6月27日(2)

   Northwest League(A) 

VANCOUVER CANADIANS VS TRI-CITY DUSTDEVILS

 バンクーバー・カナディアンズ            トライシティー・ダストデビルズ

Nat Bailey Stadium  Vancouver , BC(プリティッシュ・コロンビア州)


 部屋で30分ほど寝ることが出来た。窓を開けると「キー、キー!」と鳴き声がするので、猿でもいるのかと思ったが、後から考えると、たぶんカモメだと思う?(姿は見えない)

 5時にロビーへ。車を取ってきてもらうのでちょっと早目だ。場所さえ教えてくれれば、自分で行くのだが、それは許されてないようだ。ベルボーイに「忙しいだろ」と聞くと、「大丈夫だ。すぐに僕が取ってくる」と、走って道路を渡っていった。10分ほどで玄関前へ。カナダドルは手持ちが少ないので、チップに米ドルで1ドルを渡す。

 一通が多いので、地図で確認しながらダウンタウンを出なくては。バラード通りBurrard Stからネルソン通りNelson Stと経由し、キャンビー橋へ。夕方のラッシュでとても混んでいたが、空は晴れ間が見えてきた。ヨット・ハーバーがとても綺麗だ。混雑はしたままだが、12th通りを超えるとなんとか走れるようになった。朝通った逆順で、オンタリオ通りからボッコンを乗り越えて球場へ。駐車料金は4ドル。こう言うのでけっこう小銭が出て行くのだ。まだ、20台くらいしか来てないので、良い場所に停められた。あまり遠い所だと車上荒らしとかも心配だ。

 開門を待ってるファンも多少いたが、チケット窓口がまだ開いてないので、隣のクイーン・エリザベス公園Queen Elizabeth Parkまで歩いて行ってみる事に。砂利の道路の向こうには、立派なリトルリーグ用の球場があった。大人が準備をしているので、これから試合か?練習か?その横を通り公園の外周道路を渡ると、林の中にコンクリートの階段。スポーツウェアのカップルが、30段程を上がったり下りたりダッシュを繰り返してる。階段を上っていくと、木片チップを敷き詰めた森の中の道へ通じていた。両脇は芝だが、チップの上はフカフカして、歩くと気持ち良い。途中でもう一本道路を渡ると、その横はカモがたくさんいる池。広々とした芝の丘を登る。けっこう広い公園なので、来た道を忘れないようにしなくては。

 丘の途中から一本の砂利道がのびていた。そこからまた森だ。入ってすぐに黒い小さなものが飛び出してきた。妻は思わず「キャッ!」 大き目の黒リスだった。リスはアメリカ旅行の度に見かけるので珍しくはないが、この種類は初めてだ。あまり警戒心が無いのか逃げようとはしない。都会の公園のリスはみんなそうだ。こっちがビックリだ。

 通路は舗装になり、石の階段もたまに出てくる。細い通路を幾つか合流したり分岐したり、丘の頂上(標高152m)の温室ドームに辿り着いた。反対側を見下ろすと、何十種もの花が咲いてる庭園が広がっていた。立派な滝もありなかなかの眺め。頂上にはレストランや土産物屋もあり、観光客も多かった。有料の駐車場もあり、車でも上ってこられるようだ。温室ドームの南側には、なにか施設を建設中だった。展望スペースからはダウンタウンも僅かに(快晴なら良く見えると思う)見えるが、すぐ下にある球場は、森が邪魔してしまって全く見えない。庭園へも下りたが、季節が良いせいもあり、結構な花の咲きっぷりだ。植木も日本とは見せ方がちょっと違う感じ。あまり刈り込まないで自然のまま葉が生茂り、垂れ下がってる。

 6時半になったので丘を下りる。何とか間違えずに来た道を戻ると、リトルリーグの球場では練習が始まっていた。まだちょっと時間があるので見ていく。放送ブースも、スタンドもある立派な球場だ。その更に向こうのグランドには、ちょっと大きな学年の子供たちが、ユニホームを着て試合をやっているようだ。手前のグランドはバックネット1つだけの簡単なもので、一番小さな子供たちが練習。5〜7歳くらいだろうか。

 球場入りしたのは開始15分前。スペシャル・イベントとか言う11ドルのチケットを購入。なんとボックスは20ドル、入場だけでも8ドル、シニアは7ドル。このクラスにしては異例の高さだ。カナダドルと言うのを差し引いても高過ぎる。入場してすぐのコンコースは、スタンド下だが、壁で覆われ完全に室内…と言うか、薄暗くて地下室と言った方がイメージ的に近い。クリスマスの飾付もちょっと中途半端だ。

 スタンドに出ると間もなく、サンタクロースの始球式。今日は「クリスマスまで半年」と言うイベントらしい。国歌斉唱のコーラスグループもクリスマスのコスチュームを着ている。4日連続のカナダ国歌だが、昨日までとは逆で、今日はビジターのアメリカ国歌が先に歌われた。朝からの雨が嘘のように完全に晴れ上がり、青空の領域もどんどん広がっている。旅行中今日が緯度的に一番北なので、太陽もまだまだ高い。

 バンクーバー・カナディアンズは、オークランド傘下のシングルA球団だが、1999年までは20年以上もの長い間、タコマ・レイニアーズなどと一緒のパシフィック・コースト・リーグ(AAA)所属だった。チーム母体としては、カリフォルニア州北部のサクラメントSacramentoへ移転してしまったのだが、同じオークランド組織内のサザンオレゴン・ティンバージャックスSouthern Oregon Timberjacks (オレゴン州メドフォードMedford)をバンクーバーに移転させ、それまでと同名のカナディアンズで、2000年からノースウェスト・リーグに参加している。チームの中身はすっかり変わっているのだが、地元としては格下げされたような格好だ。町の規模としては、もっと上のクラスでも十分やっていけそうだが、メジャー球団としては、すぐ下のAAA球団が近くにあった方が、選手を呼ぶのにも都合が良いのだろう。バンクーバーは過去に、ビーバーズBeavers、メープルリーフスMaple Leafs、キャピラノスCapilanos、マウンティーズMountiesなどのマイナー球団が本拠を置いた歴史もある。

 それらの変遷(全てでではない)を長く見守ってきたのが、1952年にオープンしたナット・ベイリー・スタジアムだ。最前列近くまでカバーしている巨大な屋根も、老巧化が目立ち、裏から見ると骨組みが剥き出しだ。木のようにも見えるが、落ちないか心配になる。スタンドからはさっきのリトル・リーグの練習が良く見えた。

 対戦相手のトライシティー・ダストデビルズは、ワシントン州南東部のパスコPascoと言う町が本拠で、近隣のケネウィックKennewick、リッチランドRichlandと合わせてトライ・シティーと呼ばれている。人口は3つ合わせても約15万人。ダストデビルとは、旋風(つむじかぜ)の事。

 私達はネット裏の上の方にいたが、内野席だけを見たら4分の1くらいの入りだろう。しかし、1塁側に設けられた広いピクニックエリアが大賑わいなので、全体の雰囲気としては、けっこう盛り上がっている。印象的だったのは、ピクニック組の大人が20〜30人、フェンス際に乗り出してゲームを真剣に見ている事だ。ピクニックエリアと言うと、大抵は試合そっちのけと言う感じなのだが、ここでは違うようだ。やはり、チケットが高いので、入場のみの安い券で入ってる人が多いからだと思われる。客は大半が白人だが、黒人やアジア系も若干いる。しかし、場内係はアジア系がかなり多い。50/50チケットもよく売りに来る。

 試合は両チームとも毎回のようにランナーを出していたが、あと1本が出ず5回まで無得点。先発投手は共に四球が多く不安定。当然、球数も多いのでスコアの割りに時間のかかる試合だった。4回裏にカナディアンズの6番クリーンSteve Kleenが、あと数十センチでホームランと言うレフトフェンス直撃の二塁打を打った時が、前半で一番盛り上がった。外野後方にはエリザベス・パークの森が広がってるが、左中間のフェンスの向こうに、リスそっくりの木を発見。自然になったのか?意図的に刈り込んだものなのか?

 6回表、ダストデビルズは5番スウィーニーJames Sweeneyのレフトへのホームランで、ようやく先制。カナディアンズの2番手マルチネスShawn Martinezは、その直後に3連続四球で満塁にしてしまうが、なんとか後続を切り、ホームランの1点止まり。まだ陽は出ているが冷え込んできた。しかし、半袖半ズボンでビールを飲んでる人もいる。私はたまに喫煙スペースで一服していたが、街でもタバコを嫌がる人が多かったように、球場でも喫煙場所はキッチリ隔離されている。朝寄ったトイレから少し離れた所で、どの席からも遠くて、ポツンと一人で吸う事になる。その前では子供騙しのストラックアウトのような的当てゲーム。客は全く来ないので、係の冴えない男2人が自分達で何回も見本投球を見せていた。

 アトラクションは、プレゼント箱のラッピング競争や、トナカイレースなど、クリスマスを意識したものが多かった。フード類は、ハンバーガー11ドル。ホットドッグ8.50ドル、ジュースでも5.50ドルと、こちらも高目なので、3ドルのお菓子を買っただけで我慢する。チップや駐車場など、明日の為にも現金は残しておかないと。

 7回表、カナディアンズの捕手レッカーAnthony Reckerが、飛び出した2塁走者を刺そうとして、二塁に悪送球。バックアップのセンターももたもたして、ランナーが一気に生還してしまう。2−0とダストデビルズがリードを広げる。時刻は9時だが、ようやく夕焼け。明日は晴れるのだろうか。

 7thイニング・ストレッチは、30人ほどの子供達がグランドに出て歌い、なかなかの盛り上がり。後ろにいた黒人の元気な女の子は大声で熱唱。一人だけ声が飛びぬけてる。彼女は試合中も最初から大声で応援していた。

 7回裏、1死一三塁から牽制悪送球と、ピンチヒッターのボイドChad Boydの犠牲フライで、カナディアンズは同点に追いつく。陽が陰り、かなり冷え込んできた。ダストデビルズの三塁手マテラーノOscar Materanoは何回もクシャミをしていた。彼は一人だけ色の違うアンダーシャツを着ていたが、寒いからカナディアンズのを借りたのか?

 7回終了後、私達は買物の為に席を立ったが、イニング間に、フーターズHootersの宣伝娘2人がグランドで踊りだしたので、通路を歩いていた男達は足を止める。お陰で通路が渋滞してしまった。彼女らはスタンドにもよく現れていたが、フェンスにもデカデカと広告があるので、よいスポンサーのようだ。

 コンコースのショップは、品数は多いがデザインがイマイチ。チーム名が書いてあるだけで、らしさ(ロゴや色など)がない。スタンドの特設ブースで、入会キャンペーン(カード会社?)で使っていた販促品Tシャツの方が、ロゴが大きくてカッコ良かった。幾人かが着ていたが、あれなら30ドルでも欲しい。帽子は以前のロゴのものを買い20ドル(新しいのはアジャスタブルのみで25ドル)。ペナント5ドル、カーナンバーフレーム$1.50×2、ハガキ1ドル。店主のおじさんはボソッと小声で話すので、なに言ってるか聞き取り難い。愛想も無い人だ。カードが読み取り機に通らなかったので、「使えないよ」と言われる。「えっ、もう一度やってみなよ」と促すと、すんなり通った。普通、客に言われる前に、もう1回くらい試すだろ。アジア系だと思って疑ってるのかよ?最初の対応からそんな感じだった。

 1塁側からスタンドに戻ると、8回表のトリシティーの攻撃がまだ続いていた。サードのエラーも出てこの回に3点を取られたようだ。5−2でダストデビルスがリード。屋根の下にいた時は気付かなかったが、屋根の上の放送ブースの横にも観客席が設けられていた。大丈夫かよ?

 8回裏の途中で球場を後にする。リトルリーグのグランドは誰もいなくなっていたが、もう10時なので当然だ。まだ、空はうっすら明るいので、時間の感覚が変になってしまう。私の運転で来た時と同じ道で帰る。橋の手前からはダウンタウンの夜景が綺麗だった。でも、西の方角に目をやるとまだ夕焼け空だ。

 もう、車も少ないのでホテルにはすぐに着いた。ボーイに車を預け部屋へ。夕食は「ヤキマで買ったカップラーメンでイイや」と、お湯を沸かし始めたが、ラーメンを探すと「あっ、車のトランクに入れたままだ!」当面の必要なものだけ持って上がってきたので、スーパーの袋などは置きっぱなしだった。仕方ないので街へ出かける事に。しかし、暗くなったばかりだと言うのに、通りには歩いてる人は殆どおらず、人気の無い寂しい街になっていた。日が暮れたばかりでも、10時半は10時半と言う事だ。2ブロックくらい歩いてみるが、やってるのはバーとか飲み屋だけ。スタバなどはとっくに閉まってる。歩いてるのも、なんとなく危険に感じたので、一回りだけしてホテルに戻る。球場でも食べてないので夕食抜きは辛いが、「明日早く来よう」と言う事になった。

 しかし、ホテルの前に戻ってくると…「あれ?うちの車だよ、あれ」と妻が。ああ、確かにうちの車だ。「出てくる時には無かったよなぁ」フロントでボーイを呼び、鍵を借りてトランクの袋を取り出す。たぶん、私達が帰ってきたのが遅かったので、駐車場が満杯で停められなかったか?最初から停めに行く振りだけして路駐するつもりだったのか?他にも3台くらいホテルの前に路駐していた。問い詰めはしなかったが、ボーイはバツの悪そうな顔をしていた。無事に返ってくるなら、どっちでも構わない。自分の車じゃないし。

 部屋でラーメンと焼きソバの夕食。コーヒー用ポットだが、今日はけっこう熱いお湯が使えた。レモン味マルチャンは意外に美味い(空腹のせいだろうなぁ)。風呂に入った後、コーヒーを入れてもらい、テレビを見ながら明日の計画を話し合う。チェックアウトが11時なので、サイクリングは中止にする事に。今更だがホテルの選択ミスだ。ダウンタウン観光は、市内の時間パーキングを使い、ホテルは駐車場が自由に使える郊外のモーテルにするべきだった。それなら荷物を取るにも係に気を使う事はないし、それ以前に、スーパーにでもレストランにでも夜だって出かけられたのだ。

 スポーツチャンネルではラリー・ウォーカー(カージナルス)、コリー・コスキー(ブルージェイズ)がオープニングに使われていた。二人ともカナダ出身のスター選手だ。午前1時就寝。


試合結果 トライシティー5−2バンクーバー 勝ち投手スタンレーPatrick Stanley、負けマルチネス、 セーブ デルガードGeorge Delgado、スウィーニー4打数2安打1打点、ヴァンコーテンJason Van Kooten5打数4安打1打点(以上トライシティー)、プラット4打数2安打、マルチネスFrank Martinez4打数1安打(以上バンクーバー)

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