7月2日 

Atlantic League (indy)

 BRIDGEPORT BLUEFISH VS CAMDEN RIVERSHARKS

ブリッジポート・ブルーフィッシュ VS カムデン・リバーシャークス

Harbor Yard Bridgeport , CT(コネティカット州 ブリッジポート) 


昨晩早寝したせいか6時過ぎに自然と目が覚める。しかし、妻はすでに起きてテレビを見ていた。Espnでイチロー特集を放送していたらしい。昨晩の雨もすっかり上がり、とても良い天気だった。シャワーを浴びてから朝食にしたが、このホテルは朝食サービスは無いので、昨日Kマートで買った残りを食べた。その後テレビを見ながら荷物チェック。この頃になると買ったお土産が多くなってきてたので、バッグの中の整理は出発前の日課になっていた。8時にチェックアウトの手続をして、車内で地図を見ながら今日のコースを確認。妻の運転で出発。

今日の目的地のブリッジポートは、ニューヘブンから湾岸沿いの西南約30キロに位置し、ハイウェイを使えば20〜30分で着いてしまう距離だ。だから少し遠回りをして行く事にした。91号を北へ向かうと、すぐに自然の中の景色になった。交通量も少なくて走りやすい。途中大きな合流はI-691があっただけで、州道9号との分岐まではアッと言う間だった。Exit22で降りてそのまま9号ハイウェイのNorthに進む。交通量は更に少なくなった。この道路は州道の9号と72号の両方の表示があり、地図でもニューブリテンまではそう書かれている。それほど走らないうちにExit24になり一般道へ降りようとしたが、出口からはグルグル回されて一般道との合流地点の真正面に球場が現れた。交差してるサウス・メイン通りとの信号が赤だったので停車したが、地図では一般道に降りてからまだ少し走るのだろうと思っていたのだが・・・・。信号が青になったので、直進して広い駐車場に入った。8時半。

ここは昨日観戦したニューブリテン・ロックキャッツの本拠地ニューブリテン・スタジアムだ。球団サイトの案内にもウィロー・ブルック・パークWillow Brook Parkと言う公園の中にあると書かれていたので、これほど高速に面しているとは思わなかった。敷地内は大きな駐車場の中に球場が3つ建っていて、真中の一番新しそうなのがそれらしかった。車から降りて近くで見ると、レンガ模様が美しく、壁にもロックキャッツとツインズのマークが描かれていた。今日は試合は無い日だが、車が3〜4台停まってるので関係者が来ているようだ。正面ゲートの改札扉が開いていたので一歩入ると、ロックキャッツのポロシャツを着た中年女性が居た。「中を見ても良いですか?」と聞くと、「OK」と言って微笑んでくれた。その場所はネット裏観客席の真裏にある広い通路で、売店等もここら辺りに出るようだ。壁には食物の値段表やチーム案内、ポスター、公告などが貼られていた。綺麗なのは新しいせいもあるが、ゴミやホコリとかも全く無く、隅々まで掃除されている感じだった。

スタンド側へ出て見ると、これまた大変美しい球場だった。他のマイナー球場と同じく内野席しか無かったが、左右均等に2段重ねの広告が続く外野フェンス。その向うは全方向に大きな木が生い茂り、フェンスの内側まで迫出してるんじゃないかと思わせる。レフトには新しそうなスコアボードと大型モニタが縦長に建っていた。バックスクリーンに当たるセンターの最深部は、広告を書かないで深緑色に塗られ鋭角に折れていた。グランドでは耕運機のようなゴーカートのような芝刈り車が一台、一定のリズムの音を発しながらゆっくりと動いていた。天気は非常に良く、スタンドには私達だけ。とても気持ちの良い時間だった。

一通り写真を撮って球場から出ると、丁度また従業員が出勤してきた。その体格の良いお爺さんに「綺麗な球場ですね」と声をかけると、「ありがとう、君達は旅行かい?」と聞いてきたので、そうだと返事をして色々聞いてみた。この球場は5年前に建てられたが、その前は奥(西)にあるビーハイブ・フィールドBeehive Fieldを使っていたそうだ。その反対側の球場はフットボール用だとも教えてくれた。話をしている間も数人が前売りチケットを買い求めにやって来た。私達はお爺さんに礼を言って出発した。

始めの計画では再び9号ハイウェイに乗るつもりだったが、予定よりも時間が早いのでハートフォードHartfordまでの約15キロは一般道で行く事にした。球場の前を通るサウスメイン通りを北に向かうと、すぐに閑静な住宅地になった。敷地が驚くほど広い訳ではないが、どの家の庭も芝で覆われ、木が沢山植わっていた。塀は無いか、あっても低い木製の物だ。建物もニューイングランド独特の造りをしてるようだが、比較的新しくて綺麗な家が多い。やはり高級住宅地の部類なのだろう。地図によるとこの辺りがニューブリテンの中心のようだが、道も景色もゴミゴミしてる感じは全く無い。Y字路を右に進むとエルム通りElm St.に変わったが、球場の前から州道71号として続いてる道らしい。72号ハイウェイの乗口があり少し込み合うが、それを通り越し州道174号を右折した。道路は広く、交通量も少ないので走りやすかったが、景色は田舎と呼ぶほどではない。家々の間隔は広かったが、所々に大型店もあった。途中175号と176号の標識が分かり難く少し迷ったが、どうにかU.S5号に出る事が出来た。

5号を北に向かうと徐々に交通量は増え、両端の建物も多くなって来た。中央帯にも歩道にも街路樹がある美しい道が続いた。この辺はもうハートフォードの外れだろう。ハートフォードはコネティカット州の州都で、一流企業の本社が幾つもある街だが、自慢のオフィス街はもう少し東の方にあるようだ。私達が向かっているのは、町の西側にあるマーク・トウェイン・ハウスだ。マーク・トウェインMark Twain(本名 サミュエル・クレメンズ)は、「トム・ソーヤーの冒険」の作者で、ミズーリ州のハンニバルと言う小さな村で生まれ育った。物語は彼の少年時代が元になっていると言われてるが、実際に執筆されたのは後年ハートフォードに移り住んでからだそうだ。原作を読んだ事は無いが、妻も私もカルピス劇場の「トム・ソーヤーの冒険」を見ていたクチだ。

メイプル通りMaple Av.(U.S5号)から結構大きなY字の交差点でブロード通りBroad St.へ進む。道路は狭くなり、小さな交差点が多くなって来て、建物も段々と密集してきた。2キロほど行くとパーク通りPark St.との交差点になり、信号で停車した。商店街のようだが、余り綺麗じゃない。路上にヨタヨタと浮浪者のようなのが数人出てきていた。アブなそうなのでドアのロックを確認し、目が合わないようにしていた。信号が青になり左折(西)した。1キロほどで6号ハイウェイを潜り、1つ目の信号を右折した。1キロも行かないうちにファーミントン通りFarmington Av.に突き当たり、これも右折。道路も広くなり結構街中に入ってきたようだ。一つ目の右折路のフォレスト通りForest St.に進んだ。道の両脇は歴史的建築物が建ち並んでいた。右手にある駐車場に入ると、30〜40台のスペースに5台位しか車は停まってなかった。10時5分。

実際にはそこは障害者用駐車場で、本当の駐車場は裏の丘を下った所だったが、私達は帰る時まで看板に気が付かなかった。駐車場のすぐ北側にある建物の間を通り、4つの建物が取り囲んでいる広い中庭に歩いていった。建物はそれぞれ「アンクルトムの小屋」の作者ハリエット・ビーチャー・ストウHarriet Beecher Stoweのストウ・ハウス。ストウの甥の娘キャサリン・ストウ・デイKatharine Stowe Dayのデイ・ハウス。それから案内所だ。マーク・トウェイン邸は一番奥に堂々と建っていた。見た目も一番大きい。壁は茶色とオレンジのレンガで綺麗な模様になっていた。1階の庭に面してる大部分はテラスのようになっていて、2階、3階、屋根と尖がったり六角だったり、飛び出したり引っ込んだり複雑な形をしていて、煙突も4〜5本見えた。それでも全体の印象は落ち着いていて歴史も感じる不思議な建物だ。

裏側に回ってみると垣根の向うはすぐ道路で、通行中の人や車からも良く見える場所のようだ。派手な正面側とは対照的に玄関は比較的小さくて暗い感じだった。小さな看板が掛けられていて、ここが入口らしい。ドアを開けて中に入ると、3人のスタッフが笑顔で迎えてくれた。そこは15〜20畳ほどのスペースで、トウェイン愛用だったタイプライターなどが展示してあったが、大部分はお土産コーナーだ。そこから家の中を見て周るには有料となっていた。一人のスタッフが日本語で案内ツアーを薦めてくれたが、そこまで見たい気持ちは無かったので断った。ガイド本によると、当時のままの装飾や家具、家族の写真などが展示されていて、トム・ソーヤーの後もヒット作を生み続けたトウェインの生活振りが感じられるそうだ。お土産コーナーは私達の他には2〜3人しか客は居なくて、ゆっくりと見る事が出来た。やはりトムソーヤー関連の物が多く、それらを見ているだけでワクワクして来る。イタズラと冒険好きの主人公トムは今でも私達のヒーローだ。絵本と絵ハガキを買って、入った時と同じ扉から外に出た。中庭に戻ると10人ほどのツアー客が、ガイドの説明を静かに聞いていた。陽射しは強かったが、樫やカエデなどの大木が生い茂り、中庭はとても爽やかだった。

車に戻り出発したが、ガソリンが殆ど空だったのでスィッソン通りSisson Av.にあった小さなG.Sに入った。しかし店内では6〜7人の従業員が座って話をしていて、私に気付くと「もう閉店だよ」と言った。「エー?まだ午前中だよ」と思ったが、仕方ないので店を出た。そこから6号ハイウェイの乗口はすぐで、南方面に向かいハートフォードを後にした。

道路はすいていたが、ガソリンが非常に心配だ。もう湾岸線まで降りる予定は無かったが、給油は絶対必要だろう。道はそれほど行かないうちに9号との分岐を過ぎてI-84号になり、山の中の景色が続いた。もう一つ大きな分岐と合流を過ぎると、すぐにG.Sの標識が出て来た。走り出して10分くらいか。Exit32で降りると、大型店舗が建ち並ぶ州道10号が通っていたが、ハイウェイよりも交通量が多いくらいだった。広くて綺麗なG.Sもすぐにあって、給油をして中でお菓子も少し買った。スタンドの隣りにはモーテル6もあった。町の名前はサウスイントンSouthingtonと言うらしい。再び出発して84号を南に向かった。

交通量は相変わらず少ない。合流点や大型トレーラーなどに気を付ければ、快適なドライブを楽しめた。ウォーターバリーWaterburyで州道8号ハイウェイに乗り換える。ウォーターバリーは昨年まで独立リーグのノーザン・リーグ所属の球団があったが、今は無くなってしまっている。今年チームが存在していれば、観戦予定に入れていたかもしれない。球場くらい見ていこうとも考え、旅行前に公式サイトを確認したのだが、こちらも消滅していた。場所が分からないのでは話にならない。残念だがその町は素通りした。

8号ハイウェイを南下するにつれ、交通量は次第に多くなっていった。それでもスピードは出ていたが、車間距離は自然と短くなる。長く取った方が良いと考えるのが一般的だが、横入りする車が増えるので、一概にそうとも言えない。合流車の確認をしながら、運転してる妻に注意を促す回数が増える。湾岸が近づくにつれ、景色が都会っぽくなっていった。いよいよブリッジポートに着きI-95号に合流する。これまでにも書いてきたが95号は今回の旅行で一番の主要道路だ。渋滞とまでは行かないが、想像してた通りの車の多さだ。

今晩の宿はまだ決めていなかったが、ドライブ初日に寄ったアトルボロのAAAで貰ったガイド本を数日前から見ていたので、95号沿いのホテルはある程度の情報を知る事が出来た。明日は出来るだけ早くニューヨークに行きたいので、泊まるのは野球観戦をするブリッジポートよりも西にしようと思っていた。そこでガイド本に載っていたフェアフィールドFairfieldからスタンフォードStamfordまでにある7〜8のホテルに絞って訪ねることにした。AAA発行のこの分厚いガイド本はコティカット、マサチューセッツ、ロードアイランドのドライブやレジャー情報が満載で、中でもホテルは地図や値段やランク付けなど詳しく載っている。ページの合間にはレジャー施設の割引券も付いていた。95号を西へ西へと向かい、ブリッジポートから約25キロ程のExit11で降りる。町の名前はダリアンDarien。

下にはU.S1号(ハイウェイではない)が交差している。この道は95号と平行して走ってるので、今度は東に向かいホテル探しだ。と思っていたら、降りてすぐに一つ目のホテルの看板が見えた。こんなに出口から近いとは思ってなかったので、曲がる所を通り過ぎてしまった。Uターンしたいが、交通量が多いので大変だ。それ程広い道ではないが、両脇は店が建ち並び賑やかだ。なんとか車の向きを変えて、ホテルのあるリッヂ通りLedge Rd.を右折した。100メートルも行かない右側にハワード・ジョンソン・インHoward Johnson Innは建っていて、広い駐車場に車を入れた。造りは小さなフロント事務所が正面にあって、奥に客室棟が幾つかあるようだ。中に入りフロントのカウンターに居た若い黒人女性に「今夜の部屋は空いてますか?」と尋ねると、空いてるとの事だった。値段を聞いてみると、89ドルとガイド本に書いてあるよりもかなり安い。それを見て来てるので当たり前だが、予算内だったので即決してしまった。それから奥から出て来た責任者っぽいオバちゃんは、妻のカードを見て馬鹿ウケしていた。このカードはオバちゃんにウケが良い。一通りの手続を済ませ、車を奥の駐車場に移動させ部屋へ向かった。外階段を上がり2階の部屋に入ると、広さはそれ程でもないが、落ち着いていてマアマア綺麗だった。ホテルは他にも候補があったが、早く決まるに越した事は無い。これで一安心だ。12時50分。

一休みした後、買い物に行こうとホテルの前のリッヂ通りを西に向かう。1号方面とは違い、のんびりした風景だ。この道は95号の側道のような感じだが、すぐにノアトン通りNoroton Av.に突き当たったので、左折して陸橋で95号を渡たる。道路は広くて、交通量も程々なので気持ちが良い。家も沢山建っていたが、それ以上に緑が多い。少し行くとボストンポスト通りBoston Post Rd.に突き当たった。地図で見るとこの道は、ホテルに行く前に通ったU.S1号と同じ道のようだ。戻っても仕方ないので、右折して西に向かう。道沿いには小さな商店やレストランが所々見えてきたが、相変わらずゆったりとした街並が続く。すぐに見付かると思ったが、スーパーのような大型店は全然見えてこない。役場のような大きな建物が並んでいるのが見え、市街地に入ってしまうのも厄介なので、手前の信号で左折した。左手は海岸線の美しい景色に変わった。海沿いギリギリに建つ上品そうな家や小型ヨットも見ることが出来た。

ウィード通りWeed Av.を道なりに進むと、大きな公園が見えてきた。真っ直ぐ進むと古い住宅地のようだったので、公園の駐車場に入った。駐車場もとても広かったが、緑の多い敷地内のアチコチで、家族連れや若い人たちが軽いスポーツ等を楽しんでいた。私達は海沿いに出れる一番奥まで車で入っていった。車も人も少なかったが、入り江から木の桟橋が一本のびていて良い景色だった。ヨットやクルーザーが出入する所らしいが、みな桟橋よりもかなり手前で停泊していた。先まで歩いて行き海を見ると、水平線は見えず、沖にはズーと横まで島が浮かんでいた。たぶんロング・アイランドLong islandだと思ったが、確信は無かったので、近くで釣りをしていたお爺さんに尋ねると、「そうだよ。ここから9マイルしかないんだ」と教えてくれた。良い天気だが風が冷たかった。

スーパーは見付からなかったので、一度ホテルに戻りフロントで場所を聞いてから、再び出発した。U.S1号を東に向かったが、こちらは交通量が多くゴミゴミしていた。平行してる95号が見えたり隠れたり、景色も街になったり郊外になったりしたが、15分ほど走り、教わったショア・マートShoaMartに着いた。この辺りは大型店が幾つか並んでいたが、ショアの駐車場に車を停め、すぐ隣りのスポーツ・オーソリティSports Authorityに入った。この店は日本でもお馴染みのスポーツ用品チェーンだがMLBグッズも扱っている(と言っても日本でも1軒しか行った事ないが)。広い店内に様々なスポーツ用品が並んでいたが、目立ったのはフィッシング、アウトドア、筋トレマシン等だった。野球グッズの小さなスペースを見つけたが、ヤンキースのモノが中心だった。値段はそれほど安くはない。何も買わずに出て、スーパー側に歩いて行った。

ショアも大きくて綺麗なスーパーだった。それに惣菜コーナーが充実していて、15〜20種類の料理が並んでいた。中華風のものや炒飯や焼きうどんもあった。ランチバー、サラダバーと書かれていて大きなアルミ製の容器が置いてあったので、この中に好きなだけ入れて良いのだなと思い、半分以上の種類を詰め込んだ。それからスープのコーナーも数種類のスープを大、中、小の容器に各自で入れるようになっていた。スープは色々なのを混ぜる訳にはいかず、無難なクラムチャウダーを中の容器(結構大きいです)に入れた。いつもならパンも買うのだが、かなりの量になっていたので、これだけでレジに並んだ。しかし値段は、自分達が予想していたよりもかなり高かった。ランチバーの容器には「PLU450」と書いてあったので、取り放題で4ドル50セントだと勝手に思っていたのだが、ランチバー、サラダバー共々10ドルを超えている。たぶん重さ売りだったのだろう。いまさら戻す訳にもいかないので仕方がない。欲をかいて必要以上に入れるんじゃなかった。帰り道は、3つの大きな容器がこぼれないように、助手席の妻は大変そうだった。ホテルに戻り遅い昼食にしたが、買った4分の1も食べられなかった。午後4時10分

腹がいっぱいになったので、そのまま寝てしまったらしい。5時過ぎに妻に起こされ、球場に出発する。ブリッジポートへはI-95号を戻るかたちになるが、乗口も1号から95号のトンネルを潜るとすぐだった。しかしハイウェイは大渋滞になっていた。下り車線の方が混んでいるので、おそらくニューヨークからの帰宅ラッシュだろう。時たま一瞬だけスピードを出せる所もあったが、結局渋滞は球場のあるExit27まで続いた。

Exit27の標識には路名ではなくて、球場名の「Harbor Yard」と書いてあった。下で交差してるマートル通りMyrtle Av.を右折して南に向かう。公式サイトにあった案内では、すぐにレイルロード通りReilroad Av.を左折とあったが、そのまま真っ直ぐ行ってしまう。周りは古い工場と寂れた住宅地が続いていた。車も少なかったが、歩行者も余り居ない。たまに歩いているのは、みな黒人だった。詳しい地図を持っていたので、迷う事はなかったが、走っていて少し緊張した。意外な球場周辺の風景だったが、それでも球場の前のブロード通りBroad St.は人や車で賑わっていた。係に誘導され向かいの砂利の駐車場に入ると、入口で2ドル払わされた。かなりの台数が停まっていたが、係が多いので指示に従いながら楽に駐車できた。

狭い道路に入ってくる車に気をつけながら球場側へ歩いて渡った。周辺は路上駐車も多いようだが、警官もかなり出ていた。球場正面ではマスコットのB.Bが子供達に囲まれていて、騎馬警官が、客が車道に出ないように見張っていた。球場だけを見ると新しくて明るくて、とても綺麗だ。窓口で上から2番目の10ドルのチケットを買ってから、球場の周りを少し歩いたが、通路は西側しかなくて一回りする事は出来ないようだ。正面よりも広くて立派な、北側の階段から入場した。

階段を上った所は、コンコースのレフト端だった。レフト後方に建設中の大きな建物があったので、入場係に尋ねると、バスケット専用の施設だそうだ。そう言えばチケットを買った時に一緒に貰ったスケジュール表は、野球の他にメジャー・リーグ・ラクロスMLLの物もあった。MLLとは私も初耳だが、ハーバーヤードを本拠にするブリッジポート・バラージBridgeport Barrageと言うチームがあるらしい。対戦相手を見ると、ボストン、ボルティモア、ロチェスターなど大都市だ。「結構スポーツが盛んな町なんだな」と感心して、1塁側まで歩いていった。

まだ陽射しは強く、グランドでは係が水撒きをしていた。両チームの選手達はダッグアウト周辺でリラックスしていた。ハーバー・ヤードThe Ballpark at Harbor Yardを本拠とするブリッジポート・ブルーフィッシュは1塁側で、上下白のユニホーム。遠くから見ると地味だが、胸のロゴは魚のシッポがとてもユニーク。対戦相手のカムデン・リバーシャークスはビジターらしく上下グレー。カムデンCamdenはデラウェア川を挟んでフィラデルフィアの対岸に位置するニュージャージー州西部の町で、こちらも都会のチームだ。両チームが所属するアトランティック・リーグは、メジャー傘下に属さない独立リーグで、98年にスタートした比較的新しいリーグだ。創設から若干の増減があったが、現在は東海岸北部を中心に8チームが所属している。レベルとしてはAともAAとも言われているが、以前メジャーで活躍した選手も多くプレーし、ここからまたメジャーに復帰する例も少なくない。ブルーフィッシュには今年から、元日本ハム・ファイターズの今関勝一投手が、トライアウトを経て参加している。

スタンドはまだ半分位の入りだが、試合が始まるようだ。リトルリーグの子供達と共にブルーフィッシュの選手がそれぞれの守備位置に散らばる。ベンチの選手達も国家斉唱に備え、ダッグアウト前に整列して脱帽した。その中に背番号11の今関の姿もあった。

私達の席は1塁側のダッグアウトの真上で、前から7〜8列目だった。周りには家族連れが多く、すぐ前の4〜7歳くらいの兄妹は掴み合いの喧嘩をしていた。お母さんが割って入り宥めるが、またすぐに男の子の方がチョッカイを出して、ぶち合いが始ると言った調子だった。座席からの眺めは昨日までの球場とは全く違い、レフト後方には高速道路とビル郡、ライトには巨大な工場、その前には外野フェンスを取り囲むように鉄道の線路が通っていた。電線や電柱も風景の中で密集していた。試合は1回裏に先頭バッターのアヴィラーRolo Avilaが出塁すると、すかさず盗塁。中軸のタイムリーの後、敵失もありブルーフィッシュが2点を先制した。

コンコースには売店が幾つか出ていたが、店員は大半が黒人だった。観客も他球場に比べると黒人の割合が多く感じられた。1塁側の外野寄りには綺麗なピクニックエリアがあったが、今日はそこには余り入ってないようだ。ライト後方の線路には時間調整の為か?時たま電車が停車する事があった(駅はありません)。乗車客も少しの時間だが試合を見られるわけだ。それから港が近いので、汽笛が頻繁に聞こえてくる。コンコースからも背伸びをすればセンターの向うに海が見え、行き交う何隻もの船を見ることが出来た。ロングアイランドへのフェリーだと、近くに居たオバちゃんが教えてくれた。それから球場の3キロほど東には空港があるので、上空のかなり低い所を飛行機もよく飛んでいく。暗くなってきたのでハイウェイのヘッドライトの動きが良く見えるようになってきた。電車、船、飛行機、車とこれだけの乗り物が良く見える球場も珍しい。

試合は4回にリバーフィッシュが追いつき、5回にも勝ち越しのチャンスだったが、センターのアヴィラーのホームへの好返球で阻止。ビッグプレイに観客は大騒ぎ。その裏アヴィラーも俊足を見せ、ホームへ突っ込むが憤死。しかも頭からジャンピング・スライディング。この選手はどう見ても160センチ位にしか見えないのだが、ガッツがあり今日一番目を引いた。ブルーフィッシュはキングマンBrendan Kingmanのタイムリーで3−2と再びリード。前の席のお母さんも子供達に「アヴィラー!、キンマー!!!」と注意を野球に向けさせようと努力していた。

アトラクションは毎回行われていたが、BBが客とゲームをして、海賊のマスコットがBBを邪魔して、客に勝たせるパターンだった。スタンドは6割くらい埋まったろうか、7thイニング・ストレッチも盛大に行われた。その直後にマレーロOreste Marreroがホームランを打ち更に盛り上がった。私達はその後3塁側にあるグッズショップへ行ったが、綺麗で広くて品数も多かった。それにデザインがカッコ良く、値段も比較的安かった。上ユニは3種類あったが、メッシュの物も全て59ドル。それからアトランティック・リーグのチーム全てのロゴが入ってるTシャツ(16ドル)も買った。結構時間をかけて買い物をしていたが、私達が店員と話をしている様子を、別の店員が写真に撮っていた。チョット照れた。座席に戻ると丁度試合は終わるところだった。リバーシャークスは9回に1点返したが、結局5−3でブルーフィッシュが勝利した。勝ち投手ロン・フレイザーRon Frazier セーブ ピート・ラッタPete Ratta負けシルヴァT. Silva

帰る前に今関に一声かけようと、ダッグアウト横に移動したのだが、2〜3の選手を除き他の選手はベンチ裏から出て行ってしまったようで、時間がたってもグランドには出てこなかった。残念だがそのまま球場を後にした。駐車場からは、それほど混雑しないで出ることが出来た。ブロード通りを北へ進み95号を潜り、左折して工事中の側道のような道へ入った。少し混んでいたが数百メートル行くと乗口があり、そこからハイウェイで帰った。時間は10時を過ぎていたが、やはり都会だけあって、まだ沢山の車が走っていた。ホテル着10時30分。


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