6月23日

   American League 

SEATTLE MARINERS VS OAKLAND ATHLETICS

シアトル・マリナーズ            オークランド・アスレチックス

Safeco Field  Seattle , WA


水平線の夕焼けが見事だったので、窓際の私らの席に、大阪弁のオバちゃんが写真を撮りに来た。一番星はスゴク明るい。その近くにもう1つ小さな星が見えるが、他の方向には星は全く見えず。その後、暗くなるが水平線だけはうっすらと明るいまま続いていた。北半球は夏至と言う事で、アラスカ辺りは白夜に近いのかもしれない。

朝食でモーニングサーブ?(日本ハム)が出た。着陸30分前、雲が切れてくる。島、入江、半島、山、複雑な地形が眼下に広がった。左手はたぶんバンクーバー島、先端近くの都市はビクトリアか。反対側に飛び出してるのは、スクイムの砂州に間違いない。地図で見た形のままだ。ポート・タウンゼント、ウィッドビー島もハッキリ確認できる。着陸間際にはアルカイの先端、シアトルダウンタウン。妻も感動してた。オバちゃんには悪いが教えず。成田から約8時間半。でんぐり返し効果で、気持ち悪くはならなかった。

 入国審査は外国人は1〜3の窓口。席が後ろの方だったので列も後ろ。隣のゲートではオバちゃんがニッコリお辞儀。あっちも最後尾。前のトライアスロン出場予定の青年が遅くて、オバちゃんにかなり遅れをとる。アメリカ人の窓口が終わったので4の窓口に回されたが、大して早くはならない。大分遅れたが、預け荷物が無いので、そこでかなり抜き地下鉄乗り場へ。オバちゃんに「じゃーね、球場でね」と言うと、「早く行かなきゃ、どこ?良い席持ってるの?」他の人は地下鉄に乗る前に、もう一度荷物を預ける。地下鉄のアナウンスは英語のほかに韓国語、案内電光ボードにもハングルがあった。(帰国の時は日本語アナウンス、案内表示が数多くあった)

 シアトル・タコマ国際空港Seattle-Tacoma International Airportは名前の通り、ワシントン州の代表的な2つの市の間にあり、夫々の名前を合わせて通称シーテックSeaTacと呼ばれている。「実際はどっちの市にあるのだろう?」と思ったが、地図を見ると、行政的に独立した人口2万5千人のシーテック市内に位置しているようだ。印象としては、それほど大きくなく分かりやすい空港だと感じたが、上に書いたように手荷物のシステムは独特で、ネットでも「面倒だ」と言う声が多く聞かれる。

 メインターミナルに着くと、突き当たりに、他のレンタカー会社に並んで、エイビスAvisのカウンターも。いつも見付かり難いので、空いてれば真っ先に手続きしてしまうところだが、こちらでは列が5人くらい出来ていた。貸出は隣の棟だと聞いていたので、直接そちらに行く事にする。吹き抜けで連絡ブリッジは見えていたので、エスカレーターで1つ上がり橋を渡る。立体駐車場が入っている隣のビルで、エスカレーターを下りるが、3階までしか行けず(ブリッジは4階)、結局エレベーターで下りる。他の会社のカウンターを3〜4つ通り越しエイビスへ。待たずに男性社員が丁寧に対応してくれた。追加の保険の料金を聞いて最終的な契約。サインは「漢字OKよ」と言われる。2人ともトイレに寄った後、そこからドアを開けると立体駐車場1階。横断歩道を渡るとカギ受け渡しの小屋。空港からの出方を教わろうとするが、女性社員は地図をくれただけ。これが大雑把だから毎回迷うのだが・・・空港内の詳細道路マップが欲しい。言われた番号に行くと車はシルバーのカローラ。初の日本車だが、ちょっと大き目か?

 妻の運転で11時チョイ過ぎに出発。都市部では、妻が運転、私がナビ、過去の経験からこれがベストだ。立駐出ると目の前に高架道路が走ってる。ハイウェイなのか?自信ないが、前の車に続いて道路へ。

州道99号→州道518号と経由し、インターステート5号を北へ。標識も分かりやすかったので、珍しくスムーズに目的の方向へ。5号ハイウェイは交通量は多いが流れは良い。20分ほどでウェストシアトル・ブリッジWest Seattle Brg.へ。それほど複雑ではない立体交差だが、大きなカーブと高さがあるのですごい迫力。橋へ入る下りは怖い。でも、眺めは抜群で、シアトル港やセーフィコ.フィールドもよく見える。ウェスト・シアトルに向かっているのだが、正面に山と、横に海があるので、都市部の感じがしない。

 途中、いくつか分岐があったが標識に従い橋を最後まで渡り切ると、道はそのまま一般道のファントリロイ通りFauntleroy Wayになった。すぐに道なりにアラスカ通りAlaska Stへ入る。街の感じは地方の大通りのよう。ダウンタウンからそれ程離れてないので、ビル群のオフィス街を想像してたが、思ったよりも気楽に走れた。42nd Stの角にAAA(全米自動車協会)事務所もすぐに発見できた。同じ建物の裏側がファストフード店で、そっちにはパーキングがあるが、停めていいのか分からないので路駐。向かいはウェスト・シアトル・スクエアと言うしょぼいショッピングセンター。なんか地方っぽい。

妻を車に待たせオフィスに。すぐにカウンターで黒人女性が対応してくれた。明るくてとても親切だ。JAF会員証はいつもは見せるだけだが、個人情報をPCに打ち込んでいた。地図も1つ1つバーコードで持ち出しをチェック。数が多いので、日程の書いてあるメモ帳のページを見せると嫌な顔一つせず10個近くの地図を出してきた。幾つかは別の部屋の倉庫?へ取りに。「ラングレーは小さいから個別のは無いの。州全体のを見てね」そのラングレーLangleyではないのだが、自分も来る前は勘違いしていた(ワシントン州とカナダの両方にあり、野球チームがあるのはバンクーバーの南の町)。数が多いのでヤキマYakimaの地図を忘れたようでまた取りに。「ヤキマも小さいの?」と聞くと、「ヤキマは小さくないわよ。タコマと一緒くらいよ」おお、意外に大きいんだなヤキマは。頼んでないけど、州内のホテルなどが載っている分厚いドライブガイドもくれた。礼を言って出発。これだけでも荷物が増えたが、タダだからいつも絶対貰う。

 ここからは有名なアルカイ・ビーチAlki Beach Parkもすぐそばだが、今日の観戦は当日券を買わなくてはなので真っ直ぐ球場へ向かう。距離的には4キロくらいなのですぐのはずだ。同じようにブリッジを引き返し、川や鉄道を渡った辺りで下りようとするが、適当な出口が見付からず5号も通り越してしまう。ミスだけどハイウェイに乗ってしまうよりもマシだ。スポケン通りSpokane Stから左へ曲がり、住宅地でUターン。関係無いがアジア系の少女が歩いていた。もう一度ブリッジに入り6th Avですぐに下りる。6th通りを北へ少し進むと、すでに野球渋滞。アルカイなんか寄らなくて良かった。

ノロノロとランダー通りLander Stを左折。看板を見ると、この辺のPなら10ドルだが、地図を見ると、まだまだ歩きそうなのでパス。踏み切りを超え1st Avを右折。ダウンタウンからも近いはずだが、周辺は倉庫や寂れた建物も多く「これで都心部?」と言うのが正直な感想。

 これ以上先へ行っても出るのが大変そうだ。右手の20ドルのPに入る。ちょっと高い気もするが相場が分からないので仕方ない。球場から100メートルくらいか。係の女性に「途中で出たいけど大丈夫か?」と確認すると、「ギュウギュウにはしないから出られるわよ」殆どがイージーパーキングのようだ。その中でも出やすい位置に停められた。看板持って呼び込みしてる汚いオジサンにクリスピー・クリーム・ドーナツKrispy Kreme Doughnutsの場所を教わる。すぐ南の信号の角だ。私の発音が変で、最初は分からなかったオジサンも指差して大喜び。

 球場へ向かって歩いていると人はどんどん増えてくる。1th通りから1本内側のオキシデンタル通りOccidental Avへ入る。車は少ないが、露店もあり人混みは変わらない。球場横の立駐のビルには野球のアートが。周りで「ブルーウェーブのキャップだよ」と小声で話してる。私はブルーウェーブファンではないが、以前、贔屓だった岡田彰布(現阪神監督)が在籍した頃、関東で試合がある時はよく見に行った。その年にブレークしたのが鈴木一朗だった。その頃の応援バット(プラスチックのやつ)も旅行には持ってきている。服装は私がブルーウェーブ時代のイチローの背番号T、妻がイチローのイラスト(勿論、ブルーウェーブのユニ姿)が背中に描かれてるTシャツ。球場では目立った方が勝ちだ。突き当りが球場で、手前を横切るエドガー・マルチネス通りEdgar Martinez Dr.はスゴイ人波だ。ダフ屋もいっぱい声かけてくる。

 信号渡ると右前がチケット窓口。最後まで見られないだろうから3階席を購入。1st通りの交差点で写真撮ってから入場。持ち物検査は当然ある。正面入口を入ると、天井に数百本のバットが絡み合うオブジェが吊るされている。本物ならすごい重さだが、材質はたぶん発泡スチロールのような軽い物。広い階段を上るとコンコース。テレビで何度も見た球場だが、グランドは意外に小さく感じる。テレビとは全く違う、なんとも仰々しい雰囲気。恐らく巨大な屋根が迫ってくる感じから受けるものだと思うが、座席やフェンスが濃い緑一色なのが重厚感を一層強く感じさせている。

座席のチェックはゆるく、1階席にも余裕で入れる。嘘の席で試合開始。各ポジションに散っていく選手。一人一人名前を呼ばれるが、一番声援が大きいのは、やはりイチローだった。マリナーズの先発はお馴染みのフランクリンRyan Franklin。テレビ中継でも投げるのを見る機会は多いが、なんとなく頼りない印象。つーか実際に頼りない。なんとか先発の一角に留まっているが、この辺を何とかしないと当分は優勝は厳しいのではないか...?

 今日の相手はオークランド・アスレチックス。4連戦の最後だ。日本の家を出てくる前に3戦目を中継していた。今、同じ場所にいるのが信じられない。妻はお目当てのアイバースIver'sの、パンをくり貫いたクラムチャウダーSourdough Bread Bowlで早々舌鼓。確かに味は抜群で、ボリュームも満点。1週間後に来る席を確認し、そこは埋まってるので、その最後列から2つ前で暫し観戦。イチローの最初の打席はショートゴロ。打率2割台のイチローを見られるのもイイ思い出か...嘘の席で見てる客は結構いるようで、人が増えてきて座席を移動させられているので、私らもコンコースへ。

 飛行機のオバちゃんを探しながら場内探検「センターのピンクのシャツ、そうじゃないか?」見に行くが結局違う。左中間手前にバッターのオブジェ。コンコースも見るところが多くて楽しい球場だ。センターの顔アートの壁のところから、階段下りると端に喫煙スペース、椅子も置いてあり10人ほどが一服していた。女性もいる。電車の操車場や、球場の屋根の骨組みも裏側からよく見える。けっこうな迫力。聳え立つ不気味さも感じる。

 そこから広い階段を下りると外野側のゲート。レフト側へ入るとフード店が多い。更に進むと有名なブルペン金網。アスレチックス側では、ベンチに座る後姿にハッキリと「YABU」の文字が。もっと良いポジションにいて欲しい気もするが、ここでユニホーム着てるだけでも大したもんだ。強くなってしまった前チームに残っていても、働き場があったとは思えない。イチローとの対決はあるだろうか?

 歩いていても、思ったよりも日本人には会わない。3塁側から見ると、日本人年配者らしき人達はネット裏に集中してるようだ。うろついていたのでイチローの2打席目を見逃してしまった。しかも、いつの間にか1点取られてる。スタンドは3階の一部を除きほぼ満員となっていた。平日の昼間だってのに大した人気だ。3塁側の外側の階段を上って、チケット本来の席へ行く事にする。ダウンタウンの眺めは抜群だ。隣のクエスト・フィールドQwest Field(NFL)もスタンドまでよく見えるが、下を見ると思わず足が震える高さ。

 スタンドへ出ると、ピッチャーもバッターも真上から見下ろすようになるが、新しい球場なので、比較的見やすく作られているようだ。隣の席は子供を連れた中南米系の刺青男。しょっちゅう携帯で電話してる。時差ボケと移動の疲れで、座席でちょっとウトウト。「ハッ!」と目が覚めると、3階からグランドに落っこちる錯覚に襲われる、急勾配のスタンド。妻も眠そうだったので、眠気覚ましに3階コンコースの広場へ。試合中でも寛いでる人が多い。ダウンタウン、ピュージェット湾、アルカイ.ビーチもよく見える。南を見ると「あっ!!」マウント・レーニアMt. Rainierが姿を現している。予定では明日行く事になっているが、天気が心配だ。「明日も顔を出してくれるのか?」

 フランクリンは5回にも1点取られ0-2でアスレチックスがリード。6回裏のイチローの第3打席はゲッツー崩れ。打率を見ると2打席目も凡退だったようだ。シアトルはこの回も無得点。なんとか2点に踏み止まっているフランクリンに全く援護無し。イチローの次に声援の大きな、売り出し中のモースMike Morseも今日は元気が無いようだ。

 7回表、フランクリンが遂につかまる。ハッテバーグScott HattebergとジョンソンDan Johnsonにタイムリーを打たれ2点を追加される。ブルペンで投球練習の長谷川Shigetoshi Hasegawaの写真を撮っていると、なんとなく投手交代の雰囲気。急いでエレベーターで1階へ。その間に長谷川登場。やはり、マウンドは1階からでないと角度的に難しい。しかし、長谷川は早々打たれて、更に1点追加される。

 1階コンコースで7thイニング・ストレッチを聞くが0-5の展開ではイマイチ元気が無い。7回裏、マリナーズは4、5、6が凡退。ここで席を立つ人が多い。イチローの次の打席を見てから、と思っていたが、最終回まで見たら渋滞に巻き込まれるだろうから、ここで私達も球場を出る事にした。8回に1人出れば1番まで回るが、その保障は無い。

1th Avを南に戻り駐車場へ。車に乗る前にクリスピー・クリームへ寄る。明日レーニアへ行くのに、本来ならスーパーマーケットで食材を買ってサンドイッチでも作りたいところなのだが、今日はそんな時間はまず無い。でも、うまい空気にはウマい食べ物。人気のドーナツを持って行きたいのだ。何種類かをバラで注文。1個が1ドル台。水も買って5〜6個で7ドルちょい。

車に戻ると、既に帰りの渋滞が始まっていた。Pからは左折出来ず予定外(たぶん野球終了時だけ)。こんな事なら車でクリスピーまで行ってしまえば良かった。大失敗だ。仕方なく、右折してもっと混んでると思われる球場方面へ。意外にも球場前まではスムーズ。左折して99号ハイウェイも超え、湾沿いのアラスカン道りAlaskan Wayを南へ。前の車に続いてなんとかスポケン通りに入れた。ここからが全く動かない。この辺の駐車場に車を停めてる人もいる。けっこうな距離だが幾らかは分からない。上はウェストシアトル橋、高架の下をノロノロと進み5号乗口へ。目的地のタコマは南方面だ。ノースへ乗って行く車が多かったようで、乗ってからはスムーズに走れた。一路タコマへ。

後半へ続く


試合結果:アスレチックス5−0マリナーズ 勝ち投手サールースKirk Saarloos 負けフランクリン ハッテバーグ5打数4安打1打点、チャベスEric Chavez4打数2安打、スウィッシャーNick Swisher5打数3安打1打点(以上オークランド) イチロー4打数ノーヒット、リードJeremy Reed3打数2安打(以上シアトル)

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