早いもので遠征成功の報がカトマンズから届いてから、 約1年が経過いたしました。この遠征の成功以来、 本年6月には山スキ−部OB(山とスキ−の会)の 55〜60才を中心とする熟年会員によってカムチャッカ・ジミナ峰への 遠征が行われ、見事な成功を修めて帰ってきたことも、 誠に喜ばしいことのひとつであります。
今回のメラピ−クスキ−登山隊1993の遠征は、 カナダ・マウントロ−ガン登山隊の遠征にも参加した 竹川徹君が隊長となり、ネパ−ルヒマラヤの高山におけるスキ−登山の 可能性を追求する目的で計画されました。山スキ−部で行われてきた 山行形態がヒマラヤの高所においてどのように通用するか、 すなわち山スキ−の新しい可能性に挑戦することによって山スキ−部の 今後の方向性を模索しようとすることが、今回の遠征の大きな目的の ひとつでありました。竹川隊長および副隊長の田村整君、隊員の秦正樹、 堀川信一郎、北川徹、松岡健一君等の現役部員およびOB1年目によって、 1年以上を費やして行動計画は勿論のこと、技術、高所順応、気象、 装備、雪崩、食料、医療、遭難対策等について綿密な検討が重ねられました。 このような事前の十分な検討ならびに現地での慎重な高所順応によって、 今回のすばらしい成功が得られたものと考えております。
この報告書には詳細な山行記録や各種の検討事項が記載されておりますが、 これらは後輩部員やあるいは遠征を目指す他の人達にとって極めて有用な 指針を与えるものと思っております。今後に続く人達の参考になれば、 誠に幸甚です。今回の遠征に関して留守を預かった者の一人として 気になったことのひとつは、現地との連絡方法であります。 遠征前に十分に打ち合わせをいたしましたが、現地エ−ジェントや 現地の連絡員との行き違いのためか、入るべき連絡が到着せず 心配したことが数回ありました。これについては反省事項のひとつとして、 今後の検討を待ちたいと思っております。
なお、今回の遠征については、学生部委員会で慎重審議された結果、 「遠征届」が受理された形で行うことが出来ました。 近年では非常に希なことであります。これは、遠征計画が詳細な点まで よく検討されていること、OBの海外遠征経験者で構成されている 山とスキ−の会・海外委員会で十分に計画が審議されていること、 不慮の事故に備えて対処できる組織が存在すること、 等々が評価されたためと思われます。種々のご配慮をいただきました学生部、 特に遠征中何かとご心配をお掛けした学生課ならびに 同課課外活動助成掛に改めて厚く御礼申し上げます。
最後に、今回の遠征に際しては、多数の各種企業から 登山用具や食料品などのご寄付をいただき、また山スキ−部OBの 皆様からは遠征資金の援助をいただきました。これらの方々の物心 両面にわたるご支援、ならびに留守を守った山スキ−部員諸君の陰の 力がなければこの遠征の成功は到底得られなかっただろうと思われます。 改めて、これらの皆様方に厚く御礼を申し上げます。