8月16日

 Frontier League (Ind.)

ROCKFORD RIVERHAWK VS MID-MISSOURI MAVERICKS

ロックフォード・リバーホークス VS ミッドミズーリ・マーべリクス

Marinelli Field   Rockford ,IL(イリノイ州 ロックフォード) 


 7時半起床。今日はロックフォードまでの移動だが、経験上とても近いという事は分っているので、ゆっくりの出発。当初の予定では、最終3日間のホワイトソックス戦のチケット(平日の10時から球場で販売)を買いに行く事になっていたが、昨日のリグレーの当日券が予想以上に良かったので、わざわざ往復2時間以上もかけて、ダウンタウンまで行くのも勿体無い、と言う判断をした。(結果的には判断ミスでした)

 その代わりと言ってはなんだが、その時間でウッドフィールド・モールを少しゆっくり見ていく事にする。パンとハムにコーヒーで朝食。ニュースではハリケーン・チャーリーを大々的に取り上げている。この辺りは影響無いみたいだが、天気は下り坂のようだ。スポーツはブルワーズを含め地元MLBが中心。オリンピック関連は少ない。それから、エルヴィス・プレスリーの話題をかなり長くやっていた。今日は彼の命日だ。

 その後、テレビにも飽きてボーっと外を眺めていた。向いの会社の駐車場は、今日は車がいっぱい。9時を過ぎてもチョコチョコ入ってくる車がある。ハーレーのチョッパーで出勤?してくるワイルドな人もいた。

 9時50分にチェックアウト。モールへは5分で到着。昨日とは逆のマーシャル・フィールド・カンパニー側に駐車する。平日の早い時間なので店内はガラガラ。まだシャッターの閉まってる店もあるし、デパートでも店員が掃除をしている。

 まず、立寄ったのはシカゴ・ロゴのお土産が揃ってる「Love from Chicago」と言う店。商品からして、以前に行ったウォーター・タワー・プレイス内にある店の支店だと思っていたが、後で確認すると店名は別だった。嵩張らない物と言う事で、カブスとホワイトソックスの鉛筆と絵葉書を買う。次に寄ったのはMLBやNFLのポスターやサインボールを扱った「Field of Dreams」こちらはアチコチのモールなどに出店してるようで、見るだけで買わなかった。

 何店舗か見て歩き、そのうちの「PCRSUN」と言う店でベルトを買う。家を出るとき忘れてしまい、カメラケースを通せないでいたので、不便を感じていたからだ。デザインも良く、値段も手頃なので妻も一緒に買った。衣類はシアーズが一番安かったので、ここで4枚19ドルのTシャツを買う。柄もアメリカっぽく土産には打って付け。

 モールを出たのは12時半頃。曇ってはいるが空は明るい。まだ時間に余裕があるので、少し遠回りしてケーンカウンティーの球場を見に行く事に。290号ハイウェイを南下すると、すぐに右手にメリオットが見えた。改めて見ると、ウィンダムの3倍もするホテルには見えない。数分で355号との分岐に。標識にはマイナーのあるジョリエットJolietも出てきた。ここから先はエイビスで貰った大雑把な地図が頼りだ。

暫く行くと、州道64号、38号と続けて出てくるが、直接ジニバに続いている38号で西に向かう。地図を見ると、この道はルーズベルト通りと言う名でシカゴからズーっと続いているようだ。一般道に下りてから両脇には店舗が続いていて、道もかなり混んでいる。グレンエリンGlenEllyn ウィートンWheaton と比較的大きな町を通っているようだが、こんなに混んでいるとは思わなかった。確信は無いが、町が少ない分64号の方が早かったかもしれない。

 市街地を過ぎ、徐々に建物が少なくなると、スピードも出せるようになってきた。トウモロコシ畑も出てきて、一気に田舎の景色になっていく。妻も気分良く運転していたが、暫く行くと、また止まってしまった。前方に踏切があるようだ。線路は斜めに交差していて、100メートルも続いている車列の後方では、線路と道路はほぼ並行に感じる。少しして貨物列車がゆっくりと走ってきた。貨車も幾つも連なっていて、とても長い踏切待ちだった。

 踏切を越えると、球場案内に書いてあるカーク通りKirk Rd.との交差点が出てきた。ジニバの街中には入らずに球場へは行けるようだ。しかし、かなりの田舎だ。左折してすぐ大きな橋を渡ると、間もなく球場入口を示す大きな看板。右折して奥の駐車場へ。車を降りると目の前の大きなハゲ山ではユンボがガーガーと作業していた。臭いから、ゴミの埋め立てかと思ったが、地図ではゴルフ場なので、造成工事のようだ。

 ケーンカウンティー・クーガーズの試合は5年前にロックフォードで観戦している。当時から人気抜群だったが、現在もかなりの動員数があるらしい。残念ながらチームは今日から遠征で、正面入口は閉まっていたが、外野側の出入口は特に扉も無いようで解放されていた。チケット窓口に人がいたので、グッズが買えるか尋ねると、その青年はどこかに電話をかけた。「今日、また戻ってくるか?」と聞かれたので「No」と答えると、彼にはショップは開けられないとの事。責任者を呼ぼうとしてくれたようだが、私達も待っているほどの時間は無い。パンフレットだけ貰い、場内を見学する事に。

エルフストロム・スタジアムElfstrom Stadiumは、丘の斜面を利用して作られているので、建物は全て1階建て。シャンバーグのように大きな壁が聳え立っている感じは無い。座席もコンコースも屋根は無く、丘にそのまま設置してしまった感じで、とても開放感がある。驚いたのは外野席の全方向にピクニックエリアが広がっている事。満杯の時は楽しい風景になりそうだ。

時刻は1時半を過ぎたところで、腹も減ってきた。球場を後にした私達は、38号を更に西に向い、ジニバ市街に入る手前で、フォックス川Fox River沿いを走っている州道25号を右折した。対岸の街並は自然が残っていて、とても良い感じだ。しかし、川の水位がかなり高い。雨が降ったらすぐに溢れるのでは?日本ではこれだけの大きさの川なら、間違いなく土手で囲ってると思うが、川沿いにはポツポツ綺麗な家も建っている。大丈夫なんだろうか?

川沿いを暫く走り、今度は森の中へ。家は全く無くなり、たまに対向車が来るだけで、前にも後にも他の車はいない。暫く行くと20号との変則的な交差点にぶつかった。車もまあまあ走っている。更に25号を北上する。ここから先はエルジンElginだ。昨夜行ったクラッカー・バレルの少し北に、もう1つ調べてきたレストランがあるので、そこで昼食をしようと思う。

綺麗な住宅地を貫けて、陸橋でI-90号を越えていくと、シャンバーグから続いているヒギンズ通りにぶつかった。それを左折するとイースト・ダンディーEast Dundeeと言う小さな町に出る。ジニバと同じように川の手前で急な下り坂になった。僅かだが店舗が集まっている。この辺りが町の中心らしい。橋の手前でウォーター通りWater Stを右折。ゆっくりと川沿いを走る。店はこの通りにあるはずだ。しかし、民家が点在してるだけで、店らしき建物は見当たらない。地図を見ていた妻が「あの橋よりは手前のはずだよ」と言うので、5〜600メートルの間を行ったり来たりするが、やっぱり無い。道沿いで大工さんが作業をしていたので、車を降りて尋ねると、大工さんは電ノコを止めて「ああ、それならここだよ」と、改装中の家を指した。ガラス越しに中を覗くと、カウンターがあり確かに店のようだ。ドアにはとても小さく「CATFISH CLUB」と書いてあった。これでは見付からない筈だ。初老の大工さんは「オーナーのチャーリーは街中にも店を持ってるよ。ナマズは分らないが」と教えてくれた。日本から来たと言うと「こんな町までよく来たな」と握手を求められた。

橋を渡って徐行しながら、大工さんに教わったバンビーノと言う店を探すが、こちらも一般住宅が並んでいるばかりで、それも2〜3百メートルも進むと終ってしまった。妻がトイレに行きたいと言うので、31号を越えた所の小規模なショッピング・モールに入った。敷地内に幾つかファストフード店があったので、ここで昼食にしようとピザハットに入る。

シャンバーグからもそれほど離れてない町だが、客も店員もみな田舎の人と言う感じ。素朴そうなウェイトレスは、丁寧にメニューの説明をしてくれた。私達は夫々小さめのピザのセットを注文した。一緒に付いてきたコショウをまぶした細長いパンが美味かった。隣りのテーブルの老夫婦は、私の着ていたリグレーTシャツを見て声を掛けてきた。熱血的なカブスファンだそうだ。

大分道草をしてしまったが、31号から90号ハイウェイに乗り、いよいよロックフォードを目指す。この辺はもう家も少なくて、トウモロコシ畑の景色が断然多い。かなり予定時間を過ぎていると思ったが、やはりハイウェイで挽回できる。1時間足らずでロックフォードに到着。ステート通りState Stで一般道へ下りる。

ステート通りを西に進むと、すぐにモーテルが集中しているベルスクール通りBell School Rdとの交差点になる。右折して少し進むと、予約しているホテルの看板が見えた。普段なら、まずチェックインしてから出歩くのだが、AAA(全米自動車協会)の閉店時刻(ロックフォード事務所は午後5時)に迫っていたので、そのまま通り過ぎ更に北へ。ギルフォード通りGuilford Rdを左折すると森の中に新築中の家が幾つも出てきた。比較的広いマルフォード通りMulford Rdを右折。街外れだと思っていたが、交通量はかなり多い。交差する通りも広くて信号待ちの車列が出来ている。

3キロほどでリバーサイド大通りRiverside Blvdとの交差点になった。信号が赤になったので停止して角の建物を見ると、店舗の1つにAAAの看板を発見。信号を左折して敷地内に。小さいがスーパーや飲食店も一緒に並んでいる。

小さな事務所に入ると、何か声がするのでその方向へ行ってみると、年輩の男性が机に座っていた。挨拶をしても私達の方を向かないので「変だなぁ」と思いながら、戻ろうとすると、また何か言ってきた。「あれっ?すいません、地図を・・・」と言いかけて、妻が「この人インカム付けてるよ」確かに彼は電話中だったようだ。隣りの部屋にいた女性にJAFの会員証を見せて地図を貰う。明日からは初めて訪れる町ばかりだ。

AAAの事務所を出ると、道路の向こうに給水塔が見えた。リバーサイド大通りより先はラブズパークLoves Parkと言う町だ。シカゴ近郊の町では大抵見掛ける給水塔だが、野球仕様のシャンバーグのように、中にはとても個性的なものもある。ラブズパークの給水塔にはハートが描かれていると、ノアさんの奥さんから聞いていたので、せっかくだから正面から見ようと、マルフォード通りを更に北へ。「あっ見えた!」住宅地の間にハートが見えたので、路肩に車を停めて写真を撮った。

帰りは貰ったばかりの新しい地図を見て、リバーサイド通りから直接ベルスクール通りに出ようと思ったが、そこには道は通じてなかった。前後の通りを確認したがベルスクール通りは開通していない。まだ、古い地図のままだ。と言う事で、ペリービル通りPerryville Rdからベルスクール通りに戻る。この辺一帯は造成中みたいで、彼方此方でブルドーザーなどが作業していた。

今夜泊まるホテルはスタジオ・プラス・ロックフォード・イーストStudio Plus Rockford East 焦げ茶色の2階建てで、ごく普通のモーテルって感じだ。ドアをあけ声をかけると、横の部屋から若い女性が出てきた。予約している事を告げると事務所に通され、事務机の前の椅子に座るよう言われる。カウンターのある普通のフロントは無いらしい。女性従業員はPCで確認すると、明細書を作り、鍵と一緒に渡してくれた。朝食のサービスはあるか尋ねると、きっぱり「ノー」と言われる。ちょっと残念。

エレベーターに乗る時に「ちょっと待って!」と、自販機コーナーから黒人女性が走ってきた。ドアを押さえてあげて待ってやると、「間違って買ってしまったのよ」とアイスティーのボトルをくれた。「幾ら?払うよ」と言うと「いいのよ。甘すぎて飲めないから」と彼女。フィラデルフィアから旅行で来ていて、明日はミルウォーキーに行くそうだ。日本では「知らない人から何か貰って食べちゃ駄目だよ」と小さい頃から教わるが、アメリカでは、こんな事はよくあるのだろうか?

部屋はソファーもあり、まあまあの広さだったが、驚いたのは自宅並のキッチンがある事だった。電子レンジは当たり前で、大きな冷蔵庫に、ガスレンジ、食器も揃い、流しも広い。食材さえ買ってくれば普通に料理が出来るだろう。まあ、これなら朝食無しでも理解できるが、長期滞在者以外はドーナツとコーヒーのサービスの方が、余程ありがたいのではないか?。

一休みしてから球場へ出発。天気予報では天気は下り坂だそうだ。ベルスクール通りを南へ進み、ステート通りを突っ切ると、バリケードが置かれていて通行止めになっていた。右手には5年前に泊まったホテルが見えたが、看板の名前は変わっていた。ネットで検索しても見付からない筈だ。良いホテルだったが・・・。通行止めの理由は定かでないが、引き返しステート通りを西へ向かう。店舗の多い大通りなので、帰りに寄る為のスーパーなどの場所を確認しながら走る。帰宅時という事もあり、交通量は多い。市街地に入る前のロックフォード通りRockford Avで左折。

古い住宅地で家々の間も詰っている感じ。それでも感じの良い街並だ。ブロードウェイ通りBroadwayを右折して線路を潜り抜けると景色は一変する。古寂れた街の感は否めない。こう言うのも景色として悪くは無いが、決して一人で歩きたいとは思わない。交差する通りは9th、8th、と数字になり一通も多い。両脇に路駐だらけの6th Stを経由して一本南の15th Avへ。

2〜3ブロック西に進み、州道251を兼ねているキシュウォーキー通りKishwaukee Stとの交差点を過ぎると「Home of the ROCKFORD PEACHES」の立看板が見えた。以前、訪れた時には下調べ不足で気にもしなかったが、ここロックフォードは、映画「プリティー・リーグ」(A League of Their Own 邦題はセンスゼロだね)の舞台になった町で、主人公のドティ&キット姉妹(ジーナ・デイビス、ロリー・ペティ)、俊足好守のメイ外野手(マドンナ)らが所属していたのがロックフォード・ピーチィズなのだ。本拠地のベイヤー・スタジアムBeyer Stadiumは10年前に取り壊されたらしいが、地元ではスタジアム復刻と女子野球博物館を作る運動があるらしい。これは、地域の子供達が安全に運動出来る場所を作りたい、と言う目的もあるそうだが、実現するのはまだまだ先の話のようだ。

左側に球場と一緒の名のベイヤー小学校Beyer Schoolがあった。夏休み中なので入れるとは思っていなかったが、門が開いていて、父兄らしき人が建物に入っていくのが見えたので駐車場へ。他の車も何台か停まっていた。ここはベイヤー公園の一角で、球場はこの辺にあったようだ。誰か出て来たら話を聞こうかと思ったが、試合時間も迫っているので5分ほどでそこを離れた。

マリネリ・フィールドのあるブラックホーク・パークは、同じ並びのすぐ隣りにあり、小学校からでも歩いて2〜3分の距離。ロック・リバーに架かっている橋の手前の道から駐車場へ。以前は無料だった駐車料金だが、今回は2ドル取られた。外から見た感じでは、入口のテント部分が、赤から濃紺になった以外には、大きな変化は見られない。入場する前に、東側の林の中に架かっている木の階段を登った。やはり、木々の間から見える眺めはバツグン。丘を上りきると、さっきの学校は目の前。

99年に訪れた時は、ミッドウェスト・リーグのロックフォード・レッズだったが、その年を最後にチームは移転。町には野球チーム不在のシーズンが2年続いたが、02年にリバーホークスが誕生。所属するフロンティア・リーグは、同じ独立リーグでもシャンバーグの所属するノーザン・リーグに比べると、やはりローカル感は否めない。所属チームの動員数を比較しても、1試合平均1500〜2000人くらいは少ない(チームによって差はあります)。しかし、キャパが3500のマリネリ・フィールドを本拠とするなら、ノーザンやミッドウェストでは、対等に盛り上げていくのは難しいかもしれない。コロコロ名前が変わったり、移転や消滅を心配しながらではファンも増えないし、このくらいのリーグで地道に続けていく方が町にとっても良いと思う。

林を抜けて1塁側の柵の外まで来ると、拡大されたピクニック・エリアには大勢の家族連れが見えた。以前はスタンドだった場所だ。

 再び正面に回りチケットを購入。入口付近に売店が集中してるので、入場時は賑やかに思えたが、スタンドの入りはそうでもない。まあ、これは月曜日だから仕方ない。前に来た時の悲惨さから比べたら、今の方が希望が持てる。新しく綺麗になったグッズコーナーや、子供が遊ぶ巨大バルーンを見て「オーッ、変わったじゃん」と妻も感心していた。

比較的入りの良い三塁側の自由席のエリア、見晴らしとしては、ここが高くて一番良い。ロックリバーも良く見える。スタンドの最上段で、景色やグランドでの練習を見ていると、ビジターの1塁側のベンチに、ユニホーム姿の太った年輩の人が入ってきたのが見えた。試合開始まで僅かだが、すぐに私達は1塁側へ移動した。

1塁側ダッグアウトの横には、何故か?古いソファーが置かれている。想像では、その場所は車椅子のスペースのようなので、お年寄りとかが、楽な姿勢で観戦できるように配慮したつもりなのか?それにしても、見るからに貧乏くさい。しかし、これもこの球場の味だろう。

そのスペースのネットの裂け目から、近くにいた選手に声をかけ「ジェンタイル監督を呼んでください」と言うと不思議そうな顔。「ジムタイルを呼んで」と言うと、「オーッ」と頷き、大声で、さっきの年輩の太った人を呼んでくれた。すると、ジムタイルはこっちを向いていきなり「ドモ、アリガト!」と言うと、ゆっくりと歩いて来た。

ジム・ジェンタイルJim Gentileは、ブルックリン・ドジャースでデビューし、その後オリオールズやロイヤルズでも主軸を打った名選手だが、晩年には近鉄バファローズでも、ジムタイルと言う登録名で1年だけプレーしている。勿論、私達は実際のプレーを見ている訳ないのだが、選手名鑑などでは、よく目にしている名前だった。

ボールにサインをしてくれ「近鉄の背番号と、メジャーでの番号、どっち書こうか?」みたいな事を言われたので「今の番号を書いて」と言うと、笑って頷きサインの横に4と書いてくれた(後日確認するとマーベリクスでは22、まあ、いいけど)「こちらに何年住んでるんだい?」と聞かれたので、「いいえ、旅行者です」と答えると「そうか旅行か。珍しいなぁ」と言われた。そして陽気に「近鉄バファローズ、近鉄バファローズ」と言いながらベンチへ戻っていった。近鉄球団が消滅するかもしれない事など、当然知りもしないだろう。

彼が率いるミッドミズーリ・マーベリクスは、名前の通りミズーリ州のほぼ真中に位置するコロンビアColumbiaと言う町を本拠地としている。公式サイトを見てみると、動員数ではロックフォードの約半分(上にも書いたようにロックフォードも決して多くはありません)。チーム成績もダントツの最下位だ。ダグアウトを出入する選手を見ると、かなり若そう。どうしてもシャンバーグの選手と比較してしまうが、全然プロっぽくない。田舎のアンちゃんという感じなのだ。

対してホームのリバーホークスは、激しい首位争いをしている最中で、ベンチ付近でも素振りをしたり試合の準備に余念が無く、のこのこ観客スペースに出て来る者はいなかった。その分、マスコットのロッコRoccoが球場中を飛び回り、子供だけでなく大人にも、肩を叩いたり抱きついたり、積極的に楽しませる努力をしていた。

試合が始ると、更に両チームの差はハッキリ見えた。リバーホークスは1回と3回に得点を入れ、常に塁上にランナーがいる状態。ちょっとダサいかな?と思っていた紺と水色が基調のユニホームも強そうに見えてくるから不思議なものだ。マーベリクスの方は、なかなかチャンスも訪れず、老体の身ながら毎回3塁ベースコーチに立つジムタイルが痛々しい。

イニングの合間には、アカペラでの素人のど自慢が行われた。場内放送で紹介されて、スコアボードにも歌っている人の名前が表示される。前半に歌った女性陣はみな上手くてプロ顔負けの美声を披露してくれたが、5回くらいから男性が歌うようになり、中には明らかに受け狙いの人も出てきた。ゴッド・ブレス・アメリカを歌った若者もいたが、スタンドの反応は様々。律儀に起立して脱帽する人もいれば、それまでノリノリだったのに急にシラケた顔になり座ってしまう人。大統領選なども微妙に影響しているのか?

夕飯も球場で済ませてしまおうと思っていた私達は、ビールとナチョスと茹でトウモロコシを買って、1塁側のピクニックエリアで食べた。ナチョスは定番の辛いピクルスは付いてなかったが、チーズが辛口味になっていた。トウモロコシはドロドロに溶かしたバターがかかっていてアメリカ的な味だった。

食べている途中で、雨が降り出してきたので、スタンドの下に避難。ここは暗黙の喫煙所にもなっているようだが、雨が強まるにつれて人も増えて来た。屋内ではないので端にいると横降りの雨は防げない。私達はグッズコーナーの小屋へ逃げ込む。帽子とペナント、それにピンバッヂを買ったが、Tシャツはデザインがイマイチだったのでやめといた。雨は更に強くなった。

試合は続いていたが、雨は止む気配は全く無い。7thイニング・ストレッチをスタンド下で聞いてから、今日は引き上げることにした。当然、車までは全力疾走。

日本と比較して、アメリカの道路はホントに暗いが、雨が降っていると更にそれを感じる。ブロードウェイ通りも真っ暗だ。早めに左折してステート通りまで戻るが、それでも暗い。ロックフォードは、イリノイ州ではシカゴに次ぐ第2の都市なのに、10時前でもこんなになってしまうのか。

ホテルに戻る前にスーパーマーケットに寄ろうと思ったが、間違えて病院に入ってしまい、次に入ったKマートでは「あと5分で閉店よ」と言われてしまう。ゆっくり買物したいので次に行くが、ホテルに近づくにつれ「もう無いかなぁ」と思っていると、ウォル・マートが開いていた。レジで閉店時間を聞くと、係のお婆さんは「11時まで」と教えてくれた。夜遅くまで「働き者だなぁ」と感心する。電子レンジで作れるメニューと、カップ麺、フルーツゼリーを買う。それから衣料品売場にMLBのコーナーがあったので、ホワイトソックスの帽子$9とサンバイザー$7を買う。球場で買うより安い筈。

ホテルに戻ったが、腹が減ってしまったので、妻が風呂に入っている隙にカップラーメンを食べてしまう。雨はまだ止まないようだ。午前1時就寝。


試合結果 リバーホークス9‐1マーベリクス 勝ち投手Scott Sobkowiak 負けクラインTy Kline ホームランストーリーハーデンThomari Story-Harden (マーベリクス), ヴォーンKirey Vaughn(リバーホークス) 

ロックフォード・リバーホークスは地区優勝後、プレーオフを勝ち抜き、優勝戦でエバンズビル・オッターズEvansville Ottersを3勝0敗で下し、2004年のチャンピオンとなりました。



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