8月17日(2)

  Midwest League(A)

CEDARRAPIDS KERNELS VS SOUTHBEND SILVERHAWKS

シダーラピッズ・カーネルズ VS サウスベンド・シルバーホークス

Veterans Memorial Stadium  CedarRapids ,IA(アイオワ州 シダーラピッズ)


 「夢の球場」を出て1キロほどで、ダイヤーズビル・イースト通りDyersville East Rdと言う道に出た。驚いた事に、日本の道路並に綺麗にアスファルト舗装された道だった。こんなに立派に舗装した道路は、アメリカでは見た事がない。しかも、その状態はダイヤーズビルの市街地まで続いていた。ファーレイなんかで下りるより、こちらを使った方が絶対早かったと思う。たぶん、映画のラストシーンで、球場まで続いている無数のヘッドライトは、この道路を使ったのだと思う。

ダイヤーズビルの市街地には、ファーレイのように一般住宅だけではなく、僅かだが商店も並んでいた。こちらで食事でもしようとも考えていたが、時間も押していて探すのに苦労しそうなので、そのまま通り過ぎることに。20号ハイウェイに乗る手前には1軒だがモーテルもあった。やはり、街の規模はファーレイよりは大きいのでは?

再び20号を西に向かう。今夜は、ここから南西に50キロ(直線距離)ほどに位置するシダーラピッズと言う町での観戦を予定している。まだ100キロも先だが、アイオワ州全体からしたら、こんな移動は州東部の端をほんの少し掠める程度のものだ。他にもこの辺(と言っても150〜250キロは離れている)にはクリントンClinton、ダベンポートDavenportと、マイナーチームのある町がある。

20マイルほど走りマンチェスターManchesterと言う町で州道13号へ。地図だとほぼ直角に真南へ向かう。一般道だが田舎なので、交差する道もたまにしか出てこない。アップダウンはあるが、交通量も極僅かで、まあ気持ち良く走れる。トウモロコシ畑は収穫が終わり、葉っぱを巨大なロール状に丸めて転がしてあるのが目立つ。たまに出てくる濃い緑色の畑は大豆かピーナツだと思う。

13号に入ってから1時間足らずでシダーラピッズ市街への標識が出てきた。ここまで畑ばかりで、街らしい街も無かったが、この辺りから急に建物が立並び、車も増えてきた。市街地に進むため右折すると景色は一変、想像よりはかなり都会だ。地図で確認すると、まだ手前のマリオンMarionと言う町らしい。標識にはUS-151号とある。右折せずに直進しても151号なのだが、こちらはバイパスなのだろう。

しばらく行くと、交差する通りは39th、38th、37th Stと、大きな数字の名前になった。地図を見て「6thになったら左折だよ」と妻。中心部に近づくにつれ、古い工場のような建物が多くなってきた。歴史は感じるが、同じ古い街並でも、ダビュークに比べると殺風景な感じ。12th、11th、10th、若い数字になる頃は、近代的なオフィスビルも出てきて、飲食店の看板も目立つようになった。「ちょっとイメージ違うなぁ」と思いながらも、妻の指示で6thを左折。裏通りに入ると街並は更に古惚けた。球場はもうすぐの筈だ。

しかし、交差する通りの標識を確認すると「変だな、道の名前が違う」と妻。道なりに進むと貨物の引込み線のようなところに出た。道が狭いので停車する訳にもいかず、更に進む。クネクネした林の中の道で停まり地図を見直す事に。「この大きな川って越えてないんじゃないか?」「そう言えば、インターステートも越える筈だよ」と言ったやり取りがあり、もう一度引き返す事に。やはり151号を更に西に進むと、すぐにシダー川Cedar RiverとI-380号を立て続けに越えた。後で確認すると、数字の路名は、シダー川を挟んで両側とも1、2、3、4th Stと並んでいて、全ての路名の後に「SW」「SE」などと書かれ、川の東側か西側か区別されている。他の町では名前の前にアルファベット1つと言うパターンが多く、通常は「W○○St」「E○○St」となっていても、起点の通りを挟んで結局は1本の道なのだが、この町では同じ名前なのに、全く別の通りが2つあると言う事だ。しかも若い数字のストリートやアベニューは殆ど全て。これでは紛らわしくて間違うのも無理は無い。

大通りは結構な交通量だったが、もう1つの6th Stを左折すると、すぐに住宅地になった。どの家も大きな木が取り囲み、庭には芝が植えられていてイイ感じだ。でも、それぞれの家の大きさや敷地の広さはそれほどではなく、極々中流と言った感じ。縦横は数字の道ばかりで、右左に何度か曲がっていくと、球場のあるロックフォード通りRockford Rd SWへ出た。広い道だったが、通行する車はたまにしかなく、とても静か。少し行くと道沿いに大きな壁があり、その切れ間からスタンドが見えた。シングルAにしては大きいのでは?とすぐに思ったが、幾つかの施設が隣接しているようだ。いつもなら車を停めて少し見学したり、チケットを買ったりするのだが、時間的に遅れているので、そのまま通り過ぎる。地図を見て16th Av SWに出ようとしたが、暫く行って通り過ぎている事に気付く。「変だねぇ」「それっぽい道は無かったよなぁ」と引き返すと、交差点があるはずの辺りで、頭上に高架橋がある。侵入路は見当たらない。「なんだよ。直接行けないのか。不親切な地図だな」今日はこの手の失敗が多い。8th Av SWまで戻り、球場の横を通ってまた151号へ。

今度は、大通りから大通りなので16th Av SWへはすんなり出れた。そこから西に1キロほど行き、今夜泊まるラマダ・リミテッドRamada Limitedに到着。16th Av SWは両脇に自動車ディーラーやレストランが並んでいて、交通量も多い。

フロント係は愛想の良いインド系の女性。朝食サービスがあるかと尋ねると、彼女は「勿論ですよ。そちらで6時半からです」と、向いの半開きの部屋を指した。奥の従業員室には、やはりインド系と思われる2人の男性がいて、書類を見ながら激しく口論?していた。 手続を済ませ2階の部屋へ行くと3時を過ぎていた。

遅くなったが昼食がてら買物をしてこようと、近くのモールへ行く事に。16th Av SWを少しだけ東に戻り、エッヂウッド通りEdgewood Rd SWを南に。この道も結構広い。1キロも行かないうちに右手に広い駐車場が見えた。どこに停めるかグルグル回っていると、隣りにウォルマートWal Martがあるのに気付く。モール内で食事をしようと思っていたが、時間もそれほど無いので、何か買って帰りホテルで食べようと言う事になりウォルマートへ。

しかし、入ってすぐのところに、簡単なフードコートがあったので「ここなら早いよ」と食べていく事に。やはり目の前の食べ物には弱かった。そこはラジオ・グリルRadio grillと言う名で、壁には50’sをイメージした絵が描かれ、いかにも子供騙しで、田舎のデパートとかによくありそうな作り。チリドッグ、ハムチーズサンドと、他にも注文しようとしたが、男性店員に「そんなに食べるのかい?君らには食べきれないよ」と言われたので、「大きめサイズなのかな?」と思い、あとはジュースだけに。勿論、セルフサービスなので、呼ばれて(客は私達だけ)取りに行くと、それほど大きなサイズではなかった。食べてる時も妻は「これじゃ足らないよ」と文句を言っていた。

買物は、惣菜、水、ひまわりの種、ハムを買った。面白かったのは肉屋でハムを買った時で、私達がハムの入ったガラスケースを覗いていると、とても若そうな店員(新米っぽい)が、「僕に聞いて、僕に聞いて」と言う感じで、そばにピッタリ張り付いていた事だ。ハムを幾つか出して見せて貰ったが、その度にソワソワした様子で対応してくれた。最後に「ハーフポンドでも良い?」と尋ねると、大袈裟に「OK!OK!」と答え、先輩(よく似ていて兄のようにも見えた)に教わりながら、切り分けてくれた。

4時半過ぎに部屋に戻り、フィールド・オブ・ドリームスで買った絵ハガキで、暑中見舞いを書く。私はすぐに書き終えてしまったが、妻は出す友人が多いので1時間くらい書いていた。その間、私は氷を取りに行ったり、テレビを見たりしていた。

6時半に球場へ出発。来た時と同じように151号から8th Av SWへ。昼間よりも走っている車が多く、庭先に出ている人も目立つ。徐行しながら右折して駐車場へ入っていくと、既に満車状態。すぐ横には仮設のアトラクション・スペースがあり、大勢の子供が遊んでいた。空きスペースを探すためにゆっくりと回るが、同じ目的の車も何台か動いてるし、歩行者も多い。中には「そこはまずいだろ」と言うような場所に無理やり停める車もあった。

東側に回りこんだ時に「あっちも駐車場みたいだよ」と、妻が指差す方を見ると、確かに隣接して大きな駐車場があった。短い坂を降りてそちら側に行くと、同じくらいの広さで、奥の方はまだ余裕で停められた。降りてから確認すると、駐車場はロックフォード通り沿いにもあり、大きなスペースは全部で3ヵ所あるようだ。野球場の他にフットボールの球場や、他のスポーツ施設が隣接していて、敷地の一角には地元の戦没者を追悼し、また退役軍人を敬うコーナーもあり、記念碑や写真など結構なスペースを占めていた。

平日だと言うのにこの混みようは、全く予想してなかった。「チケット買えるかなぁ」と 言いながらチケット売場へ走る。しかし、心配したのは一瞬だけで、3〜4人並んだだけでネット裏の良い席を買うことが出来た。

入場口はスタンドのすぐ上のコンコースへ繋がっていて、かなり混雑している。階段を下り、やや三塁寄りのネット裏の席へ。もう開始時間が迫っているので、両チームの選手はダグアウト前に整列し、守備側のカーネルズのレギュラーも子供達と共に守備位置に付いていた。ホームプレートの前には、5〜12才くらいの三姉妹と両親が、マイクを前に緊張した様子。間も無く場内放送が流れ、観客達は起立して脱帽した。この家族が国家を歌うようだ。ここでは年中やっている事なのか?極々普通の5人家族は晴れて代表にと言う訳でも無さそうで、服装もいたって普段着。歌もお母さんの声がやたら大きかったが、特に上手いと言う感じではない。それでもうちの妻は、地元家族による国家斉唱にとても感動したそうだ。

カーネルズのユニホームは上が目の覚めるような赤、下は白。アンダーシャツと帽子も同様に鮮やかな赤だ。パンフレットでは上下白の写真が多く、字体も上部組織のエンジェルスそっくり。印象的なのは実ったトウモロコシを表したロゴなのだが、アイオワを意識しないで見たら、間違い無くチューリップに見間違うだろう。対するサウスベンド・シルバーホークスは上下グレーだが、ロゴが黒と黄色を上手く使い、通常のビジターよりも地味加減はそれほど感じない。私達の目の前で1、2番のバッター、ゴスMichael Goss、ボナファシオEmilio Bonafacioが素振りをしているが、この2人、どちらも小柄な黒人選手で、背番号も1番と2番。よく似ていて双子のようだった。

その2人の活躍でサウスベンドは1回表に1点を先制した。試合が始まったのにスタンドは空席が目立つ。コンコースはかなり賑わっているが、パッと見ガラガラな部分もかなりある。駐車場はあれだけ混んでいても、野球を見ないで遊園地コーナーで遊んでいる人が多いのだろうか。リーグのサイトで動員数をチェックすると、全体では中の下、ずば抜けた人気がある訳では無いようだ。

チームは62年からミッドウェスト・リーグに所属していたが、現在の球場は02年から使用されている。マイナーで外野席は珍しいと思っていたが、ここでもレフトの一角に観客席があった。全体の印象は、アトラクションスペースがとても目立ち、綺麗で派手。楽しそうな空間になっているのは一目で分かる。動員数以上に活気を感じるし、人を呼ぶ工夫をしているようだ。カーネルズは1回の裏に相手のエラーで、すぐに追い付いた。

8時を過ぎても空はまだ明るさが残っていた。今日は湿度が高いせいか、日が落ちても全然寒くない。売子が強調していたアイオワ産だと言うポップコーンを買って食べる。気のせいなのだろうが、とても美味く感じた。イニングの合間にチビッコ・チアガールズが出てきて、相手チームを悩殺させメロメロにと言う企画は、サウスベンドの選手のノリも手伝い大受けだった。しかし、4回表、サウスベンドはまたも1、2番の活躍で3点を追加。

喫煙所はライト側のコンコース奥にある。喫煙者は田舎の方が多いように感じる。見た目もシャンバーグ辺りと比較すると、田舎のオッちゃんと言った感じの人が多い。同じアメリカ人で白人でも、田舎と都会では人相も随分違う。まあ、日本でもそうなのだろうが。それに、コンコースを歩いていると、いつもよりもジロジロ見られているようにも感じた。4回裏カーネルズはバルコムBlake Balkcomの2塁打で1点を返す。4回が終わり2-4でシルバーホークスがリード。

イニング間に何回かキスタイムと言うのがあり、スコアボード上部にある、とても素晴らしい大型モニタ(マイナーにしては映りが抜群で、カメラも数台あり頻繁に切替わる)にスタンドのカップルが映るのだが、ハート型の枠に入った2人は、キスしなければいけないルールで、球場中から煽って囃し立てられるのだ。若いカップルも、子供も老夫婦も照れたり喜んだりして、結局はキスするのだが、最後にはサウスベンドのベンチの選手が映され、男同士で嫌々?抱合いながらキスをして、スタンドからは拍手喝采となった。野球も勿論頑張っているのだろうが、本拠地(インディアナ州北部、シカゴから約100キロ東)から500キロも移動してきた試合でも、明るく盛り上げる事を忘れないマイナーリーガーは天晴だ。

7thイニング・ストレッチが終わり、私達はコンコース上のグッズショップへ。品数はとても多く、帽子はたくさんの種類があった。やはり独特のコーンのロゴは、なかなか良いデザインだと思う。良く売れているのか?Tシャツなどはサイズを切らしている物も多い。我家では赤い物はたいてい妻の物になるので、さっきまで眠そうにしていた妻も、真剣に物色していた。キャップ、サンバイザー、ペナント、Tシャツを買って、スタンドには戻らず、そのまま外へ。

駐車場はまだ混雑してなかったが、最初から場内には入らず、外で酒盛り?していた人達の姿もあった。奥の駐車場からはそのまま15th St SWへ出られ、スムーズにホテルへ戻れた。

昼間買ったものを食べて、風呂に入る。明日は最も長いドライブが待っているので、早めに床に着いた。午後10時40分。


試合結果  サウスベンド6−2シーダーラピッズ  勝利投手モックGarrett Mock 負け ハンターChris Hunter ゴス5打数2安打2打点、ボナファシオ4打数2安打(以上サウスベンド)

ホーム  次の日