6月28日 (2)

Cape Cod League

HYANNIS METS VS CHATHAM ATHLETICS


  今日はこれから2試合観戦予定で、そうそうゆっくりもしていられない。10チームなので、試合のある日は5球場で行われる事になるが、ナイター設備が無い球場では5時(ボーンは4時45分)、照明のある球場は7時開始となっている。日程や試合展開にも寄るが、近い所なら2〜3試合観る事も可能なのだ。初めの試合は隣町のハイアニスだが、地区割りではヤーマス/デニスまでが東地区、ハイアニスから西が西地区となっていて、同地区同士の対戦の方が若干多く組まれている。28号は一段と混んできた。ガソリンもそろそろ給油しないとヤバイ。Y字路をメイン通りの方に少し行くと、見た事のない形の道路に突き当たった。中央の植え込みの回りを車がグルグル回っていて、そこから多方向に道が繋がっていた。今だから冷静に説明していられるが、その時は後ろにも車が連なってるので、止まって考えてる暇など無かった。取り合えず注意しながら入って回りだすが、車線表示の無い円の上を、内回り外回りと勝手に車線が出来たり消えたり、しかも中途半端に走ってるとクラクションを直ぐに鳴らされる。妻が「あっち、あっち」と言う方にどうにか進むと、メイン通りは一方通行になった。「なんだよ、あれはー?」と言う感じだったが、そう言えば地図の所々に円になっている交差点が書いてあった。大して気にも止めてなかったが、これがロータリーと言う奴だった。

メイン通りは両側に店が立並び車も歩行者も多く、通って来た中では一番賑やかだった。ハイアニスは半島の中心に位置していて、空港もありシャトルバスや鉄道(夏期のみ)も通っていて、ケープコッド最大の町だそうだ。球場は地図ではこの辺を入って行く感じなのだが、交差する通りは皆狭くて、手前から確認してないと、なかなか曲がる事は出来なかった。全く検討も付かずに通り過ぎて暫く行くと、またロータリーがあった。そこから少し行った所のガソリンスタンドに入る。リゾート地だからだろうか?セルフではない。給油をしてくれた黒人青年に地図を見せて尋ねると、「この地図じゃ分かりずらいなぁ」と言って、道順を言葉で教えてくれた。引き返してサウス通りSouth St.から東に向かう。サウス通りはメイン通りとは反対方向の一通で、メイン通りの一本南を走っている。面してる路地は殆ど表示も無く、一通が終わる五差路まで来てしまった。それから何回かメイン通りとサウス通りをグルグル回ったが、球場に通じる道は分からなかった。サウス通りよりも南と言う事は分かってるので、五差路からそちら側に行ってみると、ビーチの方からグラブを持った家族連れが歩いていて、彼等が向かう方向に照明灯が見えた。有料の駐車場の入口だったので、表通りの混雑を考え、ここで停めた方が良いと判断し、車を入れようとすると、係のオジさんが「ビーチに行くの?」と聞いてきた。「野球です」と言うと、「それなら表から入れば無料の駐車場があるよ」と言われる。それが出来ないから、ここに居るのだが・・・。それでも言われた通り、もう一度メイン通りから行ってみる。開始時間も迫ってるので「どこでも良いから入ってみたら」と妻。名前は違うが一番広そうなパール通りPeal St.を左折して、サウス通りも突っ切る。方角ではこちらの方なのだ。突き当たりに大きな建物があり、ロータリーの回りに数台の車が停まっていた。車に乗ろうとしていた子連れの女性に球場を尋ねると、「ついてきなさい」と言ってくれたので、彼女の車の後に付いて行った。やはり一度メイン通りまで戻るようだ。最後まで見付けられなかったハイスクール通りHigh School St.の曲り口は、さっきのパール通りとは1本違いだが、建物の影になって路名の標識が隠れてしまっていたようだ。彼女は徐行して「ココダヨ」と指で教えてくれた。私がウィンカーを灯け手を振ると、そのまま真直ぐ行ってしまった。サウス通りを渡った奥に学校の建物があり、ようやく左手にグランドが見えた。建物やグランドの回りに皆乱雑に駐車していたが、台数はそれ程でも無いので余裕で停められた。入場は無料。

建物や駐車場?から一段低くなった感じでマキオン・フィールドMckeon Fieldがある。試合は既に始まっていて、80年代頃のNYメッツのユニホームによく似たハイアニス・メッツHyannis Metsが守備についていた。良く見ると、ズボンの足首のゴムが伸びてしまってる選手が多い。ユニホームは使いまわしなのだろう。相手のチャタム・アスレチックスは鮮やかなブルーが基調だ。木の柱の照明灯が設置されているが、今年はナイター試合の予定は無い。外野にある照明灯のテッペンには鳥の巣があった。ライト後方のスコアボードはイニング毎の経過を表す物ではなく、現在の得点だけを表示する簡単なものだ。昼間見て来た球場も半数以上がこのタイプだった。ハイアニスは負けてるようだ。ネット裏の小屋にはスーベニアショップがあり、品数は少ないが地元の物だけ帽子、Tシャツ、プログラム等が売られていた。フクロウのマークと大きな筆記体のHがなかなか良い。その小屋の2階は放送席になっている。ちなみに小屋の壁に貼ってあるポスターは「サマーキャッチ」"Summer Catch"と言う、ケープコッド・リーグを舞台にした、今夏公開される青春映画だ。

観客席は簡素な金属製のスタンドの他にも、木製の小さな観客席が幾つかあったが、更に外野方面に目をやると、自分で椅子を持って来て観戦してる人も沢山いる。見ている感じではチャタムを応援してる人も結構いて、2回にハイアニスが同点に追い付いた時も大きな盛り上がりと言う感じではない。それよりも全体的に長閑な雰囲気だ。車椅子の人も見に来ていたが、土手から下には降りられないので、結構後ろからの観戦になる。この辺はプロの球場のようには行かないようだ。金網のフェンスの所々には、板に描かれたスポンサー広告が、ゴム紐で張り付けられていた。バットボーイは結構小さい子がやっていたが、すぐ近くの観客席で親らしき人が写真を撮ったり、周りに自慢したり、子供に声をかけ励ましたりしていた。ロード試合にも付いて行くこの子供達は結構な競争率で選ばれてるようで、プログラムにも紹介されている。

その後チャタムが1点追加して、中盤を過ぎて2-3でチャタムがリード。時間は6時半を過ぎた。7th イニング・ストレッチが終わったら次の球場に向おうと思っていたのだが、7回の表がなかなか終わらない。ハイアニスの2番手が打ち込まれ、何点か取られていたが2アウトなので「もう少しで終わる」と思っていたが、結局ピッチャー交代になり更に時間がかかった。代わった投手も更に得点を与え、チェンジになったのは7時5分前だった。ハイアニスはこの回9点を取られた。しかも7th イニング・ストレッチは何もやらなかった。待ってるんじゃなかった・・・

来た時よりも駐車場の車は増えていたが、出易い所に停めていたので直ぐに出られた。メイン通りまで戻り西に向かう。目的地ファルマスまでは17〜18マイルの距離だろうか。ファルマスは半島の西側の南に飛び出た所にあり、入り江が多く地形も特徴的で、人気のリゾート地としてガイド本にも大きく載っている。28号に合流し先を急いだ。中心部を離れるにつれスピードは出せるようになってきたが交通量は結構ある。途中主要道との合流はロータリーになっていたが、少し慣れたのでファルマスには30分くらいで着いた。メイン通り(28号)に入ると照明灯が見えたので、場所はすぐに分かったが、道路は球場に入る渋滞が出来ていた。ファルマスには評判の良いレストランやケーキ屋が多く、この通りに集中してるらしく、とても賑やかだ。ようやく駐車場に入れたが、満車状態で停める場所がない。ハイアニスに比べると鋪装されたチャンとした駐車場なので収容台数も多そうだが、別の目的(レストランなど)での利用もあるようだ。同じ敷地内に隣の警察の駐車場もあったが、こちらはガラガラなのに木の柵を立てて入れないようになっている。「交代で見に行くか?」と妻と話していたが、丁度一台出て行く車を発見、サッと横に付けて(そうしないと他の車が入ってしまう)なんとか駐車する事が出来た。

Cape Cod League

FALMOUTH COMMODORES VS COTUIT KETTLEERS

ファルマス・コモドアーズFalmouth Commodoresの本拠地ガブファラー・フィールドGuv Fuller Fieldは公民館の敷地内と言う事だが、それらしき建物の横を通りグランド側へ出ると、入口で長テーブルにパンフレットを置いて売っていた。メンバー表付きで3ドルだったが、幾らでも寄付をするとメンバー表が貰えるようだった。その直ぐ後ろまで1塁側の長〜いスタンドが在って、座席数も相当あるのだが、さっきの球場に比べると観客の数も3〜4倍は入ってそうだった。時刻は8時になるところで、試合は4回で相手チームのコートイット・ケトラーズが4-1でリードしていた。スコアボードはここも現在のイニングと得点だけを表示するものだ。地元ファルマスは縦縞のユニホームで、帽子、ストッキング、アンダーシャツはエンジ。コートイットは上がエンジ、下が白のユニホームだ。

ライトフェンス後方には余分なグランドスペースが在り、子供達が遊んでいた。その後方にはアメフトのゴールも建っていた。ライトポールの真横に座り、隣に居た中年男性にグランドの事を尋ねると、ここはフットボールとの兼用グランドだそうで、ポールも外野フェンスも取り外せるらしい。その人の息子さんもフットボールの選手だそうだ。建物の壁に「Falmouth 」と大きく書いてあるのは、そのチームの事らしい。やけに長いスタンドもフットボールの為の物だったのだ。会話の中で「日本から来た」と言うと、回りの人達が「スズキは凄いじゃないか」「ノモや他にも良い投手が沢山いるね」と言ってくれた。

両軍のベンチの後ろには野球用の観客席(高さはあるが幅は狭い)もあった。この後ろ(一塁側)にはスポーツジムの建物が在って、営業はしてないが観戦者の為にトイレを解放している。ネット裏付近は椅子は無く立って見ている人が多い。バックネットのすぐ後ろの建物は2階が放送席、1階は飲食物を売っていた。スーベニアショップの小屋も近くにあったが、これはシーズン中だけの仮設の物だそうだ。店員は常時2〜3人居て、品数もハイアニスに比べると多い。今年のオールスターの開催地になっていて、その記念の商品もあった。6回裏にファルマスは2点を取り、3-4でコートイットがリード。

私は写真を撮る為に3塁側スタンドやレフト方面へも行ったりしていたが、ネット裏に居た妻の所に戻ると「これ買ったんだー」と長いヒラヒラした物を見せてきた。それは6桁の数字の下に「Ticket」と書かれている札が、何枚か連なった物だった。「これって何?」と一瞬思ったが、ガイド本に書いてあった50-50チケットらしかった。それにしても数えると16枚もあった。「幾ら買ったんだよ?」と聞くと、5ドル分だそうだ。妻の言い分では、ファルマスの控え選手が売りに来て、結構カッコ良かったのと、他の女の人も数枚買ってたのでと言う事だったが、これは半分は寄付になっているので、勝ってもそれ程の配当は見込めないと思うのだが・・・。しかし、私の考えは間違っていた。と言うよりもクジの解釈を間違っていたようだ。私は「当たり券」はチームの勝敗に寄って決まるのだと思っていたのだが、実際は番号に寄る純粋なクジで、試合の終盤に放送で「当たり番号」を発表するようだった。当選者は4〜5人なので結構な額になるのではないか?しかしこの時の私達は、それにまだ気付かずにファルマスを尚一層応援していたのだった。

ようやく辺は暗くなってきた。7th イニング・ストレッチは、放送席のオジさんが伴奏無しで歌い、大変盛り上がっていた。観客数が多い事もあるかもしれないが、ハイアニスの様な「のどか」な感じは全くない。ナイターと言う事もあるかも知れないが、ゲームに緊張感を感じる。地元チームを勝たせたいと言う雰囲気もこの球場にはチャントあるようだった。7回裏は無得点だったが、8回に2点をとって地元が逆転、盛り上がったのは当然だが、特に何球も粘ったあとに勝ち越し打を放った、ジェド・イングリッシュJed English(バージニア工科大)にはベンチに戻る時も大きな拍手と歓声が送られた。彼はキャッチャーで、ベンチ前で防具を付けてる最中も、彼の名前を呼んだりするファンが結構いた。9回表を抑えてファルマスが5-4で勝利した。勝ち投手レイモンド・クラークRaymond Clark(テキサス大)、負けダニエル・メイヤーDniel Meyer(ジェームス・マディソン大)

試合終了はプロと違ってホームベース付近で一列になり、相手チームの全員と握手をする。新鮮な光景だった。二人のバットボーイも列の最後尾で、一人前にその儀式に参加していた。その後、両チームの選手達は外野よりのグランドで輪になって監督の訓示を受けていたが、ファンの子供達はグランドの中に入って、少し離れた所で、それが終わるのを落ち付かない様子で待っていた。選手の輪が解けると、人気選手はファンの握手やサインに応じてくれるのだが、それ以外の選手は外野に走り、フェンスの広告を回収しに回る。私達は殊勲打のジェド・イングリッシュと他数人にサインを貰ったが、皆応対がとても丁寧だった。子供達をだっこして写真にという様な事も、嫌な顔一つせずに応じていた。選手達はシーズン中、地元の家庭にホームスティしているケースが殆どだが、チーム主催の野球教室も頻繁に開催されていて、積極的に地域と関わっている。これは他のチームでも全く同じだ。

グッズは地元の物しか売ってなかったので、帰る時にコートイットの選手に、球場以外で売ってる場所を尋ねてみた。「たぶんダウンタウンで売ってる店があるよ」という答えだった。全チーム集めようと言う訳ではないが、ケトラーズの帽子やロゴは、近くで見ると特に個性的なので是非手に入れたいと思った。駐車場は既に混雑も無くなっていて、すんなりと出る事が出来た。10時10分

28号はまだまだ結構な交通量だったが、昼間と違って皆とばしていた。マシュピーMashpeeの手前の一つ目のロータリーを出たところで、いきなりバックミラーに赤灯が光った。サイレンを鳴らして追い掛けてくる。「うわー、どうしようー」と思ったが、とりあえず路肩に車を停車させた。日本でもパトカーには追い掛けられた事も、停められたりした事もあるが、アメリカではどういう風にするのか、映画とかでの印象しかない。「手をあげて出て行った方が良いのかな?」とも考えていたが、向こうから降りてきたので、窓を開けて「ハーイ」とやると、中年のポリスマンは、私の顔を見て「どこから来ましたか?」。「日本です」と言うと、苦笑いして、「うーん、しょうがないな。ロータリーではもっとゆっくり走ってね」と言った。「もたもた走ってたら、すぐクラクション鳴らされるよ」と思ったが、「OK、OK、ごめんなさい」と謝った。そして「いいんですよ。いい旅を」と言って、行ってしまった。「あーよかったー!」チョットあせりました。その後は安全運転でホテルに帰りました。


ハイアニスの試合結果
ハイアニス・メッツ 6-12 チャタム・アスレチックス
勝ち リッチ・マグワイアRich McGuire(デラウエア大) 負けジェイソン・トゥランジョーJason Tourangeau(イースト・カロライナ大)

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