5月2日

College Softball

UCLA BRUINS VS OREGON DUCKS

UCLAブルーインズ VS オレゴン・ダックス

Easton Field LosAngeles , CA(カリフォルニア州 ロスアンゼルス) 


 寒くて何度か目を覚まし、部屋のヒーターを入れる。乾燥するから嫌なのだが仕方ない。ちゃんと起きたのは8時半頃。相変わらず妻の方が早起きだ。今日も曇っている。朝食にランカスターで買ったバナナも皮をむいて一口・・・「ペッ!なんだこりゃ?」堅くて渋くて食べられない。そう言えば前にテレビで見たことあるぞ。南の島とかの番組でバナナを焼いたり煮たりしていた。そう言うバナナなのか?とても生では食べられないようだ。バナナは諦め、牛乳ケロッグ、スパムサンド、トマトを食べる。テレビではイラクから帰ってきた戦艦がサンディエゴ港に着いた様子を生中継していた。

出かける前に手持ちの金をチェック。やはり現金が不足している。今日は2試合観戦予定なのだ。9時50分に徒歩でホテルを出発。UCLAのソフトボールの試合は午後2時からなので、その前にハリウッド・エンターテイメント博物館Hollywood Entertainment Museumを見学する予定。ホテルからは歩いて2〜3分の距離だ。映画やテレビの展示物やスタートレックのセットも見られると言う事なので、スタトレファンの私達には楽しみの1つだった。道沿いにチャップリンの銅像が置いてあったので、前を通る度に「ここかぁ」と場所は確認していたが、建物は一見パチンコ屋のよう。入口はそこから階段を下りた地下(と言っても屋外)にあったが、オープンは11時からと書いてあった(ガイド本と違う)。まだ1時間もある。そんなに遠くに行くわけにもいかないので、またハリウッド&ハイランドをブラブラする事に。

昨日は見なかったブティックなどがある屋内スペースに入って行くと、そこにATM機が設置されていた。現金が必要だった私達はすぐに自分達のクレジットカードで試してみた。この機械は優れ物で、カードを入れると英語、スペイン語、日本語の選択画面になった。「Japanese」を押すとローマ字で「Ansyou bangou wo oshitekudasai」と出てくる。日本でもキャッシングは滅多にすることが無いので、妻は暗証番号ではじかれた。私もカードにそんな機能があることも知らなかったが、番号はたいてい同じ物を使ってるので、それを入力したら次の画面になった。「おっ使えるのか?」「Kingaku wo shitei sitekudasai」日本語だから簡単だ。その後1〜2つの画面を操作すると80ドルが出てきた。良かった良かった。もしダメなら日本円を両替しようと思っていたので手間が省けた。ハリウッド&ハイランドには各階に同じ機械が置いてあるようだ。日本人はお得意様なんだからこうでなくっちゃ。

通路はそのままコダックシアターに通じているようで、私達はそちらを回って西側の路地から表に出た。こちら側にもお土産屋が並んでいたが、値段のポップを見ると大通りよりも若干安そうだ。1軒の店の前で10%オフのビラを配っていたので受取った。そのまま「ハイ、ドウゾ、ドウゾ」と中近東系の店員は日本語で店内に招き入れる。見ている間も店員は話しかけてきた。私達に向かって「ニホンゴ、ウマイデスネ」「コレハ、ジョウダンデス」、彼はバングラデッシュ人と言うことだが日本に行った事はないそうだ。「どこで覚えたの?」と尋ねると「ミズキアリサ、ノ、ドラマ、ミテ、ベンキョウ、シテマス」と答えた。日本の番組をロスでも放送してるらしい。お土産にするキッズ用のTシャツを4枚欲しかったが、3枚9.99ドルのところを4枚で13ドルにしてもらい、更に値引きのビラで1割引いてくれた。その後、まだ開場まで20分以上あるのでウォーク・オブ・フェイムを見ながら時間を潰した。ミュージアムの真前にはピカード艦長のパトリック・スチュワートPatrick Stewartの星型が。

11時になり階段を下りていくと、3〜4人のお客が開門を待っていた。係がキップ売場へ入っていき慌てるように窓口を開ける。他の人に続いて私達も料金を払い建物内へ。パンフレットは日本語版も置いてあった。場内の係2名はすでに待機していて笑顔で出迎えてくれた。室内は天井が高く、広さも小さ目の体育館くらいありそうだったが、大きなスクリーンで映像を流しているせいか、かなり暗い。チョビ髭の係が「人数が揃ったら小グループで案内しますから、それまでは自由に見学してください」と私達にも分かるようにゆっくり話してくれた。ガイド本には、頼めば日本語ガイドも付けてくれると書いてあったが、時間がかかりそうなので、それはやめる事にした。暗い中央の部屋は一応エントランス・ホールのようで、左右(前後?)に他の展示室への扉があり、その向うは明るそうだった。暗い部屋の展示物は比較的大きな物が多そうだ。そんな中にMr.スポックの等身大の立看を発見。その後の古いテレビに見立てたモニタには白黒でスタトレが流れていた。スタトレ以外の展示物ではプレスリーの物が目を引いた。他はよく覚えてないが、古い物が多かったようだ。

暗い部屋を一通り見て、手前の展示室に入る。こちらは映画関係の小道具や写真が多く展示されていた。戦争映画の物が結構多い。奥には古い撮影機材も置かれていた。私達よりも先に入った白人の中年夫婦はじっくりと観賞してるようだ。私達は適当に見て反対側の展示室に入った。こちらはさっきとは違い展示室というより倉庫とか物置といった感じ。衣装やSFの被り物が中心だ。奥には美術関係の仕事部屋がガラス張りで覗けるようになっていたが、鍵がかかっていて中には入れなかった。そのまた奥は変な形の壁で行き止まりだった。

「これだけか?大した事ないなぁ」と引き返そうと思ったら、さっきの夫婦とチョビ髭の係が入ってきた。係は私達を手招きして近くに呼び寄せた。結局、人数は増えなかったが、これからツアーを始めるらしい。棚にある怪獣のセットを指しながら説明しだしたところで、遅れて日本人青年2人がドアを開けて入ってきた。ツアー客は6人となった。英語なので少ししか理解できなかったが、日本人が半分以上ということもあってか?対象物を手にとって、ゆっくりと丁寧に話してくれた。さっき入れなかった美術の仕事場やメイク室も、この時は中まで入れた。

次は、さっき行き止まりだった壁のところへ連れて行かれた。係が壁を押すとスタトレの転送パッドが出てきた。皆その上に乗るように指示され、照明が消えて効果音が鳴り出した。ウィーーーン!再び照明が就くと目の前にエンタープライズ号のブリッジが現れた。一同「オーーォ」転送で移動とはファンには泣かせる演出だ。係は説明をしていたが、みなセットに夢中と言った感じだった。実際の映像よりも若干暗めだが、パネルも椅子も本物そっくりだ。艦長の気分で椅子に座り、みな順番で写真を撮り合った。それからセットの端っこには敵役のボーグや他の宇宙人の人形やマスクも置いてあった。

ツアーではスタトレの次はXファイルのコーナーを見て、その次はお洒落なバーカウンターのセットになった。人気のTVコメディードラマ「チェアーズ」Cheersのセットだそうだ。日本では未放送のため私達は全く知らなかったが、ボストンが舞台と言う事で、壁にもレッドソックスを中心に野球関連の写真がたくさん飾られている。ぜひ一度見てみたい番組だ。

その後はお土産コーナーを通るコース。外に通じてるので急に眩しくなった。それまでいた映画の世界から現実の場所に戻ってきた気分だ。時間を見ると12時近い。そろそろ出ないとUCLAの試合に間に合わない。ツアーはまだ半分だが、私達はお土産を見る振りをして、一行を先に行かせた。プレスリーのタバコケースとシールを買って、そのまま外に出てしまった。

ホテルに戻り今度は車で出発。ラブレア通りからビバリー通りへ。ピンクスPink’sは今日も行列が出来ていた。一度は行ってみようと思っていたが、並んでいる時間は無い。ああ・・・チリドッグ食べたかった。道はほどほどに混んでいたが、一度通っているので楽に走れた。華やかな街並の景色も楽しい。ウィルシャー通りではズムーズに流れるようになり、約30分でUCLAに着いた。しかし、ウェストウッド通りWestwood Blvd.を右折するとすぐに渋滞になった。みなUCLAへ行く車だ。ノロノロ運転で構内へ。

街路樹が立並ぶ綺麗な通りを奥へ奥へと進んで行くと、木々の向うに幾つも建物が見えた。校舎の一部なのだろうか?アパートのようにも見える。1階は商店になっている建物もあった。その辺に路駐したり、多方面に行ってしまう車もいて、少しスピードが出せるようになった。メディカルセンターの辺りではガラガラに近い感じ。その先の道の真中に料金所の小屋が見えてきたが、誰も外にいないし、前の車に続いて通り過ぎてしまった。すぐにロータリーで行き止りとなり「あれー、やっぱりあそこかぁ」と引き返し、料金所の前で停車。片側ニ車線の内側に停める事になるので、走行中の車が気になるのだが、他の利用者を見てもこれが普通のようだ。小屋のドアが開き黒人のオジサンが出て来た。「どこに行きたいの?」と聞かれたので「ソフトボールの試合を見にきました」と答えると、構内の地図をくれて、それを指しながら「今はここ、この道をこう通って10番か11番の駐車場に行きなさい」と教えてくれた。駐車料金7ドルを払い専用カードを受け取り出発。

料金所を右に曲がって小さなトンネルを抜ける。あっちこっちで徒歩や自転車で若者が行き来している。ようやく大学らしい風景になってきた。構内マップを見てもとても広い敷地で、駐車場の番号も30番台まである。でも、なぜか重複してる番号も多いので駐車場の数は40以上はあるのではないか。さっきの料金所が敷地のほぼ真中で、ソフトの専用球場は北西の端っこにある。その間にはサッカー場、陸上トラック、体育館、もちろん校舎も幾つも建っているのでホントに凄い広さだ。バスなどでUCLAまで来ても、とても歩いてはソフトボール場まで行けないだろう。チャールズヤング通りCharles E. Young Dr.をどんどん進むと、敷地の外を走るサンセット大通りが見えてきて、それと平行に走るデネブ通りDe Neve Dr.を左折。この辺は端っこだからか?ヒッソリしている。間もなく右手にソフトボール専用のイーストン・フィールドEaston Fieldが見えてきて、三叉路の突当りが11番パーキングLot11だった。入口で立ち話をしていた男女の駐車場係に駐車票を見せると、そのまま誘導され駐車した。係が常時いるからか、カードは使わず遮断機も上がりっぱなしだった。

道路を渡って球場へ。木々に囲まれ良さそうな雰囲気だ。入場券は入口の手前の小屋で売られていた。デザインは野球のと全く同じで、一律で6ドルだった。ネット裏だけにある木製(足場は鉄パイプ)のスタンドの下を潜り場内へ。グランドではホームのUCLAチームが2箇所に分かれて守備練習をしていた。女の子が軽快にボールを捕ったり投げたりするだけでも新鮮だが、すぐにそんなレベルではないと気付く。みんな凄い上手い。男子顔負けの動きだ。常に元気の良い声も響いていて、グランドに真剣さが充満している。金髪をポニーテールにしている選手が多く、美しさとのギャップがまた良い。

UCLAの女子ソフトボールチームも他の運動クラブに負けないくらい名門で、1982年から始ったNCAA(全米大学協会)の全国大会で初代チャンピオンに輝いており、その後も通算で9回も優勝している。しかも過去21回の大会のうち16度も決勝に進出しているのだから半端ではない強豪という事だ。外野フェンスにはレフトからライトまでの長いスペースをいっぱいに使い、9枚のNCAAタイトルの証が飾られている。

イーストン・フィールドは94年からブルーインズの本拠地として使用されているが、96年のアトランタ五輪で金メダルを獲得したアメリカチームが、大会前にここで強化合宿を行っていることからも、施設として優れている事が分かる。両側のダッグアウト後方にはブルペンがあり夫々のチームのバッテリーが投球練習をしていた。3塁側ブルペンのさらに後方には一部を売店として使ってる建物があったが、奥は何かの施設になっているのだと思う。確認したかったが進入禁止となっていた。その横を通り外野方面も見てこようと思ったが、警備員に制止された。球場には外野席も少しだけあって、椅子もちゃんと組まれているが、この日はテレビカメラが占領していた。

売店でナチョスを買って、ホームプレートの真後ろよりもやや3塁側に座る。座席は長椅子ベンチが、大きなバックネットに沿って10〜15列。一杯で1000人くらい座れそうだが、今日の入りは150〜200人くらいか。2時になり両チームの選手が1、3塁のライン上に整列し、国家斉唱となった。ブルーインズは上が白、下がブルー、文字は青と黄色のユニホーム。一見体育着のようにも見えるが、爽やかな感じを受ける。対戦相手のオレゴン・ダックスOregon Ducksは黄色と緑のアスレチックスのような色合いのユニホーム。オレゴン大学University of Oregonはオレゴン州ユージンEugeneにある学業も優秀で、スポーツも盛んな大学だそうだ。ソフトボールもUCLAには及ばないもののランキングは上位に付けている。この日も熱心なファン(父兄?)が幾人も、学校のカラーの服を着て、校旗と共に応援に来ていた。

試合は両チームとも先発投手が立ち上がり不安定だったこともあり、初回1点づつを取り合った。昼間のゲームなので陽射しが暖かい。寒さを全く気にしないで見れたのは旅行中このゲームだけだった。売店で買ったナチョスは量が多く、付け合せのピクルスは辛いが美味かった。UCLAのベンチは野球の時と同じで、控え選手は立ったまま声援を送っている。その中に他の選手の肩くらいの身長の13番を発見。顔立ちも一目で東洋系だと分かったが、同じくらいの日本の女の子と比べても子供っぽく見える。名簿で確認すると日系のジュリー・ホシザキJulie Hoshizaki選手だった。二塁手の控えとの事だが、成績も載っているので結構試合に出ているようだ。対照的に一際大きいのが、グランドコートを着たままのエースのゴアールKeira Goerlだ。どちらの選手も見てみたいので、そう言う展開にならないかと期待しながら試合を見た。

4回表ダックスは1点を勝ち越すが、その裏ブルーインズは4番打者スーClaire Sua の2ランで逆転し、続くラモスStephanie Ramosにもホームランが出て突き放す。ここでオレゴンは投手交代となるが、コーチの男性は投手起用については全権を任されているようで、監督には一切相談する様子はなく、このイニングに2回も投手を交代させた。それ以外の采配は女性の監督がしているようなので、完全に分担制らしい。UCLA側は監督もコーチもみな女性だ。スタンドでは係が子供達にピザを振舞っていた。

ソフトの試合はたいてい7回までなので、当然7thイニング・ストレッチは無く、試合以外で盛り上がったのはピザサービスの時くらいだった。ダックスは最終回に1点を返したが、反撃はそこまでで、ブルーインズが4−3で勝利した。勝ち投手ターナーMichelle Turner 負けハリスAmy Harris。残念ながらゴアールもホシザキも出場はしなかったが、一番印象に残った選手はUCLAのショート、ナターシャ・ワトリーNatasha Watleyだった。A-Rodを思わせるような素晴らしい動きで「本当にこんな女の子がいるのか?」と思った。彼女はチームで唯一の黒人選手のようだ。(大半は白人で、あとはネイティブとアジア系)終了後の出入口は、蛍光色のボールを持ったファン達が、サインを貰おうと選手を待ち構えていた。人気も野球チームよりありそうだ。私達はそれほど時間が無いので、真っ直ぐに駐車場へ向かい車に乗り込んだ。

地図を見ながら来た道を引き返す。ショップでUCLAグッズを買うつもりだが、大学生協の近くに駐車するのは厳しそうだ。チャールズ・ヤング通り周辺をグルグル回るが、空いている駐車場はイマイチ遠そう。込入った中心部へ入る手前の坂道に路上駐車の列があったので、そこに停める事に。周囲は寮なのか?綺麗なアパートみたいな建物が多い。ガイド本によると、敷地内には路上のコインパーキングが結構あると書かれていたが、ここはコインを入れる装置とかは置いてなかった。でも、地面には縦列駐車用のラインが引いてあるので、完全な違法駐車とも思えない。

歩道橋を渡り、工事中のようなフェンスで囲われたグランドを過ぎると、バスケ・チームの本拠地ポーリー・パビリオンPauley Pavilionが出てきた。試合開催の準備なのか?スタッフのような人達が大きな荷物を持って何人も出入りしていた。それを過ぎると、中央広場のような場所がひらけ、学生達が彼方此方で本を読んだり談笑したりしていた。その向う正面に目的のアッカーマン・ユニオンAckerman Unionがあった。

ユニオン(生協)は学生が大学内で勉強や生活をする為のものだが、UCLAではお土産を買い求める観光客も多く利用している。グッズ売場ではその品数に驚かされた。衣類、玩具、バッグ、アクセサリー等、プロのチームでもこんなに揃ってるチームは無いのではないか?Tシャツだけ見ても30種類はある。マイナー・リーグの物と比べても、良いメーカーの物を使っているので値段も高めだ。ペナントもプリントではなく刺繍なのでとても高い。欲しかったが諦める。Tシャツは選ぶのに苦労したが妻と私で1枚づつ買い、それと野球帽、ピンバッヂ、鉛筆を買った。他の売場(生活雑貨、カフェなど)も見たかったが、次の予定がつかえてるので、これで引き揚げることに。

外に出るとポツリポツリと雨が落ちてきた。歩き出すと徐々に強く振り出したので、体育館から先の屋根の無いところでは走る事になる。「こんなに遠かったかぁ?」と思いながらも、それほど濡れはしないで車に戻る事が出来た。ウェストウッド通りは混んでるだろうから、裏のサンセット通りから外に出る。時刻は5時を回っていた。

後半に続く


5月26日 ブルーインズは2003カレッジ・ワールドシリーズで優勝し、みごと10回目のチャンピオンになりました。決勝戦ではエースのケイラ・ゴアールがUCバークレーを相手にノーヒット・ノーランを達成しました。

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