6月27日

SIGHTSEEING IN VANCOUVER CITY


 夜中に目を覚ます癖がすっかり定着して、今日は二人揃って4時に起きる。雨は降り続いているようだ。ちゃんと起きたのは6時。雨はまだ降っている。ちょっと心配だ。今日は国境を超えてバンクーバーへ行く予定だが、野球が見られないと勿体無いので、行き先を2日後に予定していたオリンピック公園に変更するか迷う。しかし、天気予報を見ると、雨が降ってるのはエバレット周辺だけとの事。

 6時30分、朝食を貰いにフロントへ。朝の係は若い白人男性。シュウヒさんもそうだったが、アルバイトっぽい感じ。「天気良くなるかな?」と聞くと、彼は「そう思うよ」と笑った。朝食サービスは、半分に切った大き目のマフィンと、アメリカンコーヒーだけ。フロントは狭いので食べるスペースは元々無い。部屋で5分で済ませる。

 荷物を整理して7時半にチェックアウト。 雨足が強い中、私の運転で出発。 予定通りバンクーバーを目指す。昨日メリーズビルへ行ったようにブロードウェイを北へ。鉄橋を2つ渡り、今日は5号ハイウェイへそのまま乗る。表示は既にここから「Vancouver North」だった。

 5号は交通量は多いがスムーズに流れてる。シアトル方面へ向かう反対車線は大渋滞だ。強い雨で視界が悪い。日本の高速道路のように、「80」「50」などと電光板で制限速度を変更するようにはなってないので、みな晴れの時と同じリミットいっぱいで走ってる。慣れるまではちょっと怖い。しかし、天気予報通り徐々に雨足は弱まり、マウント・バーノンMount Vernonの手前で完全に止んだ。空は厚い雲に覆われていて暗いが、車も少なくなってきたので走りやすい。周りの景色は森や林が多くなってきた。リミットは70マイルでスイスイ快調。アップダウンあるも、インターステートは比較的ピッチが長いので楽だ。やがて3車線から2車線になる。大型トラックを追い越す時は緊張する。

 景色はすっかり田舎の森山だが、道路の舗装状態はエバレット辺りよりも良くなった。あっという間にベリンガムBellinghamまで来たが、また雨が降ってきた。木々の間からチラっと海が見える。地図では海沿いを走っているのだが、木が高いので殆ど森の中を走ってる感じ。前方に見える北の空は真っ黒な雲、ちょっと心配だ。ベリンガムを過ぎるとブレインBlaineまで12マイルの標識が出てきた。アメリカ側の最後の町だ。

 雨は降ったり止んだりだが、出発の頃のように強く降る事はなかった。ブレインに入ると左手に港の景色。国境手前1マイルくらいで、道路に人工的なアレンジが付きスゴく揺らされる。たぶん速度を落とさせる為。リミットは40だが、その速度で走ってもハンドルを取られて怖い。最初はパンクしたのではないかと思ったくらいだ。

 時刻は8時45分。天候の割には早く着いた。ここがピースアーチ国境検問所Peace Arch Border Crossingだが、車はガラガラで拍子抜け。「何分待ち」とかを表示する電光掲示板にも何も無し。公園の横を通り過ぎるが、止まって写真でも撮るべきだったか?勝手が分からず検問ゲートまで来てしまった。ゲートは2つ空いていたが、車の列はそれぞれ5台くらい。時間が早過ぎたのだ。もっと列が長くて公園辺りまで達していれば、公園をゆっくり見たり、写真だって撮れただろう。数分で番になってしまった。黒人女性係官は、国名と滞在日数を聞き「ここには初めて?」と聞くと、パスポートも見ずに、1枚の紙切れを渡すと、「この先の左側に車を停めなさい。右側はダメよ」と50メートルほど先のイミグレの施設を指差した。言われるままに車を進め、左の屋根のある駐車場に停める。斜め駐車のラインが引かれていて、50台近くは停められるだろう。しかしこの時は3〜4台。停めてはダメと言われた右側にも車は何台か止まっていたが、こちらは屋根も施設も何も無い。ただの縦列駐車だ。何の目的なのだろう?

 イミグレの建物はそれほど広くなく、3〜4つの窓口。係は5人くらいだが窓口にいる2人以外は後ろで暇そうにしてた。窓口で女性係官にパスポートを見せ、入国の目的、日数、初めてか、シアトルからか、いつ日本に帰るか?などを聞かれた。妻とは一緒の窓口で、質問もまとめて一緒。事前の情報だと、飛行機の中で書かされ、シーテックでの審査の時にスタンプを押されたグリーンの94カードを、パスポートに挟んであったので、本来ならゲートだけで済む筈だった。ゲートでパスポートを見せれば良かったのだろうが、まあ時間もあったし中も見学出来たので良かった。むこうも暇そうだったし。

 車に戻ると、隣にパトカーが2台(1台は大型バン)停まってて5人くらいの警察官が立ち話をしていた。中央には警察犬のシェパードも。公園に戻って写真を撮りたかったが、無事にカナダ入国したのに、歩いてゲートを越えて行くのもちょっと抵抗があったので断念。距離もけっこうありそうだ。施設の向こうには、反対向きの車線が通っていて、アメリカ方面に向かう車が走ってる。「おや、こっちは?」なんの柵も無いので、施設内の移動用道路なのかとも思ったが、そうではなく正真正銘の反対車線のようだ。それにしても、何の塀も壁も無いなんてビックリ。帰りに分かる事だが、アメリカへの入国ゲートは数百メートルアメリカ側なので、カナダ側ゲートとの間の公園には自由に行き来できるようだ。お互い出国手続きは無い。

 そのまま進むとハイウェイは99号になり、スピード表示は100キロリミット。カナダでは距離や速度の表示が、マイルではなくキロメートルになる。ここからバンクーバーまでは残り52キロ。サリー市Surreyの標識を過ぎると交通量が急に増えた。景色はアメリカ側は森や野原ばかりだったのに、カナダ側は畑が多く、ビニールハウスや牧場も目立つ。手作業で畑仕事のファーマーもいた。広大な土地を全く無駄にしていない。雨は止んでるが路面は濡れていた。

 暫く進むと長い海底トンネルに入った。トンネルを抜けると渋滞。空港への標識が幾つか出てきて、車線も赤×緑○と上部のランプで分けられてる。渋滞は10分ほどで解消した。都市部が近づき、大きな陸橋の上からバンクーバーの街が遠くに見えた。橋を越えると、直進のまま高架を下り、オーク通りOak Stに入ってしまった。地図だと99号は左に曲がり、まだ続いてるようだったが、残りは大した距離ではない。都市部に入る前には良い慣らしだ。妻の指示で、オーク通り→49th Av→キャンビー通りCambie St→41th Avと進む。みな大きな通りで、車もそれなりに走ってるがスムーズ。バスを待つ人、歩行者も多い。

 球場へ通じるオンタリオ通りOntario Stで左折。周りは住宅地なので、元々スピードは出せないが、路面にも意図的に段差が付けられていて、30〜50メートルおきにボッコンとなる。交差点には中央に花壇があり、徐行しないと通れないように工夫されている。やがて左手に球場が現れた。緑の多い公園内で、雰囲気は良い。小雨の中走ってる人もいた。

 午前中の球場には勿論誰もいないが、散歩やジョギングなどで公園利用の人の為に、トイレだけは電気も付いて開放されていた。せっかくなのでトイレを使わせてもらう。ネット越しにグランドを覗くと、内野だけシートがかけられ、スコアボードは昨夜の試合のまま。カナディアンズの逆転勝ちだったようだ。

 ここで運転を妻に交替し出発。北にそのまま進み、ボッコンを幾つか超えて、信号からキングエドワード通りKing Edward Avを左に。交通量の多い大通りだ。5〜600メートルでキャンビー通りに戻り、右折して再び北へ。ダウンタウン間近なので、住宅よりも店舗が増えてきた。漢字の看板が目立ち、歩いてる人もアジア系が多い。青信号は常に点滅している。面白かったのは路線バスで、屋根から生えた角のような2本の棒で、上のケーブルと繋がっている。ケーブルの無いところへは行けないようだ。交差点では頭上のケーブルが複雑に交差している。

 ダウンタウンはバラード入江Burrard Inletに飛び出した小さな半島にあり、南からだとフォールス川Falce Creekを越えるために橋を渡らなくてはならない。キャンビー橋Cambie St Bridgeの手前はけっこう混雑していた。黄信号で進入すると、工事の誘導係(女性)が「信じられないよ!」というような顔で、両手のジェスチャーで怒ったポーズ。青でも常に点滅くらいだから、黄色は停まれなのだろう。気を付けなくては…

 フォールス・クリークは地図で見ると、川と言うよりは湾の一部という感じで、ヨットも多く停泊してた。橋を渡るとそのまま一通のスミス通りSmithe Stになる。右手に目的の一つルックアウト・タワーが見えたのでシーモア通りSeymour Stで右折。高いビルが立並ぶダウンタウンは一通が多く、交通量はあるが、それほどゴミゴミした感は無い。通り名は縦も横も「ストリート」となっていて「アベニュー」は無い。タワーの所で右折して今度は東へ。取り合えず宿を確保しようと、ハミルトン通りHamilton Stからガタガタの坂を上がる。すぐ西のホーマー通りHomer Stから調べてきた一つビクトリアホテルの前へ。一通が多いと、目的場所に行くのにグルグル回る事になる。しかし、このホテルは駐車場がありそうもない。お洒落な外観を拝んだだけで立去る。

 ペンダー通りPender Stを西へ。次のデイズ・インDays Innは右側にすぐ見付かる。「イン」と付くくらいだから、ここなら駐車場もあるだろう。しかし、大通りに面した玄関前は、ズラーっと路駐の車。駐車場は見当たらない。「裏なのかな?」と思いながら、隙間に路駐して、私一人で中へ。フロントはチェックアウトの人でかなり混んでいる。ロビーは椅子とテーブルが2セット置かれ、奥にPCコーナー、エレベーター乗場と、広くないスペースにいっぱいいっぱい。中国人の子供は床に寝転がってゲームをやってる。みな迷惑してるのに親は怒らない。3人ほど待って番になる。空き部屋と料金を確認すると、駐車場はバレーパーキング(係が出し入れしてくれる)で+10ドル、クイーンとは7ドルの差だったので、155カナダドル(来る前は85〜88円台だった)のキングベッドで決めてしまう。ちょっと高目だったが、早く観光に行きたかったし、ダウンタウンではこんなもんだろう。

 チェックイン10時25分。部屋のカードキーと一緒にPのカードを貰い、車のキーを預ける。持てる荷物だけ持って4階の部屋へ。エレベーターもカードを使わないと使用出来ない仕組みだ。部屋は綺麗だが、ちょっと狭い。大きなベッドも無理やり入れた感じ。椅子も1つしかないし、通路も狭くて歩きにくい。雨の多い街らしく、クローゼットには備付の傘もあった。私は、一人でタバコを吸いに外へ行こうとしたが、階段を2つ下りて迷う。周りの部屋は100番台なので1階だと思ってグルグル。自分の部屋が304なので3階だと思っていたが、フロントが0階という扱い(エレベーターでもFの上に1,2,3とある)だった。結局、タバコは吸えずに部屋へ戻る。

 少し休憩して、12時ちょい前に歩いて市内観光へ。一応、折りたたみ傘を持ってきたが、差すほどの降りではない。歩きながらタバコを吸ってる人もいるが、すれ違う人は露骨に嫌な顔や、煙を払うポーズをしてる。道端では吸わない方が良さそうだ。5分ほどでルックアウトのビルに着いた。入口横に喫煙スペースがあったので一服。灰皿があるのにみな足元にポイ捨てしてる。

 高さ167メートルのハーバー・センター・タワーHarbour Centre Tower通称ルックアウトThe Lookoutは市内観光の目玉。先に中に入った妻はエントランスホールを見学してた。エスカレーターで吹抜けの地下1階に下りる。土産コーナーもあった。後ろで「はーい、こちらでございまーす」と日本語が聞こえた。団体ツアーのようだ。窓口でチケット(10ドル)を買うと、デザインの違うチケットを1枚づつくれた。置いてあったイラスト入り市内地図も貰う。高速エレベーターで展望階へ。エレベーター室は建物の側面に剥き出しに付いてるので、乗りながら外がよく見える。

 アッという間に到着。下りるとすぐに展望スペース。左回りで進むようだ。歩いてきた方角のダウンタウンが良く見えたが、あいにくの天候なので遠くの方は霞んでいる。でも、ガラスが斜めにせり出し(45度以上)、真下も見えるので迫力がある。南側には東京ドームにそっくりのBCプレイスBC Place。東側の案内表示によると、マウント・ベーカーMt. Bakerが見所だったようだが、視界が悪く手前の小さな山がうっすら見える程度。北側の湾沿いはそれなりに開発されていて、自然の中に都市が溶け込んでる感じ。船のガススタンドが海上にあるのも面白かった。そこそこの混み具合で、良いポイントでもちょっと待てばすぐ見られた。展望台の北側にはカフェもあった。周囲50メートルくらいか?思ったよりも広くなくて、2周してしまった。次に行くガスタウンGasTownを、上から確認して下に下りる。尚、チケットは1日有効で展望台は何回でも利用できる。まあ、1回見れば十分だが、夜景も見たい人や、天気が急に良くなったりすれば利用価値はあるのだろう。

 ビルを出て東へ向かう。上で確認したのに1本南のコルドバ通りCordova Stへ出てしまい、ちょっと遠回りしてガスタウンへ。途中の路地は古い建物が多くヒッソリしてた。表通りもレンガ敷きだが、路地裏のレンガはもっと凸凹していて、味のある街角だ。有名な蒸気時計Steam Clockには12時55分に到着。観光客で混雑していて、みな時計が鳴るのを待っている。雨がちょっと強まったので傘を開く。「ヒュー!」1時になり、時計が蒸気を噴出した。学校のチャイムによく使われるメロディーを「ヒュー、ヒュー、ヒュー、ヒューーン」と蒸気で演奏。SLの汽笛よりも太い音だ。

そのまま東へ歩き街を散策。お土産屋、レストランやカフェも多い。日本食屋も何軒かあったが、ショーケースをちょっと覗くと、あまりの高額に唖然。お稲荷と海苔巻きの詰め合わせで20ドルとは馬鹿にしてる。他国の人を騙してるようなもんだ。ナマの握りだったらまだしも、日本だったらコンビニや弁当屋で300〜500円くらいで売ってるものだ。うちの実家の近くの和菓子屋だったら250円くらいだ。ボッタクリ寿司だ!

 2〜300メートル歩いて、道が交差してちょっと広くなってる所にガッシィー・ジャックGassy Jackの銅像があった。ガスタウンの名前の由来になってる人で、辺境の土地に酒場を作り、街を発展させたと言う事だ。この辺は地元の人の為の食堂が多い。アメリカン朝食が3ドルからと書いてある。この先はチャイナタウンのはずだが、通りには殆ど誰もいない。まだ遠いのか?レストランっぽい店は見えない。昼食に「行こうかな」と思っていたが、この人通りだとパスだ。引き返す。

 安そうな土産屋に入り買物。麻のバッグ2個、ハガキ6枚、マグネット16個、2.99〜3.99(6ドル位のもあった)計64ドル。歩いてると物乞いの浮浪者が、けっこう声をかけてくる。ガスタウンの西の端にあったスマイリング・カフェSmiling Cafeで昼食にする事に。店先にメニューの写真も貼ってあり分かり易い。アジア系の女性店員も親切丁寧。BLTサンド、クラブハウス(蟹じゃなかった)、ラテ、計11ドル。ここで10ドル紙幣しか持ってなかったカナダドルを初めて崩す(ルックアウトは丁度、他はカード)。数種類の通貨が戻ってきた。5ドル札はアイスホッケーの子供、1ドル硬貨は11角形、2ドル硬貨もある。腹が減ってたので食事も美味かった。

 ヘイスティングス通りHastings Stからホテルへ戻る。高層ビルの間を歩くと、やはりダウンタウンを感じる。時刻は2時半。部屋で絵葉書を書く。妻はいっぱい出すが、ウェナッチーでけっこう書いてるので、すぐに書き上がった。貰った地図を見てメイン・ポスト・オフィスに出しに行く。7〜800メートルの距離だ。雨は完全に止んでいて、空も少し明るくなった。「これなら野球の試合も出来るだろう」ルックアウトからも良く見えた古い寺院の先に、ワンブロックすっぽりの大きな郵便局。ダンスミア通りDunsmuir St.を歩いてきたが、入口は回りこんでジョージア通り側だった。両替などでけっこう人は来ていたが、暇そうな郵便窓口はすぐに応対してくれた。オバちゃんにハガキを渡すと一枚一枚切手を貼ってくれたが、とてもゆっくりなので「自分で貼るよ」と言いたくなる。料金は1枚1.40ドル。カナダドルと言うのを差し引いても、アメリカよりも若干高め。

 帰りはシーモア通りからロブソン通りRobson Stを歩く。明日スタンレー・パークStanley Parkに行く為に、調べておいた自転車屋に寄る。貸し自転車は公園周辺にもあるが、こっちから乗って行けば、車を出さなくて済む。急に晴れてきたので、自転車屋はこれから借りる人で混んでいた。色々な種類のカッコイイ自転車が狭い店内にギッシリ並んでる。人垣の外にいたが、店員が「なにか?」と聞いてきてくれたので、料金を尋ねると、全ての車種が丸1日レンタルのみで、時間貸しはやってないとの事。「1日かぁ〜」と困った顔をすると、店員は「見る所はたくさんあるよ」と、片手で折り畳み出来る市内地図(自転車用?)をくれた。でも、ちょっと考えたいので予約はしなかった。

 そのまま西へ歩き、ハウ通りHowe Stとホーンビー通りHornby Stの間にある、緑の多い公園に寄る。滝もありオフィス街の憩いの場と言う感じ。少し奥へ行くと人込みの喧騒を忘れる。木々の間から覗くと、道路を挟んだ向かいは、以前テレビで見た、大きな階段の待ち合わせスポットだった。ホーンビー通りからホテルに戻る。通行してる人は東洋系も多いが、話してる言葉は英語か中国語のようだ。そう言えばダウンタウンでは青信号でも点滅してなかった。3時45分ホテル着。

後半へ続く


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