6月24日(2)

   Northwest League(A) 

YAKIMA BEARS VS VANCOUVER CANADIANS

ヤキマ・ベアーズ            バンクーバー・カナディアンズ

Yakima County Stadium  Yakima , WA(ワシントン州 ヤキマ)


 公園の外側に出ても下り坂が続いていた。この辺まで下りてくると、タコマ側と同じように、背の高い真っ直ぐの木がごっそりと並んでいる。暫く走ると「GIFFORD PINCHOT NATIONAL FOREST」の看板アーチ。潜ってから写真を撮るため停車。看板の裏側には「Mt.Rainier Natioal Park」と書いてある。ここでも僅かだが森の匂いがした。停まっている間に追い越していく車もあったが、走ってる時は前後に他の車は見えない。ちなみに、地図で確認すると、ギフォード・ピンショー・フォレストはレーニア公園を取り囲み、セントへレンズ山も越えてオレゴンとの州境まで続いている。

 反対車線では、自転車がまだまだ登ってくる。山上のほうから数えて50台はすれ違ったろうか。足が痒いのでたまにムヒを塗ってもらいながら運転。暑くなって来たのでエアコンを入れる。比較的大きな12号と合流し東へ。それでも山道は続き、延々と下る。こんなに上がってきたのだろうか?と思うくらい。パラダイスの標高が約1650メートルで、タコマは海沿いなので標高などたかが知れてる。…とすると、まさか海抜よりも下に行くのか?(行きません)

 高い木が徐々に少なくなってきて、右側に大きな湖が見えた。地図で確認するとリムロック湖Rimrock Lakeと言うかなり大きな湖。ヤキマまではまだ遠い。やはり山道は時間がかかる。長い下りの後は、湖の横を延々と走る。下りが少なくなったと言ってもアップダウンは激しい。車は前に3〜4台。トラックやキャンピングカーなどの遅い車は、路肩に寄せて道を譲ってくれるが、乗用車は自覚が無いのか、遅くてもなかなか譲らない。カーブが多いので追い越しもままならない。

 途中、湖を見るポイントがあったので、砂利のスペースに入る。誰もいない。ビューポイントと言うより、ボートなどの牽引場所のようだ。ちょっと奥に行くと道路からは見えないので、立ちション。妻もトイレに行きたがっていたので、「誰もいないから」と言ってみるが、さすがにそこまではしない。日本では見たこと無いような大きなマツボックリがたくさん落ちていた。風はけっこう強い。鏡面などほど遠い湖面。リフレクションがいかに幸運な事か実感する。

 そこから暫く進み、湖もようやく過ぎた。景色は一変し、ハゲ山に囲まれた川沿いを走る。一部、木が黒焦げになっていたところがあった。山火事だろうか?写真を撮ろうと、路肩に車を寄せる。途端に「ガガーーーー!!」と車が流される。「やばい!」ギリギリ下には落ちないで停車したが、タイヤがかなり埋まってしまった。砂利は思っていたよりも軟らかくて、待避所のような場所だった。もっとスピードを緩めてから寄せるべきだった。外はかなり暑い。車のメーターは外気温90F(摂氏32度)を示している。

 そこからは暫くハゲ山の景色。規模は全然違うのだろうが、一見グランド・キャニオンのようだ。ナチェスNachesの近くに来ると、「フルーツ」の立て札がいくつか出てきた。日本の山村などにもよくある露天の果物売場のようだ。ナチェスは、ハゲ山の中の道沿いに、GSなど店舗が幾つか間隔をおいて建っているだけの町だった。

 交通量は徐々に増えてきて、ハゲ山に囲まれたままインターチェンジに。82号ハイウェイに入ると、高架からウォルマートなどの大型店舗も見えた。ヤキマ到着2時半。ノブヒル通りNob Hill Blvd.で降り西へ。右手に照明塔が見える。今夜観戦予定の球場もこの辺りの筈だが、まずはAAA(全米自動車協会)が先だ。妻の支持で更に西へ2キロほど進む。街並は高いビルは無いが、両脇にはそれなりに店舗が並んでいる。この辺りが中心部か。交差する通りは数字の名前なので住所も読みやすい。「この信号が16だから、もうすぐのはずだよ」間もなく右側にAAA発見。一発で見付かった。

 専用の駐車場がちゃんとあるので、二人で事務所の中に。広くて綺麗なオフィスだ。他の客はいなかったので、カウンターの中にいた女性が、すぐに応対してくれた。JAFの会員証を見せ、今晩の宿を探している旨を伝える。彼女はPCで検索しながら、「○ドルだけど良い?」「ベッドは1つ?2つ?」「一晩でいいの?」など聞いてくる。クレジットカードを渡して予約完了。ホテルの道順を説明する為に、向かいのデスクにいた白人のオバちゃんを呼んだ。道の説明は彼女がプロらしい。二人の会話を聞いてると、この町は「ヤカマ」と言う方が近い発音のようだ。私が持っていたヤキマの地図(AAAウェストシアトルで入手)を「書いて良い?」と聞いてから、マーカーで道順の線を引き「幾つ目の信号を曲がってどうたらこうたら…」と丁寧に説明してくれた。

 最初の女性に、AAAは土曜休みなのか確認して「明日ウェナッチーに行くんだけど、出来ればそちらのホテルも探して欲しい」「管轄が違うかな?」と尋ねると、「大丈夫、大丈夫」と再びPCで探し始めた。1つ紹介してきたが、その間に割り込まれたようで「ごめんなさい」とまた探しだす。次はなんとか取れたようで、こっちも値段の割りに悪くない条件だ。またも道のプロのオバちゃんが行き方の説明。「ここがウェナッチーの中心部だから、どうたらこうたら…」オバちゃんはウェナッチーも詳しいのだろうか。けっこう離れた町だが。金曜、土曜のホテルはとても心配していたが、大変助かった。それでも応対してくれた彼女は「1つ逃してしまってごめんなさい」と言っていた。妻は感激し、彼女の名前を聞いたら名刺をくれた。カロリーナ・ワーウィックさん。30〜40歳くらいか?「サンキュー、ミスワーウィック」と言ったら、「どういたしまして、ミスター○○(私の姓)」と笑っていたので、やっぱり独身なのか。もうちょっと若いのかな?

 オバちゃんに教わった道順で、16th Avからリンコルン通りLincoln Av→フェア通りFairと進みホテルへ。地図だけ見たらリンコルン通りは大きく表示されていないので、ノブヒルで行く方が分かり易いような気もするが、こっちの方が近いのだろう。それから、数字の通り名は線路(2本あるうち東側のBurlington Northern Railroad)を挟んで2つあるので注意。私らも最初は、踏切を渡ったらまた数字が大きくなっていくので、逆方向に戻ってしまうと勘違いした。

 ホテルには3時丁度に着いた。場所的には82号ハイウェイのすぐ西。フェアフィールド・イン&スイーツFairfield Inn & Suites By Marriott外観もフロントも綺麗だ。系列のホテルは何度か利用しているが、AAA経由だからか?値段も比較的安かった。チェックインではT/Cでの支払いを申し込むが、既にカードで処理してしまったとの事。まあ、仕方ない。プールがあるので、通路やエレベーターでは水着の子供がよく行ったり来たりしている。部屋は3階、キングサイズの大きなベッドには明るい黄色のカバー。部屋も綺麗で広い。窓からは82号ハイウェイがよく見え、向かいもスーパーだから便利そうだ。暫し休憩。テレビではヤンキース対メッツ、ペドロ・マルチネスが投げている。東時間とは3時間の時差があるので、向こうはもう7時過ぎだ。

 山で虫に刺されたところ(手足に7〜8箇所)がたまに痒くなる。そう言えば、レニアでハガキを買うのを忘れてしまった。せっかくだから、Mt.レーニアの絵葉書で友人に手紙を書きたかったが、ビジターセンターには寄らなかったし、妻もパラダイスインで見かけたようだったけど、頭はリフレクションレイクで一杯だったようだ。

 向かいのターゲットTarget(スーパーマーケット)に寄る為に、少し早めの5時半にホテルを出る。敷地内には駐車場を囲んで、スーパーの他にフードやCD店などが並んでいる。ターゲットは広い店舗に食料品、衣類、日用雑貨など数多くのコーナーがあったが、文具や本のコーナーを見ても絵葉書は見付からなかった。バースデー.カードなどは数多く置いてあるのに、普通の葉書さえ無い。みな手紙を書かないのだろうか?店員に聞いても「売り場に置いてあるだけだよ」との事。仕方ないので、水の小ボトルを1ダースだけ買って店を出る。この300ccボトルの水が手頃で丁度良いのだ。

 すぐ前のフェア通りを南に真っ直ぐ進み、わりと中流っぽい住宅地を抜けると、左手に球場のある公園セントラル・ワシントン・フェアグラウンドCentral Washington Fairgroundsが見えてきた。敷地内にあるドームが目立つ。パシフィック通りPacific Avを左折し駐車場へ。一緒に曲がったオープンカーのキザ男は、どう見ても野球ファンっぽくないと思っていたが、やはり、ラジコンのレースを見に来たようだ。敷地内で料金を払ってから「レース?ベースボール?」と聞かれ、右左に分かれる。どちらもたくさんの車が停まっていたが、レースの方がやや多いか?

 球場着6時。ヤキマ・カウンティー・スタジアムYakima County Stadiumは、三塁側奥に設けられた防球ネット(布?)が少し汚く感じるが、メインの建物は立派な方だ。まあ、目立った特徴は無いので、やや面白味に欠けるかも。チケットはボックスで$7.50。入場者全員に、ロゴ入りタオルを配っていた。入口ではオジさんバンドがずーっと演奏していたが、ちょっとうるさい。マスコットのブーマーBoomerも音楽にノリノリ。まだ、陽は高く、けっこう蒸していて暑い。ブーマーはもっと大変なんだろうなぁ。

 細くて長いスロープを歩いてスタンドに。私達の席は3塁側の前から2列目。まだ時間が早いからか、スタンドに余り人はいないが、ピクニックエリアはけっこう賑やか。バックネット以外も内野のネットはけっこう高い。外野側は全方向にハゲ山を見渡せる。グランドでは水撒きと、木枠をコンコンとやってライン引きの最中。こう言う作業を見るのも面白いが、ラインがちょっと曲がっていた。1塁ダグアウトの前では、ビジターのバンクーバーの選手2人が、かなり真剣にお手玉の練習をしてた。両チームの選手の大半は、外野でウォーミングアップ中。

 ヤキマ・ベアーズは1990年からドジャーズの傘下でノースウェスト・リーグに参加しているが、それ以前にも同リーグに所属していた時期も何度かあり、他リーグを含めると20世紀前半から頻繁にマイナー・チームは出来たり無くなったりしていたようだ(チーム名はベアーズ以外も)。現在はダイヤモンドバックス傘下。

 対戦相手のバンクーバー・カナディアンズは、我々にとって初のカナダのチームだが、数日後にホームで観戦予定なので紹介はその時に。しかし、サインを貰うならホームよりもビジターの時の方が圧倒的に楽だ。1塁側のブルペンに行って投手コーチのレファーツCraig Leffertsを呼んでもらう。若手投手は「へーい、レフティー」と気安く呼んでいたが、現役時代はジャイアンツやパドレスで活躍し、通算100セーブの記録を持つ名クローザーだ。ボールにサインを求めると、レファーツ本人も喜んでいた。いつもはなかなか通じない「座右の銘」も、すぐに理解してくれ、「Best Wishes」(たぶん?読み難い)と書いてくれた。「よろしく」「ご多幸を」などと言った意味らしい。ちょっと「座右の銘」とは違うかもしれないが、なかなか良い人だと感じた。

 席に戻ると妻は居眠りをしていた。観客も増えてきて、間もなく国歌斉唱となったが、今日はカナダとアメリカ合衆国2曲聴ける。いつもは感じないが、柔らかめのカナダ国歌の後だと、アメリカ国歌は荒々しく感じる。でも、国歌マニアの妻は満足していた。試合が始まると、私も3回くらいまでウトウトしてしまった。今日は山登りと長い運転で疲れた。暖かさも眠気を誘う。やはり、昨日ジャンバーなど買わなくて良かった。

 4回まで両チーム無得点。内野席にはヒスパニック系の観客がけっこう多い。白人の方が勿論多いが、他の球場からしたらかなりの割合だ。私達のすぐ前の「Lancaster Company」の札が貼ってある最前列の席(たぶん、企業が持ってる年間シート)に座る4人家族もそうだ。アメリカ国旗をイメージしたキャップを被るヒゲのお父さん。体格の良いお母さん。16〜18歳の兄はヤンチャで野次もよく飛ばしているが、その度に父が睨む。妹は12〜13歳に見えるが、パジャマみたいなスウェット上下。兄がよくちょっかい出して、母親に怒られてる。でも、子供の年齢の割りにとても仲の良い家族だ。その隣の席も他の会社の札が貼ってあった。

 眠気覚ましに、スタンドの最前列に上がるとMtレニアの先っぽが見えた。「かなり遠くまで来たんだなぁ」と感じる。イニングの合間に、ネット裏の上の方に座る中年夫婦の元に、ブーマーが花束を届けに来た。受け取った奥さんは思わず号泣。様子からして旦那が申し込んでおいたようだ。よほど感激したのか、奥さんは試合中も暫く泣いてた。

 5回表カナディアンズは、無死一三塁からゲッツーの間に1点を先制するが、その裏ベアーズは、メルカドRichard Mercadoの2塁打などで2−1と逆転。しかし、直後の6回表、カナディアンズはプラットHaas Prattがライトへ逆転2ラン。私達が目覚めるのを待っていたかのように、投手戦から一気に点の取り合いになった。

 売店はスタンドの外にあるので少し遠い。ホットドッグとプリッツェルを買ってくる。プリッツェルはとても塩辛いので、まぶしてある塩を取って食べるが、付け用のチーズも辛い。昨日タコマで食べた方が美味かった。アトラクションは、若い男性2人が夫々タイヤに入って、バランスを崩しながらロープで引っ張りっこするのが面白かった。それから、丸まって固まってるTシャツをほぐして着る子供の競争や、バズーカTシャツ配りも行われていた。

 7回表、カナディアンズはプラットのタイムリーなどで追加点。この回の途中からリリーフしたヤキマの左投手プファウツCraig Pfautzはコントロールが安定せず、フルカウントから置きにいって打たれるパターン。他にも四球あり、ワイルドピッチあり、相手の盗塁ありと、なかなかチェンジにならないので、私達はショップへ。ここで帰ってしまうファンも何人かいた。

 スタンド下に組み込まれたグッズ・ショップはそれ程広くないが、まあ手頃で雰囲気も良い。ロゴの物は売切れてしまったのか少ないが、すぐに変わったTシャツが目に付いた。ベアーズのロゴマークの上に「YAKIMA OSOS」とあり、下に「Besbol」(eの上に点)と書かれている。店員のオバサンに意味を聞くと「オソスはスペイン語でベアーズ」「下はビイスボル」やはりスペイン語だそうだ。シャツを指しながら「日本語でヤキュウだよ」と言うと、オバサンは「ヤキュウは知ってるわよ。イチローの事でよく聞くから」と答えた。熊の絵も指して「これは日本語でクマ」と言うと、オバサンうんうんと感心げに頷いていたが、今度は復唱はしなかった。そのオソスTシャツと、ペナント、キャップ、ピンバッヂを買ってT/Cで支払う。パスポートで漢字のサインを確認してもらったが、オバサンはちょっと見て「OK」と微笑んだ。

 スタンドに戻ると綺麗な夕焼けになっていた。8回裏のオソスの反撃は2点止まり。時刻は9時半。最後まで見たい気もするが、今日は疲れたので早めに帰る事にした。帰り道で、来る時にハイウェイから見えたウォルマートWalmartを思い出す。「絵葉書が売ってるかも」と寄っていく事にするが、高架を潜ってしまい、ハイウェイを越える橋に出られず。

 一度ホテルへ戻り、フロントの女性に行き方を教わるが、私の発音が悪く「ウォルナット通りWalnut St」を教わってしまう。こっちも勘違いしていて「こいつ分かっているのか?」「嘘教えてるんじゃねーか?ハイウェイの向こう側のはずだぞ」と思って聞いていたが、誤解だと気付きお互い大笑い。ホテルからは一度右に出て、8th Stからヤキマ通りYakima Avに出て陸橋を渡る。すぐに右手にウォルマートを発見。周りはディーラーやホテルやらで、夜でも明るくて賑やか。車では便利な所だが、さすがに歩行者はいない。

 ウォルマートにも絵葉書は売ってなかった。やはり観光地でないと無いようだ。疲れたので出汁系が欲しくなり、マルちゃんのカップラーメンを買う。ノーマルも買ったが、なんとレモン味もあったので1個買う。あとは知らないメーカーのカップ焼きそば。10時を過ぎてるので客は少ないが、レジが1つしかあいてないので4〜5人並んでる。しかも、みんな大量に買い込んでいて結構待たされる。こっちはカップ麺4つだけなのに。

 ホテルには10時半ごろ戻る。風呂に入ってから食事。コーヒーポットのお湯ではカップ麺にはちょっとぬるい。時間を長めにして食べるが、やはりアツアツでないとあまり美味くない。球場でもホットドッグなどを食べているのだから、これは夜食のようなものだが、疲れたからか、やけに腹が減る。


試合結果 バンクーバー7−4ヤキマ 勝ち投手グレイJeffrey Gray 負けハワードAdam Howard トリトルChris Tritle 5打数3安打1打点、プラット5打数2安打3打点1本塁打(以上バンクーバー)メルカド3打数2安打(ヤキマ)

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