氷河急行でツエルマットへ
Switzerland  Part 5




氷河急行が入ってきたところ 引っ張ってゆく電車は、なんとなく見ていて味わいのある電車でしたよー

 実はこの写真に、日本人の母娘の後ろ姿が写っているのですが、この時は一言も話しかけずにいました。お互い意識はしているものの、海外に出たらなぜか知らんぷりを不自然にもやってしまうんですね、お互いに(笑) この母娘さんとは、偶然にインターラーケンで再会することになりましたが、それはあとの話です。

 旅っていいですね〜。こういう観光列車に乗っていると、知らない人同士でも、お互いがワクワクしているので、自然と会話がはじまって楽しい旅になるんですね。僕もはじめは、対面席に一人でのんびり座っていたのですが、何度目かの駅で止まったときに、おばあさんが前の席に座りました。はじめはおばあさんは東洋系の僕を少し警戒していたものの、自然と話がはじまって、気がつけばお互いに奇妙な英語を使って(笑)、楽しく会話を楽しんでいました。

 ラッキーなことに、そのおばあさんは氷河急行を何度も乗っているようで、ここはどういうところかという解説をしてくれたりもしてくれました。でも天気が悪いので、ほとんどの景色は見えず、よく僕の顔を見ては「残念ね」という顔をしていました


晴れていたら、ここではものすごくきれいな景色が楽しめるのよ
はぁ、そんな感じですね・・・

 しばらくすると、また今度は老夫婦がやってきました。気さくな感じの老夫婦で、とてもやさしそうな感じでした。旅は道連れです。30分もしないうちに、すっかりと話が盛り上がってしまい。スキーの話に花が咲いたり、僕以外はみなスイス人だったので、スイスの鉄道がどういう鉄道であるとか、ここの景色はこういう景色のはずだとか、ここからは車輪ではなくギヤでのぼってゆくところだとか、スイスのいいところはどういうところかとか、よってたかって大変詳しく楽しく教えてくれました。まったく、観光の下調べをしてこなかった僕にとって、ここでもパリのデザイナーさんに教えてもらったみたいに、スイスのことをくわしくいろいろなことを教えてもらって、本当にラッキーなことでした。勉強してこなくてよかった、そんな気分でした(笑)

 横の対面シートには、どうやら話し方からしてアメリカから来たような夫婦がいました。僕がめちゃめちゃな英語を使っているのを聞いて、時々顔をしかめていたりあきれかえったような顔をしていました。スイスのおばあさんも老夫婦も、英語はそれほど正確ではなく、とりわけ僕の英語がかなりひどいもので、文法も過去形も未来形も無視で何でもかんでも話してしまうので、そのアメリカ人は大変混沌とした気持ちにおそわれていたただろうと思います(笑)

 また、時々、僕が変なジョークを飛ばしたりしたときは、なぜかあちこち車内から笑い声が聞こえてきました。みんな、天気が悪く雲だらけの白一色の退屈な景色に飽き飽きしていたようで、僕たちの会話を聞いていないようでみな聞いていたようでした。めちゃくちゃな英語ではなしていたので、ちょっと恥ずかしいような気がしましたが、退屈一杯の車内になごんだ雰囲気が広がったようで、なんとなくこころが少し暖かくなった気がしました。

 7時間くらいの旅だったのでしょうか、長いかなと思うこともなく、楽しいまま終点のツエルマットに到着しました。大変楽しい時を過ごせて、ほんとうにいい思い出が出来たものです。老夫婦とは電車を降りて写真を撮らせてもらい、「Thank you for everything . Have a nice trip .」と挨拶を交わして別れました。だんなさんの僕を見つめるやさしそうな笑顔と、奥さんの暖かく見つめてくれていた瞳が今でもこころに焼き付いています。旅先に見知らぬ人たちと親しく会話が楽しめたというだけで、その旅がとてもいい想い出に変わりますね。まして、景色の楽しめない氷河急行でこれほどのよい思い出が出来たのは、ほんとうに幸せなことだったと思います。それだけでもスイスに来てよかったと思えたものです。(天気が良くなくてよかったのかも)

 

 で、ツエルマットでは、また宿探しからはじまります。駅前のホテル案内板にゆくと、すでに案内板の前には人だかりが出来ていて、ホテル案内板がなかなか見れそうになかったのです。ちょっと困って立ちすくんでいると、人なつっこそうな笑顔をしたおじさんが話しかけてきました。

「ホテルを探しているのかい」
「うん、予約を取っていないから」
「ホテルポストはあいているよ」
「別に手紙は出さないよ」

「郵便じゃない、ホテルだよ」
「ホテル?ポスト?」
「そう、あいているからどうだい」
「値段は?」
「80スイスフラン(約5300円)」
「オッケー決めた!」

ということで、今回はすんなりとホテルが決まったのです。そして、左上の写真の電気自動車に乗って、ホテルまで連れて行ってもらいました。乗り心地はけっこう悪かったです(笑)そして、連れて行ってもらったホテルが下のホテルポストでした。
 



どこがホテルポストやねん!って感じですねぇ
このホテルの上に飼われていた象が夜「パォ〜!」ってうるさいことうるさいこと!
 (嘘だゾウ)

 ホテルについて何をしたかというと、さっそく散歩である。ひたすらまたうろついてしまうのである。でも、天気は相変わらず曇時々雨。僕はホテルから借りた傘をさして、雨の中Zermatt(ツェルマット)の街をひたすら歩きまわっていたものです。雨でも、おなかが空いていても、なにか一つでもたくさんものを見てやろうと思っていたのです。たとえ落ちているゴミ一つでも、この目で見て帰ってやろうと思っていたものです。(見てるだけじゃなく拾えよ^^;)

 でも、ここで一番気に入ったのは、静かな空気が満ちていたことですね。さんざん歩きまくって疲れ果ててホテルの部屋に戻り、部屋の窓を開け、人通りがすっかり途絶えた夜のツェルマットの街を眺めていると、静かな空気が自分のこころにまで流れ込んでくるような気がして、窓を閉めるのをためらってしまうほどでした。白い霧が少し上空に立ちこめていて、景色もほとんど見えないのに静寂だけを感じたまま、なぜかずっとここでいたいような、今回の旅行でははじめて、そんな気持ちになってしまいました。。。

 

● 続きはこちらをクリックです ● 

 

2000年8月15日アップ