今日は25日、月に一度のすき焼きの日。一家団欒の楽しい夕食が始まる
ハズだったんだけど…。【砂沙美談】
ゼロス「いやー、九太郎さんすいませんねー。お呼ばれにきちゃって。」
魎呼「まったくだぜ、なんでこんな真面目ブリッコな奴、呼んだんだよ。」
九「…すいません。私の古くからの友人というかライバルというか…。」
魎呼「どうも、私はそーいう奴が苦手なんだよ。」
阿重霞「生まれも育ちも卑しい人なら仕方ないですわ。」
魎呼「なにをー、この行かず後家!」
阿重霞「どーやら塵になりたいよーですわね。」
ごん!ごん!
鷲羽「つったく、あんた達、毎度毎度いい加減になさいよ。」
砂沙美「ゼロスさんは何のお仕事してるの?」
ゼロス「【ぎくっ!】…ただのプリーストですよ。」
砂沙美「プリーストってなんなの?」
鷲羽「うーん、神官、坊さん、僧侶ってとこね。【民明書房から抜粋】」
阿重霞「私の辞書には神官としか載ってませんねぇ…【パイオニア国語辞典】。」
ちなみに二人が使っている辞書からは「不可能」の文字は消されている。
砂沙美「ふーん。」
ゼロス「…まっ、そんなことですよ。【汗;】」
九「なに狼狽えてんだ、ゼロス。」
ゼロス「いやー、グラマーな美人に囲まれてますから…ははは。」
そーなのだ。ゼロスはちゃっかり美星と清音の間に座っているのであった。
美星「グラマーだなんて、ねぇ、清音。」
清音「ゼロスさんて、お世辞が上手なんですね。」
ゼロス「いやいや、本心ですよ。普段は胸のない人しかみかけませんから…。」
リナ「へーくしょぉーーーぃ!」
ガウリィ「リナ、男みたいなくしゃみだな。風邪か?」
アメリア「きっと人の噂だと私は思いますけど。」
ゼル「俺もそう思う。いろんな噂が巷に聞こえてるからな。」
リナ「…どういうことよアメリア!ゼル!」
今にも呪文を炸裂させそうな勢いのリナ。
アメリア「リナさん、そんなに怖い顔で睨まないでください…。」
ガウリィ「おう、そうだ。」
ゼル「どうしたんだ、ガウリィ。」
ガウリィ「確か、フェミリア王国で男と間違えられたよな。リナ。」
ばしっ!
リナ「どーして、そんなしょーもないことだけ覚えているのよ。」
アメリア「あのー、フェミリアじゃなくてフェミール王国だったんですけど…。」
リナ「あん?あんたも死にたいの?」
アメリア「勘弁してくださーい。」
再び鷲羽の研究所
夕食がおわって数人がお茶を飲んでいる。
ゼロス「いやー、みなさん美人ばかりでー。九太郎さんが居座る気持ちも
わかる気がしますねー。」
九「おめーが、居座ってんだろーが。」機嫌の悪い九太郎。
鷲羽「なにブツブツいってんの九太郎。」
九「なんでもないです。」
天地「あっ、もうこんな時間だ。宿題もあるし、俺、先に部屋に帰ります。」
魎呼「天地ぃ。」
九「学校か…天地くんも大変だな。」
砂沙美「学校って大変なとこなの。」
鷲羽「学問を学びそして人間関係を育む場所、それが学校!」
砂沙美「砂沙美、よくわかんないよー。」
九「んーとね。勉強は大変だけど、友達とかもいて楽しいところでもあるんだ。」
砂沙美「九太郎兄ちゃんも行ったことあるの学校?」
九「うん。親父がさ。商売人にさせたかったらしくて学校にいれたんだ。」
ゼロス「ほー、魔族が子供を人間の学校にねー。」
九「そのころの親父は魔族として覚醒してなかったの。」
ゼロス「なるほど!納得です。」
砂沙美「あーあ。私も学校行きたいなー。」
魎呼「私も天地と同じ学校に行きてーなー、おっ、そうだ。」
部屋をそそくさとでていく魎呼。
阿重霞「わたくしも、見知らぬ学校での天地様がみたいわー。あっ、そうですわ。」
これまたいそいそと部屋をでていく阿重霞。
九「…なんか、二人とも企んでるみたい…。」ポツリ呟く九太郎。
鷲羽「砂沙美ちゃん、そんなに学校に行きたいの?」
砂沙美「うん。一日だけでもいいから天地兄ちゃんの学校に行ってみたいなぁ。」
九「ウルウルーッ。」
鷲羽「わかったよ。砂沙美ちゃん。私にまかしときな。」
砂沙美「ホント?鷲羽さん。」
鷲羽A「鷲羽ちゃんは天才なのよー!」
鷲羽B「鷲羽ちゃんに不可能はないんだからー。」
九「久々にでましたね。プロフェッサーの得意技。」
鷲羽ちゃん人形A、Bをみながら九太郎が言う。
ゼロス「楽しそうな家ですねぇ。」
九「お前、和んでていいのかよー。」
ゼロス「ええ、この世界に少し用がありますんで。」
九「やれやれ。獣王殿も大変だなぁ。」
鷲羽「あなた達にも協力してもらうわよ。」
九・ゼロス「どえーーーっ!」驚き、顔を見合わせる二人。
ゼロス「…あのー…やっぱり…。」
鷲羽「まさか、帰るつもり何じゃないでしょうね。」
鷲羽A「言うこと聞いた方が身のためよー。」
鷲羽B「言うこと無視して、いなくなった人たち多いんだから…。」
ゼロス「…。」
九「…言うこと聞いた方がいいぞ。獣王殿もわかってくれると思うが…。」
ゼロス「はぁー。」ため息をつくゼロス。
ついにゼロスも魔族から離反か?
【登校無用パート2】
天地「いってきまーす!」
砂沙美「天地兄ちゃん、いってらっしゃーい。」
今日の柾木家は平穏な朝を迎えた。
天地「今日は、珍しく何にもおきない朝だったなー。まぁ、魎呼は寝てる
んだろうけど。阿重霞さんが寝坊なんてなー。親父やじっちゃんも早く
でていったらしいし…。まっ、いいか。これからが俺の時間だ。
学校から帰ったらきっとまたなにか起こるだろうしな。」
とっても冷静な天地くんである。
教室につくとクラスメートに声をかけながらも授業の準備をする天地。
天地「HRの後は現国かぁ。」
謎の声「ちょっと、お前。そこ、どきな。」
女の子「ここは私の席なんですけど…。」
謎の声「いやだっていうのか…。」
女の子「…えっ、いいえ。どうぞ。」
天地「【嫌な予感がする…絶対となりを見ちゃだめだ。】」
魎呼「天地ぃ。寂しかっただろう。」
天地「【やっぱり…】…おい、魎呼!くっつくな。」
魎呼「いいじゃないか。私と天地の仲なら…。」
天地「魎呼!そういう誤解を招くような言い方はするなー!」
女の子達「…柾木君たら、奥手のようで、意外とやり手だったのね。」
「人はみかけによらないわね。」
天地の友人「…柾木、俺達の仲もこれまでだな。」
天地「お、おい…【あっちゃー、完璧に誤解されてしまったー】。」
男子「おっ、可愛い女の子が来たぞ!」
「えっ、どこどこ。」
みんな、意外とげんきんなやつである。
阿重霞「みなさま、おはようございます。このたびこのクラスへ
転校して参りました白鳥…じゃなかった…樹雷阿重霞と申します。」
男子「可愛いひとだなぁ…。」
女子「男子ったら…。」ひそひそ話し出す女の子達。
魎呼「よっ!阿重霞。」
阿重霞「?魎呼さん!な、なんであなたがここに…。」
その様子をみながら大変な一日になるであろうと思う天地であった。
キンコーン、カーンコーン
HRの時間である。
鷲羽「グッモーニン、エブリバディ!」
天地「わ、鷲羽ちゃん。」
鷲羽「はいはい。学校では鷲羽先生よ。天地くん。」
天地「…それは、P・S【プリティ・サミー】での設定じゃ…。」
鷲羽「ノーノノノン!本日は担任の長谷川先生急病のため
この鷲羽ちゃんがこのクラスの担任をまかされることになりました。」
天地「…本当に急病なんですか?」
鷲羽「いらぬ心配は事故のもとよ。」
鷲羽A「詮索しない方が身のためよ。」
鷲羽B「今日の鷲羽ちゃんは張り切ってるんだから。」
代わる代わる話す鷲羽の肩の人形達。
天地「わかりました。【本当にやばそうだ】」
鷲羽「では、転校生を紹介しまーす。」
男子達「おおおおーーーっ!」
津名魅「初めまして、東京の京帝高校から転校して参りました白眉津名魅
ともうします。」
天地「【可愛い人だなぁ…でも、隣と後ろからの視線が気になる】」
鷲羽「それから、もう一人…。」
女子達「きゃーステキッ!」
「すっかり萌え萌え〜!」
ゼロス「イギリスから父の都合で転校して参りました。ゼロス・メタリオムと
申します。」
女子達「きゃー、イギリスですって。」
「紳士ねぇ。」
鷲羽「はいはい、静かに!津名魅ちゃんの席は…そうねぇ…天地くんの
隣がいいわ。」
魎呼「ば、馬鹿やろー。ここは、私の席だぞー。他にもあるだろうが。」
津名魅「私は別にどこでも…。」
鷲羽「魎呼!先生に逆らうの?」
鷲羽A「天地くんと一緒にいたいんでしょう?」
鷲羽B「逆らわない方が身のためよ。」
魎呼「くっそー。…わかったよ。」
意外とあっさり引き下がる魎呼。
阿重霞「お生憎様でしたわね。」
魎呼「なんだとぉー。」
鷲羽「そこ、静かに!」
ビッシューーーン!
魎呼と阿重霞の間を光が駆け抜けた。
天地「い、今のは何ですか?」
鷲羽「えっ?いまの?これは、簡易ビームキャノンよ。」
天地「ビームキャノンって…。」
鷲羽「大丈夫よ。当たっても1週間もすれば動けるようになるって…。」
天地「それって…大丈夫じゃないんじゃ…。」
鷲羽「じゃあ、津名魅ちゃんは天地くんの隣で、ゼロスくんは
津名魅ちゃんの後ろの席ね。」
こうして天地の長い学校の1日が始まった。
【登校無用パート3】
現国の授業が始まった。
先生「…であるから森氏はこの踊り子のことが…。」
天地「【なんか視線を感じるぞ。後ろを見ちゃだめだ】」
自分に言い聞かせる天地。
津名魅「あのー。」
天地「は、はい。【なーんだ。津名魅さんだったのか。よかった。】」
津名魅「実は教科書が…。」
天地「なんだ。そうだったんですか。…先生、白眉さんが教科書をもっていない
そうなんですけど…。」
先生「ん?おお、そうか。転校してきたばかりだったな。柾木、お前が
見せてやりなさい。」
そう言われて席をくっつけて教科書に見入る二人。
魎呼「くっそー、津名魅の奴。うまくやりやがってー。」
阿重霞「なんですの。あの方。天地様に馴れ馴れしい…。」
悶々とするふたり。
津名魅「天地さん、よかったら後で学校を案内してほしいんですけど…。」
天地「…えっ、俺で良かったら。」
キンコーンカーンコーン
休み時間である。
天地「ここがLL教室で英語の授業の時に使います。」
津名魅「この上は、なんですか?」
天地「音楽室と家庭科の実習室があるんですが、行ってみますか?」
津名魅「はいっ。」
阿重霞「キーッ、あの子ったら天地様とふたりっきりでー。」
魎呼「おい、阿重霞。こんなところでなにしてんだ。揚げパン喰うか?」
購買部で買ったパンを差し出す魎呼。
阿重霞「魎呼さん、そんなことしている場合じゃありませんことよ。」
魎呼「どうしたんだよ。ん?つ、津名魅の奴…。」
阿重霞「お優しい天地様につけ込んで…。」
魎呼「ちょっと行って来る。」
阿重霞「行くって、りょ、魎呼さん。」
二人にずかずか歩み寄る魎呼。
魎呼「天地ぃ。あたしも案内してほしいなー。【ハート】」
天地「りょ、魎呼。…よし、わかった。【断ってもついてくるだろうし】
じゃ、阿重霞さんも呼んで、4人で廻ろう。」
魎呼「あんな奴、ほっときゃいいんだよ。」
阿重霞「なんですって、魎呼さん。」魎呼の台詞をきくや
阿重霞が飛び出してきた。
魎呼「バーさんは引っ込んでな。」
阿重霞「何ですって、この能無しのおたんこなす。」
魎呼「なんだとぅ、もういっぺん言って見ろっ!」
津名魅「二人とも喧嘩をやめてーっ!4人で廻ればいいでしょ。」
天地「【へーっ、津名魅さん意外にやるなぁ】」妙なところで感心する天地。
キンコーン、カーンコーン
天地「いけね。英語が始まるぞっ。」
英語
先生「…であるから、英語から日本語への直訳は意味が通じにくい…。」
天地「…なんか今日は大変なことになってきたぞ…。」
先生「おい、柾木。68ページの1のBを訳して見ろ。」
天地「…えーっと、恋愛の才能…かな。」
先生「よし。正解だ。この詩にもあるようにTalent for love
と言うのは …。」
津名魅「天地さんって勉強家なんですね。」
天地「いやー、たまたまですよ。」
シュッ!
天地「ん?なんだ今のは…。気のせいか。」
男子「な、なんだ。こいつは…。」
女子「きゃー、かわいい。」
「おいで、おいで。」
天地「げっ!!魎皇鬼。」
魎皇鬼「ミャー!」
天地「魎皇鬼、お前まで来ちまったのか。しょうがない奴だな。」
女子「えっ、柾木君のペットなの。」
「ねぇねぇ。名前は。」
魎呼「魎皇鬼っていうのさ。」得意げに言う魎呼。
「おいで、魎皇鬼。」
魎呼に向かって駆け出す魎皇鬼。
と、その寸前で反転、津名魅の膝に飛び込んだ。
魎皇鬼「ミャーミャー。」
津名魅「ははは、りょーちゃんたら、くすぐったいよー。」
天地「へぇー、魎皇鬼が知らない人に懐くなんて珍しいな。」
魎皇鬼「ミャーミャー。」
天地「よっぽど、津名魅さんのことが気に入ったようですね。」
津名魅にじゃれて魎皇鬼はご機嫌である。
阿重霞「ほほほ、ペットにも見捨てられ、なすすべありませんわね。」
魎呼「くっそー、魎皇鬼の奴ー。」
先生「ゴホン!柾木。ペットを学校に持って来ちゃいかんだろうが。」
天地「…すいません。でも…勝手に来ちゃったんですけど…。」
魎皇鬼を睨む天地。
魎皇鬼「ミャー。」うつむきかげんに天地を見る魎皇鬼。
先生「いいか。今日だけは大目にみるが、明日からはだめだぞ。」
天地「はい。…よかったな、魎皇鬼。」
魎皇鬼「ミャーミャー。」
津名魅「良かったね、りょーちゃん。」
天地「あれっ?」
津名魅「えっ?どうかしましたか、天地さん。」
天地「い、いやー、津名魅さんが知っている子に見えたもんですから…。」
津名魅「そうですか…。」
キンコーンカーンコーン
天地「ここが、図書室です。」
津名魅「わぁー、本が一杯あるーっ。お父様の書庫みたい。」
天地「へぇー、津名魅さんの家にも書庫があるんですか?」
津名魅「えっ、ええ、まぁ…。【(・・;】」
天地「家の親父も本が好きでね、書庫を持っているんですよ。」
津名魅「そうなんですか。」
天地「津名魅さんはどんな本を読むんですか?」
津名魅「私ですか?…んーと、…少女マンガぐらいしか読みませんね、」
天地「そうですか。【か、可愛い】。」
こういう一般的な会話にとても感動する天地であった。
普段が非常識の連続だもんねー。
これが、「幕張」とか「マサル」さんでなくって良かったね、天地くん。
天地「…そして、ここが食堂です。」
津名魅「あら?まだお昼じゃないのにご飯を食べている人が…。」
天地「学校にはいろんな生徒がいますからね。授業を抜け出して
食べている連中もいますよ。作者もそういう生徒だったらしいですが…。」
津名魅「いわゆる楽屋ネタですね。」
清音「あら、天地さん。いらっしゃい。」
天地「あっ、清音さん。そうか、ここで美星さんとバイトしてたんですね。」
清音「まぁね。」
天地「順調ですか?」
清音「順調と言いたいんだけど…。」
パリーン
美星「き、清音ー。」奥の方から美星の叫びが聞こえる。
清音「…さっきから、あの調子なのよ。」
天地「…そうですか。」
清音「それより天地さん、そちらの方は?」
津名魅「クラスメートの白眉津名魅と申します。」
清音「へーっ、津名魅さんっていうの…ふふっ。二人ともなかなかお似合いよ。」
天地「いっ、嫌だなぁー清音さんたらー。」紅くなる天地。
津名魅の頬をみれば完全なさくら色になっている。
清音「うんうん、青春ねー。…ハッ。」二人の後ろからの不気味な気配に
清音は気づいた。
天地「どうしたんですか?清音さん。」
清音「わ、私、用を思い出したから…じゃーね。」
そそくさと厨房に戻る清音。
天地「どうしたんだろう。」顔を見合わせる天地と津名魅。
魎呼「あの野郎!」
阿重霞「きーっ!って私たちの出番これだけですの?」
魎呼「しゃーねーだろ。作者にボキャブラがねーんだからよー。」
阿重霞「ゲーム版より出番が少ないわー。」