学校では教えてくれない科学 1    戻る

<花火の色の不思議>

 この夏も県な内外の色々な地域で夏祭りが催され、夜には盛大な花火大会が夜空を華やかにしたことと思います。赤や青、黄色や緑など、カラフルな光の芸術ともいえる花火を毎年楽しみにしている人もたくさんいることでしょう。花火のこの花火をただキレイだと思って観ているだけではなく、「どうやってあのカラフルな色を造っているのだろう?」と考えてみましょう。
 基本的な構造は思ったより簡単で、紙でできた丸い入れ物に小さく丸めた火薬がギッシリ詰め込まれているだけです。大きな花火であっても、この小さな花火が単純に何重にも重なったようなものです。真ん中にある火薬には導火線と呼ばれるヒモのようなものが付けてあり、これに火が点くと真ん中の火薬が爆発し、空高く飛んでいきます。飛んでいく途中で外側にあった火薬にも火が移り、次々と外側が爆発してキレイな花火になるのです。その高さは小さいものでも100m以上、大きなものでは1kmにも達します。そして花火の大きさも、ちいさいものでも直径40m、大きいものでは400m以上になります。また、遠くで観ていると気が付きませんが、花火を真下で観ていると包んであった紙が空から大量に降ってきます。ですから、あんまり近くに行き過ぎても、頭がゴミだらけになってしまい楽しくなくなってしまうのです。
 次に、あのキレイな色について考えてみます。花火に使われる火薬は一般に「黒色火薬」と呼ばれる黒い火薬です。それではなぜ、あのようなカラフルな色を表現できるのでしょう。それは、火薬に「あるもの」を混ぜているからです。「あるもの」とはナトリウムやアルミニウムなどの金属を含む粉です。これらを燃やすとその金属によって決まった色の炎で燃えるのです。これを「炎色反応」といい、下の表のようになっています。これらを上手く組み合わせるとキレイな花火が完成します。もっとも、出来上がった花火が本当に考えていたようなキレイなものになるのかは、実際に打ち上げて見なければ分かりません。ところが、花火師は長年の経験と計算され尽くした技術により、みんなに喜んでもらえるような花火を確実に造り上げていきます。そこが花火師のプロの技なのです。
○実験室で行われる炎色反応
元素名 炎の色
ナトリウム 黄色
カリウム 赤紫色
バリウム 緑色
緑色
スズ 青色
ルビジウム 赤色
モリブデン 黄緑色
セシウム 青紫色
○花火で使われる場合
火薬に混ぜる物質 花火の色
炭酸ストロンチウム 赤色
硝酸バリウム 緑色
酸化銅 青色
シュウ酸ナトリウム 黄色
アルミニウムの粉末 銀色