6月26日

   Pacific International League

EVERETT MERCHANTS VS LANGLEY BLAZE

エヴァレット・マーチャンツ           ラングレー・ブレイズ

Everett Memorial Stadium  Everett , WA(ワシントン州 エヴァレット)


 4時頃一度目が覚めるが、すぐにまた寝られた。6時過ぎに、トイレだけのつもりが妻も起きてきたので、そのまま起きてしまう。TVの天気予報は全国のばかりで、この辺はシアトルしかやらない。山間部だからか?チェンネルの数も少ない。シアトルは、にわか雨がありそう。気温も暖かくはないようだ。元々、ヤキマやウェナッチーら内陸部に比べたら、海沿いの気温は大分低い。

 フロント前の食堂へ行くと、とても混んでいた。テーブルは10個くらいあるが満杯だ。やはり日曜の朝は宿泊客が多いのだろう。待ってる間に荷物を車に積んでしまう。再び食堂に行ってみるが、全く空く気配はない。お揃いの野球のユニホームを着ている子供が何人かいる。家族同伴なので食事は各選手バラバラだが。待っていても仕方ないので、部屋に持っていって食べる事に。マフィン、ドーナツ、つぶつぶパン、うでたまご、リンゴ、シリアル、両手に一杯持ち帰る。

 食事をしている窓越しに、リトルリーグの子供達を乗せた車が続々出発していく。これから試合なのか?停まりで遠征試合とはなかなか熱心なチームだ。時間があれば付いて行って観戦したい気分だ。

 8時20分、チェックアウト。フロント後方の部屋で乾燥機のシーツがクルクルと回っていた。妻の運転で出発。285号からスムーズに2号へ。標識にはエヴァレットまで112マイル。山道だしけっこうな距離だ。道はすいているので気長に行こう。昨日は混んでいたレベンワースも時間的に車はまだ少ない。でも、ノロノロした車がどこから入ろうか迷っている。ガラガラとは言え主要街道なのだが…田舎の観光地はノンビリしてる。

 レベンワースを過ぎると、すぐに切り立った崖の横を通り山道に入る。かわいいデザインの「カスケードループCascade Loop」のルート標識。ぜひ写真に残したいが、「この先また出てくるだろう」と、あっさり通過。山間部を延々と下る道。山の上方は木が生えている密度が粗く土が見える。スピードリミットは45〜65マイルで場所によって度々変わる。途中ですごい怖い下りもあり「急がなくていいよ」と言うが、妻は余裕で走りぬける。遅い車、早い車あったが、抜いたり抜かれたり約1時間でスティーブンス峠Stevens Passの手前までやってきた。

 前を走ってるのは、赤いホンダとダットラ風のトラック。登坂車線も無くなって暫くこの順番。前の車が通過したガードレールのすぐ横に、鹿発見!最初目に飛び込んできた時は「ん?人形か?」と一瞬思ったが、「あっ、動いた!」思わず「シカだ!シカ、シカ!!」と叫ぶ。その声で妻はビックリ。私達の車が通り過ぎる時には、鹿は一跳ねして向きを変え、走って林の中に消えてしまった。ほんの何秒かの事だったが、顔もハッキリ見えた。大きかったが角は無かったので大人のメスだろう。妻は運転に集中してたので「茶色いものが動いて見えただけ」だったそうだ。妻には悪いが、ちょっと感動。

 右横には下の方に川が流れているのが、たまに見える。峠に近づくにつれ、雲がどんどん出てきて、急激に霧が濃くなっていく。かなり急な上り、峠間近か?気温が下がったのか、急にガラスが曇る。1つカーブを抜けると下りに入り、反対車線を含めた幅の広い道路が眼下に広がった。同時に左手の大きな建物が目に入ったが、すぐに通過してしまった。立ち止まって考えるような間は無かった。そのすぐ先の道路には大きな鹿が倒れていた。角も大きくて立派だ。可哀想に車と激突してしまったのか。一気に急な下り。先には何も無いので、やはりさっきのがスティーブンス峠の施設(スキー場、土産屋?)だったようだ。立ち寄って、そこで運転も交替する予定だったが。

 上下2車線になり対向車も増えた。停車できる所もなかなか出てこないので、妻の運転で更に下る。暫くするとまた一車線になり、勾配もゆるくなって来た。峠を越えてからは、空は暗い雲が立ち込めている。バーリングBaring辺りで、廃虚のようなレストランの前で停車。店も売りに出されてるようだし、通り沿いには殆ど何も無い町だ。ここで運転を交替。大分下ってきたようで、周りの木も葉が生茂り太った種類に変わってきた。左手にはたまに線路が見える。何回か小さな鉄橋を渡るときに、線路にも橋が架かってたが、線路の橋はとても古い。

 スノホミッシュ郡Snohomish Countyに入ると、たまに小さな町が出てきた。サルタンSultanあたりではそれなりに店舗も並んでいる。空は少し明るくなってきた。平野部に入り森と野原の景色が交互に出てくるようになる。牧場には白黒斑の牛がたくさん。モンローMonroeは比較的大きな町で、車も多く信号で度々引っかかる事も。スピードもそんなには出せない。このまま都市部になるのか?と思ったが、町を抜けるとまた田舎道。エバレットまで8マイルの標識。カスケードループの標識はあれっきり出てこない。あそこで撮っておくべきだった。

 I-5の手前で川を超え、比較的低い高架道路。橋の下は草の河原で、黒や茶の牛がたくさん放牧されていた。5号を超えると景色は一変し、エバレット市街地に入る。ヒューイット通りHewitt Avから、間違えてメープル通りで曲がってしまうが、平行したパシフィック通りPacific Avを西へ進み陸橋を超える。信号待ちで角にエコノロッジを発見。駐車場も狭くてあまり綺麗じゃないので、妻は「ここじゃ嫌だねぇ」まあ、初日にエコノ系は泊ったので、出来れば違う方が良い。今日は自力で宿探しをしなくてはだが、日曜なのでそれほど心配はしていない。

 中心を走るブロードウェイBroadwayを南に進み、5分ほどで球場に着いた。11時ちょい前。交差する通りは38th通りだが、球場は奥まっているので、大通りからは分かり難い。試合があるか、ちょっと心配だったが、選手の姿が見えたので一安心。リーグ公式サイトの日程でも「6月に変更アリ」と書かれていたし、相手チームのページの予定表も違うし、このレベルのリーグでは、実際に来るまでは不安が付き纏う。入口横に斜め駐車して場内へ。背の高い選手に「今日試合あるの?」と確認すると、「1時と4時のダブルへッダーだよ」スケジュール表にあった「DH」とはその事だったのか。てっきり指名打者制の事だと勘違いしてた。スタンドに出ると「試合を見るのかい」とスタッフらしきオジサンが「MERCHANT NEWS」をくれた。試合結果、戦評、成績やメンバー表が印刷されている。グランドでは試合の準備。ライン引きや水撒きも選手がやっている。

 まだ時間があるので先にホテル探しをしようと、ブロードウェイを北へ。両脇には店舗がズラーっと並んでいる。シアトルから数十分の都市圏のはずだが、中央通りは地方都市の雰囲気。北に向かうにつれ数字の通り名は小さくなる。15を越えたあたりからモーテルの看板が次々出てきた。3軒ほど事前に調べてきたが、他にも周りには安そうなモーテルが並んでる。妻は「あれじゃヤダ」「あれもイマイチ」と言っているが、看板に「Vacancy」とあるので気持ち的には余裕。更に北上し橋を渡り、川を2つ越え、隣町のメリーズビルMarysvilleまで来てしまった。インター周辺なので店舗も多く、けっこう開けてる。こちらにも2つほど候補があったが、カムフォートは昨日使ったのと、もう1つは路地に入るので、夜分かり難いのでは?と思いエバレットに戻る。この距離なら明日の出発にも大差ないだろう。

 ブロードウェイ沿いのウェルカム・モーター・インWelcome Motor Innに決めフロントへ。小さなフロントではアジア系の若い女性が、ダンボールの食材を運んでいた。「部屋ある?」と聞くと、「ちょっと待って」とカウンターの中に入った。彼女は韓国人で、アメリカに来て4年だそうだ。その前には日本にも少しいたらしく「オハヨゴザイマス」「スイマセン」と言っていた。料金の説明を受け、ベッドも1つと2つ、両方の値段を提示されるが「ご夫婦なら1つでいいわね。値段もこっちの方が安いよ」と、喫煙かどうかも「禁煙室の方が綺麗だから」と積極的に良い方を薦めてくれる。48ドルをT/Cで支払い、漢字でサインすると、彼女もメモ用紙に自分の名前を漢字で書いた。「シュウヒと読むのかな?」と聞くと笑って頷いた。ちょっと森口博子に似てる。

 部屋はフロントの隣の隣102号。車も真前に駐車できた。逆隣の部屋が清掃中なので、終わった部屋から入れてくれたのだろう。昨日一昨日に比べたらちょっと落ちるが、この時間にチェックインでき、都市部でこの値段なら上々だ。それに冷蔵庫もレンジもある。荷物を運び入れる時に、シュウヒさんが通りがかったので妻にも紹介する。

 1時間ほど休み、12時半に球場へ。ブロードウェイ1本で6〜7分の距離だ。手前のアクアソックスの大きなグッズ屋は開いてない。さっきのようにゲートに横付けするわけにもいかないので、よく分からなかったが、奥の金網の入口から隣の高台のPに入る。別の駐車場なのかな?と思ったが、敷地内の古い役場みたいな建物は閉まってる。50台ほどの駐車場は8割くらいは埋まっている。車を降りてきたアジア系の中年女性に「ここは野球の駐車場ですか?」と聞くと「たぶん、そうだと思います。私も行くので」との事。空きスペースを探し奥に進むと、審判もここに停めていて着替え中だった。選手も出入りしてるので、皆ここを使っているのだろう。

 入場口に行くと、10歳くらいの男の子が仕切ってて、横にオーバーオールの太ったオジサン。小さなテーブルにTシャツも広げて売っていた。横には手さげ金庫が置いてある。入場料は一律3ドル。なんとチケットは無し。それはネーだろ!一番の記念なのに。スタンドに出ると、この時点では客は20人ほど。椅子は上等ではないが大きくて座りやすい。

 エバレット・マーチャンツは、昨夜観戦したアップルソックス同様、大学生による夏だけのチームだ。所属リーグはパシフィック・インターナショナル・リーグPacific International Leagueと、有名なマイナー・リーグと間違えそうな名前。今年は開幕直前にマウント・バーノンが参加し、5チームでのリーグ戦を開催中だが、なんと2年前までこのリーグには、昨日のアップルソックス以下WCCBLの6チームが加盟していた。何故別れたのかは定かでないが、公式サイト等を見るとこちらの方がかなりショボい。

 マーチャンツは、ここエバレット・メモリアル・スタジアムを本拠としているが、この町にはマリナーズ傘下のシングルA球団、エバレット・アクアソックスEverett AquaSoxもあり、同様にこの球場をホームとしている。「MERCHANT NEWS」によると、今月19日にはエバレット・カップと銘打って両チームの対戦が行われ、15−4でアクアソックスが勝ったらしい。チーム名の由来は、来る時に通ったバーリングの近くにマーチャント岳Merchant Peakと言う山があり、レイニアーズのような命名理由なのかと思っていたが、単に地元の商業的な援助でチームが成り立っているからのようだ。Merchant(商人)

対戦相手のラングレー・ブレイスの本拠地ラングレー市は、国境から10キロほどのカナダの町で、5号でなら2時間もあれば行ける距離。チーム名だけで場所を調べていた時は、最初はワシントン州内のウィッドビー島の小さな町だと思っていた。チームには今年のドラフトで、ブルワーズに17順目で指名されたスミスTim Smith(ミッドランド短大Midland CC)、ドジャースに32順目指名のルメイChris Lemay(クワントレン短大Kwantlen JC)らがいる。

 国歌斉唱は、カナダ、アメリカの順にインストのCDを流すだけ。メインスコアボードにはアクアソックスの試合のスコアがそのまま。この試合のスコアはレフトにある簡易ボードだけで表示するようだ。まあ、ケープコッドでも大半がそうだったが。空はどんより、時々雲間に太陽の影が見えるが陽射しはゼロ。スタンドからは5号ハイウェイがよく見える。試合開始時に観客を数えると41人だった。

 マーチャンツの先発は左のサイド気味のハゲットTyler Haggett(エドモンズ短大Edmonds CC.)。ストライク先行でテンポも早い。ランナー出すも概ね安定してる内容だ。ラングレーの先発は背番号53(メンバー表に無し)、日本の某人気球団の左投手のように、投げる直前に顔が変な方向を向く。投げ終わっても体制が崩れる事が多い。

 1回裏。マーチャンツは5番アクラスCory Acklus(アルバートサンズ大Albertsons C)のライト前タイムリーで先制。2点目は押し出し。ヒットは2本だけだが53番は四球多い。ファールボールは子供が取りに行く。最初は他球場同様ボール欲しさにやってるのかと思ったが、ダグアウト横のネットの切れ目からボールボーイに返してる。ボールボーイ15歳くらい、入場係10歳くらい、ボール拾い8歳くらい。なんとなく兄弟のようにも見える。

 2回裏、1塁ランナーが牽制で飛び出して挟まれアウト。ボークではないと言う判定に、マーチャンツの監督パイアットHarold Pyatteが飛び出し猛抗議。ファンの一人も激怒して大声で文句言っていた。次のプレーが始まっても何か罵声を放っていたが、客が少ないのでよく響く。3塁の審判は太目の体系でちょっと不慣れって感じ。なんとなくブルックリンのパットに似てる。あそこまで太ってはいないが、動きも鈍そうだし、審判の威厳が全く感じられない。しかも3人制なので2塁も見なくてはならないので大変だ。イニング間にも説明を求める監督にパットはタジタジ。監督もそれじゃイジメだよ・・・

 3回裏、4番マーシャルAndre Marshallのソロホームランが飛び出す。左打席で左中間の深いところに放り込んだ。格が違う感じ。メンバー表に元フィリーズと書いてあったので、後日調べると2001年に13順目でドラフト指名され、マイナーでプレーした経験を持つ25才、ワシントン大学出身との事だ。両チームで彼だけが黒人だが、大学生じゃないのも彼だけだろう。出場しても問題無いのだろうか?大らかと言うか、いい加減と言うか・・・妻がハンバーガーを買って戻ってきた。「その場で焼いてくれるんだよ。ダブルもあるし」温かくて美味い。

 5回裏マーチャンツは、ホーイShane Hoey(ゴンザーガ大)の犠牲フライなどで2点を追加。イージーな外野フライなのに、危なっかしい捕り方の時が多々ある。スタンドのアルミ製の通路を歩くと、所々ベタベタしてる感じで靴底がくっ付く。ジュース等を溢したままにしてるのだろう。

写真を撮るために1塁側へ行ってみると、スタンドの裏は広い芝のフットボール場になっていた。外野寄りのピクニックエリアは立派な屋根付き。ライト芝生席へ行くと、白い柵で囲われた一角があり、花に囲まれた中央にユニホーム姿の若者の白黒写真が飾られていた。一目で追悼コーナーだと感じたが?折りたたみ椅子を持込み、一人で試合のビデオを撮っているオジサンに、「あれは誰ですか?」と尋ねると、「私も初めてなので知らないよ」と言う答え。

 客は少ないが選手はみな真剣にプレーしている。ダブルヘッダーと言う事で1試合目は7イニングで終了。ホームチームがリードしてたので、7回表までで終了となった。小人数での7thイニング・ストレッチに期待してた私は肩透かし。1試合目終了、2時50分。ハゲットは完投して、第1試合は5−0でマーチャンツの勝利。

 観客は64人になったが、選手の家族や関係者もとても多い。さっきのビデオの人もたぶんそうだ。休み時間にはスタンドで、家族や恋人と食事をする選手もいる。他の選手も客と同じものを買っているのか?貰っているのか?自分で売店まで取りに行ってベンチで食べている。場内のBGMはネオ50’sでイイ感じ。聞いたことの無いアレンジ曲もたくさん流れていた。スタンドを歩いていた選手にチーム名の発音を確認する、「ブレイッス」「ラングレー、ブレイッス、B・L・A・Z・E」とゆっくり言われるが、「スペルは分かってるよ」と思わず言いたくなる。

 次の試合が始まるまでは、あまり風の来ないスタンド下にいた。すぐ西隣の人工芝のグランドはフットボール(アマ?)のエバレット・イーグルスEverett Eaglesの本拠らしい。入場ゲートが野球場の敷地内にあるのも何か変だが、壁にもアクアソックスのロゴが描かれている。カエルのロゴを見て妻が「やっぱりイイよ、これ」来る前から大変気に入ってたようだ。本物のカエルは触れないくせに。まあ、旅行行程を逆回りにしたら、アクアソックスも観戦出来たのだが、全て都合良くは行かないものだ。同じ球場なのでグッズくらい売ってるかと思ったが、全く別運営のようで、スタンド下のフード店も1箇所を除きシャッターが閉まってる。

 スタンドに戻る時に入口に寄って、マーチャンツのTシャツと帽子のサイズと値段を聞く。グッズはその2つのみ。子供は偶にいなくなるが、その時は金庫やグッズは全てどこかに隠していくようだ。

 第1試合が早く終わったせいか、2試合目は予定よりも早く3時30分に始まった。雲が厚くなり風も冷たくなる。マーチャンツの先発は、2年前のドラフトでサンフランシスコ・ジャイアンツに34順目で指名されたマカリスターCody McAllister(エドモンズ短大)だが、制球難で練習でも暴投してる。ラインが消えて、試合中なのにエバレットのコーチのマクニンチScott McNinchがライン引き。紐も当てないし、慌ててるので上手く引けるわけがない。当然、途中で断念。このコーチはちょっと渋い風貌なのだが、いつもチュッパチャプスをなめていて、監督にヘーコラしている。

 3回表、マカリスターの連続ワイルドピッチで、ブレイスは2点。けっこう寒くなってきた。持参した毛布にくるまってる人もいる。2試合目は1塁側で見ようと思っていたが、こっちの方が風が当るので、すぐに3塁側に戻る。こんなに客が少ないのに50/50チケットも売りに来た。パットは今度は1塁塁審だ。ちょっとした判定にラングレーの監督が、冷静に説明を求めていたが、パット塁審はオロオロしてる。彼の近くに打球が飛んだ時も、必死で逃げる仕草がとても面白い。

 4回裏マーチャンツは、ハラムTim Hallam(ウェスト・カロライナ大)のタイムリー2ベースで1点返し、5回は一三塁から1塁ランナーが盗塁を試み、2塁送球の間に3塁ランナーがホームインして同点に追い付く。しかし、6回表ラングレーはヘスケスJonathan Hesketh(クワントレン大Kwantlen UC)の3ランが飛び出し5−2と勝ち越し。ファールボールをとりに行く子供はベンチにも顔を出していた。ライト横の網の向こうには黒いコリーがずっと走り回ってる。

 タバコを吸いにスタンド下へ出ると、入口の机は無くなり子供もいなくなっていた。フード・コーナーのおばさんに、スペシャルバーガー(ダブル4ドル、好みでタマネギとチーズを入れてくれる)を頼み、「Tシャツと帽子が買いたいんだけど」と言うと、「焼いてる間に見に行きましょう」と、もう一人の女性に店を任せ、一緒にコンコース下に連れて行ってくれた。スタンド下のフードコーナー(こっちはジュースとお菓子のみ)には、若い女性店員がいて、Tシャツと帽子を出してもらった。「Mがあったはずだ、緑のシャツの子供は?」と尋ねるが、彼はあっちこっち走り回っていた。店員は「子供が売っていたのと同じ物よ」と言ってるので、たぶんXLと一緒に見ていた自分の勘違いだろう。Tシャツ15ドル、キャップ15ドル、グッズはそれのみで、PCで手作りしたと思われる写真入のスケジュール表もくれた。日本から来たと言うと、若い女性店員はアラスカ出身だと言っていた。どうも家族経営のように見えるが、どっちかが子供達の母親なのではないか?

 戻るとバーガーも焼き上がっていた。すごいボリュームなので、スタンドで妻と半分づつ。なかなか美味い。私がいない間に、ラングレーはレナートンJordan Lennerton(エルパソ短大El Paso CC)のタイムリーで1点追加したようだ。7thイニング・ストレッチは立って歌うのは数人。

 8回裏、パイアット監督は盗塁死に猛抗議するが、パット以外の審判は毅然として受け付けなかった。元フィリーズのマーシャルは走塁で足を少し痛めたようだが、熱血監督もこの時は心配そうにかけ寄る。マーシャルはスイッチ・ヒッターで、右打席にも立った。敬遠もされ、やはり別格。体も他の選手よりも一回りはデカい。

 9回裏、2死無走者、ファールチップがワンバンして捕手のミットに。三振のコールに、またまた三塁コーチャースボックスのパイアット監督大激怒。主審が1塁審判のパットに確認求めるが、勢いに押されパットは「ワンバンしてた」と判定。ホントに見てたのか?結局、命拾いした打者はセカンドフライでゲームセット。ラングレー6-3エヴァレット 勝ち投手シェーファーShawn Schaefer(ミッドランド短大)、負けウッズRyan Woods(エバレット短大Everett C.C.)

 昨日のウェナッチーとは一転して、盛り下がった気分なのは、勿論、天気だけのせいじゃない。日曜のゲームだと言うのに、これだけしかファンが来ないとは・・・まあ、マイナー・リーグがある上に、車で1時間以内でメジャーまで見れる環境では、地元もそれほど野球に飢えてないのだろう。GMまで兼ねた熱血監督のパイアット氏は、私産まで投じてチームを維持させてるらしいが、野球の無い地域に移転する事は考えないのだろうか?昨夜が良かっただけに、余計にマーチャンツの選手達が不憫に思える。

 寒いので終了後はすぐに車に。時刻は5時半。町の情報はそれほど無かったが、地図を見て港にでも行ってみようと、妻の運転でブロードウェイからエバレット通りで西へ。坂を下りると目の前は海だ。東京湾にもたくさんいるキリンのようなクレーンが幾つかあった。マリンビュー通りMarineView Drを右折して海沿いを走る。右手には貨物の電車、その向こうは小高い丘になっている。地図によると海沿いは海軍基地らしいが、停泊してるのは貨物船ばかりで軍艦などの姿は見えない。

 幾つかある埠頭のうち10th通りで左折して公園へ。10thストリート・マリーナ公園10th Street Marina Parkにはボート牽引の車がたくさん来ていた。特に決まりは無いようだが乗用車は端の駐車場に停めているのが多い。外は風がとても冷たい。木のデッキを歩くとカモメが飛んでくる。晴れてればイイ感じだろう。こんなに海遊びをしている人がいるのは驚きだが、貴重な短い夏の日曜日と言う事か。風邪ひきそうなので15分ほどで引き上げる。

 来た方角とは逆にそのまま北へ、529号の北からブロードウェイへ戻る。町をグルッと一周した感じだ。明日行くカナダはガソリンが高いらしいので、右手にあったG.S.で給油。場所はホテルの前くらい。妻がコーヒーを飲みたいと言うが、エバレットのカフェまでは調べてこなかった。午前中スタバが併設されてるスーパーを見かけたと言ってるが、自分は記憶に無い。

 結局、スタバが入っていたのは球場手前のQ.F.Cファーマシーと言うスーパーだった。右側の別入口から直接スタバへ。カフェラテ2つ注文するが、美人店員にはなかなか通じなかったので、彼女を口説いてる客の男が通訳してくれた。英語を英語で通訳するのだが…新聞や雑誌も置いてある、暖炉(最初は映像の偽物だと思ったが、とても暖かい)の前のソファーへ。壁のセピア色の写真は昔のエバレットか。馬車や帆掛け舟も映ってて港町の雰囲気だ。

 温まったところで買物、ウォルマートのように大きくはないが、日本語パッケージの冷凍食品などもたくさん売っていた。電子レンジメニューのカレー丼、中華丼、ラビオリ、ヨーグルトを買う。

 帰りは私が運転。道沿いのベンチで寝てる人、風邪引かないのだろうか?それよりも命が心配だが。突然、救急車のサイレンが鳴り響いた。反対車線なのにみな路肩に寄せて停車。日本だと避けるのは前方の車だけだが、初めての体験なのでビックリした。少し進んでこんどは消防車が来た。今度は上手く対応できた。

 ホテル着7時過ぎ。隣の部屋の風呂の音がよく聞こえる。「今日は早く入った方がいいね」と妻。テレビでは日本語チャンネルがあり「クローズアップ現代」を放送してる。CMも日本語でワシントン州のPR。天気予報は下り気味、ヤキマまで雨。

 8時に風呂、バスタブに湯をはって温まった。9時半夕食、カレー丼、中華丼など、久々のご飯だ。早く寝れば良いのに11時過ぎまで妻とメジャー談義。イチローとワシントン州の事、田口、松井など。寝る前にタバコ吸いに外へ出る。雨が降っていた。ネオン看板は夜見ると赤くて、昼とは全く感じが違う。


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