6月28日 (1)

CAPE COD BASEBALL LEAGUE


エアコンの効いた個室はやはり快適だ。久しぶりにグッスリ寝られた気がした。昨夜は結局妻も食べずに寝たそうで、食べ物はまるまる残っていたが、このホテルは朝食付きなので、それは後で食べる事にした。顔は洗ったが、頭のボサボサを直す事までは妻は待ってくれなそうなので、帽子をかぶって1階の食堂に向かった。入口の6畳程のスペースにパン、ドーナツ、シリアル類、ヨーグルト、飲み物が置いてあり、各自で皿に取って奥の部屋に持って行くのだが・・・。そこには口の広いガラスのビンが置いてあって、皆それにチップを入れている。私達は小銭を用意してなかったので、食物を取るとそのまま奥へ行った。奥の部屋は広くて、テーブルが20卓ほど置いてあり、照明も落ち着いていて壁には絵もかかっていた。絵は現代的な物が多く、野球を題材にした物もあった。パンもヨーグルトも何と言う事のない普通のものだったが、腹が減ってたのでうまかった。食事中、一人の太った女性従業員がテーブルを拭いたり、食器を整頓したりしていた。飲食物の補充などもたぶん彼女の仕事だろう。チップのビンが彼女の為の物である事はすぐに理解できた。早く食べてサッサと出ようと思ったが、妻はまだ食べるらしく新しいパンを持って来た。食堂は丁度すいてきたところで、給仕係の彼女はチップのビンの側の椅子に腰掛けてしまった。妻もようやく気が付いたようで「どうする?」と言ってきた。別に払わないからといって罪にはならない。ただ、快適な食事の場を提供してくれた彼女に「悪いなァ」と思うし、入れてないのを気付かれてるような気もする。「ホテルを出る前に置にこよう」という事になり、私達は部屋へ戻った。部屋で荷物の整理をして、食物のタッパを氷の入った袋に入れる。殆どのこの位のホテルには製氷機が廊下などに置いてある。フロントに行く前に食堂に寄ってみるが、彼女は既に居らず、ビンも無くなっていた。

昨日はI-495でケープコッドに行こうと思っていたが、泊まった場所が予定より大分南だったので、195と495ではどちらが良いかとフロントで聞いたら、「絶対、195だよ」と言われた。95号の乗り口も教わって出発した。時間は8時35分。

95号サウスの乗り口は側道のように通ってるスィダー通りCeder St.を300メートル程行くとすぐにあった。プロビデンスに向かっているので凄い交通量だ。3〜4マイルですぐに195号との分岐だ。渋滞と言う程では無いが、混んでるためスピードは遅いので、間違えずに乗り換える事が出来た。あとはワーハムWarehamまで一本道だ。マサチューセッツ州に入るとExitの番号が1番に戻った。暫く行くと徐々にすいてきたが、反対車線はプロビデンスへの通勤渋滞だろうか?全く動いていない。景色の大半は緑の中だが、途中ウェストポートWestportやニューベドフォードNewbedfordのような大きな町ではニューイングランド特有の古いレンガ模様の街並が楽しめた。屋根に自転車を積んだ車や、小型ボートを牽引したキャンピングカーが多くなってきた。

ケープコッドはマサチューセッツ南東部から大西洋に突き出した半島で、美しく歴史もある有名なリゾート地だ。形が肘を曲げた腕にも例えられるが、全長約70キロのうち、ケープコッド・ベースボール・リーグは肩から肘までの部分(約50キロ)に10チームが分布している。全米の大学から選ばれた将来有望な選手達が、小さな町のチームに振り分けられ、6月中旬から8月上旬まで各チーム44試合(プレーオフ、チャンピオンシップ除く)を行う。元々はセミプロのリーグだったらしいが、現在のような形態となってからも歴史があり、フランク・トーマス(ホワイトソックス)、モー・ボーン(エンジェルス)、ロビン・ベンチェラ(メッツ)、ジェロミー・バーニッツ(ブルワーズ)など、このリーグの出身の現役メジャーリーガーは100人以上、マイナーの選手を含めると約500人のリーグ出身者がいる。つい最近のドラフトでも、全体の3番目にデビルレイズに指名されたデオン・C・ブラズィルトンDewon C Brazelton(ハーウィッチ、テネシー州立ミドルテネシー大)を筆頭に、主に去年在籍した選手が約150人指名されているが、今年参加している選手でもジェームス・ブルァードJames Bullard(ボーン、UCサンタバーバラ校)ら数名が指名されている。

Exit21 Warehamが出てきてハイウェイを降りると、州道28号が交差している。道は広いが周りは何もない。左折して少し行くとコンビニと郵便局が並んであったので、そこに来ていた地元っぽいお爺さんにダウンタウンへの行き方を聞くと、どうやら反対方面だったようなので引き返す。暫く行くとメイン通りになり両脇に何軒かの商店があった。この辺が一番栄えてるのだろう。一軒の店の前でワーハム・ゲートメンのグランドはどこかと聞くと、来た通りを左折すればすぐだと言われるが、行っても道路からだとグランドは良く見えなかった。間違って入ってしまった住宅地からグランドが見えたので、表に廻り駐車場に車を停めた。9時50分

インターネットで調べて来たとおり、クリム・スピレン・フィールドClam Spillan field はワーハム高校の敷地内にあった。ワーハムは唯一半島の外にあるチームだが、そう言う意味でもワーハム・ゲートメンWareham Gatemenと言う名前はピッタリだ。古いレンガの校舎に、外野の向こうの緑、このリーグの球場との初体面は、感覚的にとても気持ちの良いものだった。グランドでは上半身裸の若者二人が熱心にグランド整備をしていて「中に入って良いか?」と聞くと、不思議そうな顔で頷いた。「あなた達は選手ですか?」と聞くと、礼儀正しく「イエス、サー」。リーグ戦が始まって10日位だろうから、当番だとすればまだ1〜2回目だろう。普段は誰もグランド整備など見に来ないだろうに、「なんだろうこの東洋人は?」と言った感じか。自分達は日本から野球を見に来たが、二日しか滞在しないので、観戦予定のない球場は昼間見てるんだと事情を話すと、ようやくニコニコしてくれた。私が写真を撮ってる時も、小さい方は熱心にバッターボックス周辺を器具を使って固めていた。「君は内野手かい?」と聞くと、「いや、私は外野手です」と少し間を置いて「彼はピッチャーだよ」と水撒きをしてる大きい方を指差した。名前と背番号を聞くと、外野手の方が2番の「リック・リー」、投手が13番で「トッド・○○ジャー」と言ってるが、良く聞き取れない。写真を撮りたいと言うと「こんな感じ?」とトンボを手におどけたポーズを何回もしてくれた。二人ともとても好青年だった。車に戻ると妻は「カッコ良いねー」を連発してた。

メイン通りはそのままUS6号になり、途中一般道に出て海沿いを走るが、チョッと迷いまた人に聞いて6号に戻る。地図では単純そうに見えるが、なめてるとすぐ分からなくなる。それでも寄り道したくなる景色だが・・・。

ケープコッドに向かう車で6号は大変混んでいる。両脇は所々に大型店も建っていた。ボーン・ブリッジBourne Bridgeが見えて来て、州道28、州道25との分岐になる。私達はその下を潜ってケープコッド運河CapeCod Canal沿いを走る。少しすいたので道もさっきよりも広がった気がする。途中、道路沿いに駐車場があったので、車から降りて運河の側まで行ってみた。川幅は200メートル位あるだろうか?モーターボートや中型の船も何艘か往来している。ここはケープコッドの付け根の部分だ。

サガモア・ブリッジSagamore Bridgeを渡りいよいよ半島に入る。ケープコッドに行くには陸路はこの二つの橋しか無いので、この辺はいつも混雑してるようだ。それでも橋を渡ってしまうと、6号はハイウェイなので結構走るようになった。US6号は半島のほぼ真ん中を、先ッチョのプロビンスタウンProvincetownまで縦断している。少し行くとケープコッドの表玄関と呼ばれるサンドイッチSandwichの標識が出て来た。ガイド本にも詳しく載ってる有名な町だ。この町を含め古い街並や自然の中を多くドライブしたい人には、時間はかかるが州道6Aの方がお薦めだそうだ。

Exitの番号はどんどん進み、ハイアニス、ヤーマス、ハーウィッチと、野球チームのある町名が次々と出てくる。両脇の景色はずーっと森の中だ。かなり交通量は減ったのでスピードは出せるようになってきた。後半はあっという間でExit13で降りる。紛らわしいが州道28号Northで南に向かう。「良いのかな〜?」と思っていると右手に野球場があった。小さな駐車場に入ると看板に「Eldredge Field」の文字。本当はExit12で降りて行くのが正しい行き方だが、うっかり行き過ぎてしまった13からの方が、分かりやすくて早いと思う。11時40分。

一番西のワーハムから一気に東に来たが、2番目の球場はオーリンズ・カージナルスOrleans Cardinalsのエルドリッジ・フィールドEldredge Fieldだ。駐車場の横の物置き小屋で、整地道具をしまってる立派な体格の青年がいたので、すぐに「選手だな」と分かった。一応話し掛けてみたが、「ピッチャーですか?」と聞くと「いや三塁手だ」と言う返事。背番号は5と言う事まで聞いたが、丁度同僚が車で迎えに来た。「じゃあ、試合に来てね」とすぐに行ってしまった。球場の中には誰も居ないと思ったが、ダッグアウトの周りをゴミ拾いしてるオバさんがいた。1塁側内野席は土手を利用している。ライトフェンスの向こうはステージの様なのがあり数人の女の子がダンスの練習をしていた。その裏はトイレとロッカールームのようだ。周りには運動場が他にもあり、野球場ももう一面あった。左中間には小さな子供の遊び場があり、数人の親子が居た。そう言えば昨日までのような暑さは全く無い。車内で持って来た食物を食べる。

再び28号を南へ向かう、ルート番号の標識には「North」とあるので紛らわしいが、地図をチャンと見てるので間違った方向に進んではいない。後で分かった事だがオーリンズからチャタムまでの東端の28号の区間は、北と南は正しい方角とは逆に表示されている。これは真直ぐ行けば西側では北向きがNorthとなり正しくなるのだが、地図を見ても大部分は東西を走ってる感じなので、East、Westの表示にしてくれた方が分かりやすいのだが・・・。道は片側一車線で林の中をクネクネと進んでいたが、時おり見える海にはヨットが何艘も浮かんでいて綺麗だった。地図ではチャタムの手前で二段階で直角に曲がるように書いてあるが、28号の標識が分かりやすく設置してあったので、間違う事は無かった。二回目を右折すると大通りになり交通量は多くなるが、すぐにまた右折して学校施設に入る。建物の裏は駐車場で、子供用の野球場もあるが、メイングランドはここからは全く見えない。

小高い土手の階段を上がるとグランドでは少年野球をやっていた。見ていた人に聞くと14歳以下の大会だそうで、レベルは結構高そうだった。場所はチャタム・アスレチックスChatham Athleticsの本拠地ベテランズ・フィールドVeteran's Fieldに間違いなかったが、この球場は翌日観戦に来るので、詳しくはそちらで・・・

28号を少しだけ北に行き、クイーンアン通りQueenAnn Rd.に入る。殆どの「行き方の案内」は6号から書かれてるので、それとは反対に行けば良いのだ。森の中をクネクネと進む。途中狭くなる所も結構あるので「間違ってないか?」と不安になる。交通量は少ないので、交差点ではゆっくり走り、標識で道の名前を確認する。大通りと交差すると「あってるよー、もうすぐだよ」と妻。オーク通りOak St.との交差点を行き過ぎて「あっ、ここだよ」慌てて停車。一般道の道路表示は小さいので、普通のスピードで走ってると初めの1〜2文字しか確認できない。通り過ぎてしまうのはしょっちゅうだ。方向転換する為に次の道に入ると、そこは道路ではなく個人の家の入口だった。「凄いなー」と思いながら、ロータリーがあったので、そこで廻らせてもらいオーク通りに。少し行くと道沿いに木が無くなり視界が開け、左側に白い建物が見えた。通り過ぎた所にグランドがあったので降りてみる。

サイズが少し小さいので少年用だろう。白い建物はホームページで見た覚えがある。地図でもここに間違いないと思うのだが肝心の球場は見当たらない。建物に通じてる道の入口に行くと、球団のマークが描かれた看板があった。そのまま奥まで進み建物の裏側に廻ると、木々の間からバックネットが見えた。白い建物はハーウィッチ高校Harwich High Schoolで、球場の名前はホワイトハウス・フィールドWhitehouse Field 、ハーウィッチ・マリナーズHarwich Marinersの本拠地だ。私達は学校側の駐車場に停めたが、細い砂利道を入って行けば三塁横にも数台の駐車スペースがある。私達が球場を見ていると、トラックに乗った3人がやって来て、整備用のカートでグランドを整備しだした。一人は車の所で別の仕事をしてたので「選手ですか?」と尋ねると、「俺達は違うよ。グランドを作る専門家さ」と教えてくれた。そう言えば大学生にしては老けている。緑の多いとても美しい球場だ。先に入口に停めてあった車から、お爺さんと大きなレトリバーが降りて来た。犬も常連と言った雰囲気だった。

次の訪問先はブリュースター・ホワイトキャップスBrewster Whitecapsだが、本拠地のケープコッド・テック・フィールドCapeCod Tech Fieldのあるケープコッド工業高校Cape Cod Regional Tech High Schoolは、ここからは1マイル足らずの距離だ。クイーンアン通りから州道124号を北に向かい、6号ハイウェイを通り過ぎると、すぐに右側に立派な校門が見えてくる。ここの住所はハーウィッチで、実際のブリュースターの町は124号を更に北に4マイルほど行った所だ。この時はグランドに行くと、ベンチの椅子に寝転がっているオジさんが居て、ドカベンの徳川監督みたいだったので、「監督かコーチですか?」と聞いたら、その人はティム・パウエルさんと言って、審判をやりにわざわざここに来てるそうだ。昼間は結構退屈らしい。私が起こしてしまったので、彼はその後一人でボール投げをやりだした。サウスポーだった。球場の事は翌日観戦してるのでそっちで詳しく・・・

次で6番目だが昼間はこれで終了の予定だった。ここまで非常に順調で、時間も2時を少し過ぎたところだ。校門を出るとすぐ6号ハイウェイの入口なのだが、通り越してしまい、さっさと引き返して乗れば良かったのだろうが、一般道で行く事にしてしまう。少し余裕を持ち過ぎていたかもしれない。道に迷ってしまった。124号から州道39号までは良かったと思うのだが、その後はどこを通ったか憶えていない。細かい地図は球場周辺のしか無かったし、殆ど森の中を走ってるので、道を聞けそうな人もなかなか居なかった。どうにか28号に出られ、地図を見てステーション通りStation Av.沿いのデニス・ヤーマス高校D-Y High Schoolに辿り着いた。広い運動場の一角にあるメリル・レッド・ウィルソン・フィールドMerrill Red wilson Fieldはヤーマス/デニス・レッドソックスYarmouth-Dennis Redsoxの本拠地だ。学校同様チーム名に二つの町の名前が入ってるが、球場のある場所はサウス・ヤーマスで、ここを中心に東側にデニス、サウスデニス、ウェストデニス、デニスポート、西側にヤーマスポート、ウェストヤーマスと言う町がある。敷地が広いので、グランド自体が緑に囲まれてる感じは少ないが、ベンチや放送室などの小さな建物が、揃って白ペンキで縁取りしてあり、それが緑の中で映えていた。美しいグランドには違いないが、全体の中では地味だ。そう思うのは疲れていたせいか?上手く行ってる時はそうでもないのだが、やはり迷いながらの運転は疲れる。ネット裏の販売機でジュースを買って飲んだ。「案内」では、6号方面からステーション通りを南に向かうようになっているが、道路からは少し奥なので、校舎の影になって見え難いと思う。28号から北に向かうルートからの方が、見つけやすいです。

再び28号に出て西(表示はNorth)に向かう。州道28号は主に半島の南側の海沿いの町を結んでいる。主要道路だが大部分が片側一車線と言う事もあって、中心部では大変混雑する。両脇はレストランや色々な商店が立ち並んでいて賑やかだ。ホテルやモーターインも非常に多い。私達が宿泊するタウン・カントリーTown'N Country Motor Lodgeもこの道沿いにあった。入ってすぐ横の建物にフロントがあり、チェックインの手続きをして鍵を貰う。表から見ると分からなかったが、敷地は奥で広がっていて、二階建ての長細い建物が数棟ある。部屋は1番奥の棟の二階でフロントからは距離があった。車でそこまで行き、建物に沿ってずーっと並んでる駐車場に停め部屋に入る。インターネットで見た写真とは外観もそうだが大分違う。ウソの写真を使ってる訳ではないが、もう少し綺麗に見えた。時間は3時半前だ。

後半に続く


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