているわけではない。

●いきなり結論「NS/Tが一番!」

まだ、すべての機種をチェックしたわけではないが、テキスト入力マシンとして実用に堪えるのは、@98NOTE NS/T、A98NOTE NAの二機種というのが現時点での結論。コンパクトさではNS/T、キータッチはNAがやや上、ヒンジ破損対策ではNS/Tが上。液晶や静音性に関しては互角。CPU速度も大差はないが、そもそもVz専用マシンだから問題にならない。トータルに見るとNS/Tがベストの選択。なお、旧98NOTEシリーズで未チェックなのはNS/Rのみ。ただし、カラー機やライト系は対象外。

●ラインナップ

旧98NOTEシリーズを大雑把に分類すると、下記のようになる。ここでは、キータッチと視認性を重視しているので(静音性は全ての9801ノートで問題なし)、初代系、ライト系は対象外。後期タイプはNS/Aしかチェックしていないが、キータッチの低下が著しかった。NS/RやNX/Cが劇的に改善されている可能性は小さいので、やはり当面は対象外。

初代系:青液晶・非パック式HDD
N初代、青液晶、V30-10MHz、HDD内蔵不可?、キータッチ[下]
NV 初代Nのリバイバル機、V30HL-16MHz、HDD内蔵不可
N/20Nに20MBのHDDを内蔵したものだが、SASIらしい。
NS 青液晶注意、HDDに関しては未チェック
メイン系:白液晶・パック式HDD
NS/E 386SX-16MHz、キータッチ[中]、8階調白黒液晶、
NS/T 386SL-20MHz、キータッチ[中上]
NC 386SX、バカ高かった初代カラー、キータッチ[?]
NA 486SX-20MHz、モノクロの最上位モデル、キータッチ[中上]
NA/C NAのカラー版 キータッチ[上]
後期タイプ:筐体変更・3モードFDD・キーボード品質低下
NS/R 486SX-16MHz、3モードFDD、長時間駆動、未入手
NS/A 486SX-33MHz、キータッチ[中下]、期待外れ品
NX/C 486SX-20MHz、NS/Rのカラー版という位置付け?
ライト系
NL V30HL、ライト
NS/L 386SX、二代目ライト(SXじゃなくてSLかも知れない…)
NL/R 486SX、FDD内蔵不可

●NS/E、NS/T、NAの比較

無改造で使うことを考えれば、やはり、メイン系のNS/E、NS/T、NAの3機種しか選択肢はない。キータッチはこの順番で少しずつ改良されている。したがって、NAが最も優れた機種と言いたいところだが、実はNAとNS/Eは98NOTE最大の欠陥であるヒンジ破損に対する処置が施されていない。その点、NS/TはFDDがプラカバーで保護されているので、たとえヒンジが破損してもFDDを圧迫する可能性は小さい。また、NS/Tに比べてNAは入手が難しいというデメリットもある。さらに、サイズもNAの方が若干大きく重い。特に、僅かながらキーボード部が厚くなっているのが気になる所。

と言う事で、むしろ現実的な選択肢はNS/Tとなる。とは言え、NS/TとNAのキータッチの差は有意差であり、指が疲労しているときなどには、かなり大きな違いを感じる。したがって、NS/TにNAのキーボードを移植するのが最も良い選択肢かも知れない。

●NS/Aの改造の可能性

キーボード換装が可能であれば、NS/Aも魅力的な選択肢になる。3モードFDDが使えるし、外装が変更されたためFDD破損も起きにくいと思われる(ただし、ヒンジ部の構造自体は旧機種と大差ないので、ネジが樹脂ボディからもげる故障は起きやすい)。と言うことで、キータッチさえまともになれば、かなり魅力的な選択肢になるのだが、現時点ではNS/Aキーボードの換装は極めて困難なようだ。

●キータッチ

チェックしたキーボードには三種類あった。このうち、NS/E用とNS/T用は構造的には酷似しているが、ケーブルの線数が異なるため、そのままでは互換性がない。しかし、どちらも分解可能なので、中のゴムだけ取り出して交換することは可能。NS/A以降はケーブル位置も物理形状も変更された上、分解も不可能なので、キータッチの悪さはどうやっても改善できない。リベット溶かして分解したろか〜〜!

NS/E用 ケーブル14線、分解可能、黒ゴム、タッチがやや硬い
NS/T用 ケーブル11線、分解可能、緑ゴム、タッチが柔らかい、NAも同タイプ
NS/A用 分解不能、タッチが非常に悪い、9821Nd2も同タイプらしい

チェックした中でキータッチが最も優れていたのはNA/Cで、これはデスクトップ並みと呼んでも過言ではなかった。常識的に考えれば、NAのキータッチもNA/Cと同じはずだが、実際にはそこまで優れた感じはしなかった。個体差か、造りが異なるのか不明。

●ヒンジ破損の問題

この問題についてもう少し詳しく説明しておく。旧98NOTEには、液晶の右側の根元のヒンジ(蝶番)部分に致命的な欠陥がある。素材の強度が弱く、液晶の開け閉めを繰り返すとヒンジ部を押さえているネジ部分が取れてしまう。この状態で液晶を開くと、壊れたヒンジ部が、ヒンジ直下にあるFDDを圧迫して壊してしまう。この現象は、一定の経年変化でほとんど確実に起きる。

はっきり言えば、これは完全に設計ミスで、当初はメーカーが無料修理をしていたらしい。しかも(噴飯物だと思うのだが)NECはその後も、この欠陥をそのままにして新機種を作り続けた。流石にNS/Tでは、FDDを保護するプラカバーを付けて、ヒンジが破損してもFDDが守られるようにしたが、ヒンジ破損自体が起きないようにはしなかった。しなかったと言うより、できなかったと言う方が正解だろう。ABS樹脂の強度の問題だから。

私が中学生時代、技術家庭の授業の教材として大工道具を買わされたことがあった。そのときのカンナが何とABS樹脂製。メーカー曰く、金属以上の強度を持っていて、しかも木製よりも安い! ところが、刃の調節のために木槌で軽くコンコンとしたら、カンナが見事に真二つ。スが入っていたんだね。この時、素材自体の強度ってほとんど意味がないことを知った。成形が不均一で応力集中が起きたり、ねじれたり、経年変化で変質すれば、実にもろいものだ。

で、対処法だが内部を開けて、ヒンジの角度調節機構を除去してしまうしかない。こうすると、液晶を途中の角度で止めることはできなくなるが、FDDを壊される続けるよりはマシである。仮に、まだヒンジが故障していなくても、ほぼ確実に起きる現象なので、少なくともNS/EやNAでは、予めヒンジ部のバネを除去しておいた方がよいだろう(「98NOTE修理記」参照)。

●9821ノートの問題

結論から言えば、9821ノートはテキスト入力マシンとしては失格。初期21ノートはアーキテクチャとしてはまだ98だが、Windowsに最適化するために9801ノートの良い点をかなり切り捨ててしまっている。たとえば、CPUの高速化のためにファンが必要になり静音性が低下したし、解像度が高くなったために、逆にDOSモードでは文字が小さくなってしまった。また、キータッチはコストダウンの犠牲になり、あまつさえ、スライドパッドのような邪魔物のために、入力が煩わしくなった。Windowsに特化してしまった9821ノートはほとんど意味がない。それならばDOS/Vノートの方が気が利いている。

しかし、ファンレスでVGAという比較的初期の9821ノートはまだ利用価値がある。と言っても、キータッチは総じて感心しないので、テキスト入力マシンとしては失格。じゃあ何に使うんだと言うと…主な用途は○○○ゲームかな?ほとんどがカラーだし(^_^; ま、それはともかく、長文入力を伴わないソフトウェア専用機ならば、まあ、何とかという感じ。限定されるけどねえ…。

また、LinuxかOS/2を入れれば簡単なメーラーとブラウザくらいは動くかも知れないが、そうまでして使うマシンではない。これらを入れるということは、実用マシンとして使用することを意味するが、結局、キーボードがネックになってまともには使えない。


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