6月25日
カーテンの向こうはうっすら明るい。5時半頃だったか。また寝てしまい再び起きたのは7時。よく寝られた。テレビで故障中のガニエEric Gagne(LAD)のニュース。見ている途中で目覚ましが鳴る。This Magic Momentがカッコ良くアレンジされている。とても好きな曲なので、時計を持って帰りたい気分。
7時半過ぎに朝食のため1階へ。ついでに荷物を車に積んでしまう。駐車場は良い車が多い。フロント奥の食堂は明るくて綺麗。テーブルは5つだが、カウンター席もある。ソファーもあってテレビを見ながら、親が食べ終わるのを待っている子供も。週末だけあって家族連れが多い。シリアル数種、ミルク、ジュース、ヨーグルト、うでたまご、バナナは硬い(アメリカ的?)、パン、マフィン、ベーグル、ワッフル焼き器(液はポットに入ってる)と、種類も豊富だった。
出発前に部屋で、ポケットの50ドル札が無い事に気付く。昨夜、風呂に入る時には確かにあったと思うのだが、勘違いか?「階段や食堂を見ながら行こう」と妻に言われるが、何となく布団を「ガバッ」と、めくったら出てきた。やはり、脱いだ時に落ちたようだ。後ろポケットではダメだ。
9時前に妻の運転で出発。ウォルマートに行った時のように右に出て、ヤキマ通りでGSに寄る。さっきの50ドルで払いタバコも買った。昨日渡ったブリッジの上からハイウェイ入口に。82号を北に向かい、12号との分岐を過ぎると、すぐにハゲ山の景色に。昨日よりもダイナミックに延々と続くハゲ山。勾配のキツいアップダウンも多い。妻が「バックミラーにレニアが映ってる」と言うので振り向くと、左後方に白い頭だけ出してる山が。私たちは北に進んでいるので、見えるのは真横のはずだが、カーブで東を向いた時だろう。最初は「位置的にセントヘレンズじゃねーか?」と思ったが、形からして間違いなくレニアだ。もうこんな遠くまで来てしまったのか。
昨日はハゲ山の間を練るように走ったが、今日のルートは、ハゲ山を登ったり下りたりしてる感じ。妻の運転は、すごい下り坂に70マイルで突っ込むので怖い。インターステートなので、一応ガードレールはあるが、ジェットコースターに乗ってるようだ。町など全く無く、ハゲ山地帯は延々と10マイルも続いた。これもアメリカ的な景色だ。写真に撮ろうと、路肩に車を停めて下りる。走ってる時には全く植物など無いと思っていたが、よく見ると、以前ランカスターで見たような淡い色の小さな木が生えていた。レニアはここからだと真横に見える。
危険覚悟で路肩に停車したのに、数百メートル先でビューポイントの標識。「なんだよなぁ」と言いながらも、こちらにも一応寄る。しかし、ポイントの駐車場からは、北に広がる平野部しか撮れなかったので、まあ路肩での写真も無駄ではなかった。北の平野は緑もそれなりに見え、農場や牧場も確認できた。ここからは私が運転。下り坂を数キロ進み、平野部に近づくとアップダウンは緩くなり、間もなくエレンズバーグEllensburgに。北にはノースカスケードNorth Cascade の山並がよく見える。1つだけ突き出ているのはMt.ベイカーか?
インターステートの90号に合流するが、Exit番号の1区間だけで、すぐに97号との分岐で下りる。97号は本線に入る前に、信号もある一般道を何回か右左折して随分回される。97号本線は一車線だが舗装状態が良く走り易かった。比較的平坦な道を進んでいくと徐々に緑が増えてきた。前方でなにやら綿毛のようなものが舞っている。最初は大きな蚊の大群だと思ったが、何なのだろう?2〜3回同じようなものが舞っている場所があった。
やがて松の森に入り、長い下り坂が続く。カーブも多いが昨日に比べたら運転は楽だ。交通量はそれなりにあるがスムーズに気持ちよく走れる。この辺は、もうウェナッチー・ナショナル・フォレスト。広めの路肩があったので、そこで写真。1台停まっていたバンは老夫婦が乗っていて、彼らは一休みしていたようだ。森は真っ直ぐに伸びた木が多いが、レニア辺りよりは背が小さい。
そこから暫く走り、2車線になって間もなく2号との合流の標識が。時刻は11時5分。予想してたよりも早いので、レベンワースLeavenworthによっていく事にする。時間が遅かったらレベンワースは明日にして、直接ウェナッチーに向かうつもりだった。2号を西に進み数キロでレベンワースのウェルカム標識。ヒゲ文字がドイツ村らしさなのだろうか、どうしてもデトロイト・タイガースを連想してしまう。橋を渡った途端ノロノロになった。路肩には手書きの看板を振って客寄せしてる子供もいる。
ナインス通りで左折。地図では数字で「9th」とあるが、標識では「Nine th」となっていたので間違うところだった。街中はかなりの人混みで、車はみな徐行している。想像以上に人気スポットのようだ。一番賑やかなフロント通りFront Stを越えて、1本裏から10th Stへ。裏通りだが危険な感じは全く無く、長閑そのもの。右側の砂利の駐車場には「Free Parking」と手書きの札がかかってる。20台ほどの車が停まっていたが、「本当にタダなのかなぁ?」と妻と顔を見合す。他に書いてあるのは「No RV」だけ。その手の車も停まっているが、うちの車なら問題無いはず。空いてるスペースに停めてから、他の車のパネル上などを一応確認する。特にチケットなどは置いてないようだから、本当に無料なのだろう。
四方を山々に囲まれた人口約2000人の町レベンワースは、60年代頃から村興し対策として、ドイツのバーバリアン地方をイメージした町作りをしてきた。四季を通じて様々なイベントも行われ、年間100万人もの観光客が訪れるそうだ。駐車場から歩いて表通りへ出ると、白や黄色の壁に、剥き出しの焦げ茶色の柱や梁、独特の建物が並んでいる。夫々の店舗が、店先の花壇や植木鉢、軒先にも色とりどりの花を飾って、とても綺麗で気持ちが良い。ドイツ民謡なのだろうか?カセットで音楽を流している店もあった。
丁度、腹も減ってきてたので、幾つか調べておいたレストランのうち、一番近いキング・ルードヴィッヒKing Ludwig’sに入る事にした。鍵は開いていたが、ドアに掛けられた札に11時半開店とあったので、5分ほど外で待つ。時間になったので店内に入ったが、照明も点ける前で薄暗く、誰もいない。声をかけてもなかなか出てこないので、かなり大声で「エクスキューズ、ミー!!」ようやくぽっちゃりした女性が出てきて、窓際の席に案内された。10卓ほどの木のテーブルが並ぶ、それほど広くない店内だが、素朴で落ち着いていて居心地が良い。メニューは写真入なので分かりやすかった。パンも付くとの事なので16ドルの盛り合わせ(他のメニューは1人前だと7ドル前後)を1つ頼んで、ドイツ産のビールを注文。銘柄は「スパイヤ・オクトーバー・ラガー」そんな名前だったと思うが、後日検索しても探せないので記憶違いか?
後から来た客は吹き抜けのスペースへ。あっちも座って良かったのか。飾り窓がなかなか良い。パンとビールが先に来た。ビールは苦味が強いような気がしないでもない。どちらかが運転になるので、妻は一口だけ味見。パンはヨモギパンのような味で。その手のハーブが練りこんであるのだろう。まもなくメインもやってきた。甘い赤キャベツに、酸っぱい白キャベツの和え物に、冷たいポテトの煮物、これが美味い。キャベツの上には3種類のソーセージ。ウェイトレスは後から、付け合せの西洋ワサビも持ってきた。ものすごく辛くて堰が止まらなくなった。参った! 12時を過ぎると、客が続々と訪れほぼ満席となった。
酔い覚ましを兼ねて街をぶらつく。山間部の小さな町だが、まるでお祭りのように賑やかだ。観光客は年配の人が多い。季節が良い事もあり、花が溢れる歩道は見事だ。土産物屋も多いので絵葉書を探す。大半はウェナッチーのだが、Mtレニアのも発見。5枚しかなかったので全部買う。山のものはレニアよりもカスケード山脈ものが多い。3軒のぞいたがレニアのを置いてあったのは1軒のみ。他に目立っていたのは木彫りの熊の置物。本屋と間違えて入ったのは、水が滴る銅版アート(日本でも見た事あるが、名前が分からない)の店。不思議な空間だった。
妻が急にトイレに行きたくなり、地図を見て裏手の公園へ。しかし、行ってみるとキャンプ場のような公園で、広過ぎて探すのに苦労しそうなので、そばにあった病院カスケード.ホスピタルでトイレを借りた。しかし、街側に戻ると徒歩1分の場所に公衆トイレがあった。トイレは表示もドイツ語。通り沿いの広場では絵や写真を売っていた。いかにも観光客向けだったが、レニアの写真を買ってしまう。広場中央では年配のアコーディオン楽団が演奏していた。衣装も凝っている。
訪れる車はどんどん増えていて、みな駐車場探しに苦労してる様子。駐車場に戻ると、入口スペースにまで駐車してあった。乗用車なのでギリギリ通れたが、大型のRV車は出られないだろう。わざとやってるのか?
妻の運転でウェナッチーを目指す。来た道を東に戻り、さっき通った97号の分岐も過ぎると道沿いにリンゴ畑も出てきた。20分ほどで285号と合流し、けっこうな立体交差から街へ向かう一般道へ。交差する通りの名前を見ると、川を越えてしまったようなので引き返し、イージー通りEasy Stへ下りる。地図で見た感じよりも距離は短くて、オーム・ガーデンOhme Gardenへ入っていく道にもすぐに着いてしまった。ここもリンゴ畑かと思ったが、よく見るとアメリカンチェリーが実を付けている。プリプリして美味そうだ。スプリンクラーで水をやっている。手を伸ばせば届きそう。食べたい!
急坂を上るとオーム・ガーデン入口。駐車場も木々に囲まれ、急に涼しく感じた。停まってる車は10台くらいか。オーム・ガーデンは、ハーマンとルースHerman & Ruthのオーム夫妻が、1929年から10年の歳月をかけて造った庭園で、現在は群立公園となっている。入口の小屋で入場料7ドルを払うと、プラケース入りの園内マップを手渡された。裏には園の歴史が書いてある。
我慢してたので、入ってすぐ右手のトイレに寄るが、木造の個性的な建物が園内にとてもマッチ。木々に囲まれた石の道を進むと、こちらも季節の花が咲き誇っている。岩も剥き出しで自然そのものの景色。絶壁に作られているので、進行通路は上ったり下りたりが激しい。コロンビア川を一望できるポイントに来たが、眺めはイマイチ。対岸の山にはもっとリンゴ畑があるのかと思った。木が密集してるのはもっと南の方。まあ、景観を一番ぶち壊してるのは手前のデカイ工場なんだが。ウェナッチーの街もよく見える。中心部はそれなりに建物も多い。
庭園は思ったより広くなくて、一番奥の池のところで、石のベンチに腰掛け休む。体が癒されていく感じ。マイナスイオン効果か?池はカリフォルニアでも見たバスクリンのような色をしてるので、虫除けにもなっているのだろう。蚊などは全くいないが、ダンゴ虫を発見。アメリカにもいるんだなぁ。妻は早くもウトウト。私は眠りはしなかったが、靴を脱いで30分近くボーっとしてしまった。気が抜けていくと言うか、不思議な感覚。でも、疲れが取れリフレッシュ出来た。カップルや家族連れがボチボチ訪れる。混んでないのも良い。
その後、一通りのポイントへ行ってみる。急斜面の花畑や、トーテムポールの休憩所、切立った岩山に、手入れの良い芝の広場。30分もあれば回れる広さだが、凝縮された大自然と言う感じで楽しかった。帰り際に出口で、池で擦れ違った家族に呼び止められる。私が着ていたエド・バーガーEd Debevic’sのTシャツを見て、奥さんが大はしゃぎ。イリノイから来た家族で、よく食べに行くそうだ。
妻の運転で出発。坂を下る時に耕運機を追い越す、荷台には長髪に野球帽の少年。休みなので畑の手伝いか。実にアメリカ的な風景。来た道を戻り285号からウェナッチー通りWenatchee Avへ。「AAAの道のプロ」の言っていた通り、両脇にスーパー、レストラン、モーテルと店舗が続いていて、とても賑やかだ。田舎だと思っていた景色が一変する。
ワシントン州のほぼ中央に位置する人口約3万人の町ウェナッチーは、水量豊富なコロンビア川と、火山がもたらした良い土壌に恵まれた、全米一のリンゴ生産地だが、チェリー、アプリコットなどでも有名。また、ワイン作りに適した気候から、周辺地域を含め良いワイナリーも多い。
AAAで予約してくれたカムフォート・インComfort Inn Wenatcheeも、大通り沿いにあり3時50分チェックイン。フロントでは、両手にタトゥーのヒスパニック系の太った女二人組みが係とやりあっている。どうやら、停まりたいが空き部屋が無いらしい。玄関に横付けの車からは男も降りてきた。女二人に男一人。格好もヨタった感じだが、断られているのはそのせいではないだろう。土曜のこの時間ではホテルの予約は難しい。今だってフロントは電話が鳴りっぱなしだ。ウェナッチーには他にもホテルはそれなりにあるようだが、周辺に大きな町は他に無い。やはりAAAに入っておくべきだ。心の中でニンマリ。ホテルの支払いはこちらではT/CでOKだった。フロント横のプールで溺れたのか、3歳くらいの女の子が、廊下でオバちゃんに抱えられて大泣きしてる。
部屋は1階の106で表向き。広くてベッドも大きい。カムフォート系は色使いはいつも渋い感じ。部屋でハガキを書く。投函するのは、ここでよりも都市部に入ってからの方が早いだろう。どうせ、今日明日は郵便局も休みだろうし。テレビではカレッジ・ワールドシリーズの中継、テキサス大U of Texas対フロリダ大U of Florida。ドラフト指名されてる選手も幾人か紹介されている。手の甲の痒みはたまに出る。すねの4箇所は痒みは治まったが腫れはひどい。
6時10分頃、ホテル出発。ホテルの前の銀行はなんとドライブスルーのようだ。来る時にも何台か見かけたが、今日はクラシックカーがよく走っている。ウェナッチーで何かあったのか?ウェナッチー通りから右折してフィフス通り5th Stへ。こちらも地図では数字、標識ではFifth St。4〜500メートルで右手に学校らしき広い敷地。奥の建物もそれっぽい。正門を通り過ぎ少し進むと、敷地内の西の端に小さな駐車場があった。照明塔の方に歩いていく人が見えるので、ここで良いのだろう。松林の向こうに小さなスタンドも見える。今日の球場もとても近かった。
駐車場から50メートルほど歩き球場入口へ。既に20人ほどが列んでいる。地元のウェナッチー・バレー短大Wenatchee Valley Junior Collegeのグランドなのだが、看板には「Home of the Applesox」とある。開門時間まで学内を少し見学する事に。ライト後方に続く通路を歩いていくと、林の向こうにテニスコートが数面。手前には寮の様な建物。その脇を抜けると、中央広場のような所に出た。そんなに大きな大学ではない。可笑しなオブジェのある建物の横を通り、球場のセンター後方に出る。その向こうにはソフトボール専用球場が。アルミ製だがスタンドもあり結構立派。その向こうの並木道は敷地の外だ。そちら側の駐車場からもファンはやってくる。レフトポールの下には早くもタダ見のファンが陣取っていた。一度敷地の外に出て3塁側から大回りして入場口に戻る。
ウェナッチー・アップルソックスは、6月から8月中旬までの夏の短い時期に行われる、大学生によるサマー・リーグ、ウェストコースト・カレジエイト・ベースボール・リーグWest Coast Collegiate Baseball League(以下WCCBL)に所属している。2001年に見たケープコッド・リーグと同じような形態だが、ドラフト上位指名される選手がゴロゴロいるケープコッドに比べると、レベルはやや落ちる。チーム分布はワシントン州とカナダ南西部に計7チーム。ちなみにウェナッチー市にはウェナッチー・チーフスWenatchee Chiefsと言うシングルAのプロ球団があった時代もあった。
対戦チームのカルガリー・ダウグスは、冬季オリンピックが開催された事もあるカナダ南西部の都市のチームだが、所属はWCCBLではなく、主にカナダ中西部で活動するウェスタン・メジャー・ベースボール・リーグWestern Major Baseball League。チーム数などの関係でリーグ戦が無い日は、他リーグとの試合は頻繁に行われるようだ。勿論、リーグ内の順位には影響しないが、別立てで勝敗表には載せられる。ちなみにカルガリーには数年前までトリプルAのチームまであった。
チケットは指定$7.50 、自由席$5、小人$3。ケープコッドは無料だったが…自由席を買って3塁側アルミ席の2列目に座る。周りの観客は、毎年顔を合わすのか、みな顔馴染みといった感じで、後から訪れる人に挨拶してる。キャパは約1000人。8割くらいは埋まっているが、それ以外にも3塁側後方にあるピクニックエリアにも、ファールゾーンの芝生にも多くのファンがいる。勿論、野球など見ないで遊んでる子も。ピクニックエリアの後方には、トイレなどが入った建物があり、その側面がフードコーナーになっている。フードコーナーの前辺りには特設のカウンターがあり、契約(たぶん銀行)をすると、マリナーズ帽が貰えるようだ。後ろに会社の名前も入っていて、幾人か被っている人も見かけた。それ以外にも、やはりマリナーズ人気は高くて、自前のマリナーズTやキャップは何人もいる。勿論「51 ICHIRO」も数人見かけた。3塁アルミ席の後ろにあるグッズコーナーは、カウンター式だが種類も豊富。外にハンガーでバーゲン品も下げられてた。見ていると「どうだいこれ?」と声をかけられるが、荷物になるので買うのはもっと終盤でいい。
今日もカナダ国歌が先に歌われた。ポールの関係か?カナダ国旗はグランド上で子供が持っている。アップルソックスの先発投手はハーモンBrandon Harmon(ゴンザーガ大Gonzaga U)。入団こそしなかったが、昨年のドラフトでカブスから43順目で指名されている。近くにマスコットのコヨーテがやって来た。背中のネームにもCOYOTE。この日は変な赤い鳥も観客席に来ていた。タイツがキモい。観客は私達以外は白人しかいないようだ。
2回裏、アップルソックスの攻撃。無死一二塁から6番打者ゲバースMac Gebbersは当然のように送りバント。やはりプロとは違う。しかし、2回失敗して追込まれてから、センター前タイムリーが飛び出し先制。続く7番も送りバントを試みるが、こっちも失敗して結局三振。その後、牽制死もあったが9番ニルセンJamie Nilsenの2点タイムリー2ベースも出て計3点。応援の手形マットは子供は無料で貰えるようだ。誰か忘れて置いていかないかな?
4回表カルガリーは4番マクネビンAndrew MacNevinの2点本塁打が飛び出し1点差に。見に来てる子供はリトルリーグ帰りなのか、ユニホーム姿の子が多い。色々なチームの子がいるようだ。それにしても内野席は野球そっちのけで皆お喋りしてるので、狭い空間で騒々しい。イニング間に外野フェンスの上を、ジュースのビンが競争。観客はどっちが勝つかで大騒ぎ。メジャーと違いアナログだが、この手の事がみな好きなんだなぁ。
落着いて見られないのでレフト横の芝生に移動。濡れてはいないが、長く座ってると尻が湿ってくる感じがするのでタオルを敷く。イチャついたアベックはいるし、追いかけっこの子供もたまに横切るが、ギュウギュウで喧しい内野席よりは居心地が良い。大人でもこっちにいる客は、比較的試合を見ているようだ。ホテルでは気が付かなかったが、この町もレベンワース同様、四方を山に取り囲まれている。
6階裏、三遊間の鋭い当たりをカルガリーのショート、レクエンコRob Recuencoが横っ飛びで好捕、1塁へもナイス送球でアウトにした。この時は球場中が相手チームのプレーなのに拍手喝采。こう言う雰囲気はイイ!
私達のすぐ前の3塁側ブルペンで投球練習してた長身のルサージュQuinn LeSageが、7回表からリリーフに立った。しかし、2死から代打フライChris Fryeに同点2塁打を打たれると、その後連続四球を出してしまいマートレロSteve Martlaroに交代。やや横手投げで、入場時に貰ったメンバー表を見ると、強豪の南カリフォルニア大USCの投手なので期待したが、こちらもカポネMark Caponeに2点タイムリーを浴びてしまう。陽が傾き、外野手の影もだいぶ長くなった。
7thイニング・ストレッチは、子供たちがマウンド付近に集まって歌い盛り上がった。私達は、ピクニックエリアのパラソルテーブル(10卓ほど)が空いてきたので夕食に。ピザ$3.75 、ホットドッグ$2.50、オニオンはケチャップなどと同じ小さなパックに入れられていてフリー。8回表、カルガリーはエラー絡みで1点を追加。男漁りの少女達は、相手チームのブルペンにもちょっかい出しに行っている。
食事の後、グッズコーナーで買物。ヒゲのオジサンは愛想が良い。私は格安の去年の優勝記念の黄色いTシャツ$5、妻は来る前からこのチームのロゴを気に入っていたので、Tシャツを白か紺かで迷った挙句、白地に首と袖が赤縁取りのに$18。ボールをリンゴに見立てたロゴがなかなか良い。それから、キャップとサンバイザー、ペナントも買って、T/Cは使えるか聞いたら「使えるよ。たぶん大丈夫だ。でも、ちょっと待って。1分だけ」と走っていった。店主ではなかったのか?誰かに聞きに行ったようだ。戻ってきて「日本人かい?OK、OK使えるよ」と息を切らしていた。
もう、試合も終わろうとしていたが、座席も目の前なので、空いてるところに座って最後まで見ていく事に。9回表、本塁クロスプレーにセーフの判定。客は勿論ブーイングだが、捕手のダンJoey Dunnが抗議して退場になってしまった。真後ろから見ていた私にもアウトに見えたが、判定だから仕方ない。審判は2人だけだが一生懸命やっている。リズムが悪くなったのか、その後レフトがスライディングキャッチを失敗し打球を後逸、セカンドがトンネルと、ボロボロ状態に。席を立つ客もいた。投手交替もあり長い9回表だった。結局、この回は5点を失い、カルガリーのリードは更に広がった。外野後方の山はポツラポツラ民家の明かりが灯ってきた。
9回裏は1点返し一瞬盛り上がったが、反撃もそこまで。連続三振でゲームセットとなった。カルガリー14−4ウェナッチー、勝利投手ベンダJoey Benda(ポータービル大Porterville College)負けルサージュ(コロンビア・ベイスン大Columbia Basin CC)、カポネ(ブリティッシュ・コロンビア大UBC)4打数2安打2打点、マクネビン(ナイアガラ大Niagara U)3打数2安打2打点、(以上カルガリー) ローウェルJesse Roehl(コロンビア・ベイスン大)3打数1安打1打点、ニルセン(セントラル・ワシントン大Central Washington U)3打数1安打2打点(以上ウェナッチー)
マイナー・リーグに確かに似ているが、シングルAよりも更にローカルっぽさを感じた。ケープコッドのようなリゾート地でもないし、田舎町に無くてはならない夏の風物詩とでも言うべきか、縁日の要素がとても強い。試合を真剣に見なくても、ボーイハントに夢中でも、町中が楽しみにしている短い夏のイベントなのだ。そして子供達は色々な事を球場で学ぶ。そう考えると、野球チームが去ってしまった町の損失は、非常に大きな事だと改めて実感する。野球ファンだけの問題ではない。もし、日本の故郷の町で、お祭りや縁日、花火大会が無くなってしまったらどうだろう?
終了後の空は僅かに青が残ってる。駐車場に戻って分かったが、路駐がとても多い。仕事から急いで戻って、これに駆けつける人も多いようだ。ホテルまでは10分足らず。10時15分着。風呂は排水が悪い。風呂から上がって、タコマから持ってきたマフィンを食べる。それとグラノラバー。妻にコーヒーを入れてもらうが、妻は球場でピザを食べたからいらないとの事。ご飯が食べたいらしい。テレビでは懐かしのシャザーンをやっていた。12時過ぎに寝るが、妻は先に寝ていた。