ファンスキーの危険性(続々編) by こっちゃんさん

 

先日、ファンスキー(スキーボード)に関して掲載したところ、かなり大きな反響がありました。でも、怪我の話の一部だけを読まれて、ファンスキー(スキーボード 以下、ファンスキーとします)に関して誤解された面も多くでてしまいました。その誤解を、今回で解くことができればと思っています。(Snowman-Yukio)

 


 

 初めまして、こっちゃんと申します。

 ファンスキーの危険性についてのページ、見せていただきました。
見た次の日にスキーに出かけたのですが、一緒に行った、今年ファンスキーを買ったばかりの友人にも話をしました。体がごろごろ転がるような転び方をすると危ないみたいよ、なんて話をしながらゲレンデに出て、たった2本目でそれが現実になってしまいました

 コースは若干柔らかい雪が出ているものの、何の変哲も無い本当の初級者ゲレンデでしたが、滑走中に足を取られたようで、斜面に横向きにごろごろと転んだようでした。派手に転んだわけでもないのに動けなさそうだったので、心配して近くによって見ると、折れているようだと言うのです。

すぐにパトロールを呼び、近くの病院まで行きましたが、左下腿骨(左足首のちょっと上の太い方の骨)骨折、全治は1ヶ月以上という結果になってしまいました。

 やはり、外れないビンディングが原因で、足が捻られたために折れたようです。

 最近はファンスキーもどんどん長くなってきていますが、それによって危険性もかなり高くなっているのではないでしょうか。1m以上の板は開放する機構が必要だそうですが、彼の板は○○○○○○○の99.9cmでした。この数値には単なる規制逃れのような、今となってはメーカーの悪意さえ感じられます。

 自分の体験ではないですが、このページを見た次の日に事故が起きてしまったというのが余りにタイムリーだということと、お医者さんの話ではファンスキーの骨折がかなり多いと言うことでしたので、経験談を送らせていただきました。

 なお、怪我したのは2/5(土)の午前11時頃で、場所はタングラムのセンターハウスの前の斜面です。

 

 

 掲載するにあたって、メールでのやりとりも掲載させていただくことをご承諾いただきました。状況を把握するのに、大変興味深いところなので、掲載したいと思います

 

> とても残念なことですが、ご報告してくださって、ほんとうにありがとうございます
> 緩斜面で骨折というは、たいへんショックなことです

そうですね、あっさり折れるので驚きました。最初は信じられませんでした。

> 実は、HPでファンスキーの危険性をアップしてからこれまでに、
> ファンスキーで怪我をしているという報告をたくさんいただいています

 私もスキー場の近くのお医者さん、地元のお医者さんの両方から聞きました。入院した整形外科のお医者さんの一人も、ファンスキーで骨折したとか言っていました。(ちょっと笑えますね、不謹慎ですが)
折る個所は、やはり決まって足首のようですね。太いのと細いの2本あって、今回は片方だけなのでまだ良い方だとか。

 実は、昨日(2月20日)退院したそうです。ギプスによる固定でなく、手術でボルト固定したので、傷口が塞がれば松葉杖で動けるようです。

 


 

 インターネットのすごいところでしょうか。実は、以前続編で書いた、野麦峠での僕の目前のファンスキーでの事故の話ですが、詳しいことはかけませんが、とある方面より情報が少し入ってきました。野麦峠スキー場での事故も、足首の骨折でしたが、こちらの場合は相当ひどかったそうです。

 また別の方からも、ファンスキーによる事故は、もっぱら足首が多いとの報告が入ってきています。これは上記のメールでの話と一致するものです。このことはやっぱり、固定式ビンディングの影響がかなり大きいと思います。はずれない、固定されたビンディングの危険な一面が見えてくるものだと思われます。

 悲しいことに、足首の骨をかなりひねるような複雑な骨折をすると、元通りには戻らず、一生歩行時に後遺症が残ってしまう怪我になることもあるようです。

 前回の野麦峠での事故(ファンスキーの危険性・続編)をアップしたところ、かなりの方が「スピードの出しすぎによる事故だった」という印象を持たれたようです。残念ながら、あまりスピードは関係がないようです。

 今回の報告もそうでしたが、宮越さんからお寄せいただいたファンスキーの危険性・前編であったように、この場合もあまりスピードは出ていなかったのです。

 取り上げているのは骨折の話ばかりですが、ひねっただけとか捻挫しただけという話は、それ以上にたくさん聞いています。いただいたメールでも、僕のHPの掲示板にも、そういった体験を寄せていただいた方がたくさんおられますが、アップしている骨折の話は、氷山の一角と考えていただけたらと思っています。

 ここではファンスキーばかりの話を取り上げてきていますが、ファンスキーでの怪我は多くて、かといって普通のスキーが安全だと言うことは一切ありません。スキーでもスノーボードでも、骨折や大怪我をする危険性はあります。だからややこしい話ではありますが、ファンスキーだけが危険であるという意識は持ってほしくないのです。

 ただし、ファンスキーのはずれないビンディングの危険性は、充分認識される方がいいと思います

 単純に考えてみても、ファンスキーを履き、座ったまま誰かにファンスキーの上と下とを両手で持ってもらい、90度にひねってもらうとその危険な印象を持つのは間違いないと思います。

 足の力はかなり強いはずですが、てこの原理から考えてもわかるように、足の力が強くても、ファンスキーを両手で90度にひねってしまうことは、そう難しいことではないと思います。そう考えると、ファンスキーの危険性は十分知っておく必要があると思います。

 また、99.9cmという板であれば、直進安定性はよいものの、転倒時にはその長さのために、足にものすごく負担がかかってしまうことは明白だと思います。

 

 今まで知られていなかった、ファンスキーの危険性を知ることは大切なことだと思います。でも、危険性があるからすべては悪だとは思って欲しくはないのです。はじめにこのHPで、ファンスキーの危険性を掲載するにあたって、知られていない危険性を知ってもらうという目的がありました。ファンスキーの危険性をご一読していただければ、その目的は達成したと思っています。

 今はさらに、ファンスキーだけが危険であると思って欲しくないと思っています。やっぱりファンスキーは楽しいものだし、どんなスポーツにおいても、危険はやっぱりつきものでしょうから。

 雪を楽しむ人たちすべてが、怪我のないシーズンを過ごせることを願っています。

 

デモの方に、ファンスキーの危険性について聞いてみた話があります。必見です!こちらの話もぜひ!お読み下さい

安全にスキー・ファンスキー・スノーボードを楽しむために
全日本デモンストレーター・金子裕之さん談

 

 

 こっちゃんさん、大変ありがとうございました。掲載にあたって、怪我をされたご本人に承諾を得ていただいたり、メールの文章の掲載も快諾していただいて、大変感謝しております。でも、ファンスキーの危険性を読んで、次の日にその話をしていて、その話が現実のものとなってしまうとは・・・

 HPでたくさんの体験談を募集し掲載していますが、根底にあるのは、スキーヤーも、スノーボーダーも、ファンスキーヤーも、ゲレンデで遊ぶチビッコたちも、競技でがんばる人たちも、すべての人たちが白い雪の世界で、たくさんのよい想い出を作ることができればという想いです。

 雪があたえてくれるたのしいひととき、そして自分と見つめ合う時間、あくまでも悠久である自然をこころに感じる瞬間。雪を本当にこよなく愛する人たちと、そんな想いを雪の世界で共有することができれば、ほんとうにすばらしいことだと思っています。自然を大切に、そして自然と調和をしながら、雪の世界を楽しみたいものですね。

 どうか、僕もそして僕のHPを見に来てくださっている人たちが、さらに雪で楽しむすべての人たちが、怪我なく、このシーズンも、そして次のシーズンも迎えることができればと、こころから願っています。(Snowman-Yukio)

 

 

2000/2/24アップ