4月29日

College Baseball

UCLA BRUINS VS LOYOLA MARYMOUNT LIONS

UCLAブルーインズ VS ロヨラ・メリーモント・ライオンズ

Jackie Robinson Stadium LosAngeles , CA(カリフォルニア州 ロスアンゼルス) 


7時30分に起きる。妻がシャワーを浴びている間に、フロントにコーヒーを貰いに行くが、カギが閉まっていた。呼鈴を鳴らしても誰も出てこない。駐車場にはスクールバスが入ってきた。ホテルの子供を迎えにきたのかと思ったが、子供が出てきたのは客室(だと思う)。親も普通に見送っていた。変な奴が多いモーテル。20分ほどして再びフロントへ。ドーナツのケースが空なので、昨日の中年女性に「もう、終わり?」と聞くと、彼女は奥の部屋からドーナツの箱を出してきた。「隠してあったのか」確かに、この客層では出しただけ持っていかれそうだ。大きいのを2つもらい、コーヒーと部屋に持ち帰る。昨日買ったチョコとともに朝食をすませ、8時半にチェックアウト。

妻の運転で、グローブ通りGrove Av.からフットヒル通りへ出て、西へ向かう。すぐにハイウェイに乗ってしまってもよかったが、ルート66をゆっくり行くことにする。今日から旅行は後半だ。その拠点ともなるハリウッドに向かうのだが、通り道にある観光スポットにも立ち寄って、昼過ぎにはホテルに到着したい。

10キロほど州道66号を進むと、平行して北側を通っていた210号ハイウェイと交差する。そんなにゆっくりもしてられないので、「もういいだろう」と、ここからハイウェイに乗る事に。西に向かいパサディナPasadenaを目指す。やはり道路は混んでいて、所々で渋滞もしてた。カープールを積極的に使うが、利用者が多いので屡々ノロノロになる事も。雲の多い天気だが、右手のサンガブリエル山脈は昨日よりはよく見える。アズサAzusaなんて日本的な名前の町を通り過ぎる。

134号との分岐も通り越して、210を更に進み北上。既にパサディナは越えている。ローズ・ボウルに行く為には、そろそろ下りなければならないのだが、この辺りの地図はAAAで貰わなかったので、ガイド本の大雑把な地図ではよく分らない。適当に2〜3個目の出口で一般道へ下りる。車の通りは少ない。何度か右左折を繰り返すと山道のようになったが、所々に綺麗な家もあり、別荘地のような感じ。標識で、地図にも載っているリンダビスタ通りLinda Vista Av.を走っている事は分かったが、進行方向やローズ・ボウルの場所はサッパリ。暫く行くと立派な橋が出てきたので、そこで一休み。

ローズ・ボウルRose Bowlは、毎年大学フットボールの決勝が行われる事で有名だが、UCLAチームの本拠地でもある。それ以外にフリマ等でも観光客にも人気があるそうだが、私も名前を知ってるくらいで、特にどうしても行きたい訳ではなかった。通り道だから「チョット見ておこうか」くらいの気持なので、諦めて本線に戻ろうかと思いかけていた。しかし、二又の道を来た方とは逆に進むと、丘の上から広い駐車場と、競技場らしき建物が見えた。「あそこだ!」入口の検討を付けながら坂道を下って駐車場に入る。全体からしたらガラガラだが、車は数十台停まっていた。遠そうなので正面側へ回ると、多くの車が路駐だったので、私達も向いのグランド沿いに車を停めた。

ローズ・ボウルの門は閉まっていたが、テレビで見た事のある薔薇の看板を見れたので良かった。隣りの芝のグランドでは、選手と思われる大きな体の若者達がトレーニングに汗を流していた。周りを走っている一般の人もけっこういて、景色も良いし、空気も上手い。運動するには良い環境そうだ。

ここからは私の運転で出発。134号ハイウェイで西を目指す。すぐに2号との分岐を過ぎ、グレンデールGlendale市の街並が見えてきた。高いビルが立並び、思っていたよりも都会だ。昨夜立てた計画では、この街でハイウェイを下りて、一般道でハリウッド方面へ抜けて行こうと考えていたが、この込入りようでは、地図も無いし迷子になるのは目に見えている。多少の渋滞は覚悟で、5号ハイウェイを経由する事に。次のインターチェンジで5号を南へ。スピードも出ていて渋滞は全くしてない。すぐにロスフェリツ通りLos Feliz Blvd.の標識が出てきたので、慌てて出口へ。凄い交通量なので進路変更は怖い。

ここからはAAA地図のロス版のエリアになり、細かい道も分るようになる。ロスフェリツ通りはかなり混んでいたが、横切る道を妻がチェックしてるので、「あと何個目だよ」と指示してももらいながら安心して走れた。間もなくヒルハースト通りHillhurst Av.を右折して、グリフィス・パークの入口へ。バーモント通りVarmount Av.と合流すると、前に車が走っていたので、それに続いてクネクネと坂道を上る。道は徐々に狭くなり、完全な山道になったが、昼間だし明るいので、込入った市街地を走るよりも遥に快適。1マイルほど上った辺りで二又になったので停まって地図を確認。ジョギングしている人が何人かいた。左折して東オブザベートリ道E Observatory Rd.へ進むと、すぐに突当りになった。路駐してる車が多いので、私達もその最後尾に車を停めた。坂道だからサイドブレーキをしっかり引いて車を降りる。眼下にはロスの街並が広がっていた。訪れた街の感じを掴むには、高い所から眺めるのが一番。「平べったい」「殺風景」などとよく言われてるみたいだが、それはそれで大きな特徴なので、やっぱり感動した。

奥は天文台の駐車場で、入りきれない車が外に停めているようだ。グリフィス・パークGriffith Parkはハリウッドの北に広がる自然公園で、ロサンゼルス市民の憩いの場であると共に、観光スポットの1つ。広大な敷地内には劇場、動物園、ゴルフ場、乗馬コースなどもある。駐車場にあった仮設?トイレに入ったら、カギが壊れたいたようで、風でバターンと開いてしまった。「スゲー恥ずかし・・・」仕方ないので、手で抑えながら用を足した。長居をするつもりは無いので、天文台には行かずに、北側の丘を徒歩で登る。ベンチも設置されているので、ちょっとした散歩コースになっているのかもしれない。行き交う人はそれなりにいる。200〜300メートルで小山の頂上になり、辺りは黄色い花がたくさん咲いていた。ハリウッド・サインも間近に見え、周辺の景色もよく見えた。

帰りは二又を逆方向へ進み、西側のWestern Canyon Rd.から下山。下りの方が景色を見ながら走ることができ、木の間からもロスの街がよく見えた。いよいよハリウッドに入るのだが、山道が終わると一気に街中の道になり、ちょっと焦る。地図ではロスフェリツ通りを少し通るはずだが、全く気が付かないまま直進して信号待ちに。交差する通りを確認するとフランクリン通りFrankrlin Av.だったので、とり合えず現在地は分った。そのまま直進してハリウッド大通りHollywood Blvd.で右折。たくさんの大きくて派手な看板が、視界に飛び込んできたが、道はそれほど混雑もしてないし、セッカチな運転も要求されない。街並を楽しみながらユックリと走れた。徐々に歩行者が増えて、約2マイルで、有名なチャイニーズ・シアターの前まで来る。さすがに観光客でごった返していた。その先のラブレア通りLa Brea Av.を右折すると、セブンスター・モーテル7Star Motelの入口があった。

半地下の駐車場は15台くらい駐車可能だが、この時は停まっていたのは1台だけ。車の出入口の反対側に、歩行者用の出口の階段があり、裏通りに続いていた。建物への入口も裏通り沿いにあり、小さな階段を上がると、すぐ横にガラス張りのフロントがあった。東洋人の若い男性がいたので、名前と予約している事を告げると、日本語で「チョト、オマチクダサイ」と言ってメモを確認した。まず部屋を見せてくれるそうで、彼の後に付いて通路を奥まで進む。建物内は意外に広い。突当りの階段を左に上がると、中庭に面したベランダ通路に出て、その突当りが私達の部屋だった。「コチラデ、イイデショウカ?」と彼が聞いてきたので、「OK」と言ってフロントに戻り、4日分を前金で払う。キーのデポジットも10ドル取られた。時間はまだ12時前だった。

部屋で少し休憩して、昼食がてら徒歩で街の散策へ出発。現在のハリウッドの中心とも言えるハリウッド&ハイランドは、ホテルから300〜400メートルの距離だ。そのすぐ東側、ハイランド通りHighland Av.を挟んで向かいにあった中華レストランに入る。レストランと言っても、ラーメン屋に気を持ったくらいの感じの店。それでも店内は中国独特の赤が基調の造りで、テーブルとかも綺麗で清潔そう。入った時には客はいなくて、旦那と奥さんがテーブルに座って休んでいた。ビールを注文したら、パリパリに揚げたワンタンの皮みたいのがお通しで出てきた。甘いのと辛いの二種類のタレに付けて食べるのだが、これが美味い。後はチャーハンと海老ラーメンとシューマイをたのんだ。ラーメンは太くてウドンみたいだった。食後にフォーチュンクッキー(おみくじ入りのお菓子)が出てきたが、食べないで持ち帰った。

腹ごなしに、少し歩こうと、ウォーク・オブ・フェイムを見ながらハリウッド大通りを東に。歩道はそれなりに人がいたが、歩き難いと言うほど混んではいない。色々な店が並んでいるが、やはりお土産屋が多い。Tシャツなどは中心部から離れるほど安くなっているようだ。所々で、建物の間からハリウッドサインも見えた。歩いているせいか、日が当たる場所では結構暑い。変わった形で有名なキャピトル・レコードCapitol Recordのあるバイン通りVine St.まで歩いていき、道の反対側から引き返す。目を付けておいた店で、土産物用の安いTシャツを10枚ほど買った時だけ、北側の歩道に戻ったが、南側の歩道の方が日陰なので、そちらから帰った。途中ウィルコックス通りWilcox St.の壁画で写真を取ったが、けっこう歩き疲れたので、さっさとホテルへ戻った。地図で確認すると往復で3キロ以上歩いたようだ。よほど疲れていたのか、テレビを見ながら寝てしまった。

4時前に妻に起こされ、観戦の準備。連日寒い日が続いているので、長ズボンに履き替え、上に着る物も出来るだけ持って出発。私の運転でラブレア通りを南へ。渋滞はしてないが、道はかなり混雑してる。メルローズ通りMelrose Av.で左折して西へ。角にあるピンクスPink’sは有名なチリドッグの店だ。旅行中に一度は訪れたいと思っているが、この時は長い行列が出来ていた。少し行くと渋滞してたので、ラシェネガ通りLa Cienega Blvd.を経由してビバリー通りBeverly Blvd.へ抜ける。しかし、どこも賑やかで混雑しているので大して変わらなかったかも?途中にあったビルにメイシーズの看板があったので、あそこが有名なビバリー・センターBeverly Centerか。賑やかな筈だ。

サンタモニカ通りSanta Monica Blvd.へ出ると、急に走れるようになった。道幅も広がったような気がする。ビバリーヒルズBeverly Hillsの真中を通っているので、この辺りから右に曲がっていけば、有名な高級住宅街を通っていく事も出来そうだが、試合開始時間が迫っているので、それはまたの機会にする事に。ウィルシャー通りWilshire Blvd.を右折して更に西を目指す。街路樹の多い美しい道が続く。坂もけっこう多い。

暫く行くとUCLA入口の手前で少し混雑してきた。UCLAはカリフォルニア大学ロサンゼルス校University of California Los Angelesの略で、超有名な名門大学だが、学生数、敷地面積、研究、医療、体育施設など、全米屈指の規模を誇っている。キャンパスには観光客も多く訪れるそうだが、野球部のグランドは学校から少し離れた場所にあるので、私達は、学校の見学は旅行最終日のソフトボールの試合(敷地内の専用球場)の時に予定している。

ウェストウッド通りWestwood Blvd.を越えると、間もなく405号ハイウェイが見えてくる。乗口を通り越し、ハイウェイ手前を平行して通るSepulveda Blvd.を右折。走ってる車は少ない。一つ目の交差点を左折してハイウェイを潜ると、すぐに照明灯が見えた。少し混んでいたが約40分で到着した。砂利の駐車場に入って行くと、学生っぽい係がやってきたので駐車代5ドルを払った。球場は駐車場のすぐ前で、柵や門は無く、ビーチパラソルの下で椅子に座って、UCLAのシャツを着た黒人と白人のオジサン2人がキップを売っていた。暇と見えて2人はずーっとお喋りしている。彼らのすぐ後ろの壁に球場の名前が書いてあったので、写真を撮ろうと思ったが、完全に逆光になる。角度を変えて試してみたが綺麗に撮るのは無理そうだ。オジサン達は階段を指して「上にロビンソンの銅像があるよ」「そこで撮りなさい」と言った。私達はチケット(席に関係なく6ドル)を買って階段を上った。

ここジャッキー・ロビンソン・スタジアムJackie Robinson Stadiumは、名前の通り、人種の壁に立ち向かい、ブルックリン・ドジャーズで大活躍したジャッキー・ロビンソンにちなんで名付けられた。UCLA在学時代は強打のショートだったが、野球以外でも、陸上、バスケ、フットボールでも活躍した。偉大なOBの名を冠にした、この球場は1981年からUCLAの本拠地となっている。階段を上がった所は内野席を取り囲む上段通路で、パンフを販売してるオジサンがいて、そのすぐ後の植え込みの中に、方膝をついてグランドを見つめているユニホーム姿のジャッキー・ロビンソンの銅像があった。

グランドでは明るい日差しの中、対戦相手のロヨラ・メリーマウント大学の選手達が練習していた。ホームのUCLAの選手達は三塁側のベンチや、少し外野寄りにあるブルペン、その後方の通路とかで、座って休んでいる感じだった。白い帽子にブルーインズBruinsの「B」、明るい青の上着に、黄色い文字で「UCLA」のユニホーム。下は白だ。このチームカラーはどのスポーツも一緒のようで、UCLAの運動部はみなブルーインズを名乗っている。これは他の学校でも、殆どが共通の名前を使うようだ。ブルーインとは神話に出てくる熊の名前。野球部のレベルは全体では上の方だが、近隣のスタンフォード、USC、CSフラートンに押され気味だ。所属するパシフィック10カンファレンスPac-10Conferenceでも今年は下位に低迷してる。人気面でもバスケやアメフトには到底及ばない立場だが、OBにはエリック・キャロスEric Karros(カブス)、トロイ・グロース(エンジェルス)、デーブ・ロバーツDave Roberts(ドジャース)ら現役メジャーリーガーが多くいる。

対するロヨラ・メリーモント・ライオンズは、今日は濃紺に赤いラインのユニホームだが、チームの色はエンジ。学校Loyola Marymount University(LMU)はロサンゼルス国際空港のすぐ近くにあり、UCLAからもとても近い。規模は小さいが、とても優秀な学校だそうだ。ウェストコースト・カンファレンスWest Coast Conference所属だが、今日の試合のように、別の連盟同士で試合をする事も多い。公式ページの成績表も、カンファレンス内と、外での試合で別々に表示されている。ライオンズは一時は優勝戦に出る事もあったようだが、一般的にはそれほど強い学校ではないようだ。OBで有名な選手も殆どいなくて、日本で知られてると言えば、近鉄、オリックスに在籍したクリス・ドネルス(C.D)Chris Donnels(現在フロリダのマイナー)くらい。ちなみにカンファレンスとは、日本で言う○○リーグ、○○連盟みたいなもので、比較的近い地域の大学8〜14校くらいで構成されている。

客席はネット裏にしか無く、背もたれの付いたアルミ製の長椅子が、青と黄色のUCLAカラーに塗り分けられている。スタンド下段の両端には両ダッグアウトの出入口が付いていた。仕切りはパイプ一本だけなので、ベンチは筒抜け状態。殺到するファンもいないので選手もそこから出入したり、柵に凭れたりしている。ネット前で体の大きな背番号14が素振りをしていたので、三塁側の切れ目から彼を呼んでもらってボールにサインを貰った。14番の名はウェス・ウィスラーWesley Whisler選手。昨年ケープコッド・リーグCapeCod League(大学生のサマー・リーグ)で1塁手としてベストナインに選ばれた、将来有望なスラッガー。ブルーインズでは投手としても活躍しているが、ケープコッドでは一度も登板はせず、打者一本で出場している。

ホームからレフト側後方は高台のようになっていて、そこからの眺めが一番良い。木も多く夏は日除けになりそうだが、今日は寒いので、日向にいる人が多い。開始時間となったが、観客は50人ほどだろうか?みな起立して、選手もグランドに整列し、国家斉唱となった。

プロと同じくビジターからの攻撃。LMUの3番バッターはジョナサン・ヒガシJonathan Higashiと言う日系人。本職はキャッチャーだが、この日はファーストで出場。打撃成績を見ると長打こそ少ないものの、打率上位にランクされていた。こちらの背番号14も注目だ。

今日は6時開始なので、それほど寒くならないうちに終わるかな?と思っていたが、両チームのピッチャーが乱丁で、フォアボールを連発していた。なんと3回終了までに1時間40分かかった。UCLAは初回に出たマクミランBrett McMillanの本塁打などで、3回まで4−1とリード。ウィスラーはUCLAの4番ファーストで出場していた。四球で出塁した時に、両チームの14番が一塁ベース上で並んだ。ヒガシも東洋系にしては良い体をしているが、ウィスラーはそれよりも二周りはデカかった。

観客も増えてきて、所々隙間はあるものの、徐々に座席は埋まってきた。その後投手交代もあり、試合展開は普通のペースになってきた。UCLAは4回、5回にもホームラン、相手のエラーなどで追加点をあげた。LMUは出てくる投手みなイマイチの出来だったが、ネット裏で若い女性が、熱心に試合のビデオ撮影をしていた。胸と背中にLMUライオンズのマークのトレーナーを着ていて、寒さ対策のために毛布を足に巻いている。暖かい昼間の延長で、軽装で観戦に来てしまう人が多い中で、観戦慣れした彼女はとても目立った。トレーナーも野球のグランドがあしらわれていて良いデザインだ。

試合中は、ダッグアウトの選手達は立ったまま声援を送っていた。最初は味方が守備に付いてる時だけだと思ったが、攻撃の時も毎回ではないが立っているようだ。練習の時のキビキビした様子を見ても、アメリカの学生野球も厳しい雰囲気の中で行われてるなぁと感心した。来る前は、日本と比べたら多少はチンタラやってるのかと想像してたが、決してそんな事はなかった。私達も時おり通路で立って観戦していたが、選手を見習ってと言う訳ではなく、寒さを紛らわす為に動き回っていたからだ。しかし、今日は強力な味方があった。売店でカップヌードルが売られていたのだ。コーヒーよりもなかなか冷めないし、体も温まるので大変助かる。妻も私も2杯づつ食べてしまった。

後半はUCLAの2番手、LMUの5〜6番手が好投し、かなり早く進んだ。7thイニング・ストレッチは行われたが、観客はみな、立たない、歌わない、盛り上がらないと言う感じだった。やはり寒いからか? ネット裏でビデオを撮っていた彼女は、バッテリーが切れたらしく、電源確保の為に、ぶっといケーブルを引っぱってきた。とても慣れた様子だし、球場も許可してると言う事は、やはりライオンズの女子マネ的な人なのだろう。

8回になり、汚れたり破けたりしては嫌なので「終盤になったら買おう」と思っていたパンフレット(1ドル)を、売店で買おうとしたら、品切れとの事。しかし、隣りにいた別の店員のオジサンが、「私のをやるよ」と机に一部だけ置いてあったパンフをくれた。お礼を言って、オジサンからホットココアを買った。店の中にはUCLAの補欠選手2人が、試合後に食べるホットドッグを取りに来ていた。オジサンが用意している間、彼らはナチョスをツマミ食いしてた。腹も減るだろう。ホットドッグは大きなワゴンに乗せられ、彼らはそれを転がして通路を戻っていった。「選手全員だとあんなに食べてしまうのか」と言う恐るべき量だった。

試合はもうすぐ終わるので、通路で足踏みをしていると、バックネットを越えてファールボールが飛んできた。ボールは、私達の5メートルくらい後ろの土手の上に「ドスン!」と落ちた。すぐ近くには誰もいなかったので楽勝で私の物となった。ボールにはPac-10カンファレンスのロゴが印刷されている。せっかくだから終了後に誰かにサインでもしてもらいたい。「ウィスラーには貰ったし、他に有望選手は?」とパンフを見て妻と一緒に考えていた。

9回表LMU最後の攻撃で、もう一人の日系選手ブラッドリー・タカモリBradley Takamoriが代打で登場した。背番号6、ホノルル出身だそうだ。練習の時はサードを守っていたが、なかなか上手かった。「がんばれー!」しかし、結果は見送り三振。その後ランナーを2人出すが、結局点は入らず試合終了となった。ブルーインズ7−1ライオンズ 勝ち投手ジャンセンCasey Janssen 負けコヴァMatt Cova ウィスラー3打数ノーヒット、ヒガシ3打数ノーヒット。

終了後はホームプレート付近で、両チームの全選手が握手をする。その後それぞれのベンチ前でコーチから訓示を受けていたが、それも数分で終わり、みな道具を片付けはじめた。私は1塁側のダッグアウト横から中を覗いたが、ジャンバーを着てしまっている選手が大半で背番号がよく見えない。しかし、すぐ真下でヘルメットを片付けてる選手の腕に小さく14と書いてあったので、すかさず「サインして!」とボールを差し出すと、彼は驚いた顔で「俺?」と聞き返してきた。「君はヒガシだろ?」と聞くと「イエス」と頷いた。「君とタカモリのサインが欲しい」と言うと、笑ってボールとペンを受取り、ベンチ中程にいたタカモリの元へ。2人とも照れたようにサインを書いて、ヒガシが戻ってきた。写真を撮ろうとすると、益々照れくさそうにしていたが、仲間に冷やかされながらも笑顔で応じてくれた。ボールのマークは違うカンファレンスだが、UCLAで試合を見た記念と言う事で、LMUの選手でもイイだろう。妻も私も、今日の試合で一番応援してた選手は、間違いなく彼らだ。プロに進む可能性は少ないが、頑張って欲しい。

帰り道はウィルシャー通りのネオンが綺麗だった。ラブレア通りのファーマシー&フードの店で、コーンフレーク、スパム、牛乳などを買って、10時半頃ホテルに戻った。風呂に入ってから、昼間もらったクッキーをツマミに昨夜買ったワインを飲んだ。ベランダに出て空を見上げると、北斗七星がよく見えた。午前12時半。


2004年6月 ウェス・ウィスラー選手は、MLBのドラフトでシカゴ・ホワイトソックスから2巡目で指名されました。

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